Y駅発深夜バス (ミステリ・フロンティア)

著者 :
  • 東京創元社
3.52
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本棚登録 : 144
感想 : 32
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488017934

作品紹介・あらすじ

運行しているはずのない深夜バスに乗った男は、摩訶不思議な光景に遭遇した――奇妙な謎とその鮮やかな解決を描く表題作、読者への挑戦状を付したストレートな犯人当て「ミッシング・リング」、女子中学生の淡い恋と不安を描く「猫矢来」、怪奇小説と謎解きを融合させた傑作「九人病」、自信のアリバイ・トリックを用意して殺人を実行したミステリ作家の涙ぐましい奮闘劇「特急富士」。あの手この手で謎解きのおもしろさを伝える、著者再デビューを飾る〈ミステリ・ショーケース〉。

感想・レビュー・書評

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  • 短編集。どれも面白かった!この方の他の著作も読んでみたいと思った。

  • 九人病がこわ

  • 著者の再デビュー作。かつて光文社文庫の公募アンソロジー『新・本格推理』に掲載され高い評価を受けた【Y駅発深夜バス】の他、書き下ろしの三編、計五編を収録した本格推理短編集。何れも魅力的な謎、ロジカルな推理、意外な真相を用意しつつ、それぞれ違った趣向を凝らしているので面白いです。
    ベストは表題作の【Y駅発深夜バス】。摩訶不思議な謎がロジカルに解決されていく展開は爽快です。
    怪談めいた謎と捻りの利いたロジックが印象的な【九人病】、不確定要素が次々と襲ってくる倒叙形式の作品【特急富士】もお気に入りです。

  • (Ⅰ)現象だけ見ていると非現実的で不思議で不穏、一筋縄ではいかず、なかなか解きにくい謎。しかしわりと無理のない真相。ミステリとしてよくできてるんじゃなかろうかと。
    (Ⅱ)いわゆる描写はほとんどなく、おおむね状況だけ淡々と描かれる感じ。文章を楽しむというタイプではないです。おそらくそれが不穏な空気を醸し出しているのかと。
    (Ⅲ)いろいろ趣向こらしてサービスしてくれてはんなあと感心しました。

    ■簡単なメモ

    【Y駅発深夜バス】接待で遅くなり終電を逃しタクシー代わりにY駅発の深夜バスを利用してみることにした坂本は奇妙なパーキングエリアに降り立つ。ちょうどその頃、隣家の夫妻の妻が自殺していた。

    【猫矢来】正義感の強い中学一年生の中川里奈は同級生が小学生をカツアゲしているのを止めいじめのターゲットに。猫のこんぶ、クラスメートで里奈を好きだという碓井、怪しげな行動の隣人。

    【ミッシング・リング】友人だった浩一、貴之、亜希子、春菜、美咲は大学卒業後はじめて全員集まることになり美咲の家の別荘に行くがそこには彼女の弟、稜がいた。浩一は恋人となっていた美咲に婚約指輪を渡すつもりだった。雪が振り始め別荘全体が密室となった。「読者への挑戦」がある。

    【九人病】和久井充男は秘湯を取材に来て同室の男から彼の体験した九人病の話を聞く。これはホラーテイスト。

    【特急富士】ラストは倒叙型、と思いきや…。いろいろやってくれはりますなあ。ミステリ作家の間島弘樹はかつて愛人だった日向沙耶を殺す計画を立て、工作するが…。

  • ちょっと一昔前前みたいなかたさがあって
    それが良かった。なのでとか言わないし笑

  • どなたかの読書ブログで見かけて気になっていた本。
    続き物ではない短編集で、どれもおもしろいというのはすごいと思う。得体のしれないものが迫りくる感じに、途中で読むのをやめられなくなる。

    「九人病」がいちばんドキドキした。「Y駅発深夜バス」も好き。

  • ■「Y駅発深夜バス」……設定が、とってもとってもミステリアス。これはホラーなのかそれとも――?
    最後はキマった。
    ■「猫矢来」……壊れた猫用のドア。イジメの被害者が加害者に。塀の上のペットボトル。竹馬――。
    同級生のカレシが、とってもとっても都合がいい。
    ■「ミッシング・リング」……閉ざされた雪の別荘で婚約指輪がなくなった――。
    犯行といい、アリバイトリックといい、とってもとっても規模が小さい。
    ■「九人病」……こちらはまぎれもなくホラー、溶解人間系の――。
    で、とってもとっても気持ちが悪い。
    ■「特急富士」……横浜⇔浜松で二人の男が、特急富士や、こだまに乗り換えたりして西へ東へ行ったり来たり。寝台列車の個室の中では死体を、棚の上に持ち上げたり奥に押し込んだり、降ろしたと思ったら座らせてみたり――。
    もう、とってもとっても汗みどろ。

  • ホラー、青春もの、読者への挑戦、倒叙、といった違うテイストの短編を楽しめます。どれもきっちり本格ミステリで、伏線から動機から収束までまるでお手本のように見事です。好みはラストの「特急富士」。アリバイトリックを弄した倒叙ものですが、予定通りにいかずにバタバタする犯人に笑い、読後あらためて気づく伏線も見事でした。他にしっかりホラーなのに本格ミステリな「九人病」も好み。欲を言えば、どこかで人物が繋がっているような連作だったらもっと入り込めたかもしれません。全てのテイストが違うために逆に後に残りにくい気がします。

  • 表題作はそれほどかなぁと思ってしまったが、特急富士はアリバイ、倒述ものとしては傑作でした。時代がかってますが、現代のガジェットが出てくる不思議。

  • ミステリ短編集。いろんな読み口の作品が収録されているけれど、どれも面白い! 後味のいいのも悪いのも、シリアスなのも少し笑えるようなものも。絶対お気に入りの一編が見つかりそうです。あ、でも「全部好き」ってのもありだわ。
    お気に入りは「猫矢来」。青春ミステリとしての物語がいいし、ミステリとしての面白さも抜群。そしてなんといっても猫が良い(笑)。なるほどなあ、と思わされ、物語としての読み心地の良さも素敵でした。
    「九人病」も好き。ホラー好きとしてはこういう題材はたまらなく好み。邪悪な感じもいいなあ。

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