- Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488012052
感想・レビュー・書評
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父の死からクリーニング店を継ぐことになった息子・和也。毎日受けるクリーニングから日常の謎を解き明かす地域密着型(!?)ミステリー。
最初は嫌々ながらバイト気分で仕事をしていた和也だが、季節が進むごとに自覚が芽生え、主人公の成長ストーリーになっている。和也の人のよさに好感が持てた。商店街を中心として、昔ながらの人間関係で悪い人が出て来ないのが良い。
「和菓子のアン」とリンクしていると聞き、改めて「和菓子のアン」を捲ったら、杏のお母さんがクリーニング店で働いている梅本さんだった。こういう繋がりはなんだか読んでいて嬉しくなってしまう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「和菓子のアン」のアンちゃんのお母さんがパートで働くクリーニング店とその商店街のお話。
動物でも人間でも、困っているのを放っておけない、でもお節介なわけではない荒井くんが、すごいいいなー。
突然の父の死や、クリーニングの仕事、商店街での人付き合いや、沢田くんとの関係などなど、等身大の悩みを抱えながらいろんなことをぶつかって乗り越えてちょっとずつ前に進んでいく姿がかわいい。
私も思わず松竹梅トリオのように見守って応援したくなります。
切れない糸のタイトルが意味するものも、なかなかせつない。
クールでそつない沢田くんの振る舞いも、まるで捨て猫のようで。
人と人とのつながりって、実際の距離や会う回数とかより、「離れていても、遠い気がしない」糸のつながりで続いていくものなんだろうなぁ。
あくまでミステリー仕立てといった程度で、謎解きはたいしたことないけど、商店街やクリーニングの豆知識も楽しめました。
アイロンの湯気のように、心も温かくシャキッと潤いますな。 -
出てくる人たちの個性と人生の数だけ、泣いたり笑ったり、さみしくなったりなごんだり、色々な気持ちになって読み終えた連作短編ミステリー。でも、最後はすべてひっくるめて、「よかった」と思えました。
父の急逝のため、大学卒業直前に実家のクリーニング店を継ぐことになった和也。彼に残されたのは、生来のちょっと変な特技(?)と、大雑把な母、天才的なアイロン職人のシゲさん、パートのおばちゃん「松竹梅トリオ」、犬のコロ、そして、謎多き友人・沢田。
仕事を通じて知ってしまうお客さんの抱える問題を放っておけずにいつのまにか面倒をみてしまうお人好しなワトソン和也と、その謎を解くだけでなく向かうべき方向性までも鮮やかに示してしまうホームズ沢田は良きコンビで、安心しながら読めるのもいい感じてす。
未熟ながらも日々成長する和也と芽生える仕事へのほこり、父や周囲への敬意には心和みました。シゲさんとお父さんのエピソードも心温まります。
私の仕事を知ってる方がワザワザおすすめしてくれたのですが、読んでよかったです。
自分の今いる場所や環境を愛おしく思えるって、大事なんだなあ、と思う一冊でもありました。 -
坂木さんのお仕事が舞台の小説は、いつも読むとその職業に興味が湧くし、なんとなく好きになっちゃいます。
今回はクリーニング店。
坂木さんのミステリーはよくある殺人事件が起こる類のものではありません。
今回、本の巻末の解説を読んでいてそこに書いてありましたが、1話限りで去ってしまう使い捨ての人物を作りたくないという坂木さんなりのこだわりだったことを知りました。
今回のクリーニング店に勤めているおばちゃんも和菓子のアンのアンちゃんのお母さんだったりしますしね。
いろんなシリーズを読んでいてチラッと登場する知ったキャラクターを見つけた時の嬉しさがたまりません。
今回の主人公のカズくんや友達の沢田くんなんかもまた登場するといいなぁ。 -
新井和也22歳、大学卒業を控えた冬、商店街でクリーニング店を営む大黒柱の親父が亡くなった。
父亡き後、お母さん、店のアイロン担当シゲさん、日替わりでカウンターのパート3人の後押しをうけクリーニング店を再開することにする。
今までとは違う服をクリーニングに出すようになった河野さん、大学同級生 糸村麻由子の変貌、秋祭りの参加と水商売のような衣装をクリーニングに出す渡辺さんの不思議、歳末見回りと商店街に出る幽霊の謎…それらを一緒に解決してくれたのは友人沢田だった。
亡き父の跡をついでクリーニング店を再開させた新井和也くん。
最初は知識もないからお父さんに信頼を置いてた顧客からお父さんと比べられて不本意だったかもしれないけど、アイロンのプロなシゲさん、接客のプロなお母さん&松竹梅パートトリオに支えられて前向きに頑張ってて立派!
本当、洋服のクリーニングとか部屋のお掃除(クリーニング)とか、プロにかかると色々隠したい秘密が露になりそう…
とはいえ沢田くん、鋭すぎる(笑)
でも、みんな生粋の「生物委員」新井くんに救われた感じ。読み終わるのが勿体ない。ラストまで読んでのタイトルが絶妙! -
ほのぼのミステリーですね。相変わらずハートフルなお話です。
本でその人のことわかると聞いたことはあるけど服でその人自身のことがわかるとは、納得してしまいました。確かに個人情報の塊ですよね。
商店街も人と人との繋がりがあっていいですよね。最近は淡泊なので、こういうときの商店街の義理人情がうっとおしくでも温かいものかもしれません。
切れない糸、タイトル通りです。みんなひとりひとり切れなく糸で繋がっていますね。 -
寒い冬の夜にもほっこりとあたたまれる
そんな東京下町のクリーニング店を取り巻く小さな謎の物語。
坂木作品はどれも読後感がいい。
悪意のある人間が出てこないせいなのか
主人公がどれも好感が持てる感情移入しやすい人物だからなのか。
こんな商店街が近くにあったら。
こんな友達がいたら。
物語の中に自分も入りたくなる、そんな1冊。 -
商店街は小さな規模のプロフェショナル集団
なるほどね。私が子供だった頃の近所の小さな商店街を思いだすと、確かにって思う。
八百屋さんもお魚屋さんも、見慣れない商品が置いてあるときは食べ方を教えてくれたり、よく行くお店は好みを覚えてくれていたり。
そういう関係がうっとおしいと思う風潮が、商店街を寂れさせたのかなあ。
主人公の荒井くんは、父親の急死によってその気のなかったクリーニング店を継ぐことになってしまった。
と言っても、やっぱり店屋でそだった子は、商売向きに育つのかな。着実にクリーニング店の仕事を身に着けていく様子が、ホッコリと温かい気分にさせてくれる。
日常ミステリーなので、探偵役に沢田くんと言う人物が出てくるんだけど、彼の良さは謎を解いたその後を考えているところ。
横溝さんの金田一 耕助。彼は名探偵って事になっているけれど、例えば連続殺人で、自分が登場してから後に起こる方の事件を防ぐこともできず、全部終わってからコレコレこういう事ですって言うだけ。名探偵と思えない。
そんな私にとっては、探偵沢田くんはとても素敵。 -
再読。
やっぱり坂木さんの作品は心が温かくなります。
商店街にある実家のクリーニング屋を継ぐことになった主人公を描いた連作短編。
お客さんの抱える謎を見過ごすことが出来ずに、友人沢田の魔法の言葉の力を借りて、服の汚れだけでなく心の汚れやほつれまでをも直してしまう主人公。
仕事や様々な出来事を通じて、彼を取り巻く人々との繋がりが温かい糸で紡がれていきます。
初めは右往左往していた主人公がクリーニングという仕事の奥深さを経験から学び、成長していく姿がとても良いです。
商店街はプロフェッショナルの集まりだというくだりがありますが、人の繋がりを大切にする商店街という場が減り続けている昨今、寂しさを感じずにはいられません。
個人的にアライクリーニングのチャーリーズエンジェルこと松竹梅トリオが好きです(笑)-
「駒子シリーズ」お勧めありがとうございます。コメントを書き込みますが、ここの使い方を理解出来てないので☆押したよ、等きちんと出来ないかもしれ...「駒子シリーズ」お勧めありがとうございます。コメントを書き込みますが、ここの使い方を理解出来てないので☆押したよ、等きちんと出来ないかもしれません<(_ _)>2013/03/21
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