- Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488017873
作品紹介・あらすじ
予期せぬ来訪者の報せに頭を抱える黒川鈴木。さらに小劇団で起きた謎の事務所荒らしは、墜落死体事件に発展する! 鬼刑事・黒川に暇はなし!大好評コミカルミステリ、第三弾。
感想・レビュー・書評
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推理力は抜群だが色々不幸な黒川刑事シリーズ三作目。前作まで読んだのがかなり前だったので主席監察官が突然視察にやって来る!で大パニックの田舎の警察署で起きる緩すぎるノリにしばらく馴染めなかった。でも超小劇団の事務所荒らし事件が起き、さらに劇団主宰の転落死事件が発生してからは慣れてきて黒川の同級生で優秀なのに推理力だけは残念な監察官遠山警視正や摩訶不思議に活躍する黒川の妻、体力だけは信頼出来る部下白川と個性豊かな面々の活躍が充分楽しめた。あと黒川刑事の不幸っぷりも。過去の事件も含めきっちり落とすべき所に落とす方向がある意味意外だった。その手でいく?といった感じ。
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[1]ますます絶好調の登場人物たちの笑える会話(笑いのツボは人それぞれなのでセンスが合えばですが)。これだけでも読む価値はあるかも。
[2]極小劇団の事務所が荒らされたしょーもない事件に何かしらの違和感を抱いた黒川だがスランプなのか論理的な解明ができないうちにメンバーの一人が殺される。何も起こらないヒマな警察署と言ってる割にはけっこうな犯罪頻発エリアですよねえ…
[3]黒川夫人の登場シーンが多くて楽しい。
■この巻の簡単なメモ
【一行目】草木も眠る午前二時。面妖な臭気を漂わせる草が机の上に山と積まれ、フラスコやビーカーの中の液体が湯気をあげている薄暗い部屋の中、割烹着を着込んだ一人の男が、あやしげな実験にいそしんでいた。
/おしゃれで充実したカントリーライフを演出するためハーブティーを淹れようとしてあれがああしてこうなってなぜか入院することになった黒川。
/かつてのライバル? 県警本部の首席監察官、透山警視正が来る! パニックに陥った課長は白石さえあきれる暴走状態。
/透山の部下、七宝亜矢。
/劇団キンギョ座の事務所兼倉庫が荒らされた。盗まれたものはないようだが破壊されたものは多し。黒川はなにかしらの違和感を感じるが正体をつかめない。
/劇団キンギョ座。リーダーで塾講師の差地公也(さじ・きみや)、村西希美(むらにし・のぞみ)、腕を怪我しているのが怪しい料理屋従業員の大水正志(おおみず・まさし)、白石とタイヤキ争奪合戦繰り広げ白石に噛みつかれた小犬リラちゃんの飼い主である会計の桑木比呂美(くわき・ひろみ)、アルバイトである黒木の妻。
/資料室に『ウォレス・ジャケット』という革カバーをかけられている絵本。
/幕間からすると十五年前の殺人事件がかかかわっているのかもしれない。
/殺人事件発生。何も起こらないヒマな田舎ということになっているけどけっこうな犯罪頻発エリアですよね〜。
/誰も正体を知らない脚本提供者「おとうさん」。
/『クロッカスの犬』?
/十五年前の事件を捜査した児島(今は退職して地元警備会社の役員)。
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■田舎の刑事についての簡単な単語集
【赤木忠志/あかぎ・ただし】新人刑事。真面目で熱心、天然記念物級の朴念仁。
【課長】意外に黒川を頼りにしている。
【香山/かやま】暴力団担当の刑事。後の話では殺人課に転属していた。顔が怖い。
【給料】課長《大抵のアルバイトのほうが、うちの署員の給料より実入りが良いに決まっている》好敵手p.10
【警察署】《この田舎の警察署は本当にひまなのである。》趣味とお仕事p.224
【黒川鈴木/くろかわ・すずき】主人公の刑事。巡査部長。既婚。子供なし。酒もタバコもギャンブルもしない。パイナップルの載ったハンバーガーは許せない。推理力は優れているがメンタルは弱い。《あなたの境遇や人生は、笑われるか同情されるか、ドン引きされるかのどれかですもの。私はそれなりに気に入っていますけど》好敵手p.32。《私は他人の心配をしていたほうが、まだ調子がいいようですから》好敵手p.34。《日常生活のツキを事件捜査で使い果たしているだけのことはありますわ》好敵手p.192。
【黒川夫人】この作品でもっとも魅力あるシーンを作ってくれる人物。お笑い番組をクールな表情で観ているがちゃんと楽しんでいる。おっとりマイペースでものに動じないタイプ。黒川が恥をかくシーンのシャッターチャンスは逃さない。異常に多芸多才。黒川の行く先々でアルバイトしている。夫婦の会話は一服の清涼剤?
【刑事課】《ここじゃ刑事課は何でも屋でしてね》趣味とお仕事p.230
【七宝亜矢/しっぽう・あや】透山の部下。
【白石高作/しらいし・こうさく】刑事。黒川の部下。無能で図々しく大雑把で考えなしの歩く捜査妨害。《うん、これは白石を殴ってもいいよな、グーで。》趣味とお仕事p.178。《彼は生まれついての反面教師としてのオーラというか、空気をかもし出している。》趣味とお仕事p.225。《バカもここまでくると指摘したほうが小さい人間のような気までしてくる。》趣味とお仕事p.254。黒川の妻いわく《本当にいいコンビですわね》動物記p.132。《どういうわけか白石は話のピントがずれたときだけ、言っている内容に筋が通る。》p.224
【透山信吾/とうやま・しんご】県警本部の首席監察官で警視正。黒川とは高校の同級生でライバルだった? 事件好きで推理好き。だが悲しいまでに推理能力がない。のに現場に首を突っ込みたがるのが唯一の悪癖でそれがなければもっと早く出世していただろうと思われる。
【泥棒】《泥棒という人種は、しばしば凄まじい底力を発揮して障害を乗り越えるのだ。》趣味とお仕事p.30
【野呂慶介/のろ・けいすけ】東京の警察署から来た刑事だが特に偉そうな態度は取らない。
【プラスチック製手錠】鍵がないので切るしかない。
【宮下】交通課。
【無理】《くれぐれも無理は笑える範囲でしてくださいね》好敵手p.35
【メガロ・オンライン】黒川がハマっているネットゲーム。黒川は結果的にネカマになっている。キャラクタネームは「コロナ」。
【論理】《黒川はこういう犯人は苦手である。こいつの執念は黒川がよりどころにする論理的な思考の対極にある。》趣味とお仕事p,237
【ワサビ】農産物盗難事件が相次ぐ中、ワサビはノーマークだったが本ワサビはけっこう高額なので被害額は大きい。 -
初の長編。幕間劇と合わせた謎解きが面白かった。犯人はそうきたか…という感じだったけど。
今回登場した透山さんもサイコーです。みんな面白すぎ。個人的には黒川さんは、そんなに変なキャラにならないで欲しい…。 -
このシリーズ大好き。
かけあいの適度な馬鹿馬鹿しさにほっとします。
細部にちょこちょこはさまっている雑学も良いですね。
私、米俵一俵の重量もディメトロドンの存在も知らなかったから、白石君が当然のごとく両方知ってて地味に凹みました。そっか、私には白石君以下の常識しか備わってないのか…。
本編ですが、犯人もトリックも全く分かりませんでした。
犯人っぽくない人物を脳内から除外していったら、最終的に誰もいなくなってしまい、「あれ?あれれ~?」と首をひねるはめに。 -
読み終わってみればなかなかにスマートな小説だったかな。人物評が少なくなったのは、ストーリーに力が入ってきたからかもw
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田舎の刑事シリーズ第3弾。
シリーズ初の長編。
短編集ばっかり読んでたので、読めるかなーと心配したが、主要キャラのやり取りがおもしろくて、最後まで読めた。
長編、回避してたけど、これを機に徐々に挑戦してみたい。
刑事・黒川鈴木の所属する警察署に、県警の首席監察官が視察に来ると知らせが入り、警察署は大騒ぎ。
この首席監察官、黒川の同期だが、警察官として致命的な欠点がある。
そんな大騒ぎの中、発生した事務所荒らし。
最初は小さな事件と思われていたが、関係者の1人が遺体で発見され…。
黒川の奥さんがいい味だしてて、好き。 -
田舎の刑事シリーズの新作。
この作家は黒川刑事と似ている。初めはいい加減なお笑い事件簿に成りかけるのだが、殺人事件に話が展開すると本格推理にシッカリ嵌まってしまう。
他の作品ではガッカリするのだが、このシリーズは目が離せない。
最大の要因は黒川刑事の奥さんで、最も謎の人物。この奥さんただ者ではない。黒川刑事と作家にキッチリと仕事をさせてしまう。
次回作は奥さんの謎と成り染めが掴める事を期待したいが、奥さんに手玉にされている作家がどこまで踏み切れるか? -
面白いです。
奥さん好きです。 -
シリーズ第三弾で初長編。
県警本部から監察官の視察が来るというので署内は大パニック。やってきた首席監察官は黒川のライバルだったが、そんな中事件が起こる…
なかなか笑えて和めるユーモアミステリ。無能な部下や頼りにならない上司、強烈な個性の妻に加えて、今回はライバルも登場。これまた有能だが変な欠点があって笑える人物である。黒川はだんだん情けないキャラになっていく気がする。
脱力系のノリについていけるかで評価が分かれそうだが、キャラを楽しむにはこのシリーズ、短編より長編の方が合っているかもしれない。