首鳴き鬼の島 (ミステリ・フロンティア 35)

著者 :
  • 東京創元社
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感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488017408

感想・レビュー・書評

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  • ★今回の事件、出来すぎなんですよ(p.292)

    ■設定■
    ・孤島の館に暴風雨で閉じ込められている中で起こる連続殺人事件、しかも見立て殺人というテンプレ設定ミステリのオリジナリティは?

    ■キーワード■
    首鳴き鬼、孤島、竜胆グループ、館、暴風雨、跡継ぎ問題、見立て殺人、連続殺人、DNA鑑定。

    ■感想■
    ・テンプレ設定だけにミステリの雰囲気は盛り上がります。
    ・人と大雑把な手段までは当たりましたがけっこう複雑で読者が細かなところまで当てるのは難しいかも。

    ■首鳴き島についての簡単なメモ■

    【稲口恒一/いなぐち・こういち】出版社社員。作家志望。雑誌の仕事で頸木島に来た。館での部屋は東棟二階。
    【鬼】個人的に、鬼というのは人間の奔放な部分、子どもっぽい部分、創造的な部分、執着する部分などの謂いだろうと思ってます。鬼がいなければこの世はとてもつまらない。何事も起きないし何も発展しない。
    【鬼鳴き洞】頸木島にある洞窟。
    【鬼鳴き堂】鬼が焼かれたというお堂。洞窟と呼び名がいっしょ。
    【影石瞬一/かげいし・しゅんいち】神楽坂大学理工学部助手。竜胆製作所から研究費などをもらっているかんけいで仕事の話があって頸木島に来た。たまたまのようだが稲口の高校時代からの友人。《世間のイメージなんていつの時代でもクソみたいなもんさ》p.57。軽口メイカー。《理系が万能だと思うのは文系の悪いところだ》p.85
    【影石の先生】うちの教授、冠婚葬祭で来られず。ベンゼン環柄のネクタイを作ったが不評。でも部下がつけてないと気分を害する。うーん、けっこう良さそうな柄のような気もするけど?
    【神合茜/かみごう・あかね】稲口恒一が学生の頃惚れていた。たぶん今でも。おもしろそうなので稲口についてきた。館での部屋は東棟三階。
    【頸木館/くびきかん】頸木島にある竜胆家の館。首鳴き館とか首切り館とか呼ぶ人もいる。二つの建物を通路がつなぐ「H」のような形をしている。五階建てで四階部分に通路がある。
    【頸木島/くびきじま】かつて首鳴き鬼が流された島だと思われる。今は竜胆家の私有地で勝手に入ることはできない。
    【首鳴き鬼】鎌倉時代に悪さをして武将に両腕と首を切り落とされても胴体は逃げてしまい首だけが泣くのでとある島に持っていくと胴体が取り返しに来たので返り討ちにして燃やしたが燃やされているあいだも泣いていた。
    【鋤谷/すきや】K県警の刑事。男性。
    【鈴森延彦/すずもり・のぶひこ】竜胆製作所社員。四十一歳。バツイチ。
    【専門】影石《もうちょっと賢い言い方をすると、「これは僕の専門じゃない」だ。これさえ言っておけば、ほとんどの窮地を回避できる》p.139
    【田部井豊/たべい・ゆたか】竜胆製作所社員。四十三歳。独身。
    【知識】影石《いえ。知識なんか何の役にも立ちません。それこそ酒のつまみ以上のものではありません》p.183
    【塚本隆夫/つかもと・たかお】竜胆家の料理人。
    【塚本正子/つかもと・まさこ】隆夫の妻。
    【槌田信司/つちだ・しんじ】竜胆恭三の秘書。四十歳。
    【長瀬勇/ながせ・いさむ】十八歳のフリーターで頸木島でバイトしている。稲口恒一と神合茜をクルーザーで迎えに来てくれた。髪を染めておらず日焼けしていて歯が白い。
    【被害者】田部井(右腕切断)→鈴森(両腕切断)→槌田(両腕と首切断)。田部井と鈴森は発見順。
    【放火事件】竜胆の会社の寮が放火された事件があったらしい。その前に脅迫状も届いていた。
    【牧村郁子/まきむら・いくこ】慎一郎の元家庭教師で恋人だったようだ。故人。
    【牧村美紗子/まきむら・みさこ】牧村郁子とどうやら慎一郎の間にできた娘。三十二歳。けっこう気は強い。《鬼っているのですね》p.43。《逃げちゃおうかな》p.46
    【矢形修一/やかた・しゅういち】早苗の最初の夫。
    【吉野】K県警の刑事。女性。
    【竜胆恭蔵/りんどう・きょうぞう】竜胆グループでいちばん偉い人。六十八歳。気難しく怖いイメージのある人物だがそうでもなくけっこう気さくで話題も多い。企業家だから仕事では厳しいやろうけど本性はいい人とすら言える。《最後まであきらめないのが私の信条だ》p.174
    【竜胆早苗/りんどう・さなえ】恭三の妻。二十七歳で亡くなった。
    【竜胆慎一郎/りんどう・しんいちろう】竜胆恭三の息子。早苗と矢形修一の子どもで恭三とは血がつながっていない。四十六歳。頸木島の取材にOKを出してくれた。人間嫌いで島に籠っていると長瀬勇は言った。実際は人間嫌いというのではなく明るく活発だが竜胆家の事業を継ぐつもりはないようだ。東棟五階に部屋がある。
    【竜胆輝子/りんどう・てるこ】恭三の姉。七十三歳。身重だった牧村郁子をなぜか追い出した人。当然、牧村美紗子の存在を憎んでいる。

  • 首鳴き鬼の伝説と孤島という不気味な舞台を生かしきれてないというかミステリアスな情緒に欠けるというか…鬼鳴き堂や鬼鳴き洞は名前だけの登場にほぼ等しく肩透かし。あのスプリンクラーにはホラー好きの血が騒いだけど。トリックも理系要素の説明が長くて小難しい。
    何より女性陣の裏表の性格と行動の行き当たりばったりにドン引き。拠ん所無い事情があるとはいえ、親子の心理に至ってはちょっと信じられなかったな。
    稲口の気の毒さばかりが目立つが、彼に“さびしい愛”ではなく、影石という唯一無二の“正義”の存在が残ったラストはよかった。

  • タイトルに「鬼」つくけどホラーでなくてミステリーでクローズドサークルもの。
    真相は無理やり感がありありでワロタ(笑)
    探偵役の稲口の推理が無茶苦茶で完全に違ってるのが可哀想だから真の探偵役の影口が推理しなおして真相解明しちゃいました的な展開に苦笑せざるを得ない(笑)

  • 「首鳴き鬼」という伝説に、孤島、見立て殺人と興味をそそられるガジェットを採用しているものの、各登場人物に危機感がなく淡白な展開なのでスリルを感じられず面白味に欠けます。
    トリックは使い古されたものですが、科学捜査を逆手に取った大技が炸裂していますし、見立ての理由や主人公が襲われた理由が有機的に結び付いていてなかなか巧妙だと思います。

  • 切断死体があったらもっとパニックになると思う

  • ひと昔前を思わせる本格ミステリー。DNA検査を逆手に取ったどんでん返しの結末。

  • 島での事件が終わってもまだ本のページが2/3ほど残っているのを確認しながら、これは一筋縄ではいかないなと思っていたら案の定。二転三転する結末と、DNA鑑定を逆手に取ったトリックには心底驚いた。しかし、良くも悪くも本格、という印象。いい人だと思った女性が実は…というのは男性が書くミステリにありがちな気がするが、それにしても茜が嫌な女すぎてびっくりした。

  • 題名だけ見ると本格系。そして見たてとか出てくるのでますます本格系。
    離党に閉じ込められた人々と連続殺人。
    なんて本格チック。
    しかし舞台は2000年代(2002年だったはず)

    結論から言いますと、面白かった。
    いやほんと。
    まあ、推理合戦くらいからはさらっと流してしまいましたが。あのあたりはもう箇条書きでいいんじゃないと思った。あの辺りは正直面白くはない。
    あと、残りページ数でその推理の結果が知れてしまうのはまあ、仕方が無いですよね。

  • ちょっと緊張感のないな話ではあったが最後のどんでん返しと主人公の切ない気持ちがうまく描かれていて面白かった

  • 長かった。終盤の謎解きからは一気に読めたがそこに至るまでが長かった。ちょっと救われない気持ちになる終わり方かな。

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著者プロフィール

埼玉県生まれ。東京理科大学理学部卒業、某化学メーカー勤務。『日曜日の沈黙』で第18回メフィスト賞を受賞。著作は他に『あなたがいない島』、『長く短い呪文』、『袋綴じ事件』、『復讐者の棺』、『≠(ノットイコール)の殺人』、『記録の中の殺人』、『皇帝の新しい服』(いずれも講談社ノベルス)、『首鳴き鬼の島』(東京創元社)がある。

「2013年 『鏡の城の美女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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