落語教育委員会

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  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784487806492

作品紹介・あらすじ

落語界の「表」も「裏」も大公開!?伝説の噺家の幻のエピソードから、奇妙な師弟関係、アッと驚く演出方法まで。本当の面白さを読者に「教育」する。人気落語家3人による爆笑鼎談。

感想・レビュー・書評

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  • 読めば読むほど喜多八師匠に会いたくなる、本当に落語が大好きなのだなぁと。
    経歴も世代も異なる3人が思い思いに語っているのがとても良い。兼好さんに代わり今も続くこの三人会、ずっとずっと続いてほしい。

  • 【概略】
     柳家喜多八師匠・三遊亭歌武蔵師匠・柳家喬太郎師匠による落語会「落語教育委員会」が2004年に発足し、8年目となった2012年に実現した対談。それぞれの弟子時代、師匠との関係、落語に対する姿勢、これからの落語教育委員会、などなど、落語好きにはたまらない一冊であり、落語に関する知識を得たい方にとっても有意義な一冊。

    2015年月日不詳   読了
    2021年04月10日 読了
    【書評】
     喬太郎師匠キッカケで買った落語教育委員会のチケット、そこで購入したこの本、この本のおかげで噺家・落語家に親しみを持てるようになったなぁ。なにせ落語初心者だった喜餅(英語落語を自分でやるようになってから落語を聴くようになったから)にとって、全ての知識が初物だったから。本書では、3名の真打が、それぞれの師匠との出会いと弟子入り、前座→二ツ目→真打になる過程で学んだことを語ってくれてて。そのやりとりが、より落語の演目を面白くさせてくれる。多分、こういった「脇の知識」がないと「より」楽しめないのに抵抗があるなら、落語との相性はよくないかも。
     落語や落語家に関するあれこれが収められているこの本だけど、「ほぉ」と思った一節に、アマチュアの落語家とプロの落語家の違いってのがあって。春風亭昇太師匠の言葉が紹介された形だったのだけど、なるほどと思ったね。アマチュアの落語家は、お父さんの料理で、プロの落語家は、お母さんの料理だそうな。※申し訳ない、ここでジェンダー論を引っ張り出さないで欲しい。
     もう一つ、しんみりとしてしまったことと、「落語の聴き手」としての成長を感じたことが。それは、柳家喜多八師匠のこと。喜多八師匠、残念ながら2016年にガンが原因で他界されてるのだけど、この本の中で、癌患者の集いに参加したくだりに「あぁ・・・」と寂しい思いをしてしまった。最初に読んだ時は喜多八師匠はお元気だったけど、今は、もう、いない。そして、本当に申し訳なかったのだけど、当時、喬太郎師匠の落語が好きで、喜多八師匠の落語、良さがわかってなくて。・・・で、この本を今、読み終えて、あらためて喜多八師匠の落語、聴いてみた。やっとわかった、良さが。落語だけじゃなくて音楽でもなんでも・・・残るものがあることの素晴らしさ、感じた。これは有名とか有名じゃないとか、裕福とか貧乏とかそんな次元の話じゃない、心に残る財産な気がする。
     喜多八師匠が本書内の言葉で、当時から刺さり、他の英語落語家と一緒にやる時に絶対に守ってることがある。それは「トリは見栄をはる」というもの。他の英語落語家さんと同じ高座に出させてもらう時、他の方達がネタを決めてからネタを決めるようにしてる。持ちネタの数といった理由が主なんだけど、「どんな状態でも披露できるネタがある」っていう見栄をはりたくて。こんな形で、自分の中で喜多八師匠、生きてる。
     喜多八師匠のあと、三遊亭兼好師匠がこの落語教育委員会に参加されていらっしゃる。可能な限りこの素敵な高座、続けて欲しいなぁ。歌武蔵師匠も喬太郎師匠も、健康って側面からみるとちょっと心配な感じだから・・・。

  • 楽屋話っぽい。好きな噺家の一面が知れる。

  • 大変勉強になる本だった。落語家さんは、落語だけやっていたいのかと思っていたが、落語以外の仕事もやることで、落語家としての筋力がついていく、だから落語以外の仕事もやったほうがよい、という話をしていてびっくりした。
    今度、「落語教育委員会」の寄席を見に行きたいと思う。

  • 一気読みしてしまった。
    まず、本の装丁がたまらない(笑)。
    気になったキーワードは「了見」と「らしく」かな。私のお気に入りワードとも言う。
    欄外の注はこの噺を一言で言うと…って感じで書かれているのだが、これは読み手(いや高座を聴く聴き手)が自分で実際に聴いて確かめないとね。
    どの時間(章)もみんなおもしろいんだけど、特におもしろかったのは「国語」と「工作」。
    文庫になったら買っちゃうと思う(望む文庫化)。

  • 落語は好きです。
    ライブというか、公演に足を運ぶことも、以前はよくしていました。

    そしてまあ、つまり、「落語教育委員会」というタイトルの本の話ですが、
    落語好きなヒトぢゃないと、さっぱり面白くも無い本です。
    まして、その本についての文など、屁の価値も無いので、悪しからず...

    #

    落語のライブというと、至極簡単に言えば、二種類あります。

    ●定席。寄席、とも言います。上野、新宿、浅草、池袋、にあります。あと大阪。
     「昼席」と「夜席」に別れています。
     これは、毎日毎日休みなしで必ず落語をやっています。基本的に「予約」という制度はありません。
     トリ(いちばん最後)の出演者が人気者だったりすると、満員になったりします。
    (それ以外は、けっこう通常は空いています。)

    ●ホール落語。
     「●●独演会」「●●・××の会」みたいな。基本的に1日限りのイベント。
     自分の名前で、前売り完売に出来る実力を持っている噺家さんは、20人もいるかどうか。
     (「笑点」メンバーさんは、別として。でも、あのメンバーで落語が上手いのは、昇太さん、たい平さん、くらいでは...)

    #

    「落語教育委員会」というのは、この後者の、「ホール落語」の一つです。
    多分10年以上前に、

    ・柳家喜多八さん
    ・柳家喬太郎さん
    ・三遊亭歌武蔵さん

    の、三人が始めた、つまりは「喜多八・喬太郎・歌武蔵の会」。これを彼らが勝手に、イベント名として「落語教育委員会」と名付けたのです。

    いつ頃だったか...多分2004年とか、そういう頃じゃなかったかなあ。
    うっすらした記憶で、「第1回」に行った記憶が。

    つまり、2002年くらいから、2007年くらいまでが、いちばん落語のライブに行っていたんですね。僕が。
    寄席に行って、お気に入りを見つけて、ホール落語も追っかける。
    柳家小三治さん。春風亭小朝さん。春風亭柳昇さん。三遊亭圓歌さん。と、言った、大御所さんからはじまって。
    古今亭右朝さん。柳家さん喬さん。柳家喜多八さん。昔昔亭桃太郎さん。川柳川柳さん。柳家紫文さん。三遊亭歌武蔵さん。
    再び落語を始めた笑福亭鶴瓶さん。
    登場いきなり老成した風情でびっくりした柳家三三さん。
    そして、めきめき人気実力を伸ばしていたのが、柳家喬太郎さん、林家たい平さん。
    新作中心にもう、ゆるぎない人気があった、春風亭昇太さん。
    他にも、いっぱい、好きな噺家さんがいらっしゃいました。SWA、なんてのもありましたね。

    その中でも、喜多八、喬太郎、歌武蔵、というラインナップは、芸風の棲み分けと言い、とても贅沢な三人会でした。
    「落語教育委員会」というイベントすなわち三人会は、恐らく10年以上、10回以上、行われているはずです。

    脱力系で、でも小三治さん仕込みらしい正統派な古典落語の喜多八さん。
    相撲部屋出身という異色の履歴で、大きな体を精一杯使った愛嬌溢れる楽しい芸風の、歌武蔵さん。
    この20年で、恐らく三本の指に入る新作落語家であり、変態的な異形な人物像を演じる一方で、柳家らしい古典落語も熱演する、喬太郎さん。

    三人とも、共通しているのは、媚びすぎない。ベタベタ芸人ではない。どこか都会風、東京の落語家だなあ、という佇まい。
    噺家としての品、が、ありました。

    #

    やっとこ、本の話になります。
    この本、「落語教育委員会」は、要はこの三人の、わいわい座談本、です。
    これはもう、それ以上でも以下でもないのです。

    それぞれの、弟子入りからの歴史。

    歌武蔵さんが、中学を出て、相撲部屋に入って、辛くて脱走して、落語家に飛び込んだ...という経緯。

    それぞれが、師匠から受けた教え。理不尽な仕打ち。生活の苦労。「師匠と弟子っていうのは、愛憎が深くて、簡単に美談にも出来ないけど、憎んでなんかいない」というニュアンスが良く判ります。

    そして、冗談みたいな話の中で、それぞれが、落語家としての自分の芸風、芸域を意識しながら、お互いを意識しながら、それぞれに「落語とはこうありたいよね」みたいなこだわりが、垣間見える。

    #

    という訳で、ライブ「落語教育委員会」に行ったことがある人は、とても楽しめる本。
    そして、普段なかなかロングインタビューなどはお目にかからない、人気落語家三人の本音(っぽい話)が聞ける本です。

    #

    それから、この本が出たのが2012年なんですが、今年(2016)、柳家喜多八さんが、66歳で亡くなりました。
    早すぎる追い出し太鼓。残念です。合掌。


    ##


    あれから、関西に転居したりして、(どうも、関西落語は肌に合わなくて...)
    東京に戻ってきたら、子供が生まれたりで、
    めっきり落語のライブに行くことは、最近は無くなりました。
    でも、ああいうのって、何ていうか。自転車と同じで(笑)。
    なんにせよ、自分の生活の為の愉しみなので、子供などでばたばたしているうちは、落語ライブに行かなくても、それこそ読書など、場所時間を選ばない愉しみを優先させておきます。
    またいずれ、長い歳月の中で、そういう余裕ができたら。
    連れ合いとでもゆっくりと、寄席から覗きはじめて、また「お気に入りの噺家」を見つける楽しみを味わいたいなあ、と思っています。
    (落語を音源で聞く、というのもお手軽で素敵ですね。僕は、音源落語では、何と言っても「志ん朝さん至上主義」でして...明けても暮れても、志ん朝、志ん朝なんですが...)

  • 経歴も年齢も師匠も芸風も異なる三師匠。真面目に熱く面白く語る歌武蔵、新作の人気者で飄々とウケを取る喬太郎に、茶化すようだがしっかりと後輩へのアドバイスと江戸前の粋なアクセントをつける喜多八の見事な鼎談集になっている。AReaderを使った特典動画で師匠達の声も聞けて、お得感この上ない一冊。

  • イーブックオフで買ったが、うれしい誤算あり。AR機能はデータ保存できないのでつまらない。

  • 読了日20130827

  • 一昨日の落語会(落語教育委員会@中電ホール)でサイン入りを即買いして、アッと言う間に読んでしまいましたw この3人は最高ですね〜♪

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著者プロフィール

1949年東京生まれ。学習院大学卒。1977(昭和52)年02月柳家小三治に入門。1978(昭和53)年09月前座となる。前座名「小より」。1981(昭和56)年05月二ツ目昇進。「小八」と改名。1993(平成5)年09月真打昇進。「喜多八」と改名。苦み走ったいい男の風情と低音の美声。一見、力の抜けたような枕から始まり、噺に入った途端、登場人物が溌剌と動き出して噺の世界を展開するさまは見事。滑稽噺や自身で探した珍しいネタなどで、喜多八の落語らしい突き抜けた可笑し味が存分に発揮されている。2016年5月17日午後11時17分永眠、享年66歳。

「2013年 『柳家喜多八膝栗毛』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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