薔薇の名前〈下〉

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (426ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488013523

作品紹介・あらすじ

中世、異端、「ヨハネの黙示録」、暗号、アリストテレース、博物誌、記号論、ミステリ…そして何より、読書のあらゆる楽しみが、ここにはある。全世界を熱狂させた、文学史上の事件ともいうべき問題の書。伊・ストレーガ賞、仏・メディシス賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 既読でした(サラッと)

    ってめちゃくちゃ読むのたいへんだったんだど〜
    サラッとで済むかーい!
    ラストの情景がぼんやりと記憶に残ってました
    それだけ印象的なラストだったんだな〜ってあらためて思います
    そして若い頃はこのくらいのボリュームの本はそれこそサラッと読めたんだよって思い返したりして
    それこそ百科事典みたいな厚さの『西遊記』とか臆することなく読んでたもんな〜

    今回『薔薇の名前』上下巻は4日かかっちゃいましたw

    さて本編です

    ミステリーと神学論争の2本立てじゃないことは最初からわかってました
    なので神学論争が犯人の動機に深く関わっていることになりますのでこのミステリーを余すところなく楽しむにはちゃんと神学論争の部分も読まないと意味がなくなるのでそこが辛くなっちゃう原因ですよね
    キリストの清貧論とかがっつり興味ないですもん

    そしてそのへんことが動機になるということは…犯人も早い段階で特定されてしまうので後は「どうやって?」の部分しか残ってないんですよね…
    この修道院の特徴や人間関係のところで「どうやって?」は非常に複雑で見事ではあるんですが、それだけでは重厚すぎる神学論争を乗り切れないんですよね
    だから辛い

    もちろんこの重厚な物語は深い考察によりいろいろな視点で物事を見ることだったり、事件の真相についても多様な受け取り方が出来るようになっていてそのへんが「キングオブキングス」たるゆえんで、それはもちろん称賛に値して十分に「面白い」んだけどとにかく疲れたな〜w

    ということで少なくとも自分にとっては「キングオブキングス」ではなかったのかなと思います

    無事あの声は聞こえなくなっていきましたとさ

    • ひまわりめろんさん
      土瓶さん
      こんにちは
      コメント遅くなって申し訳ないです
      あれやこれやとおれやこれやで

      本作はキリスト教圏で絶賛されるのは分かるんですが日本...
      土瓶さん
      こんにちは
      コメント遅くなって申し訳ないです
      あれやこれやとおれやこれやで

      本作はキリスト教圏で絶賛されるのは分かるんですが日本でキングオブキングスと言われちゃうとちょっと違和感感じちゃうんですよね

      京極夏彦さん実は読んだことないんですよね
      いつかはチャレンジしたいです

      西遊記は小豆色のもさもさしたカバーのやつです(ふわっとしすぎ!)
      2022/07/02
    • ひまわりめろんさん
      まっつんこんにちはあーんどこれまた遅くなってごめん
      あれ(以下略)

      ライザライザライザ〜♪(違う)
      まっつんこんにちはあーんどこれまた遅くなってごめん
      あれ(以下略)

      ライザライザライザ〜♪(違う)
      2022/07/02
    • 松子さん
      ひまさーん、お元気そうで良かったぁ!
      タイムラインにひまさんの感想が何もアップされて来ないから、体調崩してるのかなぁ?お仕事が猛烈に忙しいの...
      ひまさーん、お元気そうで良かったぁ!
      タイムラインにひまさんの感想が何もアップされて来ないから、体調崩してるのかなぁ?お仕事が猛烈に忙しいのかなぁ?と心配していました。
      コメントいただいて、ほっと一安心です(^^)
      ありがとう!
      2022/07/02
  • いろいろな冠がこの本にはある。

    その中でも、このミステリーがすごい キング・オブ・キングス 海外部門の第1位!
    過去30年間の中で。

    単純に凄いなぁと思った。
    30年という時間の中で、いったいどれほどの海外ミステリーが訳されて出版されてきたのか。
    しかもその中で2位以下を大きく離してのぶっちぎり。
     
    読みたい、と思った。
    これの映画を観たこともある。
    といっても、かなり昔の連休中に居眠りをしてしまい、目が覚めたらつけっぱなしのテレビから流れていただけで、しかもかなりの後半だったので”観た”とは言えないかもしれないが、それでもおもしろかった記憶がある。
    主演はショーン・コネリーだったか。
     
    本屋で見つけても長く買う気にはなれずにいた。決心がつかない。
    上下合わせて4千円は高い。
    それ以上に難解そうであった。
    いつかは読んでやろうと心に決めて漫然と過ごす日々。
    転機が訪れた。
    あることをきっかけに某BOOKOFFで古本をまとめて買いあさったとき、見つけてしまった。
    「薔薇の名前」
    古本といえども上下巻で3千円。
    読まないわけにはいかない。
    闘いが始まった。
     
    物語の舞台は1327年のイタリア。
    主人公の見習い修道士のアドソは、師と仰ぐフランチェスコ会修道士のウィリアムに付き従い、とある僧院を訪れた。
    教皇側と皇帝側の会談を成功させるためである。
    しかし、そこでは「黙示録」を模したような連続殺人事件が発生しており、ウィリアムは僧院長から事件の解決を依頼される。
     
    とにかく! 右を見ても左を見ても修道士だらけ。
    舞台も僧院。
    キリスト教の歴史やらうんちくやら派閥争いやらが盛りだくさん。
    読みづらいったらありゃしない。
    約1か月かかって読了。
    宗教の話ばかりで、事件は遅々として進まない。辛い。
    日本でいえば鎌倉時代。その時代に浄土真宗とか曹洞宗とかの争いをもしも外国人が読んだら、と連想すると読みづらさが分かるかなぁ。
     
    道具立ては非常に魅力的です。
    主人公のアドソとウィリアムの関係はワトソンとホームズを、いや明智小五郎と小林少年の方が近いかな。
    話はこの山の中の巨大僧院の中だけで進みます。クローズドサークルのように。
    そして、迷宮と化している巨大文書館の秘密。
    謎の文書。
     
    しかし、物語の内容よりも恐ろしく感じられたのは、宗教の持つ排他性と残虐性です。
    異端審問会。拷問。魔女狩り。
    自分たちだけを正しい側だと信じ、それと相容れない者たちを異端と断じ、平気で拷問にかけ、火あぶりにする。
    ハッキリ言って連続殺人事件なんかよりこっちのほうが何百倍も恐ろしい。
     
    物語の中で僧院長は語ります。
    「――異端に関しては、別の基準をわたしはもっています。それは異端の嫌疑を受けた都市ベジエの住民をどのように扱うべきかと問われて、シトー会の修道院長アルノー・アマルリックが答えたときの、返事の中に要約されています。すなわち全員を殺せ、神はしもべを見分けられるであろう」
     ウィリアムは目を伏せて、しばらく沈黙した。それから言った。「ベジエの町を攻め落としたとき、わたしたちの軍隊は貴賤も、男女も、年齢も意に介さなかったので、二万にのぼる人々が酷い刃にかかって死にました。こうして虐殺が完了すると、町は略奪され、火が放たれたのです」
    「聖戦もまた一つの戦争です」
     
    史実です。ゾッとしますね。
    昔何かの本で読んだ魔女の見分け方、というのを思い出しました。
    水に沈めるそうです。
    それで溺れて死んだら無罪。
    死ななかったら魔女として火あぶりで処刑。
    疑惑を持たれた段階で、どちらにしても死亡が確定します。
    針を使う方法もあるそうです。
    魔女は、その身体になんらかの印があり、そこは針で刺しても痛みを感じず、血も流れないのだ、と。
    ほくろでもあざでもシミでもいいのでそこに専用の針を刺します。
    実はこの針には仕掛けがあって、先端を押し当てると内部に引っ込むようにできているので、当然、刺された方は痛みを感じず、出血もしません。
    これで魔女確定です。
     
    宗教って……。
    素晴らしいものかもしれない。
    でも、人間にはそれを正しく扱うことができない。
    汚い手で恣意的に使用されると残酷な結果にしかならないのではないだろうか。

    昔、誰かから聞いた言葉を思い出しました。
    「便利なものほど危険である」
     
    宗教も原発もとても便利で大きな力がある。
    でも、それら便利なものを正しく扱えるのだろうか?
    人間程度に。
     
    ストーリーそっちのけでそんなことを考えさせられた読書でした。
     
    帯にはこうある。
    「全世界を熱狂させた、文学史上の事件ともいうべき問題の書」
    熱狂には程遠かった。
    どうやら私は世界に入らないらしい。
     
    もう1回、映画の方を観てみようかなー。
    そのほうが分かりやすい気がする。
     
    なにはともあれ読み終えた。
    やっとこれでまっちゃんからの挑戦状、いや、果たし状にとりかかれる。
    「少年と犬」
    泣くもんかー!!<(`^´)>

    • まことさん
      土瓶さん。こんにちは♪

      私もこの本は十数年前から、積んでいます。
      凄いですね。
      読むのに1か月もかかったのですね。
      私も読みたいけれど、こ...
      土瓶さん。こんにちは♪

      私もこの本は十数年前から、積んでいます。
      凄いですね。
      読むのに1か月もかかったのですね。
      私も読みたいけれど、この本にかかりきりになってしまうと、ブクログにレビューが全然投稿できなくなってしまうので(笑)ブクログ卒業後まで、お預けです。
      本当に読んでみたい本が後回しになるのは、本末転倒ですが。
      土瓶さん、凄いです!
      2022/06/04
    • 土瓶さん
      まっちゃん、aoiさん。
      ありがとー♪

      行くよ! 帰るよ! 闘うよ!!
      涙腺、鍛えまくるからねっ!!!

      ひまわりめろんさん。

      や...
      まっちゃん、aoiさん。
      ありがとー♪

      行くよ! 帰るよ! 闘うよ!!
      涙腺、鍛えまくるからねっ!!!

      ひまわりめろんさん。

      やはり知ってましたね。ヤツを!
      でも、意外と読めますよ。ちまもとま

      それほど細かい文字でもないし、細かい描写やキリスト教世界の背景なんかは流して読んで、ストーリーの部分を主に読んでいけば……。
      ただ……人物の判別に苦労しますね。
      人物表が付いてはいますが、それを最後まで参照しながら読むことになります。

      まことさーん。

      十数年前から積んでいるって、そちらの方が凄いです。
      読みはじめてみると、けっこうなんとかなるもんですよ^^
      2022/06/05
    • hiromida2さん
      土瓶さん、お疲れ様〜(*^o^*)

      すごく難解で値段もお高い本ですね〜!
      私もずーっと前に主演ショーン.コネリーの
      映画は観ました!まさに...
      土瓶さん、お疲れ様〜(*^o^*)

      すごく難解で値段もお高い本ですね〜!
      私もずーっと前に主演ショーン.コネリーの
      映画は観ました!まさに名作(^-^)v
      とてもいい映画だったことを覚えています。
      映画の方が断然観やすいでしょうね。
      本のレビュー拝見してるだけで…頭の中が、
      ぐるぐる(≧∀≦)土瓶さんのレビューで
      読んだ気になっています(^^;;
      レビューありがとうございました♪
      それから、私も『少年と犬』
      メチャ気になっています、早く読みたい!
      気になる本が多過ぎて、遅読も重なり
      積読本も増え…いつになることやら(・・;)
      土瓶さん「泣くもんかー‼︎」笑
      私は絶対泣いてしまう自信ありです(´⊙ω⊙`)
      2022/06/08
  • (上巻からつづく)
    さらに興味深いのは、探偵と犯人のバトルの裏にひそむ思想的な対立だ。

    例えば、「笑い」に関する議論は、探偵と犯人の終盤の対決で明らかになるように、物語の根幹を為す重要なテーマのひとつである。笑いとは、何か。残念ながら、私は哲学を学んでいないので学問的な議論はできないが、この物語を通じて、多少なりとも作者の思想に思いを馳せることができれば、と思う。

    ウィリアムとホルヘは、学識の深さにおいても、神学への情熱においても拮抗している。大きさが等しく、方向が正反対のベクトルのようだ。知的レベルでは拮抗しながらも、「笑い」に象徴される根本的な思想において、ついに両者が相容れることはなかった。

    その根本的な差異とは、「教義の完全性を信じる」か、「教義の完全性に疑問を抱くことを許す」かの違いだ。

    一方は教義を「保存」し「継承」することにのみ価値があると考え、もう一方は教義を「探究」し「刷新」することに意義を見いだした。それは、以後数百年に渡って続くことになる、宗教と科学との対決の構図に似ている。

    笑いとは、「寛容さ」の象徴だ。笑いに必要なのは複眼の視点と、対象との適切な距離感である。対象に没入してはいけない。対象から目を背けてもいけない。対象へのあくなき興味を維持しつつ、様々な角度から評価できる柔軟性が、笑いには不可欠だ。それは科学をはじめ、学問にたずさわる全ての者に共通の心得でもある。

    愛なき笑いは不毛であり、ときに破壊的ですらある。しかし、愛を前提にした笑いは精神の平衡を保ち、「狂信」という病から私達を救う良薬となってくれるだろう。対象に愛を注ぎつつも妄執せず、様々な視点から眺められるよう、常に心を自由にしておく。それではじめて真理に近づくことが可能となる。それが学問を志す者の鉄則であり、不幸な歴史を繰り返さないための人類の知恵なのだと思う。

    そう考えると、この物語は、宗教と学問が分離する以前の、人類の未熟な思想体系に対する回顧録のようでもあり、滅びゆく中世キリスト教世界に対する壮大な鎮魂歌のようにも思える。あるいは、人類がいまだに克服することのできない排他性や、テロリズムに対する警告の書とも…。

    混迷を極める21世紀にこそ、多くの人に読まれてしかるべき作品だと思う。


  • ミステリー部分が盛り上がってきた下巻
    それとともに明らかにされる閉ざされた修道院の内部事情

    今回も読者の前に立ちはだかる難解な問題が…
    神学論争ともいえる、清貧論争、笑いをめぐる論争、異端論争…
    これを全部避けてしまうとただのミステリー小説になってしまい
    それはそれで充分面白いのだが、それではおそらくエーコ様が悲しむだろう…
    彼が主張したいのはむしろこちら側だから…

    亡くなった修道士をめぐるキーとなる1冊の秘密の本
    それは「笑いの書」とされるアリストテレスの幻の書
    アリストテレスの思想はこの当時、正当なものとして認識されていた
    何が問題かというと、「笑い」を認めるアリストテレスの書が発見されると
    「笑わないこと」に精神の高貴さを認めるキリスト教神学の立場が敗北となってしまう
    信仰の妨げになるという考えがあった
    そのためこの書をめぐり論争が繰り広げられるのだった

    そして清貧と現実問題としての妥協点
    上巻でチラッと述べた三つの修道会(ベネディクト会、フランチェスコ会、ドミニコ会)
    大元は三会派とも清貧を求める戒律の元で神の真理を追求しようという姿勢だったのが、現実問題運営には財力、経済力が必要となってくる
    清貧と現実問題としての妥協点をどうするか…
    ここに権力争いや、それぞれの思惑が乗っかり非常にややこしい
    そしてヨハネス22世が新教皇になると、教皇服従が第一とし、キリストの清貧思想の放棄を強要
    これに従わないものを異端とし始めた

    この三会派のハチャメチャ論争は見ものなのだが、三会派+ヨハネス22世のそれぞれの関係性と
    詳細がわからないとなんだかワチャワチャした茶番シーンで終わってしまう

    「異端論争」本来は正当な思想や秩序から外れているのが異端であるのだが…
    誰の目からみてどの立場からみて異端か…
    判断する側により異なってくるのがわかる
    また理論づけしてでっちあげる異端狩りもずいぶんと簡単に行われていたのだろう
    実際ウィリアムが異端審問官から退官したのもこういった理由から異端を決定づけられなくなったからである
    「言葉」だけが上滑りして中身を伴わない実態にエーコ様は物申していらっしゃるのであろう
    異端を排除していくシステムの恐ろしさ
    記号や言葉だけを頼りに結論を出すことの恐ろしさ…
    こういった批判も伝わってくる

    レミージョ(厨房係)の告白が物語っているもの
    異端とされる立場の人生が実に生々しかった
    平信徒の純粋な信仰と行動が、歪んでいっていく様…
    ハッキリいってミステリー部分よりこちらの方が恐ろしかった

    そして最後…
    こうきたか!という結末(ええ、もちろんネタバレはしませんよ)

    やはりダンテ「神曲」をちゃんと読みたいなぁ
    「デカメロン」、「ヨハネの黙示録」…
    本が本を呼んでしまった(笑)

    「モーロ事件」、「鉛の時代」など、政治情勢を隠喩している
    言葉狩りや言論弾圧…
    こういった背景が深いため、この辺りの知識があるとなお理解が深まるだろう

    兎にも角にも考えれば考えるほど
    エーコ様の膨大なる知識に触れれば触れるほど考えることが増え、
    知識欲が刺激され続けるのだが
    思慮深く生きることを教えられる
    (本に誘発剤でも塗布してあるのかしら?)
    ウィリアムがアドソに語ることばがそのまま読者に突き刺さる

    本を閉じていても意味や意図を考えてしまう
    わからなくても考えることが大切だと
    ウィリアムがアドソに語るように
    エーコ様が読者に語りかけているのでは?

    偉大な書物を前に稚拙なレビューしか書けないことの悔しさもどかしさは久しぶりに味わった
    と、同時に得た満足度もなかなかである

    • アテナイエさん
      ハイジさん

      こんばんは! 登頂おめでとうございます(^^♪

      素晴らしいレビューに唸ってしまいました! すごいです。ここまで深く読...
      ハイジさん

      こんばんは! 登頂おめでとうございます(^^♪

      素晴らしいレビューに唸ってしまいました! すごいです。ここまで深く読まれたのですね。アバウトなわたしはこんなに詳しく緻密に考えたことなかったな~と。
      だいぶ忘れてしまっているので、これを機会にまた繙いてみたくなりました、楽しそうだ~。

      どの時代もややこしい病を抱えていますけれど、エーコはそれをえぐり出して現代につなげているからスゴイですよね。これこそファイクションの力、物語ることはある種の真実なのだと思います。いろいろ考えさせてくれる滋味ふかい本ですね。それに加えて本というものの崇高さと、バカバカしさや滑稽さだったり、エーコはおもいきっり遊んでいて、おもいきっり真剣勝負なのでびっくりです。

      読み手もそれに付き合うのですから、なかなか大変ですけど、途中からもう可笑しくなってきて、どうにでもしてくれ~(投げやりではありませんが)。ハイジさんはそんなこともなく、ちゃんと緻密に考えているからすごいな~と思いました!

      >やはりダンテ「神曲」をちゃんと読みたいなぁ
      「デカメロン」、「ヨハネの黙示録」…
      本が本を呼んでしまった(笑)

      そうですか。なんといってもエーコは時代背景や登場人物など、わりとダンテ『神曲』を意識して書いているようですね。原題が「神聖喜劇」ですから、なるほどな~って。
      ハイジさんなら間違いなく楽しんで読めると思いますよ(^^♪




      2023/04/11
    • ハイジさん
      アテナイエさん こんばんは
      コメントありがとうございます!

      違うんですよ
      深掘りしないと理解できないだけなのです
      それに中途半端な好奇心が...
      アテナイエさん こんばんは
      コメントありがとうございます!

      違うんですよ
      深掘りしないと理解できないだけなのです
      それに中途半端な好奇心がセットされているだけなのです
      アテナイエさんみたいに的を得た見事で締まりのあるレビューに憧れます!

      そうなのですよ
      エーコの真剣勝負と遊び心の両極に完全ノックアウトです!
      恐ろしすぎますこの方…

      なんと!神曲は「神聖喜劇」なのですね
      うわー納得です
      神聖と喜劇をドッキングさせるとは、大胆すぎる…
      ダンテといい、エーコといい
      発想が尋常じゃないですね
      でもその魅力に振り回されて、気づいたら呑まれてました!

      アテナイエさんのレビューを読んで、次は「バウドリーノ」を読んでみたいです
      …さすがにしばらく先にはなると思いますが…^^;
      2023/04/11
    • アテナイエさん
      ハイジさん

      >エーコの真剣勝負と遊び心の両極に完全ノックアウトです!
      恐ろしすぎますこの方…

      きゃはは!! おもしろいです。ハ...
      ハイジさん

      >エーコの真剣勝負と遊び心の両極に完全ノックアウトです!
      恐ろしすぎますこの方…

      きゃはは!! おもしろいです。ハイジさん。たしかにエーコは遊び倒しています。この知的な遊びについていく読者はちょっと大変ですが、好奇心わくわくで楽しいですよね。読むことは作者と読者の共同作業ですけど、ある種の知的攻防戦が繰り広げられる磁場のようなもので……もはやアリ地獄です(笑)。
      これからもいっしょに楽しみましょう!

      >なんと!神曲は「神聖喜劇」なのですね
      うわー納得です
      神聖と喜劇をドッキングさせるとは、大胆すぎる…

      すみません、たぶん『喜劇』だと思います。
      別の意味ですさまじい大西巨人『神聖喜劇』と、すっかりこんがらがってしまいました(笑)。

      >ダンテといい、エーコといい
      発想が尋常じゃないですね
      でもその魅力に振り回されて、気づいたら呑まれてました!

      はい、まさにアリ地獄です(笑)。

      >アテナイエさんのレビューを読んで、次は「バウドリーノ」を読んでみたいです。

      それはなんと嬉しい、お読みいただきありがとうございます。もう小さなオデユッセウスのような饒舌おしゃべりはちゃめちゃ少年の冒険譚です。また英気を養って楽しんでみてください~。

      とても楽しいハイジさんのレビューのおかげで、またエーコ様を読んでみたくなりました。どうしよう。山ほど読みたい本が積まれていて、また…雪崩れそうだわ。

      2023/04/12
  • 難しかった。
    でも、長い旅を終えたような満足感というか。
    とりあえず、最近NHKで放送したドラマのおかげで、人物相関図を書きながら読む、という作業はなんとか省略できたかも。

    また時間をおいて再読しようと思います。

  •  知の迷宮に喩えられるこの小説。そして連続殺人の犯人探しの小説だったはずなのに、キリスト教の議論、様々な文学との関連、歴史的文脈、哲学的思考…と読んでいくほど自分が小説のどこに迷い込んだのか分からなくなります。

     最後まで読み終え犯人にたどり着いた、という意味では自分は一応この本の迷宮を抜け出せたのかな、とは思うのですが、でも一方で
    解説にあるような様々な文学作品へのオマージュだとか、作中の登場人物たちの議論が理解しきれなかった、という点においては、この迷宮を完全に制覇はできなかった、
    ゲームのダンジョンふうに言うなら、脱出はできたけど、隠し通路や宝箱なんかを見つけられないまま抜け出した、ということになるのかな、と思いました。

     しかし、それでも上巻の文書館の探索シーンと、下巻の壮絶なクライマックス、そして一冊の本と文書館をめぐる謎と冒険部分だけでもこの本を読んだ価値はあると自分の中では思っています。

     そして読んでいて伝わってきたのが著者のウンベルト・エーコの本、そして知識に対する敬虔の念。この小説は全ての先人、そしてこれから生まれてくる本と知識に対する敬虔の念が根底にあるように思います。

     またすぐ読み返す気分にはなれませんが、いつか覚悟と装備をある程度整えてこの迷宮に立ち向かってみたいと思わされる小説でした。

  • 舞台は中世イタリア。カトリック修道院内で起こる怪事件の謎を、かつて異端審問官として名を馳せていたバスカヴィルのウィリアム修道士と物語の語り手である見習修道士メルクのアドソが解き明かしていく。

    ホームズとワトソンを彷彿とさせる彼らの謎解きを軸に、緊張感のある7日間を描き出しています。もともとラテン語で書かれ、フランス語に訳されたメルクのアドソの手記を「私」(エーコ)が手にするという枠物語の形式で始まります。
    怪事件自体は割とシンプルなものです。ところが、教皇と皇帝の権力闘争や宗教論争、終末意識、キリスト教の教典など歴史的背景が複雑に絡み合い、右へ左へと脇道に逸れていきます。その度に「フランチェスコ会…ふむふむ」「ローマ教皇のアビニョン捕囚?…ほうほう」などと脇道にすっかり腰を下ろしてしまいなかなか立ち上がれない。立ち上がった頃には「この人誰だっけ」と数ページ戻りながら遅々として進みません。事前に色々と知識を蓄えていればより面白く、よりすらすらと読み進められるのでしょうが、このみちくさ読書も楽しかったです。
    そして何よりこの縦横無尽に張り巡らされた脇道も、一行たりとも不要な箇所はないと気付きます。読み終えると様々な問いが浮かびます――「信仰とは?」「正しさとは?」「神とは?」。

    血生臭い描写も多いのですが、事件の鍵と見られる異形の塔にある文書館に迷い込む場面や、アドソの初恋(とあえて呼びます)の描写は幻想的かつ甘美で美しいものです。
    読書の面白さを十二分に体験できる、知的好奇心が思いきり刺激される作品でした。
    とはいえ重厚感のある上下二巻を読み終えたものの、博識のエーコが示した意図の半分も汲めていないはず。そして訳者である河島英昭氏の下巻巻末に書かれた解説を読むと、こぼれおちたパズルのピースを拾うように再び冒頭から読み直したくなる気持ちになります。今すぐは難しいですが、また挑みたくなる本となりそうです。

    普段の倍以上の時間をかけて読み進めている間に、まさか著者の訃報(2016/2/19)を聞くことになるとは思いませんでした。残念でなりません。

    ~memo~
    伊語・原タイトル『Il Nome della Rosa』
    英訳『The Name of the Rose』

  • 読み切った。なんかこう、確実に読書する人としての自分のレベルが上がったような気持ちになった。解説の示唆するものの多さ。

    推理小説、歴史小説、宗教小説であるだけでなく、「書物についての書物」でもある……というのは難しい言い方だが、少なくともダンテ『神曲』やボッカチオ『デカメロン』、ボルヘス、ホームズなどのオマージュ元、『薔薇の名前』時代の解説書、「記号論」について、「愛」や神と女性原理についてなどなど、次に仕入れたい知識が、書物が次々と想起される。読書の旅が始まっちゃう予感が、溢れ出てくる。

  • 中世イタリアの僧院で起こる連続殺人事件。一冊の書物をめぐり、隠す者がいて、探す者達がいる。怪しいと思った人物が次々と殺されてしまって、最後の最後まで展開が読めなかった。作品の大半を占めるキリスト教世界についての記述は予備知識が無いと難解。全体の構成としては、キリスト教内部の対立がメインで、殺人事件がそこに偶然絡まってしまったようにも思える。とはいえ、迷宮や暗号など、ミステリーの部分だけでも十分楽しめた。特に謎めいた雰囲気満点の文書館が素敵。映画化されているとのことなので、ぜひ映像でも観てみたい。

  • 名作を読むと圧倒され、沈黙せざるを得ない時がある。今回も正にそんな感じです。映画化もされているようですが、この作品をどのように映像化しているのかあらためて観てみたいと思いました。

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著者プロフィール

1932年イタリア・アレッサンドリアに生れる。小説家・記号論者。
トリノ大学で中世美学を専攻、1956年に本書の基となる『聖トマスにおける美学問題』を刊行。1962年に発表した前衛芸術論『開かれた作品』で一躍欧米の注目を集める。1980年、中世の修道院を舞台にした小説第一作『薔薇の名前』により世界的大ベストセラー作家となる。以降も多数の小説や評論を発表。2016年2月没。

「2022年 『中世の美学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ウンベルト・エーコの作品

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