幽霊なんて怖くない BISビブリオバトル部

著者 :
  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488018214

作品紹介・あらすじ

夏休みに入った美心(びしん)国際学園(BIS)ビブリオバトル部は、造り酒屋を営む部員の家で合宿を開催する。お楽しみは夜、ロウソク一本の明かりだけで行われるビブリオバトル。テーマはもちろん〈怖い話〉。さらに、合宿明けの八月には、〈戦争〉をテーマに公共図書館でビブリオバトルを実演することに。部員たちは本を通して、体験したことのない〈戦争〉の問題と向き合う。本格的ビブリオバトル青春小説シリーズ! 著者あとがき=山本弘

感想・レビュー・書評

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  • ビブリオバトル部の2巻。
    部長さんが武人と語り合うシーンの一節に、「人の心を動かすには事実の羅列じゃダメなんだ。衝撃の大きさを感情として胸に刻み込まないといけない」といったようなセリフがあります。ふわっとした引用ですみません。ここのシーンは丸ごと、抜き出したいぐらいなんですよ。
    戦争映画とかで、ドラマチックにするとすぐに戦争礼賛だ、悪影響だ、と宣う人々が多い昨今。そこを入口にして、物事を調べていくことが大事だと思うんですよね。もちろん多角的にね。フィクションとノンフィクションどちらだけでも知識は偏ってしまうと思うので。
    空と武人の立ち位置がそれを表してるんだなぁ、と感じます。

    個人的には、何かと悪影響だから規制しろ、っていうのは教育の放棄だと思うんだよね。なぜダメなのか?を教えることができない、機会を奪ってしまってると思うんだよね。
    もちろん、ダメなものはダメだけど、それを自分たちはどうやって学んできたのか、って話ですよ。畏まった講演会よりも、身近な一言が響いたりするものだとは思うのだけど。

    そういえば、八俣町図書館のビブリオバトルで「軍靴のバルツァー」を知って読み出しました。
    なので、ミーナに一票です。

  • いや、幽霊は怖い

  • SFではないんです。けどこのシリーズのファンです。

  • BISビブリオバトルの青春小説シリーズの第2弾です。小説中に、ビブリオバトルの実況が、盛り込まれています。ビブリオバトルの普及を目指して書かれた小説です。
    https://www.honzuki.jp/book/227745/review/282810/

  • 今回のテーマは恐怖と戦争。戦争を扱う本の紹介にSFはありなのか? 
    フィクションだから書けること、ノンフィクションだから伝わること。相変わらずSFが読みたくなる。
    次の山場への繋ぎだけでなく、人物の魅力を新たに引き出す。

  • 「BISビブリオバトル部」の2作目となる本作では、「怖い話」と「戦争」をテーマにしたバトルが行われる。

    「怖い話」のビブリオバトルでは、空の紹介したジョン・ウィンダム『時間の種』に収録されている『強いものだけ生き残る』が面白そう。
    やはり空の話し方のせいでオチが気になる。
    食料の尽きた宇宙船の中で何が起こったのか……?

    武人の「生活保護」というテーマは難しい。
    確かに不正受給ばかりに目が行って、本当に必要な人にお金が回らないような事態は避けるべきだが、改正すべき点が多い制度であることも無視できない。
    パチンコやお酒に浸ってしまうような生活は被保護者として相応しくないと思う。
    制度上問題ないというなら、その制度がおかしい。
    ただ、本当に援助を必要とする人にとって、年に数回のハレの日も許されないのか?というと……。
    とまあ、だからこそノンフィクションの本も読んで教養を深めるべきということなんだろう。

    紹介が一番下手だったのは明日香。
    あらすじの紹介から本のテーマを提示するときに、開きがありすぎる。
    「そのあらすじからそのテーマになるのか?」という印象を受ける。
    本の内容を知っている人にとっては当然の流れなのだろうが、初めて聞く人にとっては飛躍を感じる、典型的な失敗パターン。
    ちょっと山本弘らしくない構成。


    後半の「戦争」をテーマにしたバトルは、特に難しいテーマ。
    どうしても、作者の主義主張が見え隠れしてしまうため、人によっては気持ち悪く感じるかもしれない。

    明日香の紹介したデーヴ・グロスマン『戦場における「人殺し」の心理学』は興味深い。
    人間は本質的には人を殺すことがむずかしい。
    しかし、「訓練」によって、それができるようになってしまう。

    武人の「戦争取材」をテーマにした本は、これまた難しい。
    戦争取材というものは、戦争の悲惨さを訴えるために必要だと思う。
    山本美香『戦争を取材する 子どもたちは何を体験したのか』によれば、それに加えて現地の人の心の支えになるという作用もあるらしい。
    「世界中のだれも私たちのことなど知らないと思っていた。」と語る現地の人にとって、自分たちの話を聞いてくれる存在がどれだけの助けになったことか。
    ただ、全面的な賛成は難しい。
    重要な仕事であっても、戦地で戦いに巻き込まれて殺害されたり、テロ組織に人質にとられたりすれば、新たな憎しみや争いを生むことにつながりかねない。
    「殺害されるリスクを負っても必要な仕事」とは絶対にならないと思う。
    それでも、現地のことを全く知らずに戦争取材を批判する人にはなりたくない。
    本を読もう。

    本作では「戦争×フィクションの限界」というのも大きなテーマだ。
    武人がそれを許さないという立場にあるが、登場人物たちの議論を見てきて、私はフィクションで戦争を語ることもありだと思う。
    確かに、フィクションでは現実の悲惨さを伝えることはできない。
    しかし、「人間はこうあるべき」という理想を描くことはできる。
    理想像に共感して人々がその姿を追い求めれば、争いの抑止力となりうる。

  • 夏休みに入った美心(びしん)国際学園(BIS)ビブリオバトル部は、造り酒屋を営む部員の家で合宿を開催する。
    お楽しみは夜、ロウソク一本の明かりだけで行われるビブリオバトル。
    テーマはもちろん〈怖い話〉。
    さらに、合宿明けの八月には、〈戦争〉をテーマに公共図書館でビブリオバトルを実演することに。
    部員たちは本を通して、体験したことのない〈戦争〉の問題と向き合う。
    本格的ビブリオバトル青春小説シリーズ! 

  • 今回は、夏休みなのであまり学園らしさはなかったけど、家でのビブリオバトル楽しそうだった。お父さんが特に(笑)。

  • ビブリオバトル部シリーズ、第2弾です。
    今回は怖い本と、戦争をテーマにした本でのビブリオバトルが繰り広げられました。
    戦争がテーマの方は、少し重めでした。でも、フィクションだからこそ伝えられることがある。どんな不謹慎な考えでも、それを抱くのは止めることはできない。この2つが深く心に残りました。

  • 市図書館にて。

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著者プロフィール

元神戸大学教授

「2023年 『民事訴訟法〔第4版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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