- Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488017798
作品紹介・あらすじ
再会した英国人少年クリスと検閲官エノを待っていたのは、オルゴールを作り続ける孤島の洋館で勃発した連続不可能殺人だった! 著者渾身の巨編、〈少年検閲官〉連作第2弾。
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
最初は本のぶ厚さと二段組の文章に読み終わるかと不安でしたが、読み始めたら早かった。風景描写や雰囲気が素敵。残酷なのに美しく、最後の手紙にうるっときてしまいました。
-
多重解決の末に明かされるトリックは著者の代名詞とも言える類のものでややバカミス的ではありますが、ちゃんとオルゴールというテーマが活かされていますし、これによって意外な人物が犯人候補に浮上するという、物語上必要不可欠なものになっているところが秀逸です。
また、冒頭の「月光の渚で君を」は出色の出来ですし、ヒロインの少女ユユの造形も魅力的。切ない余韻が残るラストも良い感じで、非常に充実しています。前作『少年検閲官』と比べると若干設定が緩いのが気になりますが、今年のミステリーランキングで間違いなく上位に入る傑作です。 -
油断した完全にやられた。物理トリック(図!!図!!)の量と多重解決の必要性。『少年検閲官』から続く書物の禁じられた世界とガジェットの存在。この題材との物理トリックが組み合わせれて起きたハウダニットの行く先には、とんでもなく美しい物語があった。
「クロック城物理トリックは良かった」
「アリスミラー城この犯人は意外だった」
「少年検閲官の設定は良かった」
私の読んだ北山作品は、面白いけどどこか物足りなさがあった。
本作は全て詰め込んだ。私は詰め込まれた作品が好きだ。
幻想的な物語に本格ミステリの舞台、仕掛け。
甘く見ていた。読後ここまで心が揺さぶられるとは。恐ろしく本格ミステリであり、どうしようもなく切ない。
傑作なり。 -
私の評価基準
☆☆☆☆☆ 最高 すごくおもしろい ぜひおすすめ 保存版
☆☆☆☆ すごくおもしろい おすすめ 再読するかも
☆☆☆ おもしろい 気が向いたらどうぞ
☆☆ 普通 時間があれば
☆ つまらない もしくは趣味が合わない
2016.4.4読了
なかなか良かったが、少し読み進め難かった。
序奏の物語がとてもムードが感じられて、良かった。
そして、その序章を受けて少年検閲官というシリーズになっている物語に展開していくのだが、この少年検閲官の物語も独特なムードを持っていて、互いに似ているような雰囲気が重なりあって、かえってこの小説の良さを妨げている様だ。
謎解きのところも作者が良く用いるらしい、いくつかの解を重ねて提示するもので、それなりに楽しめるが、私はシンプルな謎解きで良いので、最初の物語をもっと膨らませたものを読んでみたかった。 -
これは・・・ラノベとは違うんですかね?もう少年少女がちょっと異世界な感じの世界観で謎を解くとかもうお腹いっぱい。ありがちすぎて食傷気味です。
それでいて謎もそんなに世界観に即したってこともなくてそこだけ取り出したら凡庸なミステリだし。主人公であるクリスにしても初めて会ったユユにたいして「そこまで思い入れするか?」という感じもしたし。「オルゴール」がずっと意味ありげに話の中心に語られてた割には最終的にその必要性はあんまり感じなかったし。。
「少年検閲官」の続編ということで、読み始めたくらいの時は「そっちから読み直そうかな?」とも思いましたが、まあいいかなって。。。 -
前作の『少年検閲官』では、タイトルにもなっている少年検閲官・エノが後半になるまで出てこなかったけれど、今回は割と序盤で出てきました。
エノとクリスの組み合わせが好きなので早く出て来てくれてよかった‼︎
クリスの心に触れるたびに少しずつエノの心に温かさが戻っていく感じがたまらんです。
今回のお話はどこの国と明言されていたわけではないけれど、シグレだのマキノだのの登場人物の名前から推察するに日本あるいは日本をモデルとした国が舞台だった模様。
ということは、この国が故郷だというキリイ先生ってもしかして、「キリー」ではなく「桐井」というイントネーションが正しいのかしらん。 -
少年検閲官から3ヶ月後。書物がない世界で、ミステリの要素を記述したガジェットを巡る物語。
ミステリを描こうとする主人公と、検閲官の二人、そして出会った少女の関係性がとにかく強烈です。
オルゴールに彩られた館と終末に向かう世界。最高。 -
独特の世界観による近未来(またはパラレルワールド)を舞台にしたミステリ。
二転三転するトリックの解明と犯人当て。ラストに明かされる真相。