盤上の夜 (創元日本SF叢書)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 823
感想 : 164
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  • Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488018153

作品紹介・あらすじ

相田と由宇は、出会わないほうがいい二人だったのではないか。彼女は四肢を失い、囲碁盤を感覚器とするようになった-若き女流棋士の栄光をつづり、第一回創元SF短編賞で山田正紀賞を贈られた表題作にはじまる全六編。同じジャーナリストを語り手にして紡がれる、盤上遊戯、卓上遊戯をめぐる数々の奇蹟の物語。囲碁、チェッカー、麻雀、古代チェス、将棋…対局の果てに、人知を超えたものが現出する。二〇一〇年代を牽引する新しい波。

感想・レビュー・書評

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  • 途中で挫折…。
    ルールを全て知らないんですよね…。
    知ってたら楽しめたのかな?

  • 評価が高いと聞いて借りてみましたが、残念ながら私は面白くなかったです。
    表題作「盤上の夜」だけで、残りは読むのをやめたので、感想は一話分。
    いじわる婆さんになってます。

    四肢を失った女性が女流棋士として囲碁の才能を開花。
    囲碁の盤面を触覚として感知できる能力を持っていたという。
    ルポのように淡々とした語り口に、話に入り込めなかった。
    彼女が四肢を失ったことについて、ただの設定にされているだけのような説明に気持ちが冷え冷えとします。その残酷な境遇、もうその時点で発狂しているでしょうにスルーですかい?
    ここがまず最大の違和感。あとはもういけません…。
    語彙をひろげることになった経緯がすんなり頭に入ってこない。
    彼女の中で言語の爆発が起こったくだりがよくわからない。
    そうして彼女が以後、対局の高みに登っていった過程の描写は、何を例えているのか?
    もうちんぷんかんぷんで、なんだか馬鹿にされているような不愉快な気分でした。
    自分とは全く相性の悪い作品でした。
    SFを読めない自分がだめなのか?

  •  少しのSF的な要素を加え、各種のゲームの使い手を主人公とした短編集。すごい、現代的な、そして進化を含んだ未来を射程にした作家を見つけたと感じた。素人の私でも、異能の人びとが見る、峻厳な、恐ろしい世界を、垣間見させてくれる。

  • 宮内氏のデビュー作、なのかな? 
    盤上ゲームをモチーフにした短編6つ

    表題作は囲碁。天才棋士由宇 の設定がすごい ...
    修学旅行中に中国で誘拐され、手足を切り落とされて性奴隷として生きてきたという ....
    衝撃的な設定だが、自分の意思はまったく関係なく異文化の中に放り出されて、それまでに身につけた生存手段をもぎ取られる感じを見事に表している。

    過酷な状態を生き延びるべく身につけた手段に押しつぶされるように壊れていく由宇とどうしようもなく寄り添うプロ棋士の絆のはかなさよ.... 人って孤独ですね。

    人間の王 は チェッカーというゲームで生涯負けなしであったティンズリーという実在の人物の話。
    かれがコンピューターと対戦する経緯とその後がインタビューの形をとって丁寧にかかれている。
    すごいよ、これ。 シカケもいい。

    清められた卓は麻雀
    都会のシャーマン優澄の不思議な打ち筋、これ麻雀に詳しいともっと面白いんだろうなぁ...
    優澄の為した癒しを解き明かす赤田との関係は 盤上の夜のそれとも近いが、麻雀と囲碁の違いもよく描かれているので、新鮮に読める。

    像を飛ばした王子 は 釈迦の子 ラーフラが主役
    チェスの元となったインドのゲームができたころのことが この斜陽の一族の話とともに描かれる。
    参考文献、すごいよ!

    千年の虚空は、一人の破滅的な女性を挟んだ兄弟のどろどろ..... 兄弟は将棋棋士として心を病んでいく。
    家庭で愛を得られないとは、こんなに殺伐としたものか。こわーいこわーいこわーい

    原爆の局 ふたたび囲碁に戻る。
    風格のある一話。

    これが宮内悠介。
    遅くなりましたが、読めてよかった。

  • なかなか分からなかったところも多かったが、1作目が特に好きだった。元のゲームに精通してればさらに面白いだろうなと。

  • 人が考えだしたものが、人のさがを含め、あらゆるものを凌駕して翻弄する。
    盤上の遊戯にとり憑かれたものは、宇宙に放り出されたような、もう戻れない異世界迷い込んでしまったような。
    世界の広がり。SFのような、まったく違うような。その境界線の危うさこそが、もしかしたら本物のSFなのかも。

    情念がすごい。
    なぜか未だに脳裏に光景がよぎるのは「象を飛ばした王子」。
    嗜好にはまって、悶えたのが「千年の虚空」。素晴らしい。

  • 囲碁、将棋。
    何十手も先まで読み切る棋士達は、盤上にどんな世界を見ているんだろうか?

    本書は、囲碁、チェッカー、麻雀等のゲーム盤上で繰り広げられる闘いに、宇宙の拡がりを感じることができる小品6編の短編集。

    が、残念ながら、私にはそのゲームの面白さが直感的にわからなくて、落語のオチを解説してもらいながら聴くような、こちらの準備不足を感じさせられた。

    その辺に詳しい方なら、もっと楽しめると思います。

  • 由宇と相田、囲碁の「盤上の夜」。チェッカーのチャンピオンとプログラム「人間の王」。それは魔法なのか、教祖と囲む麻雀「清められた卓」。チャトランガの始まりは…ラーフラとその父の「象を飛ばした王子」。その三人姉弟の歪みと野望、将棋の「千年の虚空」。そして「原爆の局」。
    んんー「人間の王」が好きかなー。

  • 囲碁・チェッカー・麻雀・チェス・将棋。
    どれも名前だけは知っている程度の自分でしたが、いやー、面白かった!これ、ルールが解っていたら、もっと楽しめる内容なんだろうなあと、勉強してからもう一度読んでみようかとか思ってしまいました。
    背景は若干暗い感じではあるのですが、其処がメインのお話では無い所が凄い凄い。ジャンルはSFと云う。それも頷ける描写多々あり。

    宇宙とか近未来とか、そういう世界で繰り広げられるファンタジーとも取れる内容より、昨今のSFは日常に根ざした「すこし・ふしぎ」の意味合いも含まれるサイエンスフィクションだよなあと思いました。人の意識を扱う物が多いのも、その所為なのか非常に親しみやすい。SFが苦手と仰る前に手に取って頂きたい。



    「象を飛ばした王子」は「聖★お兄さん」でしか再生されなかったのですが、麻雀と将棋は能條純一さんの絵で脳内再生されております。あーそっちも読みたくなってきた!

  • とても面白かった!
    囲碁、チェッカー、麻雀、古代チェス、将棋など、盤上遊戯・卓上遊戯をめぐるSF短編なのだが、SFというよりはセンス・オブ・ワンダーである。

    知的ゲームの対局において、「真理」が垣間見える瞬間、を描いた作品集だと言ってもいいかもしれない。
    なぜそれと向き合うのか? なぜそこに見出すのか? ギリギリのところまで登り詰める、あるいは深い深い海の底まで潜っていくことの意味が、ゲームのプレイヤーを通して、そしてゲーム自体を通して語られる。
    それらがたどり着くのは勝敗という結果だが、そこに至る道筋は「創造」であるのかもしれない。

    私は盤上遊戯・卓上遊戯に関して全く無知なのだが、どの話もとても興味深く読んだ。
    一番好みだったのは「人間の王」。なぜ、という理由をとことん追求しており、とても引き込まれたお話だった。

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著者プロフィール

1979年生まれ。小説家。著書に『盤上の夜』『ヨハネルブルグの天使たち』など多数。

「2020年 『最初のテロリスト カラコーゾフ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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