- Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488024987
作品紹介・あらすじ
歴史に名を轟かせたコンスル帝国も、内乱や疫病、隣国の侵攻によって衰退し、いまや見る影もない。霧岬はそんな帝国の最北西に位置する。三百年ほど前、魔道師イザーカト九きょうだいのひとりリンターが空からふってきて、地の底に達する穴をうがち、ゴルツ山を隆起させたのだという。霧岬の村に住むデイスは十六歳、村の外に捨てられていたところを姉に拾われ、両親と姉に慈しまれて育った。ある日ゴルツ山に登ったデイスは、土の中に半分埋まった肩留めを拾う。金の透かし彫りに、"太陽の石"と呼ばれる鮮緑の宝石。これは自分に属するものだ…。だが、それがゴルツ山に眠る魔道師を目覚めさせることになろうとは。『夜の写本師』『魔道師の月』で話題沸騰の著者の第三長編。
感想・レビュー・書評
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許すことで自分も解放される。三作読んだ感想としては、テーマは許すこと、で、その許せない工程、許すに至った工程をいろんな本で書いているんだと思う。許すこと、笑うこと。当たり前のことを当たり前にすること。感謝すること。一人一人の人物像を丁寧に書くことで、どうすれば絶対に許せないような人を許せるのかを浮かび上がらせている。
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82:「夜の写本師」「魔道師の月」に続く第三話、ということで、大地の魔法に長けた九人きょうだいによる壮大な兄弟喧嘩の顛末が描かれます。タイトルが示す通り、前作のキーアイテムが今回も重要な役割を果たしますよ! 怒涛の描写に心地よく酔える、重厚なファンタジー。
時系列的には「月」のあと、「写本師」の前。歴史ものを読んでる楽しみも味わえるのが、同一世界ものの醍醐味ですね。「写本師」と比べて、登場人物たちが生き生きと描かれているのが、読んでいてとても楽しかったです。 -
うぇぇ。
壮絶な兄弟ゲンカの話と言ってしまえばそれまで。
「千年の闇クロニクル」を読んだ時と同じような感覚を覚える。(東か北あたりの)ヨーロッパの神話を読んでいるような壮大な物語。
さっそく続刊「オーリエラントの魔道士たち」も予約しました。
今後も乾石智子さん、要チェックです! -
とても、よかった~~~。
表紙のなごやかなイメージとは裏腹に内容はなかなか痛々しい。
三百年前のイザーカトきょうだいの争い。
再び目覚めたリンターは少し、早く目覚め、人としての時間でその心をはぐくんだ一番下のデイサンダーを連れ、ナハティとの決着をつけるべく
不動山への旅を始める。
最初の盛り上がりは、イリアの登場部分。
いやーすっかり騙されてたな。
あの術が発動するシーンは、捕まっちゃったぞーという心配が前にあったもんですっきりした。
合間、イリアとネアリイとの恋話が入りこんで、思わず頬がゆるむ部分もあり。
が、が!!!
いやー怒涛のラストはすごかった。
カサンドラの死にざまとか、ネアリイの最期とか、もう
これでもかってぐらいの心臓、痛いシーンだらけで、苦しい、苦しい。
だが、、その苦しみ具合の表し方が、また美しいんだなあ。
最も輝かしいものが砕け散っていく、というふうに。
全く、この豊穣極まりない文章!それを目にするだけで、なんだか嬉しい。
解説で、なんだが具体的な状況は分からないけれど、すごい、というような
ことが書かれていたが、ホント、その通り!
ただ、そこから受けるイメージの豊富さだけは分かる。
いやーホント、読むだけで幸せになれるわあ。
ナハティのもとへの旅という横軸、今と昔、という時間の縦軸、
それが上手にからまって、それに、人と魔術師の心のありようの違い、とか、ナハティの孤独、とか、さらに、あの、例の、闇の存在、そゆーのが
どんどん詰め込まれて、読みどころ満載の作品になっている。
その後の彼らの話もきっといつか誰かの歌物語になっていそう。
うーん、やっぱ乾石さん、すごすぎだー。 -
馴染んだ翻訳物を読んでる感覚だった。これからも乾石さん 追いかけるだろう。