- Amazon.co.jp ・本 (125ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488010676
作品紹介・あらすじ
ある日、兄弟が森で穴に落ちてしまった。深さ7メートルの穴からどうしても出られず、木の根や虫を食べて何か月も極限の環境を生き延びようとする。外界から遮断された小さな世界で、弟は現実と怪奇と幻想が渾然一体となった、めくるめく幻覚を見はじめる。名も年もわからない兄弟、なぜか素数のみの章番号、幻覚に織り交ぜられた暗号。寓意と象徴に彩られた不思議な物語は、読後、驚愕と力強い感動をもたらす。暗黒時代を生きる大人のための寓話。
感想・レビュー・書評
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残念ながら私の好きなタイプの寓話ではありませんでした。読後感は、「星の王子さま」とはだいぶ違うものであった。理不尽、ひもじい、苦しい、つらい…。たまたま最近読んだ「年月日」「太陽と痛み」併せて、さしずめ”ひもじい寓話”3点セット。でも同じ時代に、中国とスペインでこのようなひもじい寓話が出てくるってことは、やはり世界の暗黒を暗示しているのだろうか。。。
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兄弟愛を感じさせられるシーンでは胸が熱くなりました。一つ一つの描写がとてもリアルで弟が狂っていく様子がすばらしかったです。
自分の読解力が未熟で解けなかった謎もあるのでいつかまた挑戦したいです。 -
ジメッとした寓話だったなあ、となんとなく読了......と思いきや、あとがきで「暗号」の存在を仄めかされゾワっと鳥肌。
こわい話ではないけれど、やっぱり「こわい」としか言いようがない、胸の奥がザワつく感じ。忍び寄るような異形の不安に取り憑かれる、そんな後引く余韻(嫌いじゃない)。
暗号解読や解釈的深読みはギブアップ! 再読したら新しい発見がありそう。それでも、本当の意味で「読み終える」ことなど、きっとできないだろう。 -
正直難解すぎた気がする。
これは日本語で読んでいるからこう感じるのか、それとも原書でもこの印象なのか。
なんとも形容しがたいジャンルである。
言いたいことはわかるような気もするし、
本当にこれで合っているのかと不安になる。
意図が汲み取れていなくても感じたままでいいと言われても、
本当にそれでいいのかなぁとおもってしまう。
せめて読んだ後に解説がついてたらいいのにと思ってしまうけれど、
それじゃあつまらないのかなぁ。
平和な日本で生活してる自分としては多分このヒエラルキーのようなものをありありと実感し理解することは難しいのだと思う。
でも、その平和ボケがいつ崩れ去るのかもわからないし、
こういう切り込むタイプのストーリーも時に読んで見て面白いなと感じた。 -
すごい本を読んでしまった。難しいことは語れないが、久々に読んでいて胸が苦しく、熱くなるような物語だった。読み終えた今、しばし放心状態である…。全くの予備知識なしに軽い気持ちで手に取ってしまったので、「ん?なんで穴に落ちたの?」など疑問を持ちつつもどんどん読むにつれ、瞬きの回数が減り、眼球が乾くほどに文章から目が離せないまま一気に最後まで読みきりました。この余韻、しばらく引きずりそうです。
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深く暗い寓話。読んでいくうちに読みとけてくる裏側に、思わずその都度調べたくなるのをこらえて物語にひたる。読み終えてから、調べて、考えて…この解釈であっているだろうか。
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20170425
森の中のすり鉢状の深い穴に落ちてしまった兄と小さな弟。
極限状態の中、気が狂ったように?変わってしまう弟と、弟への愛を抱えながら状況を解決しようとする兄。
なんとも不安になる文章、深読みを誘う不気味な感じ。実際あとがきにも謎解きのヒントが書かれている。
気持ち悪くなるし読みたくない、でも最後まで一気に読んでしまった。
原作の国であるスペインの経済状況、社会情勢が背景にあるようだが、私はそこまで深く考えずにただただこの本の不気味さを気持ち悪いと思いながらもそれを超えた快感を味わいながら一気に読むのでもいいんじゃないかと思う。
でも今余韻でなんとも言えないモヤモヤしてるでも、スカッとしてるという妙な気持ちに陥っている。 -
深い。大人の童話。何度も読んでその度に違う何かを感じられるであろう作品。今日の私はそのメッセージのほとんどを理解できていないのだろう。でも不思議な余韻に包まれて思慮を巡らす夜になりそう。また、何度も読み返したい。