女には向かない職業1 (創元ライブラリ)

  • 東京創元社
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488070564

感想・レビュー・書評

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  • この前、創元推理文庫の古本を求めた。そういう場合の「お楽しみ」として、発刊当時の帯や新刊案内チラシが大抵挟み込まれている。それによって、限定復刻「江戸川乱歩の貼雑年譜(はりまぜねんぷ)」というのが2001年に発行されたことを知った。戦中休筆していた乱歩の、手作り自作のスクラップ兼自評集である。面白そうだが、30万円( ゚д゚)。まぁ限定200部だとそうなるのだろう。

    新刊案内を見ると全部面白そうに思えるのだけど、ミステリに疎い私にはわからない。葉村晶シリーズの古本屋店長の富山さんに聞けばいろいろ教えてくれるのだろう。2001年1月『女には向かない職業2なんとかなるわよ』という本が好評既刊として紹介されていた。作者は岡山県が生んだ天才漫画家いしいひさいちである。えー?いしいひさいちが!、と思って紹介見ると、ののちゃんの担任藤原さんが、ミステリ作家に転身していたらしい。ちょっと朝日新聞見ぬ間に(←33年間)なんてことになってたんだ、と思い、先ず「1」を取り寄せた。お安いし。因みに、本書には2006年10月の新刊案内が入っていた。

    本書には小学校担任時代の長いプロローグがある(「27の瞳」)。藤原瞳27歳。おっとりとした、質素系美人の外見とは裏腹、藤原先生は初出勤のその日からいきなり遅刻して、正門に回るのはめんどくさいのか塀を越えて中に入ろうとする。クラスの生徒からは「この先生、いつも酒を飲みすぎて居眠りしている」と慕われてる。超ものぐさ、独身アラサー女性の生態を、これでもかと、描いている。そんな藤原瞳さんは、推理小説新人賞を獲って、1000万円の賞金もゲットして、1人マネージャー三宅さん(岡山では超メジャーな苗字)を雇って、ボロ屋を借りて独立した。

    いしい先生は、手塚治虫ならぬスターシステムをとっているようで、小説学校講師にタブチ、出版編集者に安田、先輩小説家に広岡が登場する。ずっとニヤニヤしながら見ていられた。78ページに、実在作家のアレとしか思えない「高村ミユキ」の「地を這う虫」が出てくる。ココまでdisって大丈夫かと思う内容だが、名前変えてるから良いのか‥‥。

    いつも〆切に追われている様や、やさぐれアラサーの実態が、なんか共感できる。隠れた名作?



    • 猫丸(nyancomaru)さん
      kuma0504さん
      読んだコトないのですが、いしいひさいち✖️岡山= 世良利和「まぁ映画な、岡山じゃ県! シネマ珍風土記」とか言うのが、あ...
      kuma0504さん
      読んだコトないのですが、いしいひさいち✖️岡山= 世良利和「まぁ映画な、岡山じゃ県! シネマ珍風土記」とか言うのが、ありますが、此の本は面白いでしょうか?
      2023/03/08
    • kuma0504さん
      猫丸さん、
      レビューにも書いていますが、
      岡山県民ならば「そうなのか!」という発見満載!
      いしいさんの章立てごとにある四コママンガは、
      県民...
      猫丸さん、
      レビューにも書いていますが、
      岡山県民ならば「そうなのか!」という発見満載!
      いしいさんの章立てごとにある四コママンガは、
      県民ならば爆笑間違いなし!
      の面白さです。
      よって、猫丸さんにとって面白いかどうかは
      なんとも言えない‥‥。
      2023/03/08
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      kuma0504さん
      > 岡山県民ならば「そうなのか!」という発見満載!
      レヴュー拝見していたのに忘れてました。
      ローカルネタって判ら...
      kuma0504さん
      > 岡山県民ならば「そうなのか!」という発見満載!
      レヴュー拝見していたのに忘れてました。
      ローカルネタって判らなくても気になる性分なんです猫は、、、

      それは兎も角、いしいひさいちの作風って「そうなのか!」「そうきたか!」「それもアリ?」みたいな絶妙さが好き。
      2023/03/09
  • 資料として手に取ったので、感想はずいぶん前に読んだ新書版に。

    いしいさんは大変なミステリファンだということを、結構最近まで存じあげなかった。どうりで、『がんばれ!タブチくん!』的キャラの狭間をちらちらとミステリネタがかけめぐっていたわけだ。

    おまけに"COMMICAL MYSTERY HOUR"が少々ついていてお得。

  • もともと「ののちゃん」の藤原先生が好きです。自然体だとか人間の弱さだとか、そういう言葉は似合いません。いい加減でだらしなくて酒癖悪くて・・・とフォローの欠片もない表現がぴったりです。そんな彼女がミステリ作家に。当然編集者に迷惑かけまくりの怠けまくり。普通のOLしてたマネージャーも段々染まってきてしまって・・・。そうです、社会とか常識とかあるけれど、人間自堕落にひかれるもんなんです。ひいこらせっせと働いて。疲れて悩んで落ち込んで。そんな時に軽〜く読めて「こんな風に生きてけたらいいなぁ。無理だけど」と思いつつくすっと笑える。それが魅力です。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「フォローの欠片もない表現がぴったり」
      だけど、魅力的だよね、、、
      「フォローの欠片もない表現がぴったり」
      だけど、魅力的だよね、、、
      2013/06/18
    • courbetさん
      そうなんですよねー。
      仕事や生活への態度に、ある意味憧れてしまいます(笑)
      だらしなさとかやる気のなさとか、親近感わきまくりなんですけど「フ...
      そうなんですよねー。
      仕事や生活への態度に、ある意味憧れてしまいます(笑)
      だらしなさとかやる気のなさとか、親近感わきまくりなんですけど「フツーしないよね!?」ってレベルに行ってしまってる。
      自分では表に出せないダメなところをなんの躊躇いもなく出しきってしまうのが藤原先生。
      その突き抜け方が羨ましくもあり、このシリーズの魅力なんだと思います。
      2013/06/25
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「てレベルに行ってしまってる。」
      部屋が一杯になったから引っ越すとか、、、噴出しちゃいますけど、人間生きていくには、そんなコトは些細な問題だ...
      「てレベルに行ってしまってる。」
      部屋が一杯になったから引っ越すとか、、、噴出しちゃいますけど、人間生きていくには、そんなコトは些細な問題だから、気にする程じゃないって、改めて思っちゃいます。。。
      「その突き抜け方が羨ましくもあり」
      2013/07/06
  • 「1」よりも面白かった。
    つらいことではあるが、いしいひさいちは昔になればなるほど面白いような気がする。

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著者プロフィール

■いしいひさいち…1951年、岡山県玉野市生まれ。関西大学に入学し漫画同好会に入会。 在学中より求人誌『日刊アルバイト情報』で「Oh! バイトくん」を連載し、大学卒業後、四コマまんが集『バイトくん』(プレイガイドジャーナル社)を出版。 1985年に文藝春秋漫画賞、2003年に手塚治虫文化賞、2006年に菊池寛賞を受賞。 現在、朝日新聞朝刊の「ののちゃん」を連載中。 著作に「がんばれ!!タブチくん!!」「おじゃまんが山田くん」「地底人」「コミカル・ミステリー・ツアー」「現代思想の遭難者たち」「女には向かない職業」「となりの山田くん」「ホン!」「フン!」「ヘン!」「まぁ映画な、岡山じゃ県!〈1〉~〈3〉―シネママル珍風土記」「現代思想の遭難者たち」「ののちゃん①~⑫」など多数。

「2022年 『ののちゃん(13)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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