10の奇妙な話

  • 東京創元社
3.28
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本棚登録 : 415
感想 : 42
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  • Amazon.co.jp ・本 (179ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488010539

作品紹介・あらすじ

命を助けた若者に奇怪な風貌を罵倒され、心が壊れてしまった老姉妹。薄暗い洞窟を持つ金持ち夫妻に雇われ“隠者”となった男。“蝶の修理屋”を志し、博物館の標本の蝶を蘇らせようとする少年。教師が宇宙人にさらわれたと信じ込み、市役所に調査を要求する子供たち。家の近くで掘り出した骨でネックレスを作る少女。――ブッカー賞最終候補作の著者が、日常と異常の境界線を越えて異様な事態を引き起こしてしまった人々を描く短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 何が奇妙って絵が奇妙すぎる(笑)表紙は全員集合でみんな怖いよ、こっちをギンギン見てるよ。まるで病んでいるような表情。彼らはみな日常と非日常、正気と狂気の境界線のギリギリに立っている。その線を超えるか超えないのか様々な奇妙な世界が味わえる。

    同じ女として1話目の「ピアース姉妹」が哀しかった。

    挿絵は何故物語の最初のページにあるのだろう?これはネタバレではないのだろうか?とても奇妙だ。

    「ピアース姉妹」せっかく助けてあげたのに…。
    「眠れる少年」眠るのが怖くなる話。
    「地下をゆく舟」定年後の趣味は…。
    「蝶の修理屋」バクスターくんと奇妙な道具が出会えた奇蹟…。
    「隠者求む」隠者が可哀想…。
    「宇宙人にさらわれた」集団心理の怖さ…。
    「骨集めの娘」骨に囲まれた時の気持ち…。
    「もはや跡形もなく」親子げんかの結末は…。
    「川を渡る」葬儀屋さんの大変さ…。
    「ボタン泥棒」馬にボタンを盗られた女の子は…。

  • 自分の中にピアース姉妹が住んでいるのだろうか、親近感に近しいものを感じた。
    何かの拍子に彼女たちのようにならないよう生きていきたい。

  • 奇妙でユーモアに満ちた10の短編が収録されています。面白い作品が多く、奇妙な話愛好家の方にはぜひ読んで頂きたいです。映像が見えてくるような筆致が特徴で、美しさや妖しさを感じる事ができます。


  • 翻訳独特の言い回しが大好きで個人的に
    購入したくなった本。
    お気に入りは「宇宙人にさらわれた」と
    「川を渡る」!

    どんでん返しが好きな人には、少し肩透かし
    くらってしまうような話ばかりかもしれない
    けど、巻末の解説を読んでなるほどと思った。
    日常に横たわる境界線(現実と非現実、
    正気と狂気など)に触れた主人公たちが、
    境界を超えてしまうかどうか…という物語の、
    一端を私たちは垣間見てるに過ぎない。

    何年も眠りの中に居てある日突然目を覚まし、
    無事に日常に回帰していく子もいれば、
    母親との喧嘩をキッカケに家出をし、そのまま
    森の中で犬と連れ添って二度と家に帰らない
    子もいる。


    哀れでも悲壮感は漂っていない、痛快で奇怪な
    物語たちだった。

  • タイトル通り、奇妙な10話からなる短編集。

    「ピアース姉妹」
    長年の過酷な暮らしから奇怪な容貌になった姉妹。
    彼女たちは海で溺れる美しい青年を救うが、目を覚ました彼は醜い姉妹の容姿に悲鳴をあげて逃げてしまう。
    そんな彼に姉妹のした行為とはー。

    「眠れる少年」
    長年ずっと眠り続けた少年の話。

    「地下をゆく舟」
    定年後、舟造りに励む老人。
    完成を楽しみにしていたが、実際出来上がった時、彼はある事に気づいて愕然とする。

    「蝶の修理屋」
    古道具屋で「蝶の修理屋の手術道具」を購入し、標本となった蝶を生き返らせる事に成功した少年の話。

    「隠者求む」
    ある金持ちの新婚夫婦は洞窟に、雇った「隠者」を住まわせる事にする。
    隠者の存在を最初は面白がっていた彼らだが、徐々に隠者に対する興味が失せて彼の存在をすっかり忘れてしまう。

    「宇宙人にさらわれた」
    女教師が宇宙人にさらわれたと騒ぐ子供たち。

    「骨集めの娘」
    穴を掘り、骨を集める事に熱中する少女。
    その目的はー。

    「もはや跡形もなく」
    ささいな事から家出、それから何年も森で暮らす少年。
    彼は森で一匹の犬と出会う。

    「川を渡る」
    柩を川渡しするのに苦心する葬儀屋一家の話。

    「ボタン泥棒」
    馬にお気に入りのコートのボタンを食べられた少女の話。

    どの話も奇妙に静かな余韻の残る話だった。
    哲学的な匂いを感じる。
    そして、発想に感心した。
    最初の話もそうだし、「地下をゆく舟」「隠者求む」なんて、日本人では中々、こういう発想はわかないんじゃないかと思う。
    感覚が繊細で、読んでいる内にいくつか俳句が浮かんだりもした。
    最近、読んでいる時だけ面白ければいい、という本ばかり読んでいたせいか、しばらくぶりにこういう本を読むのもいいな・・・と思った。

    どの話も短く、本自体も薄い本なのですぐに読める。
    でも、読んでいる間、この本の世界に入りこんでいた。
    そして、読み終わった後、恐いというよりも「ああ、分かるな。その感じ」という感覚を味わった。
    例えば、「もはや跡形もなく」という話。
    人の記憶からいなくなるってこういう事なのかな・・・と思う。

  • タイトルどおり、10の奇妙な物語。
    「蝶の修理屋」の雰囲気が好き。映像が目に浮かびます。
    「宇宙人にさらわれた」子供たちが集団ヒステリーみたいになって暴走していくさまにゾッとした。集団心理って恐ろしい…。
    挿絵の不気味な感じがまた良いなぁと思ったら、クリス・プリーストリーの怖い話シリーズの人だった。納得。

  • 小学校の図書館を思い出す

  • 怖…怖い…
    奇妙だし、ブラック

  • 不思議でどこか悲しくおかしい短編集
    わかりやすくゾクッとするお話、ハッピーエンドに見えるのに主人公に少しの違和感を覚えるお話などなど。
    ディヴィッド・ロバーツ氏のイラストもいい味を加えてる。
    エドワード・ゴーリー氏が好きな人には刺さる絵柄なんじゃないかと

  • 始めから終わりまで、クエッションが頭の中を巡る話だった。

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