アンジャーネ

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 132
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488024703

感想・レビュー・書評

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  • 祖母が管理していた外国人向けのアパート通称ランタン楼を引き継ぐことになった瑞輝。

    国籍も様々でそのつど入れ替わる入居者7名のランタン楼で起こる事件に関わりながら自分の成長していく瑞輝。

    ベトナムのハーフのフォンが姉のクワンを入れ替わって同居していたカラクリ。

    ブラジル国籍のマルシオが農園の瀬戸さんを慕っていた本当の理由と、度重なる嫌がらせの理由と彼が平凡な日々に収まりきれなかったこと。

    ランタン楼に転がり込んできた旧友と一緒に
    キャバクラのバイト代を払ってもらえない中国人の淑英に家賃をもらうために人肌脱いだこと。

    近所で多発していたゲリラ落書き消しと
    傷をおった女性たちが行ったゲリラ写真展に関わっていたイラン人のジーラがかつて愛していた親友の後悔と懺悔。

    ランタン楼で起きた窃盗事件でボブと一悶着あり、
    それを仲裁してくれていた韓国人のスジョンが計画していた死んだ水商売仲間の敵討ち。

    かつて101号室の入居者で行方不明になった兄のナオキを探しに祖母と交流のあったソウジロウさんと
    近所で起きた死亡事件の隣人同士のやり取りでわかった孤独。
    それをきっかけに瑞輝がすぐ近くで見つけたナオキさんの亡骸

    映画の撮影場所に使用されることになったランタン楼での日々と、アパートに買い手がついたという不穏な知らせと瑞輝に迫る身の危険の真相。

    これ、2回目。。。
    長く書きすぎて1回目は見事に消えた、、、

    面白かった。
    価値観の違う人たちが住むことの大変さと
    彼らがそれぞれに抱えている故郷への想いと孤独感が滲み出て、なんとも哀愁漂い切ない。

  • 2014/9/27図書館から借りてきた。

  • 【収録作品】1/4/ジロ/海亀/バルザフ/テリンノム/住人祭/エキストラ

  • 祖母が残した外国人向けアパートの大家をする事になった青年の奮闘記。問題を起こす店子たちや近隣の人々との交流を経て自分の進む道を見出していくほんのりミステリー風味の連作短編集
    ただの良い話で終わらないところが良い。

  • +++
    祖母・梅の危篤の知らせを受けた瑞輝は、北関東のとある町にやってきた。ひとまず持ち直し、親族一同ほっとして囲んだランチの席で、無職で閑人の瑞輝に、梅が経営する外国人向けアパート「ランタン楼」の大家という、面倒な仕事が押し付けられる。昔から入居者のトラブルが続き、近隣から迷惑がられているランタン楼だが、細くても背が高い瑞輝なら見劣りしないから大丈夫、と軽い調子で。喧嘩や夜逃げは当たり前、警察沙汰も珍しくないランタン楼の歴史に怯えつつ、慣れない大家業をはじめた瑞輝だが…。異国の地で懸命に生きる入居者たちと交流し、その窮状に知恵と度胸で関わるうちに、瑞輝の心にも大きな変化が訪れる。ランタンのともる古い洋館風のアパートを舞台に、気鋭の著者が優しい眼差しで綴った、国際色豊かな連作短編集。
    +++

    北関東のとある町の外国人向け安アパートが舞台、という設定にまず興味を惹かれる。時に警察のご厄介にもなり、近所の住民とのいざこざも多々。そしてなによりランタン楼の中でのトラブルも日常茶飯事なのだという。そんな厄介なアパートの管理人なんて、何が哀しくて引き受けなくてはならないのか、と思うが、瑞樹は当然のように――しっかりした覚悟があったわけではないが――引き受け、頼りなく覚束ないながらも、なるべく平穏に暮らせるように心を砕くのである。そんな一風変わった日常に挟みこまれる謎も一風変わってはいるが、成り行きとは言え曲がりなりにも大家である瑞樹の店子を思う気持ちと、周りの助けによって解決へと導かれるのである。日本であって日本ではないようなエキゾチックさが漂う一冊でもある。
    タイトルは以外にも外国語ではなく、関東北西部などで使われる方言「あんじゃあねえ」(案ずることはない、大丈夫だの意)なのだとか。それさえもが物語の雰囲気を表していると言ってもいいかもしれない。

  • ランタンのともる古い洋館風アパートを舞台とする国際色豊かな連作短編集

    外国人向けアパートであるなら起こりそうな数々のトラブルも
    面倒事ながら
    向き合ってくうちにできる交流がいいなぁ、と

    代理大家の成長ぶりもいい感じ♪

  • ん・・・
    大家と店子の関係がドライ。な割には、事件に巻き込まれる。人情故か?
    いまいち感情に実感が伴っていない、というか・・・

  • もう少しこの方の本を読んでみようと思います。ほのぼのしてて好きでした。

  • 大家さんていうのは、結構大変だと思うのだ。
    それが、住人が多国籍になると、
    それは、もう、日本の常識は通じるまい。

    中国人のおばあちゃんから引き継いで
    いろんな国の人が住む、
    アパート「ランタン楼」の大家さんになる主人公。

    骨がないようなあるような、
    やる気があるようなないような。。
    なんとなく生きてる風の青年が、
    心にいっぱい栄養をつけていく、そんな話だった。

    でも、出てくる人が外国人なだけに
    日本人の素敵な人情話、というわけでなく、
    ちょっとビターな部分が加わる。
    いや、やっぱりビターって言うよりは、パクチーが入る感じ。

    謝ったら負け、みたいなところが、
    ありそうだなぁ、と思ったかな。
    すぐ謝っちゃう私は、外国では生きてけないなぁ。

    いい青年だ、とっても。おばあちゃまも、きっと。

  • 祖母の残した外国人向けアパート「ランタン楼」の大家をすることになった青年の話。連作短編集。

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著者プロフィール

1964年、埼玉県生まれ。群馬県立女子大学文学部美学美術史学科卒業。2004年、「紅雲町のお草」で第43回オール讀物推理小説新人賞を受賞。著書に「紅雲町珈琲屋こよみ」シリーズ『誘う森』『蒼い翅』『キッズ・タクシー』がある。

「2018年 『Fの記憶 ―中谷君と私― 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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