少女には向かない職業 (ミステリ・フロンティア)

著者 :
  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488017194

作品紹介・あらすじ

島の夏を、美しい、とふいにあたしは思う-強くなりたいな。強くて優しい大人になりたい。力がほしい。でも、どうしたらいいのかな。これは、ふたりの少女の凄絶な"闘い"の記録。

感想・レビュー・書評

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  • 島に暮らす13歳の少女葵と静香。
    強くなりたい。強くて優しい大人になりたい。力がほしい。中学生の頃は同じような事を考えていたな。子供の世界から早く抜け出したい、早く大人になりたいと。

    静香の告白はどこまでが真実だったのだろう。
    「我慢と秘密が同居する罪は、その子供を滅ぼす。」
    の警察官のおじさんの言葉が凄く印象的だった。

    葵と静香も二人とも救われているといいな。

  • 強くなりたい。優しくなりたい。力がほしい。
    彼女たちは中学生で、だからこそ
    逃げ出そうにも力がないし、耐えるのには先が長すぎる。

    最後に、唯一身を任せてもいいやと思えた大人がいたんだ。。
    私もそんな大人に救われたうちの一人だから、彼女たちのことをもう大丈夫だよって抱きしめたくなった。

  • 面白かったんだけど砂糖菓子のほうが好みかも

    あと私はつい数日前まで桜庭さんを男だと思ってました
    何だか作家さんに対しての性別の意識がいろいろずれてます

  • 未だに忘れられない

  • 一気に読み終えてしまった。
    そして、自分の魂がこの離島の夏の海と山の間にある通学路あたりにまだ浮遊してる気分。(終わりは冬ですが)

    中学2年の少女。
    大西葵は学校ではおちゃらけたりして、友だちに囲まれてる。幼馴染の田中颯太とは、ゲーム仲間。
    でも家に帰ると、ママが飼ってるペット・・心臓と足が悪くてアル中の義父がいて、
    ママにも義父にもちゃんと話すことさえできない。

    そんな時クラスで地味な図書委員の宮ノ下静香を学校外で見かけた。彼女は学校と違って、まさしくゴスロリ(葵がゴスロリという言葉を知ってだかどうかは分からないが)だった。
    「いいもの見せてあげる」
    「いいものって?」
    「死体」

    接点のなかった2人が夏休みの始めに関わり出してから、2人を取り巻くモノが変わる。
    いや、変えていく?

    って話。


    こんな時はこーすればいいやん、あーすればいいやん!って思えるのは
    読んでる私が大人だから。
    きっと中2はこれが精一杯。
    だからこそ、残酷で、しんどくて、でもどこか、キラキラしてるんだよなー。

  • 中学生の頃、何だってできたし何にもできなかった。今思えば卑劣で残忍、目も向けられない行為を易々とできた。それができたのは自分の本質のせいではなく、全て私以外の何かがそうさせたからだった。
    マックで仲良しのユキヨが「だるいね」と言う。中学生ってだるいのだ。刺激的でキラキラした日々をだるいねと言って過ごす。
    取り返しがつかなくなったところで泣いてしまう。
    善良な大人はSOSを出せば助けてくれた。

    あぁ、懐かしい。

  • 新年一発目から鬱になるような嫌な話。主人公がかわいそうでつらい。タイトルは明らかに女には向かない職業を意識しており、ハードボイルド風味の作品を期待したのですが、ガールミーツガールみたいな話です。終盤のどんでん返しはなかなかドキドキしますが、えっここで終わりなの?みたいな印象。突然ででくる武器屋の話は冗談かと思った。女子中学生がバトルアックス買えんのか?

  • 初・桜庭一樹。

    島で暮らす中学生の年頃ならではの難しい日常。
    その中で起こった、非日常的な出来事。
    死亡事故、殺人。

    現実離れした話のようでもあり、とってもリアルな中学生の心境が見えるようでもあり、
    引き込まれて読み進めました。
    文章も、とっても読みやすかったです。

    内容的には、ライトノベルな感じも無きにしも非ずと言うところでしょうか。

    最後はあっけなかったですが、引っ張らなかったのが、逆に良かったのかな。
    想像すると、最後はちょっとグロテスクそうですが、読後感は決して悪くはなかったです。

  • 「砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない」とテーマは通じていて、あちらをちょっとマイルドにして、大人の筆で描きなおしたような感じなのですが、やっぱり面白くて、一気に読めます。
    冒頭からいきなり「中学二年生の一年間で、あたし、大西葵十三歳は、人をふたり殺した」と来る。
    桜庭さんて、ほかの作品もそうなんだけど、最初の一行がすごいうまい。
    もうのっけから引っ張り込まれる。
    (で、中二、というだけでなくこの十三歳という年齢が後からまたすごく意味を持ってきたりして、感服)。

    主人公の女子中学生、義理の父は飲んだくれで暴力的、母はいつも疲れていて不幸をアピールし続けている、かなりつらい家庭環境。
    なのにけどどこかタフで、悲劇のヒロインにはならず、どこか客観的に自分のことを見ている。
    抱えている事情とは裏腹に、クラスではお笑い担当で友達も多い。
    その主人公に、同じクラスの、普段は目立たない少女が近づいてきて・・・。

    現実があまりにひどいから、少女たちは嘘で身を守ろうとしている。
    でもその虚構の鎧がはがされたとき、自分たちの小さな手で弱々しく闘わなくてはならない。
    勝てば生き延びて、大人になれる。負ければ死んでしまう。
    そういう追い込まれた状況で、泣いてぼろぼろになりながらも敵に立ち向かっていく少女たち。

    最後はよかった。あれでよかったんだよ。

  • 主人公・大西葵と宮乃下静香の奇妙な繋がり。
    どこにも行けない少女たちの、小さな島での凄絶な物語。
    何が真実だろうと翻弄されながら読み進めた。
    終わり方に物足りなさを感じたが、彼女たちにはそれしか終わりがなかったような気もする。

    リアリティのある女子中学生の描写がとにかくすごい。

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著者プロフィール

1971年島根県生まれ。99年、ファミ通エンタテインメント大賞小説部門佳作を受賞しデビュー。2007年『赤朽葉家の伝説』で日本推理作家協会賞、08年『私の男』で直木賞を受賞。著書『少女を埋める』他多数

「2023年 『彼女が言わなかったすべてのこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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