贖罪 (ミステリ・フロンティア) (ミステリ・フロンティア 55)

著者 :
  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488017569

感想・レビュー・書評

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  • 取り柄と言えるのはきれいな空気、夕方六時には「グリーンスリーブス」のメロディ。そんな穏やかな田舎町で起きた、惨たらしい美少女殺害事件。犯人と目される男の顔をどうしても思い出せない四人の少女たちに投げつけられた激情の言葉が、彼女たちの運命を大きく狂わせることになる―これで約束は、果たせたことになるのでしょうか?衝撃のベストセラー『告白』の著者が、悲劇の連鎖の中で「罪」と「贖罪」の意味を問う、迫真の連作ミステリ。本屋大賞受賞後第一作。

  • 辛すぎる。
    本人に自覚があろうとなかろうと、言われた言葉や焼き付いた光景はその人の人生をまるごと変えてしまうよね...

  • ひとりの少女が殺された、当時関係者だった4人の少女と母の罪と償いの話。

    それぞれの話はなかなかに重く独立しておもしろかったけど、繋がりとしてはちょっとご都合主義かな?そんなことあるかい、と。
    特に終章が蛇足だと思う。

    個人的には「フランス人形」が一番狂気じみてて、よかった…。

  • 「告白」を先に読んでしまったので、衝撃度は今ひとつ。展開や手法が似ていると思った。
    被害者の母との約束が「不幸の連鎖」の一因だったかもしれないが、その不幸の大元は被害者の母の過去にあったことが皮肉。
    本人にその気はなくても周りの人に悪影響(¨というのが妥当なのか?)を及ぼす人は世の中にも結構いると思う。
    本人にはそれほど悪意はない、というのは救われないし、周囲もたまらない。読み終わって、気持ち悪かった。

  • ―これで約束は、果たせたことになるのでしょうか?

    初湊かなえ。
    作者の印象は二作目を読んでからとしておいて、
    本著の印象としては、山田悠介って感じ。。。
    当然あれよりは文章として立ってるんだけど、
    描写がちょっと稚拙かもしれない。
    空気がきれいな町の描写を、都会から来た子に「空気がきれいな町」って言わせて
    読者に伝えるのは卑怯な気がする。うん。

    ストーリーは好きな方かな。非現実的で小説!って感じ。
    夕方六時に『グリーンスリーブス』が鳴る小学校で、
    エミリちゃんが殺された。一緒に遊んでいた子どもは、
    誰も犯人の顔を覚えていなかった。

    その日以来、彼女達の『贖罪』の日々が始まる。

    短編集っぽくて、各章がそれぞれの一人称で語られます。
    【フランス人形】
    「きみが一番ちょうどいい」

    怖い、怖い、怖い、殺されたくない。そのためには…
    ――おとなになってはいけない。

    殺人犯はいない。そして、きみを守る僕がいる―しかし、犯人はいたのです。

    ――さあ、おいで。夜のあいだだけきみは僕の人形だ。
    【PTA臨時総会】
    わたしが失ったもの、それは、わたしの存在価値です。

    お母さんはさらに続けました。
    「・・・わたしが納得するような償いをしなさい。・・・」

    改めて、遠くから足をお運びいただき、ありがとうございました。
    麻子さん。
    【くまの兄妹】
    だって、あたしはくまだから。

    くまの分際で仲良くなりたいと思ったから、エミリちゃんは殺されてしまったの。

    ――そこには、くまがいた。
    台所の明かりでわずかに照らされた暗い部屋の中で、
    くまが裸の小さな女の子にのしかかってたの。
    【とつきとおか】
    おかしなこと、わたしの場合・・・初めて万引きをしたのは、事件から半年後です。
    ―痛たた・・・、また五分待って。

    わたしはもう、あなたたちを許しています。
    これっておかしくないですか?わたしたちがあなたに、そして、エミリちゃんにいったい何をしたというのですか?
    【償い】
    あなたたちが罪を犯してしまったのだ、わたしのせいなのだとすれば、どう償えばいいのだろう。

    「犯人はあの子たちよ」と叫んだ。

    エミリが殺されてしまったのは、わたしのせいだった。
    【終章】
    「エミリちゃんのことを思いながら、手を合わせる。――どうして、あのとき気付かなかったんだろう。わたしたちが一番しなければならなかったことを」
    「それに気付くための十五年だったのかもしれない」



    誰も救われないな。

  • 続きが気になって気になって・・・。またまた『告白』に続き、一気読み。湊さんの本は、どうもラストが気になって、読んだら最後、終わりまで読んでしまう。

    終章でちょっと救いがあって良かったのだけど、でも全体的に読んでいてつらくなる箇所がたくさんあった。

  • (図書館)

    誰も名前も知らないような田舎町で、紗英、真紀、晶子、由佳、エミリは事件に巻き込まれる。
    5人で遊んでいたある日、知らない男に連れていかれたエミリが殺害された。犯人は捕まらないまま、犯人の顔も覚えていないという4人は、エミリの母親麻子に「約束」(贖罪、呪い)を背負わされる。
    時効目前、20代半ばになった4人が1人ずつ麻子への独白という形で、エミリ事件や現在の状況が明らかにされて行く。

    久しぶりに湊さん読んだけど、暗いしめんどくさいし性格悪い……。イヤミスって知ってるけど、自分が変わったせいだと思うが、もうこういうの読みたくないかも(事件や事故のニュースと同様に、心理学的にこういうのってストレスになってしまうんだよね)。
    麻子の根性の悪さは最終章「過去を考えたら私のせいかも」って「思わない」に尽きると思うんだけれど……ポジティブな人が1人も出てこないお話なのでした。

  • なんかモヤっとする

  • それぞれの展開にドキドキしながら一気読みできました。場面や語り手によって文章の形が異なるのが面白かったです。ただ、登場人物への感情移入はできませんでした。グリーンスリーブスはいい曲です。

  • 湊かなえさん好きの方におかりして、読んだのは『告白』に続いて2作目。

    それぞれの登場人物の独白する形式は『告白』と同じ感じだなと思った。この語り口調が気に入っている。

    そんなに複雑なミステリーの仕掛けがある感じはなくて、それよりも人間の闇の部分を凄く見る感じ。
    私にはかなりエグさを感じるそれぞれの事件なのに、まるでよくあることのように描かれている点が、違和感というか、嫌な気持ちになった。
    麻子さんに関しては理解し難いな。
    子どもたちにあんなにも罪悪感を抱かせて、自分はあっけらかんとしてる感じがする。
    麻子に復讐しようとした犯人の心理も全く共感ない。

    面白くて、一気に読める本だけど、隙間時間に何日かかけて読み終える。その間で、装丁のストロベリーや色んなベリーの絵に何か意味があるのか気になってくる。
    見返すと何回かベリーのケーキでてくるのかな。
    終わりの麻子の独白のところで何となく理解した。

    子どもの頃の経験や、環境がいつの間にかその後の生き方、人格に影響している。
    麻子が子どもたちに放った言葉とその時の象徴のようなケーキ。
    田舎の子どもには強烈な印象だったかもしれない。

    麻子が最後に自分の贖罪に触れるが、なんだかあっさり淡々とし過ぎて怖かった。

著者プロフィール

1973年広島県生まれ。2007年『聖職者』で「小説推理新人賞」を受賞。翌年、同作を収録した『告白』でデビューする。2012年『望郷、海の星』(『望郷』に収録)で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞する。主な著書は、『ユートピア』『贖罪』『Nのために』『母性』『落日』『カケラ』等。23年、デビュー15周年書き下ろし作『人間標本』を発表する。

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