葉書の中の白い街 (ミステリ・フロンティア)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 74
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488017842

作品紹介・あらすじ

幼い頃に家を出た父親を捜すため、姉弟が寂れた商店街を訪れる。手がかりは一枚の葉書のみ。やがて姉弟の行動は、商店街に変化をもたらし……。静かな感動を呼ぶ長編ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 水彩で人物が描かれた一枚の葉書。
    たった一枚のその葉書が行方不明の父親の手がかり……。

    ある春休み、高校2年の花と小学4年の修(しゅう)の姉弟が、父親を探すためにある地方都市の商店街を訪れる。
    街の名前は「ゆめのはら」。希望に溢れていそうな名前とは裏腹に、閉めたお店や開店休業中のお店ばかりの寂れゆく商店街。解体途中で放置されたビルからの埃がそこここに積もり、通称「白い街」。
    商店街の人たちの協力もあり、宝探しのような続きの葉書探しやパズルのような絵のリレーが始まる。

    時間の経過や続きの葉書が見つかる度、隠されていた事実が浮き彫りになっていく。
    街の人たちが抱える寂れゆく商店街の問題、花と修の父親に対する温度の違い、花の我慢強さや修への過保護さ……最後には修の遠慮のない物言いやウザイ程のストレートさの理由も分かる。

    しっかり者で、笑顔を絶やさない花。
    明るくて友だちも多く、相手の目をまっすぐに見つめる修。
    言葉にすると「いい子たち」の一言だけど、自分や家族を守るためにそうならざるを得なかった心情を知ると、かなり切ない。

    物語自体は、あったかいものになっている。
    エピローグでは街や人の再生しようとする姿があり、白かった街は生き生きと色付こうとしている。
    そしてもちろん、花たちのこれからも明るい色に彩られている。
    YA寄りな印象。 ☆は迷って甘目。


    ・・・・・ところで・・・・・
    修が奔放すぎてニガテな方が多いようですが、私は嫌いではないです。
    実際に側で、うろちょろしたりズバズバ物を言われたら、かなわんわーと思うだろうけど、カツオくんとちびまる子ちゃんの間の年齢の小学生男子と考えれば…そんなものな気がします(笑)

  • 姉弟の大冒険記と言ったところだろうか。お父さんを探しに旅に出ると言う最近どっかで聞いたようなストーリーだが、見知らぬ子供を取り囲む温かい周囲の目が読んでいて安心感がある。蛇足的なエピローグが、個人的にはとても嬉しかった。

  • 西本秋の青春ミステリ。
    雰囲気はシビアだともいえる箇所も多いが、総じると、ミステリ・フロンティアでは多い、温かみのある話だった。また、文章とプロットが丁寧なのも同レーベルらしい。
    「謎が数で多く、質で足りない」と、個人的にミステリとしてはもう一歩だった。
    しかし、プロローグとエピローグはよかった。使い古されたパターンだが、今作ではとても効果的だったと思う。
    3-

  • 唐突感あり。作られた感じに馴染めず。

  • 姉弟の二人にあまり共感できず、いまいち物語に入り込めなかったけど、葉書の謎・展開はステキだったと思う。
    廃れた商店街・成長した姉弟のこれからに光が感じられる終わり方でほっこりした。

  • いい人たち。面白かった。

  • 修が苦手でしたが、面白かったです。

  • 『天国ゆきカレンダー』もだったが今回の作品も熱いなぁと思う。歳の離れた姉弟が行方不明の父を探すのだがこの作品は始終、弟の修にイライラする。小学生とはいえ、言っていい事と悪い事の分別はつくし、行動もおかしい。しかし、姉が注意してもズバズバとストレートに思った事を言ったり、自由に行動をしたりとやりたい放題。姉の花が常識人であったのが唯一の救いである。しかし、修の暴走に周りは振り回されまくり。最後はなんとかなり、良かったとは思う。『天国ゆきカレンダー』が良かっただけに今回の作品はちょっと微妙。

  • 物語作りがシッカリとしている。キャラクターも実によく書き別けている。
    野球少年が姉を引き込んでの父親探しを目指す。かなり自己中のキライがあるが、小学生ならと思いたいが、直球勝負の性格丸出しのキャラクターが、事件を引きずり回す。まとめ役の姉が力強い。
    寂れていく商店街を舞台に、人間模様が謎解きをからめて展開して行くのが面白い。ハッピーエンドのどんでん返しが、物語を傑作にしている。

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