夜の国のクーパー

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著者 : 伊坂幸太郎
  • 東京創元社 (2012年5月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (404ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488024949

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夜の国のクーパーの感想・レビュー・書評

  • モーツァルトのオペラ作品で言えば『魔笛』、
    シェイクスピアで言えば『テンペスト』のような、寓意に満ちた物語。

    数ある伊坂さん作品の中でも、
    リアルな道具立てで緻密に紡がれるタイプの作品がお好きな方には
    「なんじゃこれ???」かもしれませんが、私は好きです。

    さりげなく並行して描かれる鉄国と「この国」、猫と鼠との関係に
    支配し、支配される社会の縮図やいじめの構図が浮かび上がり、
    語り部となる猫トムの視線に、伊坂さんらしい風刺と批判が静かに滲み出て。。。

    冒頭で、喋る猫トムが一番に主張するのが
    一見吞気で太平楽に見える猫の欠伸が、実は不安や恐怖を感じて
    なんとか落ち着こうとしている時であったりするのだ、ということだったり

    為政者の首がすげ替えられた途端、あっけなく激変する社会の欺瞞を見抜くのが
    たくさんの目が模様として帽子の鍔についている「複眼隊長」だったり

    積み重ねられるエピソードの中で
    自分の目線や常識に捉われて、何の気なしに下していた判断が
    実は如何にあやふやなものであったか気づかされます。

    猫らしい気儘さ、クールさを持ちながらも人間のために奔走し
    鼠との約束を律儀に守ろうと生唾を飲んで耐えるトムがなんとも愛おしく
    複眼隊長の「みんなで帰るか」の台詞は震えるほどかっこよく

    帰りたい場所は自分で選択するもの。
    そこに向かって一歩踏み出すのもまた自分なのだ、と深く胸に刻む
    伊坂さん渾身の「夜の国」の寓話でした。

  • 独特なテンポでゆったり語られる寓話的な作品。
    何か頭をかき回されて、考えさせられるような内容。
    猫の視点での部分が、かわいくて面白い。

    悩みを抱えた「私」は、仙台から舟をこいで海に出たが。
    気がついたときには蔓でぐるぐる巻きにされ、胸の上には子猫が乗っていた。
    トムと名乗る猫に、話しかけられ‥?

    猫のトムが住む国では、鉄国との8年にわたる戦争が終わり、鉄国に支配されることになったらしい。
    鉄国の兵隊が乗ってきた馬というものも、初めて見る動物だった。
    王である冠人(かんと)が心配することはないと広場で皆に話していたのに、鉄国の兵隊は冠人に銃を向ける。
    冠人の息子の酸人は、鉄国に取り入ろうとする様子。
    外出禁止令が出るが、人々はひそかに頑爺の家に集まり、今後のことを相談する。
    猫達も何気なく傍にいて、ずっとそれを聞いていた。

    国の外にある杉林の中で、巨大な杉が一本だけ、ある日動き出すという現象が起きるという。
    クーパーと呼ばれるその杉を谷底に落とすために選ばれるのが、クーパーの兵士。
    それは名誉なことだったが、兵士が故郷に戻ってくることはない。
    ただ本当に大変な危機になったとき、クーパーの兵士が町に戻ってくるという言い伝えもあった。

    猫にとっては、鼠は、見れば身体に震えがおきて追いかけずにはいられなくなる存在。
    ところがトムは鼠に話しかけられ、襲わないように約束してくれと頼まれる。鼠が話せるとは知らなかった猫達。
    本能だから、仲間を説得するのも難しいのだが。

    クーパーの兵士は本当にいるのか?
    鉄国との戦争とは?
    鼠と猫の関係は変わるのか?
    どっちへ転ぶかわからない前半は、??と思いつつ、ひたすら読み進むしかありませんが~後半の展開はなかなか読ませます。
    2012年5月発行。
    書き下ろし長編としては10作目だそう。

  • 妻に浮気を打ち明けられ、憔悴する男の前に喋る猫が現れる。猫が語り出す戦争の物語とは…

    黒金虫の毒などの策を弄するも鉄国との戦いに敗れ、国王冠人は射殺、その息子酸人は保身のため鉄国の戦士側に媚び…。不安や怒り、恐怖に慄く人々。

    唯一の希望は「クーパーの戦士」が透明になって戻ってきた可能性のみ。蛹に変態し、 凶暴化する杉の木クーパーを追い詰め、その体液を浴びると透明になるという言い伝え。

    猫と鼠。本能によって狩るものと狩られるもの。強者と弱者。見えていた世界が色を変える瞬間。

    新年になり、立て続けにこんな作品を手にしたというのは何らかの示唆なのだろうか。今まで信じてきた価値観、思い込みについて改めて考え直す転機なのかもしれない。

  • お伽話のような、落ち着いたテンポで語られるファンタジーな物語。
    深読みすれば、独裁国家が国民を統べる為、情報操作という手段を必要とする流れを感じさせたり、体制のためにスケープゴートを発想する独裁者の保身の構図とかが、作者のあくまでも仮説的な域の範囲で、実に丁寧に織り交ぜられていて良かった。
    この手法や表現方法において、鼻につく読者がいるとは思うけど、自分としては伊坂テイストが好きなもんで、軽さ、匙加減、優しさでこのテーマを描ききった事に100点花丸を飾りたい。

    そして、伊坂さんの技術の高さを改めて痛感させて貰えた作品だと思った。
    まず、この作品では最後までストーリーのテンポが一定で見事。迷作「あるキング」で習得か?「クーパー」の世界を成す為に最も重要な技術だと感じた。
    そして、文字でのデッサン力。クロッキー的でもある動の描写が見事。鉄則「不要な線は描かない」で仕上げられる見事なクロッキーを文字で見せてくれるから凄い。「マリア~」で見せた座席に座りながら格闘する描写や、クライマックスでスローモーションにさせる技術にも舌を巻いたけど、「クーパー」ではそういう派手なシーンは無いが、猫の仕草や動作、猫主観の馬の表現にうっとり心をくすぐられたり、尺度の対比の「妙」の空間を文章でしっかり見せて貰えた。

    中盤からスケールの違いのトリックに薄々気が付いたけど、所詮それは瑣末なことで、上質なお伽噺がその存在の意義を持つように、やさしく煌めく生命を持った作品だったと思う。
    ラストの湾でのトム君とのやりとりに涙。会いたい人を思い、会えることを願い行動する。一番大事な事なのかもね。

  • 猫が語り部、ある架空の国の話。
    戦争で負けて、隣国”鉄国”に支配されるようになったところから物語は始まる。何もしないといったのに、鉄国の兵士が来て早々国王が殺され、住民は戦々恐々とし始める。兵士を殺すためにはどうすればいいのか、自分たちが助かる道は-そのとき人々は、”透明になる”という伝説のクーパーの兵士を思い出す・・・。
    という話。

    面白かった!
    でも、伊坂さんの話にしては、ちょっとわかりやすかったかな。
    ねずみが猫に取引を持ちかけた時点で、もしかしたら鉄国とこの国も同じ関係にあるのかもしれないと気づいてしまった。
    ちょっと幻想的なのにチャレンジしたかったのかもしれないけれど、個人的にはギャングシリーズみたいな、もしかしたら隣のあいつ何かやってるかも・・・的な現実に即したもののほうが好きだな。

  • 調べると「クーパー」というのはどうやら「桶屋」のことらしい。すると題名の『夜の国のクーパー』はいったいどういう意味なのかしら!? と,まあそういった感じが全体に臭う不思議な小説である。ありきたりではあるが伊坂幸太郎という名前がなければ決して読みはしない作品なのであろう。
    しかぁしこの作品は結構面白い。のっけのなぜクーパーなのか、といった疑問にもキチンと答えてくれるし、ああ次はどうなっていくのだろう、という物語読みのドキドキ感もちゃんと備えている。
    この物語を「書き下ろし」という遣り方で制作した伊坂の幸太郎ちゃんに、はい拍手。
    でもしかし、その伊坂の幸太郎さんは少し気取ってるのね。強く大江健三郎氏の作品を意識しました、なんてね。これぢゃまるで。わたしは将来ノベル賞をとって世界平和に貢献したいです!ってキッパリ言ってるのと同じだもんな。
    まあ,大江健三郎の様にわ成りたいけれど,いつまで経ってももがき苦しむ味噌蔵作家中毒のコータロー,です。 ♪走れぇ走れぇコォタロぉー 本命穴馬かき分けてぇ~♪ いやこれは違った。すまんこってす。すごすご。

  • 猫と小国の話。
    ファンタジー的な話かと思いながら読んだけど、政治的、哲学的な感じだった。
    オーデュボンの雰囲気を持たせながらも、最近の伊坂作品みたいな思想的表現が多く感じられた。

    ハラハラさせられる展開としてのストーリーとしては求めてたものと違ったけど、考えさせられる内容としては満足だった。
    最近の伊坂作品の傾向?として、単純に話が面白いとか、そういう問題じゃなくて、生きていく上で直面する大きな問題に、どのような姿勢で臨むのかとか、どう行動すべきなのかとかを考えさせられるものが多い気がする。

    当たり前と思ってる物を改めて見つめなおすこと、自身の判断で意思をもって行動すること、とかがテーマっぽい。

  • 人畜無害な小説だが、本棚にあえてこの本を入れる必要はないという程度の面白さ。
    これを読むなら、スウィフトを読んでおけば充分では。

    私がこの小説を評価しない点は、以下:

    ・文体が平易を通り越して冗長なうえ、単調。

    ・この展開にこれほど枚数が必要だとは思えない。単にトリックを見せるだけなら短編でいいし、見知らぬ国を描くなら、もっと細部を描くべきだ。

    見る人が違えば見える景色も異なるというテーマは理解できるし、面白いとは思う。だが、観察者による景色の見え方の違いについて、うまいポイントで転換できなかった、という印象が残った。
    小説に仕掛けられたトリックにうすうす感づいてしまっていた、というのが、鮮やかなどんでん返しという印象にも巧妙な作りこみという印象にも繋がらなかったのだろう。

    (27072012改訂: 単に「嫌い」というだけの感想をひっこめました。)

  • これは一体何なんだろう?
    驚かれるかもしれないが(誰に? ああ、また使ってしまったこのフレーズ……)伊坂幸太郎初読である。
    机の脇の小さな書棚からは、彼の「ラッシュライフ」という文庫本のタイトルが目に飛び込んでくるというのに。
    だいぶ前に本屋で買ったものの、いわゆる積読本のままである。
    私の書棚には、このような積読本がおそらく50冊以上ある。
    まあ、すべて文庫だけれど。
    文庫は安いのでとりあえず買って、ついついそのまま放ったらかしにしてしまう。
    まったく悪い癖だ。
    で、本題に戻る。
    これは何だ? ホントに。
    現代の御伽噺? 寓話? 無国籍童話? ファンタジー系児童文学?
    とにかく不思議な作品だ。このような小説を読んだのは何年ぶりだろう。
    おしゃべりする猫が主役。鼠も登場。唯一出てくる人間は仙台から釣り船で流されてきたダメおやじ。
    ガリバー旅行記か? これは。
    伊坂幸太郎は現代の宮沢賢治かと思った。

    読み始めて数ページしたら、到底読みきる自信が無くなった。苦手なのだ、こういう作品は。
    それでもせっかくの新刊なのだから(しかも5月30日発行だから、一ヶ月も経たないうちにタダで読んでいるわけで)、この恩恵を無駄にしてはいけないと自分を叱咤して、何とかページを捲った。
    すると、ふむふむ、とりあえず読めるではないか。
    ああ、そう、なるほど。こういう物語なわけね、と何とか物語世界に入ることはできた。
    最初は億劫だったページを捲る手も次第にスムーズになり始めた。
    そして、そのまま読了。
    はて、私はこれを読んで何を書けばよいのだろうと思った。
    レビュー? 私にこの作品のレビューは書けない。
    基本的に相容れない世界の小説だから。
    無理矢理に「この小説のテーマは」とか、「伊坂氏の世界観は」とか、「彼の文章表現は」とか、「彼はこれで戦争と国と人間のあり方を書いた」なんて、大上段に振りかぶって言えるわけもない。
    そんな無責任なレビュー書けません。
    ただ一言、言えるとしたら
    「ふーむ。伊坂幸太郎ってこういう小説を書くのかあ」ということだけだ。残念ながら。
    大学時代に、英国児童文学研究をしたとき、私が「ファンタジー」班ではなく、「リアリズム」班になった理由をあらためて思い知った。
    私の故郷である仙台を愛し、そこに住んでいる作家だというのに、この作風の作品は決定的に向かい合えない。
    何とも私自身が残念である。
    違う作風の作品もあるらしい「ラッシュライフはそっち系か?」ので、そちらで共鳴できるのを祈るばかりだ。

  • 主人公の猫のトム君の名前は、やっぱり、『トムとジェリー』からきてるんだろうか? ちょっと、気になった。でも、「仙台から漂流した公務員で少額の株取引を趣味としている妻に不貞された男」という設定の異様なリアリティさが現実と物語を繋いでいる。また、哲学者のカントの言葉の挿話は、やはりというか、どこか伊坂ワールドらしい。不思議だ、誠に摩訶不思議な物語だ。『ふしぎな国のアリス』くらい不思議だ。どこか不思議でどこかにあるであろうおとぎの国のお話

  • 鉄国の支配を受け続けている国のクーパー兵士の物語。
    猫とネズミとの関係と繋がっている。

    小説の世界観から置いていかれないように読み進めるのに苦
    労した。

  • 「夜の国のクーパー」
    クーパーを倒しに行く物語。


    動けない僕の上にちょこんと乗っている猫が言う。僕の話を聞いて欲しいと。


    もしかしたらトムの言葉を僕が理解出来ているのかも知れないが、どうやら鉄の国がトムの暮らす小さな国を支配しようと戦争をしかけてきているらしい。僕はこの不思議な状況を聞きながら考える。それは大変だ。でも僕は動けないんだ。


    ファンタジー溢れる世界観からオーデュボンの祈りやSOSの猿のような感覚を受ける。でも、鉄の国と言う呼名や住民、兵士の風貌、名前からどこか中世のようにも思えるし、クーパーと言う謎の怪物からは冒険ストーリーにも思えるから、上記二つよりは作品の幅は広く思える。


    個人的には、僕の役割が良かった。最後美味しい所を持っていくのも好きだが、猫と鼠の話を自分と妻に置き換えて関係修復を考える所や自分の弱さに自信なさげだけど「トムに助けると言っちゃった手間頑張るか」と最後決める辺りは、現実の世界での僕の生活や振る舞いを思い浮かべる事が出来る。


    猫の中では、ギャロが良い。トムはしっかり者だが、ギャロはお調子者。しかし、このギャロは最後にいい事しちゃいます。やるね、ギャロ。


    しかしながら、トムもギャロも人間の生活には興味を示さない。戦争をする人間には同情するが、だからと言って助けようと積極的に動くわけでは無い。彼らが動くのは、自分達まで襲われる可能性が出てきたからだ。ある時点までは、彼らは完全に野次馬なのだ。


    ここら辺がファンタジーぽくない。私はファンタジーに対して、善悪が分かれているイメージを持っていた。


    攻めて来る鉄の国やトムの暮らす国を支配するダメな王は悪で、クーパーを倒しにいった透明な戦士が善。そして、トムやギャロも気持ちは善で、攻め込まれる人々に心から同情し、何かしてやろうとするもんだと思っていた。


    しかし、そんな簡単に善悪があるもんじゃない。猫達も鼠達も人間と同じように善悪の中間に立ち得るのだ。そこに妙な苦々しい共感(現実)を感じた。


    ファンタジーならファンタジーにして下さいよ、伊坂さんw

  • とある小さな国の外にある杉林にいるクーパーという生き物。それを倒すために毎年クーパーを倒す兵士が選ばれる。兵士たちは帰ってこられないが国が窮地に陥った時、透明の兵士になって救うという…。始めの方は説明が多くて進まなかったが後半は一気に読めた。クーパーの兵士と攻めてきた敵国の兵士、小さな国の秘密とか、そういうことだったのか〜と思いながら読み進められました。

  • 猫好きにぜひおすすめしたい本。
    読むと頭のなかに毛繕いしている猫が浮かびます。

  • 正月休みのお供に久々にハードカバーを借りてみました。
    猫の語り部、ということでちょっと海辺のカフカを思い出しましたがお話は全然違います(当たり前だ)。
    なんだかふわふわと話が終わってしまったと言うような結局町の人たちは踊らされていただけで何もしないで終わったねえ、というような感想です。が、そう言えば主役はトム君、猫だから良いのかな?多分。
    面白くないわけでは無いのですがだから?と言われるとう~んと考えてしまう。そんな感想です。

  • 強固な壁に囲まれた小さな国。
    そこではクーパーと呼ばれる杉の化け物を退治する為、
    兵士が送り出されていた。
    そんな慣習も十年前に終わり、平和に暮らす人々。
    小さな国は鉄国に戦争で負け、鉄国の兵士がやってきた。
    国王を殺され不安と戸惑いで怯える国民達。

    国には言い伝えがあった。クーパーと戦った兵士は
    戦いの後「透明な兵士」となって姿は見えないが
    国が困った時に助けに来てくれる、と。
    これは、猫と戦争と、そして世界の理のおはなし。

    相変わらずのとぼけた会話が楽しく
    終始淡々と猫のトム君とひょんなことから知り合った
    妻に浮気された私。

    小さな鼠と猫の関係、世界、理が
    人間達にも当てはまるんじゃないか…?と
    徐々に気づかせる筆力はすごいな~
    前半は首を捻りながら読んだけど
    鼠と猫の関係や鼠のやり方に「あれ…?」と気づいてからは
    あっという間に読んでしまった…

    鉄国の兵士をおっぱらってくれ!と
    トム君がただの公務員である私に気軽に頼んで
    さっさと行っちゃった時はこれは「私は一体…?」と
    色々推理してみたけど、なるほどな~

    伊坂ファンならこの一見不思議極まりない
    まとまりのないようなふわふわした話が
    いつか形になって収まるぞ~とワクワクするだろうけど
    読みなれてない人は「何の話なの…」と困惑しそう。
    「伊坂幸太郎読んだみたいけどどれから読めばいい?」と
    聞かれたら勧めはしないな…

    でもとにかく猫好きなので猫が飄々と話してるだけでも
    ほんわかするし、猫がこういう風に仲間とやりとり
    していたら楽しいだろうなぁ…と思う。
    あと鼠の礼儀正しさも何だか可笑しい。

  • 猫が主人公…というか、猫目線で話が進みます。

    最初は何だか話の流れがよくわからなくて、なかなか前に進まなかったんですが、後半なってから、テンポ良くなったいうか。
    「うわっ!そういうことだったの~!!」みたいなカンジで、いろいろ回収されてきて、個人的にはスッキリした終わり方でした。

    非現実的な世界のお話なんだけど、意外とリアルな内容で、奥深いなぁ。と思いました。

  • 伊坂幸太郎への羨望の眼差し。。。(主にねこ描写)

    猫をお慕いしている皆々さまにつきましては、じったん!ばったん!受け合いですよ!!

  • 猫目線という珍しいスタイル


    猫と鼠の“平和協定”のくだりがきっと物語の重要なメタファーなんだろうなとは予想をつけていたが、終盤にその伏線が巧みに回収されていて読むのが気持ち良かった。

    とびきりユーモラスなキャラクターが登場するわけではないが、それでも何というか、やっぱり伊坂さんはキャラクターの描き方が上手いなあとしみじみ。

    それにしても「物語」って怖い
    物語は人心掌握にも利用されうるなと。

  • 猫視点で描かれる、とある小さな国の物語。
    初っ端、猫の言葉がわかり会話できるという状況についていけず、入り込むまでに時間がかかりました。慣れてしまえば問題なく、寓話っぽい雰囲気もありながら伊坂さんらしい調子でどんどん進んでいきます。
    伏線もあり最終的に回収されますが、複雑なものではなく結果的に予想通りというかんじ。まぁ最初に某旅行記を連想しちゃったってのもありますが。デジカメの件については違和感が。どうも納得いかない。

    これ、実写化されないかなぁ。映像化して面白いかは置いといて、猫がたくさん出る猫好きにはたまらんものになること請け合い。

  • 壁に囲まれた小さな国の危機とその真実を、町に住む猫の視点で見つめた物語。
    初めに見えていた世界の形がお話が進むにつれどんどん変わっていくのが楽しかったです。お互いがほんの少し歩み寄る努力をすると、世の中はまるで変わって見えるという。
    タイトルにもなっている謎の生物「クーパー」の正体(?)には笑っちゃいました。なんという異文化交流。
    舞台となる国が戦争に負けて民衆の前で支配者が殺される、という重い雰囲気から始まりますが、視点役が自由な猫なので読みやすかったです。
    猫かわいい。
    あと兵長渋い。

  • 城壁に守られた小さな国は毎年、クーパーと呼ばれる化け物を退治に男たちを送りだす。戻ってきた者は1人だけ。そんな慣習も10年前に終わり、国民は細々と暮らしている。そこへ昔から戦争をしていた大国に負けたとの情報が入り、国を明け渡すようにと兵がやってきた。国王は殺され、その後継ぎは頼りない。民はうろたえ、猫はあくびをする。
    いつもなら、日常に不思議な空間が忍び寄る伊坂ワールドだが、今回は不思議な世界に日常(こっち側の人間)が入り込んでしまう話。
    賢い猫に礼儀正しいネズミ、暴力的な権力者にひ弱な民と「昔、昔、あるところに」と始めたくなるおとぎ話のよう。
    伊坂版ガリバー旅行記といったところかな。医師じゃなく公務員だけど。

  • 喋る猫そしてネズミ。
    なんだかオーデュボンの祈りに似ている。

    なかなか入り辛い世界観ではありましたが、読みごたえのある作品でした。近年の伊坂作品の中ではなんだか以前の作風を思い起こさせるところが多くて良かったです。

    ネズミのキャラづけが素敵でした。

  • 伊坂幸太郎さんが好きなヒトは無論、そうでなくても猫好きな方は、見逃せない小説です。傑作でした。


    伊坂幸太郎さんってすごいですねー。
    個人的にはいまひとつ?な小説も中にはあるんですけど、
    やっぱりこう、40歳の僕としては、普通に小さな本屋でも売っている小説家さんの本で、「これは何か、見たことをないものを見せてくれる」と思える小説家さんって、村上春樹さん以来ですねー。

    「夜の国のクーパー」。ジャンル分け不要なんですが、これから読むかも知れないヒト向けに書くつもりで。

    あえて言えばSF小説ですね。
    ハックスリーとかオーウェルとか、僕はあまり読んでいませんが恐らく大江健三郎さんとか、そういう系統なんでしょう。
    オーソドックスな小説ではありません。

    読者からすると、謎の国。謎の街。小さな、壁に囲まれた国。
    そこに、大国から軍隊がやってくる。
    国王が殺される。支配が始まる。
    そして、語り手は、猫。
    吾輩は猫である、に並ぶ、猫一人称小説のベストニャン。

    その街には伝説がある。
    壁の向こう、遠くにクーパーという巨大な化け物がいる。
    10年前まで、毎年、クーパーと戦うために若者が選抜されて街を出て行った。
    帰ってきた者はひとりも、いない。
    いや、ひとりだけ、半死半生で帰ってきたも若者がいた。
    彼が死ぬ前に語り残したことは・・・。

    そして、オーソドックスな僕たちの世界、仙台の街から、
    妻に浮気されてやけくそになった平凡な地方公務員が、
    その謎の世界に紛れ込む・・・。

    軍隊の支配、征服者の欲望、市民の恐怖、疑心暗鬼。
    力の論理。猫とネズミの和平工作。全員のための生贄。
    国家の政治の都合、権力者は情報を独占し、嘘を語る。
    過去と現在、人間と動物、SF世界と現実世界。
    さまざまな話法と時制と視点が錯綜して、虚実が入り乱れた混乱が、
    最後に一点に集結。何のとりえもない仙台の公務員が、全ての転換点を握る。。。
    寓意と慧眼、小説ならではの遊びに満ちたユーモア。

    脱帽ですね。

    読書としては、前半ちょっと、説明が煩雑で読み進む情熱が一瞬薄れかけるところもあります。エンターテインメントのためだけの本ではないので。
    それが後半終盤、我慢した甲斐があるカタルシスがあります。
    これは、編集者や出版社やテレビ化映画化のために意図されたものではないですね。
    誰かが、こういう物語を書きたい、というたった独りの意思と情熱で書いたものです。

    素敵な読書体験でした。

  • 「立場が変われば考え方が変わる」それが実感できる1冊。

    でも、決して押しつけがましくなく、説教臭くもなく。
    猫のトム君や、妻に浮気された情けない主人公の目を通して、町の個性的な、でもどこにでも居そうな人々や、どこにでもありそうな為政者、礼儀正しい話し方の鼠たち。
    いろいろなことが描かれています。

    ラストは、なるほど。そう来ましたか!といった感じ。

    それはもう、ほんとに愉快痛快な1冊です。なのに深くておもしろい。

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夜の国のクーパーの作品紹介

この国は戦争に負けたのだそうだ。占領軍の先発隊がやってきて、町の人間はそわそわ、おどおどしている。はるか昔にも鉄国に負けたらしいけれど、戦争に負けるのがどういうことなのか、町の人間は経験がないからわからない。人間より寿命が短いのだから、猫の僕だって当然わからない──。

これは猫と戦争と、そして何より、世界の理のおはなし。どこか不思議になつかしいような/誰も一度も読んだことのない、破格の小説。ジャンル分け不要不可、渾身の傑作。伊坂幸太郎、10作目の書き下ろし長編

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