人形遣いの影盗み (ミステリ・フロンティア)

著者 :
  • 東京創元社
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感想 : 56
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  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488017668

感想・レビュー・書評

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  • 〈帝都探偵絵図〉シリーズ3冊目。

    『びいどろ池の月』
    高広と礼の探偵ぶりを第三者目線で書いたらこんな風になるんだ。礼がまるで別人(笑)
    礼の友人の小説家は誰なんでしょう?
    『人魚は〜』に登場した小川未明?花竜と交わす会話は泉鏡花のような気も…。

    『恐怖の下宿屋』
    前作にちょこっと登場した大家の桃介さんが大活躍。
    桃介さん気になってたので嬉しい!
    いつも蝶よ花よと大事にされてる礼も、桃介さんにはかなわない(笑)
    この下宿屋住みたい。

    『永遠の休暇』
    “好きだからこそ、離れる”か。
    同じ物でも、見る人によって随分印象が変わるなぁ。
    基博が顕昌に高広の事を伝えたのは、手助けなのか、根回しなのか…。
    礼の家の事も気になる。

    『妙なる調べを奏でよ』
    かなりミステリ要素が少なくて、本当に日常って感じ。
    高広は、礼が関わると里見家の伝手も躊躇なく利用するのか(苦笑)

    『人形遣いの影盗み』
    久しぶりの登場なのに、ロータスの影が薄いのが残念。
    安西さんとの関係が気になる。
    それにしても、礼の高広大好きっぷりが凄い。お前は子供か(笑)
    高広は養父母に本当に愛されてるんだな。
    いじけながらもさり気なく惚気る基博さん、素敵です!

  •  帝都探偵絵図シリーズも第三巻。
     今回も本当に楽しめました。
     がっつりなお話と箸休め的なお話が両方あってとてもお得な構成です(何

    ・びいどろ池の月
    このお話は御茶屋が舞台なわけですが、花竜の美しさもあいまって本当にきれいなお話だったと思います。水に映った月に手を伸ばす辺りとかもう最高ですよね。個人的には、礼が花竜を止めるところが好き。
    最後のシーンには思わず「おおおっ!」と。こういうからくりがあったのかと。読み返すと確かにそれとなく示している描写がきちんとあるのはやはり秀逸。

    ・恐怖の下宿屋
    桃介さん最高!
    まさにそんなお話ですね。いつも高飛車な大先生の礼が雑巾がけをしているところなども貴重で楽しめました。礼の絵に興味を示さないっていうのもこの世界ではひたすら珍しいことなのでなんだかとても面白可笑しく。
    一度でいいから桃介さんの見事な手腕のご飯を頂いてみたいですねw

    ・永遠の休暇
    このシリーズで一番好きな作品かもしれません。
    好きだからこそ、好きなものは自分から離れていく。礼の「奇跡」という言葉が痛いほど胸に刺さる。
    顕昌はどれほどつらかったのでしょうね。大好きなお兄様を「島流し」にするということ。愛してるからこそ、自分で罰を下す。
    本当に見事な謎解きだと思いました。

    ・妙なる調べ奏でよ
    動揺する礼が可愛い素敵な作品。
    夢を見ること。好きなものに関わりたいという気持ち。
    それは、芸術家だけでなく冒頭で礼のことならといつも以上の情熱を見せる高広にもあるような気持ちなのかもしれません。
    そんな二人の関わりににやにやしてしまいました。

    ・人形遣いの影盗み
    表題作であるだけあって、派手で読みごたえもある作品。
    よし乃お義母様の尻に敷かれるお義父様が垣間見れたり、高広と捜査に行きたいがために本気を出す礼など、コンビの活躍ががっつり見れて満足でした。
    ワヤンのシーンもとても幻想的でしたしね。悪い子は影を盗まれる。本当にそう信じてしまいそうになるような演出です。
    全ての指揮を執ったロータスにはお見事!としか言いようがありません。安西検事との確執も気になるところですね。楽しみです。


    うー続きがまた読みたくなりました。御馳走さまです( 一人一)

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「人形遣い」と言うタイトルから、レヴューを覗いたのですが、、、シリーズ物の3作目かぁ~
      「帝都探偵絵図」と言うシリーズ名も良い感じだから読ん...
      「人形遣い」と言うタイトルから、レヴューを覗いたのですが、、、シリーズ物の3作目かぁ~
      「帝都探偵絵図」と言うシリーズ名も良い感じだから読んでみようかな(そんな訳で、レヴューを読むのはパス)。。。
      2013/02/27
    • 藤原ライラさん
      すごく好きなシリーズなのでおススメです!
      ぜひ是非作品をお読みになってからレヴューもお願い致します♡
      すごく好きなシリーズなのでおススメです!
      ぜひ是非作品をお読みになってからレヴューもお願い致します♡
      2013/03/06
  • 明治を舞台に、美貌の天才絵師と弱小雑誌記者が事件を解決するシリーズ第3弾。
    今回は、前作と違って全て高広&礼が活躍する短編5編。

    ひたすら高広に謎解きをせがみ、高広の有能ぶりをドヤ顔でアピールする礼と、嫌々ながら探偵役をつとめる高広。仲の良い2人の関係が微笑ましくて面白い。

    このシリーズは、親子だったり兄弟だったり友達だったり、人情の機微みたいなものがうまく描かれている。その関係はおおむね温かいんだけど、どこかほろ苦さを感じさせる。少し痛みをともなうラストは、綺麗事ではすまない現実を伝えている。

    それにしても…最近もう礼はワトスンですらなくなって、ただの観客と化している気がする…。そして高広は、内田康夫さんのシリーズに出てくる浅見光彦と被ってきたような…。

  • 美しい世界を夢見る人よ。

    〈帝都探偵絵図〉シリーズ第三作。高広と礼のコンビは絶好調。怪盗ロータスも再登場。佐野も編集長も里見大臣も元気。そして、今日もこの世界は切なく、優しい。

    「びいどろ池の月」語りは、礼でも高広でもなく、芸者の花竜。びいだまの沈む池のほとりで、思いめぐらす花竜が、最後に出した結論は。もしかして、この作家さんは泉鏡花だろうか。一巻の小川未明みたいな、こういうさりげない登場が好きだ。

    「永遠の休暇」大切だから、手を離す。その決断を誰がどう言おうとも。高広と礼が辿りついた真相は、優しくて、とても厳しい。二人もまた、好きなものを好きと言いながら、近くに居られる状態にあり、しかしそれが永遠だとは思っていないだろう。この世界は期限付きなのだ。決断をするまでは。

    「人形遣いの影盗み」怪盗ロータスの再登場。正しい道を選ぼうとする人。なぜロータスが協力したのか。安西検事とロータスの関係は? 新たな謎も生まれつつ、影絵のイメージがなんとも不思議な雰囲気を漂わせる。『人魚は空に還る』収録の「怪盗ロータス」同様、ラストは何十年か経った未来で、今回は無影灯の話が。

  • (収録作品)びいどろ池の月/恐怖の下宿屋/永遠の休暇/妙なる調べ奏でよ/人形遣いの影盗み

  • 6月2日読了。図書館。

  • 帝都探偵物語第三弾。
    それぞれのテイストが違って、とても贅沢な味わいでした。ごちそうさまでした。

    帝都の街並み、高広の下宿屋。浮世離れした美形の礼が描く美人画。。。
    なんの躊躇もなく、わたしをその場へ誘うように、馴染んできた物語。

    下宿屋の桃介さんの活躍が、楽しかった。
    怪盗ロータスが、だんだん本格的になってきたのがうれしいな。

    物語に描かれる『びいどろ』って響きが好き。
    この時代の言葉の響きや、漢字が好きなのだ。
    カンテラからわき出る煙が、霧のように銀座通りを覆い隠すような、妖しく惑わされるような雰囲気がするからなんだ。

  • 〈帝都探偵絵図〉シリーズ第3弾。
    独特の雰囲気に慣れて落ち着いて読める反面、一つ一つのストーリーは前作の方がインパクトあったかも。
    礼のホームズ熱は相変わらずで、怪盗ロータスとの掛け合いが面白かった。
    ロータスはまだこれからも登場しそうで期待。メルヘンのような事件には怪盗が似合う。

  • 特に吸引力はないが、だらだら読める。設定が漫画っぽい。

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著者プロフィール

1975年生まれ。秋田県出身。2008年、第2回ミステリーズ!新人賞最終候補作となった短編を改稿、連作化した短編集『人魚は空に還る』(東京創元社)でデビュー。他の著書に『クラーク巴里探偵録』(幻冬舎)、『百年の記憶 哀しみを刻む石』(講談社)などがある。

「2019年 『赤レンガの御庭番』 で使われていた紹介文から引用しています。」

三木笙子の作品

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