プリズムの瞳

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 113
感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488018115

作品紹介・あらすじ

かつてはロボット研究が生み出した最先端機種として、期待を集めていた人型ロボット「ピイ・シリーズ」。しかし、現在では「残存種」と呼ばれ、絵を描くだけの無用の存在として各地を放浪していた。恋人との仲に悩む女性、周囲にとけ込めない中年男性、人生を見失った青年-ピイと出会った人々は、姿だけを同じくするロボットの瞳に何を見いだすのか。感情を持たないピイ、そして永遠の時を過ごす少女。かれらとの対話を通して揺らぐ人々のこころを柔らかに描き出す、すぐそこの未来の、希望と祈りに満ちたSF連作短編集。

感想・レビュー・書評

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  • プリズムの瞳

  • 21:菅さんらしい、あたりのやわらかいSF。設定はSFだけど間口が広くて読みやすいのが嬉しい。描かれる希望は、硬派SFを好まれる方からすれば綿菓子みたくフワフワで甘っちょろいのかもしれないけど、私は好き。

  • 本来の役割を奪われ、絵描きとしてのみ存在するようになった人型ロボットたちと、人間との交流。
    ロボットが描く絵はたとえ抽象画だろうと一定のプログラムのもとに生み出されたもので、突き詰めればそこには意思も感情も意味もないんだけど、人間は勝手に意味を見出してしまう。なんにでも意味づけがないと耐えられないんだなぁ、人間って・・・。と思った。
    ただの色にさえ、赤には赤、青には青の意味や思い出を見ようとしてしまう。面倒くさいけど、それが人間たるゆえんでもあるらしい。ストーリーはなかなか面白かった。

  • 寂しくて少し暖かい話。

    たまたま図書館で背表紙のピンクが目立って手に取ったのですが
    個人的には結構好きな部類。
    この作者の他作品も読んでみたい。

  • かつては専門に特化された機体だった人型ロボット<ピイ・シリーズ>のその後を描いた連作短編。
    絵を描くだけの役割を残されたピイたちは、人間自身を映す。

  • かつてはロボット研究が生み出した最先端機種として、期待を集めていた人型ロボット「ピイ・シリーズ」。しかし、現在では「残存種」と呼ばれ、絵を描くだけの無用の存在として各地を放浪していた。恋人との仲に悩む女性、周囲にとけ込めない中年男性、人生を見失った青年―ピイと出会った人々は、姿だけを同じくするロボットの瞳に何を見いだすのか。感情を持たないピイ、そして永遠の時を過ごす少女。かれらとの対話を通して揺らぐ人々のこころを柔らかに描き出す、すぐそこの未来の、希望と祈りに満ちたSF連作短編集。


    もしも人型ロボットが人間と同じように暮らしていたら・・・読みながら想像して少し怖くなってしまいました。ロボットが人間に取って代わる時代がいつか来るかもしれません。もしも人型ロボットがこの本のように出てくるのなら、この本とは違った共存の仕方があるといいな

  • かつてロボット研究が生みだした最先端機種として期待を集めた人型ロボット<ピイ・シリーズ>。ピイとはプロフェッショナルのP、何らかの専門に特化した機体だった。だが今は、その存在価値は失われ、絵を描くだけの無用の存在として各地を放浪していた。

    <ピイ>との出会いが人の心にさざ波を起こす。感情を持たないがゆえにありのままを写すその虹色の瞳に人は何を見出すのか・・


    単なる道具なら顔なんていらない。でも自立しているのなら人の形をしていてほしい。人の形をしていれば、オートマチックな行動も<心>から発生するように思えるから。確かにそうです。勝手に掃除をしてくれても掃除機は道具だけど、人型のお掃除ロボットだったら意思があるように錯覚してしまう。でもそれが軋轢をうみだす。便利で純粋に奉仕してくれる存在なら歓迎するけど、時にその能力は人の自尊心を傷つけ妬みを買い、しいては脅威すら感じさせる。ロボットの側には変わりはないのにね。だから人との共存を目指したコミュニケーション能力をもった<フィー>は早々に姿を消してしまう。なんだか切ないです。確かに意思を待ったロボットは脅威になるかもしれないし、そんな話は沢山ありますよね、そしてロボットと心通わせる話だって。やっぱり夢を掻き立てる存在なんだろうな。

    ちょっとネタばれありますが、
    まず、ローズピンクを主としたような表紙が目を引きました。中を見て、各話に色をつけたタイトルが気に入りました。そしてちょこっと入る女の子の独り言めいた語り。<ピイ>と一緒に居る年を取らない女の子の言ってることだとばかり思ってましたが・・なんか最後の最後で泣きそうになっちゃた。ロボットの幸せってなんだろうね。
    飛びますけど、「毅然としていて無抵抗なもの・・例えば、壁なんかに拳を振るった時、痛いのは自分自身なのにね」てな言葉がすごく印象深かったです。

    しみじみとほんのり暖かくて良い話でした。

  • ヨシツギさんの表紙に惹かれて手に取りました。連作短編集で、トワイライト・パープルという話が好きだった。不思議と記憶に残っています。

  • ピイという総称の絵描きロボットの話。表紙で読んでみたけど、ロボットといえどゴミのように扱われるの見ると嫌な気分です。作った博士がピイを残す意図も理解できないし・・・

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著者プロフィール

1963年生まれ。SF作家。2015年、『放課後のプレアデス みなとの宇宙』のノベライズを上梓。他の著作に『おまかせハウスの人々』『プリズムの瞳』など。本作がはじめてのビジュアルブックとなる。

「2016年 『GEAR [ギア] Another Day 五色の輪舞』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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