千年の黙―異本源氏物語

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著者 : 森谷明子
  • 東京創元社 (2003年10月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488023782

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千年の黙―異本源氏物語の感想・レビュー・書評

  • 面白かったです。
    紫式部が探偵役で、第1部の帝の愛猫が失踪した事件、第2部の『源氏物語』の『かかやく日の宮』の帖が消失した事件の謎を解き明かすお話です。ワトソン役の式部の女房あてきが溌剌としていて読んでいて楽しかったです。
     “かかやく日の宮”が何故無くなってしまったのか、その背景や『源氏物語』がどのように広まっていったのか等、当時の様子を想像出来てとても興味深かったです。藤原道長や中宮定子、中宮彰子も登場しましたが、抱いていたイメージとは違っていて、益々この時代に興味を持ちました。

  • 2015年10月16日読了。
    とても良かった!源氏物語を少し勉強した者にとっては、驚きと感心がたっぷりある。描写の現代よりなところは、読みやすさ、ということで。

  • ひと言でいうと紫式部が謎を解く話。
    この時代が好きだったり、源氏物語を読んである方には読みやすいかもしれません。
    ミステリーとして読むと、謎や展開が読めてしまうため話がまどろっこしく感じてしまいました。
    平安のこの世界観が好きな方には面白いと思います

  • 「白の祝宴」の少し前のおはなし、こっちが先だったのね。
    彰子はまだ入内する前、式部がまだ女房として使える前のおはなしで、
    登場人物はかなりかぶっているのだけど、呼び名や役職が変わったりでややこしい。
    こっちにも相関図つけてほしい。

    第一部の「上にさぶらう御猫」では、香子(式部)とあてきが帝のご寵愛の猫が消えてしまった謎を解いていきます。
    出産で宿下がりしている定子中宮と入内を控える彰子様が、とても素敵で本当にこんな関係だったらいいなぁと。
    幼いあてきの恋心もほほえましい。

    第二部の「かかやく日の宮」は、消え去った「源氏物語」の幻の巻を巡るお話で、すごくおもしろかった。
    物語の内容と時代背景と合わさって、とても興味深い展開になっています。
    紫式部の聡明さと思慮深さはもちろん、あてきが小少将と名を変えてすっかり女性ぽくなっているのもよいですね。

    どちらも、その裏には結構いやらしい思惑や切ない思いが交錯していて、やるせない部分もありますが、女性たちがなかなか逞しくて凛々しいとこがいい。
    政の道具にされても強かに生き抜いてほしいと応援したくなります。
    源氏物語を、改めて読んでみたくなりました。
    今読むと、いろいろ印象が変わりそうです。

  • 続編を読む前に再読。
    やっぱり凄い。

    香子は勿論のこと定子も彰子も、出てくる女の人たちが素敵。
    あてきといぬきは可愛くて和む。岩丸も。

    道長は悪い人ではないけど、嫌な人だな。
    子供を使うなんて最低。それに対する式部の意趣返しが凄い!流石!

  • 平安時代を舞台にしたミステリー。探偵役は紫式部。
    いわゆる「日常の謎」を題材に、紫式部が冴えた推理で解決します。
    一番の眼目は 源氏物語の「かがやく日の宮」の巻消失にかかわる謎でしょう。源氏物語を少しかじったことがある方なら、たいへん興味深い内容になっていると思います^^ 

    個人的には 要所でちらりと登場する藤原実資が いい味出してるなあ・・と(笑)

  • 紫式部が探偵でミステリで、時代は当然平安時代。
    読むのにどこか不安を抱いてしまいそうな要素ですが、現代的に色づけされた登場人物たちと、わかりやすい謎と謎解きの設定、そして舞台装置として興味を持たせるこの時代ならではの様相がそれぞれ良い具合に混ざり合って、とても楽しく読めました。
    源氏物語をあまり知らなくとも、知りたい、読みたい、と興味を抱かせてくれるつくりになっています。それはまあ、なかなか難しいことですけど、さすがに。
    全体を読みきって見えてくる真相の深さには、なかなか余韻があって後を引きます。彼女のそのひとへの深い愛情を考えさせられます。なぜ、「かかやく日の宮」は散逸したのか。その命題のとても魅力的な答えとして、この真相は覚えていたいなと感じました。

  •  安楽椅子探偵に扮する紫式部の手によって、都に派生した不可解な謎が紐解かれる、王朝ミステリ。
     『平安時代×推理物』という新鮮な舞台設定であっても、当時の風物や彼女らの生活描写に浮つきはなく、寧ろ、容易に動き回ることのできない女性の立場の不自由さを活かした堅実な展開に好感が持てる。
     「源氏物語」を流星の如く初期から絶賛された人気大作として扱わぬ慎重さも良い。
     何より、物語が著者の手を離れて独り歩きしてしまう怖さや、第三者によって不用意に蔑ろにされる絶望や憤りは、現代の物書きにも通じる心情だろう。
     また、解説にもあるように、源氏物語の誕生と流布の過程を、現代の同人誌隆盛の状況と重複させるのも、心当たりのある読者には納得しやすいのではないだろうか。

  • 紫式部が探偵役としてささいな、思えば小さい謎を解決していく話。

    実際の源氏物語を書かれた背景に登場する人物が多く出てきたりするのですが、紫式部が誰の娘やら、当時の帝は誰やら、この時代のこの人の立ち位置だと周りはこうなるやら把握していないと、それを知っている前提で話が進むので、そこらへんが少し難しかったし、「探偵役は紫式部であるべきなのか?」などの疑問はありましたが、普通に平安時代に興味があるなら面白いと思います。

    しかし、二段で書かれているのでやっぱり最初は尻込みしてしまいました(笑。

  • 後に紫式部と呼ばれる女性のお付きが主人公。「源氏物語」をしっかり読んでいないので、肝心のところがいまいちでしたが、内容は面白かった。章が変わって時代も変わり、後日談的なこともわかってよかった。(主人公が好きになったので)

  • 紫式部がまだ紫式部と呼ばれる前、源氏物語をこの世に表しつつ、身近な謎を解いていく話。
    源氏物語についての謎も大筋に含まれる。
    面白かった。

  • おもしろかった!

    源氏物語自体はあんま好きじゃないけど。
    何度も読もうとして挫折したし。
    笑う大天使、じゃないけど、光源氏、どー考えてもただの女好きにしか
    みえないし・・・・。
    まあいろいろその時代の文化、とかあるんだろうけど。

    でもこの本中で紫式部が自分の物語に対してもっている、
    情熱、とゆーか、そーゆーとこが好き。

    あてき、とゆーのはどういうアクセントで呼べばいい名なんだろう、と思う。
    香と宣孝の仲むずましい感じはほほえましくて心があったまる。
    あてきと岩丸が結ばれていたのも嬉しかった。
    けれど2人とも先に逝ってしまったようで、
    物悲しくもある。

    やはり彰子さまが素敵。
    あの堂々とした感じはすごいぞ。父、超えてるぞ。

    清少納言が小うるさい女房で登場、にちょっと笑う。

    権力を手にすること、手にし続けること。
    ちょうど彩雲国シリーズを読んでることもあって
    ちょっと考え込んでしまった。
    もっと違うところに考えめぐらせろよ、世の権力者よって感じだ。
    今も昔も現実も物語も結局は同じようなものなのかも。

    物語が現実になることも現実が物語になることも。
    結局は人がすることに違いはないのだから。

    源氏物語を知らなくても十分に楽しめる一冊。
    森谷さんはたしか以前教授もので読んだような気がする。
    あれよりはこっちの方がおもしろかった。

  • 「せんねんのしじま」 何て素敵な響きでしょう。題名はその本を読むかどうかというときの気分を、かなり左右します。この小説が鮎川哲也賞をとったときの題名は「異本・源氏 藤式部の書き侍りける物語」です。「千年の黙」の方がずっと良いと感じました。それに実はそのものずばりを表している題名なのです。読み終わるとこの題名の意味がとてもよくわかります。

    『源氏物語を書いている紫式部の物語。

    第一部でまだぽつぽつと源氏物語を書いている時に、ちょっとした日常の謎的な話が展開するが、これについてはこの物語の人物や背景を読者に分かってもらう為に書いたように思う。導入部にしては本の半分くらいを占めているが。

    いよいよ第二部で、ある程度まとまった形になった源氏物語は、中宮様に献上される。そこから写しが作られ、世間に広まっていくのだ。そして気になることがおきる。時々物語の内容について、辻褄が合わないとか、よく分からないなどの話が伝わってくるようになる。書いた式部にはなぜそのような疑問がおこるのかが分からない。事実関係はきちんと書き込んだつもりなのに。
    そして分かった事。世間に広まった写本には書いたはずの「かかやく日の宮」の巻が欠けている。11帖献上したはずなのに、なぜか10帖しか広まっていない。一体なぜこんなことが起こったのか?

    この真相はとても重いものだった。しかし式部はそれを明らかにしようとはしなかった。式部はそれを乗り越え物語を書きつづけることで、なくなってしまった巻を補い、物語が評判になることで二度とそんなことが起きない道を選んだ。そしてまた巻の名前だけの物語を、今度は式部自身の手でつくりあげる。たった一人の人物のために。』

    今まで源氏本をたくさん読みましたし、紫式部についても書かれたものも読んできました。でも今回これを読んで、式部のイメージはこれで固まってしまいました。物語を書いている喜び苦しみが伝わってきて、本当に式部のそばにいるようでした。
    桐壺のあたりの内裏の描写は、今の研究でも、実際と違うのでたぶん式部は本当の事を知らなかったといわれています。だったら当時の人から批判がおきないはずがありません。その批判を受け止め、一生懸命知らない場所の取材をしようとしている様子など、身につまされます。
    あてきの夫になった岩丸の名前が、義清だったのを読んでもう嬉しくなりました。義清のモデルはここにいたのね!って。端役ですが、源氏が須磨に隠棲したとき付いていった家臣の一人で、ちゃんと名前を呼んでもらってた人に義清がいたんですよ。
    雀の子を逃がしたのはいぬきだったし。
    本当は逆だけど、でもきっと身近な人でモデルになった人はたくさんいたんだろうと思えます。あんなにいっぱい登場人物がいるんだし。

    物語とは直接関係がないのですが、時々出てきた実資が、愛すべき人物で気に入ってしまいました。私はこの人の日記は何かに引用されたものくらいしか読んだことはないのですが、すごくマメに記録をつけていた人ですよね。当時の貴族はみな子孫のために記録を残していたようですが、この方のものは今でもきちんと残っているほど資料として役立つものだったようです。その性格があの呟きによく出ていました。

    「かかやく日の宮」については、私は以前からこの巻きの名前だけ、他のものと何となく違うので、やっぱりなかったんじゃないかと思ったりしていました。でもこの物語では、最後にそこのところまで含んだ展開になっていて、すごいと思いました。ともかく読んで良かったなあという話でした。

  • 平安時代を舞台に、紫式部を探偵役にしたミステリ。

    第一部は失踪した猫を探すという日常の謎系のお話。

    ワトソン役である、紫式部に仕える女童のあてきをを中心に登場人物が生き生きと描かれている。
    あてきが情報収集のためにいろんな御屋敷を動きまわり、都の大路を駆け回る情景が鮮やかに浮かんでくるので、わくわくしました。
    源氏物語が書かれた当時の雰囲気を味わいつくすことができます。

    第二部は今でも文学史上の謎である源氏物語の幻の巻に迫ったミステリ。

    源氏の一巻「輝く日の宮」の写本が出回っていないことに気付いた式部とあてき。
    真相をめぐり、式部は権力者と対峙する。

    物語というものは、一度作者の手を離れてしまえばもう読者に託すしかない…という式部の作家としての葛藤と矜持。
    式部のそんな覚悟が、千年の時を超え、物語を通して読み手に響くのかもしれないと思うと、本好きとして鳥肌が立ちました。

  • 前半のミステリー部分はやや小粒な印象だが、ここで魅力的に描かれた登場人物たちが、後半でさらにいきいきと輝いてくる。紫式部や清少納言、藤原道長など有名どころの人物たちの性質もうまく表現していて、面白かった。紛失した帖の謎にせまる展開もすとんと胸に落ち、大満足。

  •  後に「源氏物語」として名を残す物語を書き始めた、大国越前の国守の姫につかえる「あてき」は、猫の大好きな元気いっぱいの少女。
     ある朝、猫を追って柿の木から降りられなくなったあてきは、左大臣の手紙を持って屋敷に来た少年岩丸に助け出される。以来、彼のことが気になってしかたがないあてき。
     その頃、中宮定子様の猫、そして道長の娘彰子の飼い猫が続けていなくなるという事件が…。しかも、定子様の猫は、帝に位までいただいた冠付きの猫なのだというのだから大変。やっきになって猫泥棒を探す役人たちだが、猫の行方は一向に知れず…。そんな中、左大臣の屋敷づとめを解雇された岩丸が猫を抱いていたのを思い出したあてきは、不安になり、御主に打ち明けるのだが…。

     物語は「上にさぶらふ御猫」「かかやく日の宮」の二部構成になっており、前半は少女あてきを主人公に、紫式部が安楽椅子探偵を務める軽めのミステリ仕立て、後半が源氏物語にあってのではとされる幻の「かかやく日の宮」をめぐる壮大な物語となっています。
     時代背景や人物の相関関係(そして古典的な知識)がある程度頭にないと苦労するので、「小袖日記」と比べるととてもサクッと読める物語ではありませんでしたが、「源氏物語」に実際はあったのではとされる「かか(が)やく日の宮」の物語がどんな物語で、なぜ?誰によって葬り去られたのか?という「謎」解きはかなり魅力的でした。
     ミステリとして秀逸でありながら、あてきという主人公の「女の一生」という風にも読めるし、定子と彰子、彰子と道長などなどその人柄や思惑などにも興味深いものがあって、なかなかのボリューム感です。

     印刷技術がまるで存在しなかった時代、物語はこのように伝えられ、また人々の気持ちを潤していったのだと感慨深い気持ちになりました。

  • 中宮定子の愛猫が行方知れずになった。あてきの御主さまの夫・宣孝さまがその捜索に当たられたが、猫は一向に見つからない。そんな中、いつも藤原道長卿からの文を言付かってくる、あてきがちょっと気になる少年・岩丸が勤めを解かれてしまい・・・「上にさぶらふ御猫」

    「桐壷」と「若紫」の間にあったとされる幻の一帖。「かかやく日の宮」と名付けられ、藤原定家の著書の中にしかその存在を留めないものがたり。そのものがたりはなぜ消えてしまったのか?謎を解き明かしながらも消えるにまかせた式部の心境とその後の道長とのやりとりに心震わせる「かかやく日の宮」と「雲隠」

    「御猫」の謎ときはそんなにぐぐっとこなかったのですが、「かかやく~」と「雲隠」は面白かった!
    道長の冗長っぷりにムカついていたので(昔も今も、政治家ってぇヤツは・・・!!)、「雲隠」を読むとスカッとしました。
    でも確かに謎めいた曖昧な部分があったことも、『源氏物語』を後世に残す要因の一つだったかもしれませんね。
    結果オーライとはまさにこのこと。
    あてきのお友達のいぬきちゃんが、いつか幸せな出会いを迎えることができたなら、尚の事うれしいんですけどね~。
    後日談は想像して楽しみます、うふふ。

  • 読み終わってからタイトルを見ると、何だか溜息が出る。平安時代の宮中というと華やかなイメージがあるけど、結局は生臭い権力抗争の場で。
    あてきや紫式部、彰子等々、人物が魅力的でした。

  • 紫式部を探偵役にしたミステリです。
    第二部は源氏物語には『かかやく日の宮』という失われた巻があったという論に基づいています。
    もし在ったら?
    どのような物語が描かれていたのでしょうか

    鹿児島大学スタッフ(木)

  • 鮎川哲也賞(2003/13回)・「異本・源氏 藤式部の書き侍りける物語」を改題

  •  帝の猫が消えた。その後、大臣家の猫も消えた。藤原香子につかえる女童のあてきは道長様から暇を出された岩丸への疑いを晴らすため奔走する。
     小侍従から源氏物語に関する疑問点を聞かれ、写本の源氏物語に『かかやく日の宮』が足りないことに気づく。そのわけを探っていく。

     紫式部があまり好きではなかったのですが、この本を読んでとても印象が変わりました。式部に仕えていたあてきは幸せものだなと思いました。定子も彰子も恵まれた人物かと思っていたのですが、定子はなかなか苦労していたんだなと知りました。道長は思った通りの人柄で、歴史上の人物たちがいきいきと動く姿を読めるのが楽しかったです。
     書き上げた物語が自分の手を離れてどうなっていくのか…という部分が印象的でした。思いをこめて書いたものが勝手に変えられてしまうのはひどいことだと思います。いつの時代でもありえることだと思いました。

  • 2010/04/08:平安時代や源氏物語の知識があるとより楽しめます。

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千年の黙―異本源氏物語の作品紹介

闇夜に襲われた中納言、消え失せた文箱の中身-。幾重にも絡み合った謎を解き明かす紫式部の推理を描いた第一部「上にさぶらふ御猫」、『源氏物語』が千年もの間抱え続ける謎のひとつ、幻の巻「かかやく日の宮」-この巻はなぜ消え去ったのか?式部を通して著者が壮大な謎に挑む第二部「かかやく日の宮」。紫式部を探偵役に据え、平安の世に生きる女性たちの姿を鮮やかに描き上げた王朝推理絵巻。第13回鮎川哲也賞受賞作。

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