- Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488012588
感想・レビュー・書評
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失業中のわたしこと若竹七海が旅先で知り合った一ノ瀬妙子。強烈な印象を残した彼女は、不意に電話をよこしてクリスマス・イヴの約束を取りつけたかと思うと、間もなく自殺を図り、未遂だったものの植物状態になっているという。悲報に接した折も折、当の妙子から不可解きわまる『手記』が届いた。これは何なのか、彼女の身に何が起こったというのだろう? 真相を求めて、体当たりの探偵行が始まる。
第1部は、読者が頭に描いた想像を覆す本格ミステリ趣向。
第2部は、クールでサバサバした女探偵若竹七海が、風変わりな事件関係者達に翻弄されながら真相を追求するハードボイルドに変調。手記の中身と現実世界の齟齬を読み解くのが難解だった。
著者のデビュー2作目ということで、プロットは荒削り。一方で、主人公若竹七海の強気でウィットに富んだセリフ回しは、クスっとさせられる場面も。「女探偵が好き」な著者の《葉村晶シリーズ》も今度読んでみたいと思う。
本格ミステリ・ベスト100 92位
《若竹七海シリーズ》
1.ぼくのミステリな日常
2.心のなかの冷たい何か詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ややこしくて、わかりにくい。
部分的に何度も読み直させられたものの、全容を理解できたというスッキリ感は得られず...。
ただ、作者である若竹氏が大好きだとおっしゃっている女探偵(本作では明確な“探偵”ではないけれど...)の活躍、歯に衣着せぬ物言いと心理描写、大事な会話の合間あいまにちょいと視線をずらした描写などを挟んでその大事さを紛らわせたりする手法など、作者ののちの作品の、私が大好きな要素があちこちに散りばめられているのは、とてもうれしく読ませていただきました。 -
心の内にある目を背けたくなるものを、掴んで引きずり出されるような感覚がしました。暗くて重い雰囲気と、人の悪意や毒気といったものが前面に出た作品です。その時の精神状態によっては、泥沼になりそうな気もするけど、自分にとってはいつかもう一度読んでみたいと思わせるものがありました。デビュー作のような纏まりは感じられないけど、こちらの方がより作者の原点に近いのではないかと思います。
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やっぱり上手いなあ。まんまと騙された。
全てを知ってしまう事と何も知らないでいる事、どちらが良いんだろう?
出てくる人達が哀しい人達ばかりだな。
七海は辛いだろうけど、自分で選んだんだから仕方ないか。どの道を選んでも後悔したんだろうし。
前作でもそうだったけど、七海は巻き込まれやすいというか、打ち明けられやすいんだな。 -
女流ハードボイルド。
かっこいいなあ若竹さん。
脇役にも味がある。
読書するバーの美少年とか煙草をねだるカラフル少女とか。
別の作品に出てきたりするんかな。 -
<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4488012582/yorimichikan-22" target="_blank">心のなかの冷たい何か</a>
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<b>「社内に観察者がいる」という謎めいた言葉を遺し、自殺未遂した友人。
鬼気迫る手記に慄然としながら、敢然と真相を追うヒロインの孤独な戦い。</b>
(帯より)
『ぼくのミステリな日常』の続編とも言える作品。
もちろん探偵役の主人公の名は 若竹七海。
箱根に行くロマンスカーの中で偶然出会った一ノ瀬妙子が自殺未遂事件を起こし、彼女から若竹七海の元へ手記が送られてきた。
物語の中に手記が入り込み、そのなかに更に別の人の手紙が織り込まれるという幾重にも重なった造りになっているので注意深く読み進まないとときどき現実からはなれて手記の中を歩き、煙に巻かれることになってしまう。
それも計算されたことであるのにあとになって気づくのだが。
≪何≫とは言葉にできない≪冷たいなにかが≫人を狂気に駆り立てるのだろうか。
探偵役・若竹七海はこの物語ではあまりに無力な役回りである。何か得るものがあったとすればそれは、力也の存在だろうか。 -
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