夜の国のクーパー

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 5506
感想 : 801
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  • Amazon.co.jp ・本 (404ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488024949

感想・レビュー・書評

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  • メタ認知とか、フラクタルとか連想した。おススメです。

  • 著者らしいといえばらしい「鴨とアヒルのコインロッカー」のような構成。「ゴールデンスランバー」のように読みはじめから終わりまで一気に駆け抜けるスピード感になれると、もともと丁寧に作りこまれた作品を出し続けていた著者の原点に立ち返ったように思うし、じっくりと著者の考えを小説という形にして表現された本。
    今、ストーリーを短編で区切って構成しなおし、一気に読み進めるような本が増えていて、人気を博しているけど、読書の良さって読む量や読む早さではなくて物語の深さや教え、それに対する自分の考察だったりする面もあるのだから、簡単に「途中で飽きた」とか「最後にようやく」とかではなくて、その場面場面で想像力をめぐらし、考えることを著者は読者に作品全体として説こうとしていると思う。
    そういう意味だと、小さな世界で深く考え、丁寧に考えを出してくれるこの作品は、これから本好きになる人、たくさん本を読んでいる人どちらにも、「面白い」「つまらない」「引き込まれる」「圧倒される」とかの表面的なものではなく、「本を読むことの楽しさ・世界を知る」というものの原点に立ち返るきっかけを与えてくれる。
    これまで知らないものを知る楽しさ、知っているものを改めて見直す喜び。エンターテインメントとしての期待は裏切れるかもしれず、そういう意味ではわかりずらいのかも知れないけど、読書への心持を見直させてくれる一冊だと思う。

    • テイクさん
      はじめまして。花丸ありがとうございました。

      表面的ではなく、深く丁寧に考える事を教えてくれる…読書への心持を見直すかぁ。素敵な捕らえ方...
      はじめまして。花丸ありがとうございました。

      表面的ではなく、深く丁寧に考える事を教えてくれる…読書への心持を見直すかぁ。素敵な捕らえ方ですね。目から鱗です。確かにいい読書をさせて貰えましたと気が付きました。
      2012/08/30
    • libraさん
      >テイクさん
      良い本でした。原点に戻させてくれる本で読書好きに好かれそうな本でしたね。読まれている本の趣味が似ていル用に思い、フォローさせ...
      >テイクさん
      良い本でした。原点に戻させてくれる本で読書好きに好かれそうな本でしたね。読まれている本の趣味が似ていル用に思い、フォローさせていただきました。
      2012/08/31
  • 発売日に即買ってあったんだけど、タイトルから
    「ちょっと、(伊坂作品の中では)苦手な感じかも…?」と
    思って敬遠していました。

    伊坂さんの本て、自分の気分次第で、読めるときと読めない
    ときがありませんか?

    今回、機が熟したので(?)読み始めたら、おもしろかったです。
    猫の仕草のいちいちが、「ああ、猫ってそういうことしてるよね」と
    いうものばかりだったので、かわいいなあと思いながら読みました。

    最初の、トムと「私」の出会いのシーンからして、「もしや?」と
    思っていたことが最後に的中したので「やっぱりか!」という
    感じでした。

  • 終盤での思い切った話の展開に、思わず失笑しながらも、「あ、そうだったの!?」と思わせられた作品。

    淡々と読んでいたら最後はえらい目に遭わされた(良い意味で)。
    こういうの好きです。

  • とりあえず信じてみる。
    必ず疑ってみる。
    真逆ではあるけれど、どちらも大事なこと。

    伊坂流ファンタジー。
    ふんわりした世界の中に無数の鋭い刃が潜んでいる。

    猫と鼠の話に全てが詰まっているような…。

    「私」の仕掛けは予想通りだった。

    【図書館・初読・7/24読了】

  • 最近ジャンルを模索開拓しようとしているのか?ストーリ的にはガリバー系だなと早い段階で気づいてしまった、、残念。
    ただ登場人物のやりとりは引用したい行こそ無かったが、伊坂節が伺え満足。

  • これはSFなのか?いや、ファンタジーか?いや、もしかしたら純文学なのかもしれない。とにかくアヒルと鴨の…ミステリー志向ではないし、『ゴールデンスランバー』の様なエンターティメント作品ではない。このベクトルは、『SOSの猿』あたりから近作、『PK』あたりで顕著になってきたが、もしかすると認識不足で、初期小説時代からあったものかも知れません(しゃべるカカシとか)。でも同時に近著『マリアビートル』は、ミステリーの範疇に入る殺し屋を描いた、娯楽小説だったし、これも変節ではなく、氏の小説の一部なのかもしれない。

    ここで前言を翻す。読み進めているうちに謎と伏線。解決と収束があるからミステリー小説の一面もありました。

    本の真ん中あたりからダイナミックに畳みつけるクライマックスまでの展開と物語はさすがです。しかし前半部はいきなり猫とか鉄国とか縛られている男とかこれはもうファンタジーなんだなと思い、あまり面白くなかったし読書するのに時間がかかりました。それと最期の落ちがなんとなく読んでいてよめました。(そのように書いていたんだとしたらそれはそれで凄いことかもしれません)
    兎に角、だから期待していた割だったから、ここは厳しく星3つです。 

    でもこのロジック、構成、文章はまぎれもなく伊坂幸太郎らしさに満ち溢れていて、これは確かに伊坂幸太郎の小説、本だと思います。

  • 伊坂さんの初期の作品の雰囲気を感じた本
    語り部が猫のためか非常にのんびりした雰囲気があり、読んでいて心地よかった

  • 面白かった。ただ僕はファンタジーっぽくなっちゃうと少し評価を下げてしまう人間なようである。だって猫が喋るんだもの。

  • 前作の「PK」が今ひとつ乗り切れなかったので、期待半分、不安半分で読み始めましたが、あっという間に物語世界に引き込まれました。

    物語そのものには、これといった強いメッセージ性はありません。けれどもそれが、逆に読む人によっていかようにも解釈できる余地ともなっていて、そこから様々な社会風刺を読み取ることが可能です。

    個人的には、猫のトムの

    『出かけたら、ちゃんと帰る。そういうものだろう』

    の言葉にぐっと心を動かされました。

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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