贖罪 (ミステリ・フロンティア) (ミステリ・フロンティア 55)
- 東京創元社 (2009年6月12日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488017569
感想・レビュー・書評
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友人がおすすめしてくれた一冊。小さな田舎町で起きた殺人事件に居合わせた4人の少女と被害に遭った子どもの母親のストーリー。みんな心が事件に囚われていて、この作者らしいな、と感じた。
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田舎町に来た都会の子とその家族。子どもの目から見た都会の子と自分たちとの違いがなまなましく書かれていた。後半には都会人から見た田舎出身者との違い。見てないふりをしているだけで、国内でもこんなにカルチャーショックがあるのだ。事件以降、子どもたちに普通の生活は二度と訪れなかった。必死に無意識に償おうとしていた少女たちが痛々しすぎた。
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おぞましくて吐き気がする…と言いつつ最後までノンストップ。どの人物の告白もすんなり心に染み入ってくるところが恐ろしい。
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一気読み。
そんなに簡単に人は死なないよな、というツッコミもあるが、そこは小説。
単純に面白かった。 -
(博士後期過程人文学専攻3年の西川さんより)
【あらすじ】
小学四年生のあの日、同級生の殺害現場に偶然居合わせた四人の少女達は、それぞれに決して打ち明けることの出来ない思いを抱えて生きてきた。大人になった嘗ての少女達に迫る〈贖罪〉の時、何がおこるのか・・・・・・。
【推薦文】
皆さんは胸のうちに誰にも打ち明けることの出来ない思いを抱えてはいませんか?人の心にはそうした、他者からは見えないように守られた〈死角〉があるものです。にも拘わらず、皆さんは他人の胸の内を探ろうとしたり、安易に胸の内を曝さない人を期待外れだと責めたりしてはいませんか?
今回紹介する『贖罪』は、ある事件を中心に〈章ごとに視点人物がバトンタッチしていく〉という語りの技法を用いることで、その〈死角〉へ光を当てていった物語です。
光が当てられた登場人物達の〈死角〉には、それぞれが抱える苦悩がありました。そして驚いたことに、その重い苦悩とは裏腹に、彼女達は表面上非常に単純な人間として他者から理解され、自分もまた理解しているのです。これこそ『贖罪』の魅力であろうと私は考えています。なぜならそれは、誰しもが他者の思いもよらない〈死角〉を持っていることを読者に気付かせてくれるからです。
これは『贖罪』を読んだ当時の私にとって大きな気付きでした。私はこの物語を読むことで、自らの〈死角〉を他人へ詳らかにする事の出来ない罪悪感に対する赦しと、他人の〈死角〉を見ることのできないもどかしさに対する慰めを得たように思います。
皆様にもぜひ『贖罪』を手に取り、登場人物それぞれの結末を見守っていただきたいです。 -
作者得意の構成であるが、内容は変わらず面白い。エピソードの長さも程よいし、関連付けから次編をすぐ読みたくなる。根底の田舎と都会のギャップは瀬戸内海の島育ちらしい作者のこだわりかもしれない。そこに同調してしまう自分は、作者と同じ育ちなんだろう。
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テンポがよく、グイグイ読めた。少しずつ事実が明らかになっていくのもよかった。ただ、後味がいいとはいえない。独特のいやーな感じ。
それが狙いだとは思うけど。