- Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488027438
作品紹介・あらすじ
少年しか知らない絵本? 幻の卵料理? 秘めたる恋の落とし物? そして白骨死体?! のどかな図書館の新人司書は、今日も謎解きに奮闘中! 大好評図書館ミステリ第2弾。
感想・レビュー・書評
-
「れんげ野原のまんなかで」の続編。
新人司書の文子も仕事に慣れてきたようで、今回は保育園からのブックトークの依頼で絵本を探し中。
そんななか私立中に受かったにも関わらず両親の不仲が原因で祖父母宅へ来ていた左由留は、暇すぎて図書館へ。
そこでブックトラックにあった一冊の本「ある子馬裁判の記」が気になり…。
図書館らしい展開で本を探す第一話・穀雨から始まり第二話・芒種〜第三話・小暑〜第四話・白露〜第五話・寒露と季節が移ろうにつれて、秋葉図書館を利用している人たちに関わりのある謎が深まっていく。
タイトルどうり、土に眠った白骨まで出てくるというミステリーだが、先輩司書の能瀬さんらと真相を探るのは前作と同じ。
だか今回は、各章に伏線が散らばっていて読み応えがあった。
図書館は「過去」と非常に親和性が高いとあとがきにもあったが、すべては過去に繋がる出来事。
季節を感じながら人を繋げる優しいミステリーだと思った。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「れんげ野原のまんなかで」の続編。
秋庭市という田舎の町にある秋葉図書館(漢字の違いがややこしい)を舞台に、様々な人々が抱える謎を優秀な司書たちが解いていく。
離婚間近らしき両親から離れて祖父母宅である秋庭家に滞在中の少年・佐由留(さゆる)の、絵本の記憶
秋庭名物・百合落雁に入っていた手紙と剣菱印、そして土砂崩れが起きた日向山から出てきた白骨遺体…。
前作にあった、秋庭家の過去(雪女事件?)や、闘病中の深雪さんと寺田先生のその後についてが描かれるので、出来れば前作から読まれた方が良いかと思う。
個人的には前作よりもこの第二作の方が面白く読めた。
物語としては苦く切ないところもあるが、歴史の一端も感じたし、落ち着くところに落ち着いて良かった。
何よりも図書館の司書らしいお仕事の部分が度々見られたのが良かった。
佐由留少年が違和感を抱く童話の内容についての解明だったり、深雪さんの娘・優子さんが探す本を彼女の頼りない記憶や深雪さんの何気ない一言から見つけ出したり。
優秀な司書さんがいるからこその、図書館らしい本との出会いがあってワクワクした。
童話は子供時代ですらほとんど読まなかった私だが、こういう司書さんとの出会いがあれば、興味を持ったかも知れないと思った。
主人公・文子の、先輩司書・能勢に対する想いがあまり描かれなかったのも良かった。あまり生々しい話は好きではない。
しかしこの本編で描かれる二つの恋愛は良かった。一つはほのぼのし、もう一つは切ないながらも思いを貫いた話だった。
第一作から10年後に描かれた第二作ということだが、調べたら第三作も出ている。こちらもそのうちに読んでみたい。-
fukuさん、いいねをありがとうございました。
いいねを戴くと、自分の過去レビューを振り返るきっかけをもらえて嬉しいです。森谷さんに心酔し...fukuさん、いいねをありがとうございました。
いいねを戴くと、自分の過去レビューを振り返るきっかけをもらえて嬉しいです。森谷さんに心酔していたのは5年前だったのかぁと懐かしく思い出されました。
そして情報も!
第三作が出ているのですね、愉しみです。2023/08/20 -
しずくさん♪
コメントありがとうございます。
先日こちらの第一作を読んで、シリーズ化されているのを知りました。
第三作も楽しみです。
...しずくさん♪
コメントありがとうございます。
先日こちらの第一作を読んで、シリーズ化されているのを知りました。
第三作も楽しみです。
なかなか皆さんのレビューを読めなくてすみません(-_-;)2023/08/20
-
-
「れんげ野原のまんなかで」の10年ぶりの続編。
のんびりした土地柄にとけこむ、図書館司書たちの推理を描きます。
秋葉図書館の新米司書・今居文子も、勤めて1年になる。
尊敬する先輩に、保育園でのブックトークを任され、緊張するが。
子供達とお母さんに向けて、馬をテーマにした絵本の話をしようと考えます。
中学生の男の子・佐由留が祖父母の家に滞在していて、ときどき図書館を訪れるように。
いぜん好きだった本と同じ題でも内容の違う本の謎。
司書がちゃんと探している本を見つけ出して解説してくれ、違う司書それぞれの対応も面白い。
図書館の向いにある山で、白骨死体が発見された。
事件性はないらしいが‥
図書館に出入りする常連さん、ご老人も、さまざまな思いを抱え、なかなかたくましい。
ご近所の人たちの言動やちょっとした謎を解き明かしつつ、次第に深く関わって行く司書たち。
秋葉市の隠された過去、戦前からの出来事が浮かび上がってきます。といっても、怖い犯罪が出てくるわけではありませんのでご安心を。
知っている本が出てくると、楽しくなりますね。
ああ、バーナデット・ワッツの絵本はね~とか、
ルンペンシュティルツヒェンって、そうだっけ‥とか。
それ、「旅の絵本」でしょ!とか。
題名が出てくるだけなんだけど、「ディダコイ」の一言にきゅんとしたり。
知らない本や記憶の薄い本もあるので~
いろいろ探したくなります! -
図書館が舞台で、新人司書の文子が奮闘、先輩司書の手助けがあって。などという日常ミステリーを勝手に想像していた。違った。”現代のミステリー”
土地の地主の家に、村に、隠さなければならなかった事実・・ -
れんげ野原のまんなかにある秋葉図書館は、今日ものんびりのどか。けれど、図書館を訪れる人たちには、人知れぬ悩みがあるようで……やっぱり、毎日ふとした謎が湧きおこる。そんななか、図書館の近隣で大事件が! 季節のうつろいを感じながら、またまた頼もしい先輩司書の助けを借りて、文子は謎解きに挑むが……。
少年しか知らない絵本の題名は?幻の卵料理は?謎解きといっても本にまつわること。 本全体がまるでブックトークのようで、色んな本が登場する。知っている本もあるが、え~、そんなの知らなかったよ!と臍を噛みたくなることも。「ある子馬裁判の記」は含蓄に富んでいて面白そう! 料理家辰巳芳子さんの卵10個で作る『心臓焼き』などにはびっくりした。
勿論、ストーリーの芯となるのは日向山から発見された白骨死体。『山の先生』とおんじの関係は? 隠された悲話が切なくてクライマックスを迎える。
森谷さんは目下大好きな作家さんです。 -
図書館と書店はどう違うのか。なんとなく職業柄考えてしまうのですが、この作品のあとがきにある、
”図書館は、資料収集(本を集める)にある。過去との親和性が高いところである(要約)”
という言葉を読んで、なるほどと思いました。シリーズ2作目の今回も、秋庭の季節の移ろいの中、話が進んでいきます。連作短編集ですが、最後には大きな謎がすべて解決されている、そんなストーリーでした。大地主である秋葉家とそこにまつわる謎を、郷土資料や新聞といったものをもとにひもといていく姿は、図書館が過去を知ることができる資料を持っているからこそのできることなのだと思います。また、絵本にまつわる謎も、同じではないでしょうか。
貸出返却、レファレンスサービス、読書紹介など様々な機能がありますが、この物語を読んで、図書館の意味を考えさせられました。
日野さんと能勢がやっている本の紹介の仕方はなるほどと勉強になりました。 -
図書館を舞台にしたコージーミステリーです。
10年位経ってから続編が出ていますが、不明にも続編出ている事に気が付きませんでした。
前作もそれほど感銘を受けたとかは無いのですが、図書館を舞台にしている以上読まない訳にはいかないし、読むとなんだかんだ楽しめてしまうんですよね。 -
2015.3.31.読了前作から10年近くたって出された続編。格段に面白かった。図書館の本とそれぞれのエピソードがうまくつながり、とても面白かった。特に、一話とニ話。離婚が迫った両親の元から祖父母に預けられた少年が図書館におずおず入っていき、本を読みだし、のめり込んでしまうところなどワクワクした。昔、父親と出かけたところで読んだ絵本が気に入って母親に言って買ってもらった絵本。ストーリーも題名も同じなのに全く違ったものだった。不思議と思いながら母親に言い出せなかったがそれを能勢が解決してくれるところもよかった。違う場面で違う司書が関わり、それぞれの場面がよかった。後半はちょっと重い話になっていき、よくわからなくなってしまった。
-
大好きな前作の続編!喜び勇んで手に取りました。のんびりした地方図書館の日々を描き、訪れる常連や新顔の利用者と司書たちとのコミュニケーションに和みつつ、実は複雑なミステリとゆーところがツボ。さらに何組もの淡い恋まで織り交ぜられている、万華鏡みたいに素敵な物語なのでした。
「どこか、ものすごく遠いところへ旅をしてきたような気分だった。疲れたような、今朝のことがはるか昔に思えるほどいろんなことがあったような、その一方ではあっという間に終わったような」
この気持ち、私もよく知ってる!と嬉しくなった。子供の頃はちょくちょく、大人になってからもたまに、本の内容に耽溺したとき感じる気持ちを、とても見事に言いあらわしていると思うのだ。全ての本好きは、この気持ちを味わわせてくれる本に出会いたくて、いつも次の本を探すんじゃないかなあ。
と、全然ミステリの感想になってないけど、謎解きとしてもなかなか秀逸でした!前作の能勢さんの推理があざやかでよく覚えていたけど、まさかあれが活きてくるとは。
続編また書いてくれないかなあ。