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王とサーカス

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著者 : 米澤穂信
  • 東京創元社 (2015年7月29日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (413ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488027513

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王とサーカスの感想・レビュー・書評

  • 2001年6月1日。カトマンズ。
    ニュートーキョーロッジ202号室。

    フリーの記者・太刀洗万智は、雑誌編集部から海外旅行記事の依頼を受け、スケジュールに間があったので個人的に下調べを、とネパールに旅に出た。

    現地の物売りの少年と仲良くなったり、アメリカ人の若者に口説かれそうになったり、長期滞在の日本人の僧と知り合ったり。
    異国情緒漂う、旅行記のような始まりだ。

    しかし、王族間の大量殺人事件が勃発し、のんびりした旅行記どころではなく、国の存亡に揺れる緊迫した情勢を取材することとなる。

    アメリカの青年は言う。
    面白くなってきたのに…
    アメリカの自分の部屋でこの事件を楽しみたかった。
    今、自分は危険に近すぎる…と
    万智は、自分は記者として近くに居られたことをチャンスと思う。
    自分は情報の送り手で、彼のような受け手がいることを意識する。

    彼女の取材を拒む王宮軍人。
    今回の事件は国の恥。
    「自分に降りかかることのない惨劇は、この上もなく刺激的な娯楽だ」
    それを待っている人々の望みを叶えたくはない。
    『なぜ報じなければならないのか』
    軍人の問いに答える事が出来なかった。

    万智の前に死体が転がる。
    裸の背中に文字を刻まれた衝撃的な姿。
    良い写真が撮れた。
    これは、王宮の事件に関係するのか、しないのか。
    これを使えば非常にインパクトのある記事に仕上がると思うが…

    そして、万智を取り巻く人々の意外な秘密が明るみに出る。
    少年の、ジャーナリズムに対する激しい憎しみに、しかし、万智は、自分の居る場所を確かめるため、ここはこういう場所だ、と知らせるため、見る事、書くことをやめるつもりはないと言いきった。

    毎日、「報道」の無い日は無い。
    国民の「知る権利」を満たす、政治にかかわる重要な報道や、芸能人の下らないゴシップ。
    「今のお気持ちは~?」という、ファストフード店の店員のようなマニュアルの問いかけ。

    『何を報じないか』それが重要である、と万智は、時に立ち止まり、自分を振り返るのだ。
    ジャーナリストが皆、万智のような良心を少しでも持ってくれたらいいと思うけれど、下衆な記事を求める人々がいる限り、与える者も絶えないのだろうなと感じる。

    旅の終わりを読む時はいつも、夢から覚めて日常に還る感じ。
    読書の終わりに似ている。

  • フリーの雑誌記者になり、事前取材旅行中にネパールで王宮事件発生。取材相手の軍人、INFORMERと彫られた死体。現地の少年、破戒僧、宿の女主人、アメリカ青年、インド商人。何故記事を書くのか?

    王族をめぐる陰謀の大事件、疑惑の弟…と思いきや、こじんまりとした事件になってしまうのですが、記者としての意志を自覚するのが、フリーとしてのスタートになっています。

  • なぜ謎を解くのかという、探偵役の動機が、自分がここに居る意味は何かという青臭さと、ジャーナリズムとはなにかというこの作品のテーマと響き合う。
    紛れもない傑作である。

  • フリーのジャーナリストになりたてホヤホヤの太刀洗万智。旅行特集の事前取材のためネパールへ(^^)♪しかし着いて早々に王族殺害事件が発生(゜゜;)急きょ事件の取材をする事になった万智は情報を求め、ある男に接触するがその男が謎のメッセージを刻まれ殺害…(>_<)王宮の事件と男の殺害は関係があるのか?謎が明かされる過程はドキドキしながらも楽しんで読めた(^^)しかし最後のサガル少年の話には衝撃を受けた( ; ゜Д゜)人の気持ちって難しいな(-.-)

  • 太刀洗万智が主人公の長編。
    前年の「満願」に続き、ミステリのいろいろなランキングで1位を獲得した作品です。

    2001年。
    太刀洗万智は新聞社を辞めて、初仕事。
    海外旅行特集の取材のために、ネパールの首都カトマンズへ。
    雰囲気をつかもうというゆるいスケジュールのはずで、宿で懐いてきた少年にガイドを頼んだのだが。
    突然、王宮で国王たち王族が何人も殺害される事件が起き、あっという間に異様な空気になる。
    太刀洗は、ジャーナリストとして取材しようとするが、暴動寸前の空気と報道規制に阻まれる。
    そして、取材しようとした関係者に事件が‥!

    『さよなら妖精』の出来事から10年がたち、海外のことも他人事ではないと感じている万智が遭遇した、思わぬ事件。
    報道に携わる人間として、情報をどう集め、どう発信すべきなのか?
    クールで真剣なヒロイン、太刀洗万智のこれからの生き方が問われると同時に、読んでいる人へも疑問を投げかけてきます。
    実際に起きた事件を背景にしているため、重厚感も。
    鋭い切り口と壮大なテーマが新鮮で、強い印象を残します☆

  • うーん、なんだろう?
    一言では感想を言いづらい。。
    複雑な内容のお話だった。

    裏切られる、というのが
    いい意味ではないほうの、後味の悪さの残る
    裏切られた感。


    あちこちに散らばったヒントが
    あとになって
    あー!そうか!と思えた部分では
    少しだけすっきりした。

  • ネパールに取材旅行中のヒロイン太刀洗真智が、ビレンドラ国王一家殺人事件に巻き込まれる。そして国王一家事件の真相を知る可能性がある人物の猟奇的殺人事件が発生。ヒロインの身にも危険が。2001年の大事件は生々しく思い出されるが、当然ながらその謎解きではない。カトマンズで出会った現地の少年、そして日本人僧侶、米国人学生、インド人商人などが登場し、殺人事件の意外な真相が・・・。しかし著者には申し訳ないが、この小説中の事件の謎以上に、現実の大事件の謎が解き明かされていないことが逆にストレスになった。

  • なかなか興味深いストーリーだった。
    ミステリ部分より、彼女の葛藤の方が読み応えあった。
    だから、このタイトルが秀逸に思える。

    2017.6.11

  • あっという間に読んでしまった。

    犯人は早い段階でこの人かな~?と思ったんだけど
    (私がわかる位だからちょっとあからさまだったかと)
    旅行気分が味わえたのが良かった。

  • タイトルに納得するまで時間がかかった
    そっち??
    って、感じですが
    なかなかでした
    一気に読めた

  • ベルーフ(大刀洗)シリーズ
    新聞社を辞めた太刀洗万智はフリーとなり、海外旅行特集の取材のためネパールに。まもなく、ネパール王族殺人事件(ナラヤヒンティ王宮事件)が起こる。情報を集めようと取材を開始するが、彼女と会った王宮警備の軍人が何者かに殺害される・・・
    実際に起こった事件が舞台となっていることに途中まで気付かず、当初は真相を暴くミステリーかと思っていた。ジャーナリズムの正義とは何なのか?マスコミは誰のために何を伝えるのか?ミステリー仕立てに進むが、オチというか動機はいい意味で裏切られた。

  • 大刀洗万智のフリー記者としての初仕事であり、取材すること報道することに対する意味を見つけていくネパールでの事件。ネパール王族殺害事件を題材にとりながら、それ以外のネパールの国情、そして報道による影響といった重いテーマを思いがけない事件の真相としてエンターテインメントにしている。
    17-75

  • 記者 太刀洗万智がネパールに訪れた際に遭遇した王宮虐殺事件に端を発した事件の情報源と思われる人物の謎の死の真相を追っていき、謎の死が起きた背景に太刀洗が徐々に迫っていき、記者として王宮事件と謎の死の絡みをどう正確に伝えつつ、やがて謎の死の真相にもたどり着いたときに太刀洗が事件の真相の背後にあったものを目の当たりにして何を感じたかという物語で、なかなか面白い展開で、あっという間に読了したような感じでした。
    なかなか面白いシリーズものになるのではないか?と思います!

  • 読んで損はなし。

  • 読了後すぐの感想は、重い。
    読後感はあんまり良くなかったけど、折に触れてシーンや台詞を思い出す。
    サガルが突きつけた現実は答えのない問いで、これから何度も思い出しては考えることになるだろうなと思った。

  • 上から目線で申し訳無ですが、腕を上げたなと思った。最初はノンフィクションか?と考えてしまい、王族の殺人事件なんて小説だとしてもその様な内容を書いて世に出してしまって良いものかと少しハラハラしてしまう。

    フリーのライターがネパール滞在中に王族の殺人事件が起こり、不可解な事件に巻き込まれる。王族の殺人事件との関わりは?ミステリー。

    もう20年も前になるか、私もネパールに遊びに行ったことがあり、その風景を思い出したり、今はどんな風に変わっているのかな、など空想しながら読む。

  • 「このミステリーがすごい」2016年度第1位。前年「満願」に続く2連覇は日本人作家として初。米澤氏を名実ともにトップミステリ作家へ押し上げた記念作と言えよう。

    結論から言えば大傑作であり、氏の創作の歴史の現時点での集大成とも感じられた。このミス1位に文句はつけれれない。

    読み始める前に、ある情報を得ていた。今作の主人公フリージャーナリストの太刀洗万智が初めて世に出た「さよなら妖精」が、wikiによると氏の知名度を上げた「古典部シリーズ」の完結編として構想されていた、ということ。これには驚くとともに納得もしたのだ。

    「古典部」で描かれる青春の煌きと「さよなら妖精」の青春の挫折は、相容れないながらも、その存在は表裏一体であり反転しうるモノであると考える。奉太郎の進化形とも、千反田の進化形とも思える「太刀洗」が10年以上の時を経て、どのような存在感を持って読者の前に現われたのか?個人的注視ポイントである。

    物語の背景には「ネパール王族殺害事件」というセンセーショナル直下の、2001年のカトマンズが選ばれた。フリージャーナリストとして「取材」という行為を通して事件に臨む太刀洗の前に、新たな殺人事件が発生し・・・

    多くの登場人物がいるわけでもなく、適切な個性と適切な伏線が微妙に絡まり、読了してから「散らされたヒント」にも気づく。ミステリとしての構成は米澤氏が守り続けている本格派と言える。僅かな時間の中で太刀洗が辿り着いた真相は、読者をも唸らせ、ヒロイン太刀洗にとっても痛切なものであった。

    今作が優れていると思える点は、より一層洗練されたミステリ構造や伏線等でなく、ジャーナリスト太刀洗が苦悩し、何度も反芻する「ジャーナリズム」について、大きくページを割き、彼女の行動と心象を常に「ジャーナリストとしての自分の行動原理」に照らし合わせて、読者に語りかけている点である。と思う。

    米澤氏の今まで見られなかった社会派としての側面が、異邦の地での物語と融合し開花したと思える。ヒロイン太刀洗の人物造詣が、古典部の発展形として生まれた「さよなら妖精」を出自としていることからも、米澤氏の中で、どのような紆余曲折を経て編み出されたのか?興味深く思う。

    太刀洗万智は米澤氏の新たなシリーズの主人公であり、次作短編集­「真実の10メートル手前」は上梓されている。これも非常に楽しみである。

    ますます活動が幅広くなる米澤氏であるが「小市民シリーズ」の完結を最も待ち望んでいる。

  • ジャーナリズムとは?を横糸に、ネパール王室で起きた乱射事件を背景に、緊迫したストーリーが続く。

  • ネパール王族の惨劇、不可解な軍人の放置死体、そしてその背中に刻まれたメッセージに遭遇するフリージャーナリスト大刀洗万智。彼女をして舞台は動き出す。ミステリーとしても十分堪能でき、同時に歴史的事実とフィクションを絡め報道の意義を問う社会派小説としての面も持ち合わせる。悲劇がサーカスの見世物となって世界に晒される事実に揺れ惑う万智、真実は一つでも書き手伝え手が介在すればその数だけの事実になる。何より伝えるのは誰のため、自己満足、利権、会社であるならば伝えぬことも報道。舞台の曲芸師たちの拍手喝采が聞こえそうだ。

  • ミステリー作品として読むと謎解きなどはそれほどではないがヒューマンドラマとして読むと人間性を深くえぐるような鋭さがある。

    「満願」同様完成度は高い作品だと思いますが、もう少しエンタメ要素がある作品の方が好み。

    それでも他の作品も読んでみたいと思わせる作家です。

  • すいません。読んでいてネパールに興味がもてない。行ってみたいと思わない。

  • 国際大トリックミステリーかと思いきや
    意外と地味な展開
    元新聞記者の女性

    王族の殺人は単に背景に押し込められる
    このミス1位にしては、うーんという内容

  • 読んでいると情景が浮かんで、自分もネパールにいるような気分だった。ドキドキしながらどうなっていくんだろうって思いながら読んだ。

  • 作品の舞台であるネパールに馴染みも興味もさほどなかったので、街や人々、習慣などの描写になかなか馴染めず読み進められるか最初は苦労したが、それを補って余りある太刀洗万智(主人公)の活躍とキャラクターにどんどん引き込まれた。

    タイトルの意味は途中(序盤に近い)に出てくるけど、すごくストンと落ちると言うか大きく納得するし、登場人物のキャラクターの濃さや裏表の描き方がとても興味をそそられる!
    作家の意図するままなのかもしれないけど犯人が何となくわかった状態で最後まで引っ張られるようにして読めた。

    太刀洗万智シリーズをどんどん読みたいなぁー。

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王とサーカスの作品紹介

『さよなら妖精』から十年のときを経て、高校生だった太刀洗万智は、異邦でふたたび大事件に遭遇する。絶賛を浴びた『満願』をも超える、現在最注目の著者の最新最高傑作!

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