赤毛のレドメイン家 (創元推理文庫 111-1)

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制作 : 宇野 利泰 
  • 東京創元社 (1970年10月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (436ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488111014

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赤毛のレドメイン家 (創元推理文庫 111-1)の感想・レビュー・書評

  • スコットランドヤードの敏腕刑事が休暇中の旅先で恋に落ちる。その女性は人妻であったが、彼女の夫は彼女の叔父に殺され、その叔父ロバートは行方しれず。かくして指名手配になったロバートが各地で現れるという報告が入るが、どうしても捕まえることは出来ない。そのうち、新たにピーター・ガンズなる探偵が登場して・・・というのが本書のあらすじである。

    本作は乱歩が当時海外推理小説十傑に値する、と過大なる絶賛をされ、日本に紹介された作品。このフィルポッツというミステリプロパーではない作家の作品が世紀を越えて、今なお文庫で書店に行けば手に入る状況は多分にこの大乱歩の賞賛の影響が大きいに違いない。
    そういう前知識があると、本書は多分肩透かしを食らうだろう。ただ、1922年という時代性を考えれば、本作はミスディレクションによる意外性と恋愛とミステリの融合を目指した画期的な作品であると云えよう。

    当時イギリスで文豪として名を馳せていたフィルポッツが自身初のミステリを発表したのは60の手前と、時代的に云えば、晩年に差し掛かった頃になる。その動機についてはよく判らないが、やはりミステリ発祥の地イギリスならば、作家たる者、死ぬ前に一度はミステリを物してみたいという風潮があったのかもしれない。
    で、文豪の名に恥じず、その描写力は実に絵画的。主人公の刑事が初めて事件の渦中の赤毛の女性と出逢う、夕日と彼女の赤毛が織り成すコントラストの描写など、目に浮かぶようだった。実際このシーンは本作でも象徴的なシーンとして捉えられ、私が持っている創元推理文庫版の表紙絵はそのシーンを切り取った物になっている。

    イギリス中を逃げ回っては連続殺人を起こす怪男児ロバートの姿が伝聞によって伝えられるがその様子も頭の中で映像が浮かぶほどだった。特にこのロバートのまとう雰囲気は私がこの本を読んだ当時にまだ流行っていた『北斗の拳』に出てくるような不遜で怪力を誇る大男を連想させ、なんとも恐ろしい殺人鬼だと思ったものだ。訳が古く、かなり読みにくい感じがした。それでもなお、情景が目に浮かぶのだから、この作家の描写力はかなり高い。十分に本作を楽しむためにも、一刻も早い改訳を望む。

    そして主人公の刑事は正に本作では道化役。ロバートが引き起こす惨事に常に後手後手に回り、全くと云っていいほどいいところがない。満を持して現れるピーター・ガンズなる探偵が正に全能の神の如く、この事件を解決するのである。
    そしてこのガンズによって明かされる真相は実に意外。ミステリを読みなれた人ならば、予想の範疇であろうが、そうでない人にとってはなかなかに楽しめるものだろう。先に述べたが本作の主眼はミスディレクションの妙にある。これを成立させるために人妻に一目惚れする刑事を設定したと云っていいだろう。それまでの本格推理小説でかみ合うことのなかった論理性と叙情性を上手くブレンドし、それをトリックに繋げた作品だ。今で云うならば東野ミステリによく見られる仕掛けだと云えるし、その原型と云ってもいいのではないだろうか。

    さて、件の乱歩、よほどこの作品を気に入ったのだろう、自作で本歌取りというか、まんま模倣をして1作作ってしまっている。これはもう人物と舞台設定を入れ替えただけといえるぐらいの出来で、しかも乱歩の代表作の1つとまでなってしまっている。ネタバレ防止のために敢えてその作品の名前を挙げないが、これはミステリ通にはかなり有名な話なので、恐らく大概の方がご存知だろう。それでもそれが茶目っ気だと許されるのも乱歩だからなのだろうけど。

  • 古典サスペンス。
    なりすましを使ったサスペンス。
    とにかく表現が長過ぎて読んでいて疲れる。
    トリックもこの作者の他作にもあるので途中から分かってしまってイマイチ。

  • 『緑衣の鬼』の残像が残っていたので、違いがよくわかって面白く読めた。三度の舞台を東京・伊豆・和歌山にセットするセンス、犯人像の微妙な作り変え等々、江戸川乱歩の換骨奪胎具合のすばらしさがよくわかる。
    しかし、道化にされ具合がかわいそうなくらいで、ここが文化の差なのかも。なんにせよ、ルックスだけで人を判断してはいけない、ということですね。

  • たいそうな美人が出てくると間違いなくキーパーソンだし、驚かしのネタを仕込んであるとの情報を得るとそれは「やぱり・・・」というものであるし死体なき殺人であるというとそれもまたははぁ~?!だし。
    ということで、名高い名作を堪能しましたが、読みにくい訳でした。

  • やはり古典を推理小説として楽しむのは難しいのか。

    始めからわかりきった真相にいつまでもたどりつかず騙されっぱなしのブレンドンには本当にイライラした。第一の事件の時点で、ジェニーの夫が生きている可能性を全く考えないなどということがあるだろうか。第二の事件でも、ジェニーとドリアが嘘をついているとなぜ見抜けないのか。第三の事件では新たな探偵が加わり少しは期待できるかと思われたが、狙われている人物からあっさり離れるなどあり得ないヘマをして犠牲者を増やしてしまった。
    始めからジェニーは怪しく描かれているし(というか表紙を見ただけでピンと来るだろう)、読者は一体どこに騙されれば良いのか私にはさっぱりわからなかった。もしかしたらミスリードかもしれないと思い一生懸命読んだが、そんなことはなかった。残念。

  •  推理小説の中心に恋愛要素を取り入れてしまうと物語が陳腐になってしまうという例の典型を示したともいえる作品。しかし、恋愛要素があるからこそ、主人公の役柄を決定付けることができ、更には犯人の魅力に一役買うことになるので簡単に批判することはできない気もする。
     冒頭の紹介文に載っている通り、この作品は明確な二面性を持って読者を向かい入れている。前半は被害者の妻に魅入られ恋心に揺れ事件の真相を正しく推察することができず、無意味な捜査を繰り返してしまうイギリスの優秀な刑事を主人公として、後半では主人公よりもずっと優秀な探偵がアメリカからやってきて主人公と共に犯人に狙われることになった自身の友人を守ろうとする。おそらく、ミステリーを好む読者からすれば前半の主人公の愚かさには飽き飽きしてしまうかもしれない。しかし、後半になって名探偵のような人物が現れることによってようやく物語は面白みを出し、事件を冷静に推理する場面を迎えることになる。
     だが、犯人があまりにも小物であり、むしろ共犯者のほうが人間的に見ても殺人者としても優秀であるので、明かされる真相には少々拍子抜けしてしまう。ラストの犯人の告白も不要だった気もする。大体は既に探偵が推察したとおりだったわけだから。
     この小説を読んで改めて痛感したことは、推理小説には冷静な思考を持ち、執拗な観察眼を持つ探偵役が絶対的に不可欠だということだ。そして、そんな探偵と攻防を見せてくれる犯罪者の存在も不可欠だ。この作品は、そんな要素をきちんと含んでいるのに、名作になりきれないのはその役に相応しい2名が舞台の中心に立つのではなく、あくまで助演に徹していたことにあるだろう。もし彼らが主役を無視して最善の行動を取っていたならば、更なる面白さが出ていたかもしれないと思うと残念でならない。

  • イーデン・フィルポッツといえばレドメイン……ということで、恐らく著者の邦訳作品の中では最も有名な1冊。
    元々は英国伝統の田園小説の大家だけあって、風景描写やロマンス描写は安定している。流石に現代ミステリと比較すると、テンポの悪さは否めないものの、書かれた時代を考えるとさほど気になる部分ではない。寧ろ構成自体はしっかりしている。
    逆に気になるとすれば登場人物の造形だろうか。ちょっと○○過ぎないか……? 同じ登場人物でもヒロインの造形は良かっただけに、そこが残念だった(ネタバレにチェック入れてもちょっと書くのを躊躇したw)。

    個人的には初めて読んだ『闇からの声』の方が好みだが、古き良き探偵小説を選ぶなら本作かなぁ。乱歩の序文も、読者の期待を盛り上げてくれるのに一役かっていた。

  • 休暇中のスコットランド・ヤードのマーク・ブレンドン。散策中に出会った美しい女性ジェニー・ペンディーン。赤毛の男ロバート・レドメイン。ジェニーの夫マイクルを殺害し消えたロバート。現場に残された大量の血痕。マイクルの遺体の行方。ジェニーに惹かれるブレンドン。ブレンドンの捜査は失敗。3人の叔父と夫マイクルの関係。叔父ベンディゴ・レドメインの元に身を寄せるジェニー。ベンディゴの周囲にちらつくロバートの影。ベンディゴのモーターボートの運転手ジゥゼッペ・ドリア。殺害されたベンディゴ。3人目の叔父アルバートの元でドリアと結婚したジェニー。アルバートが呼び寄せた探偵ピーター・ガンス。姿を現したらロバートに銃撃され死んだふりをしたブレンドンの遺体を片付けに現れたドリア。ドリアの狙うレドメイン家の財産。

  •  休暇でマス釣りを楽しむ予定だったロンドン警視庁の名刑事マーク・ブレンドンは美しい女性と擦れ違い心を奪われる。そしてその日村で一人の男が失踪、現場からは血痕が見つかる。そして失踪した男は、マーク・ブレンドンが心奪われた女性の夫だった。

     前半はマーク・ブレンドンが捜査の指揮を執るも事件の真相はつかめず、後半から真の探偵であるピーター・ガンズが登場するという構成になっています。

     原書で発刊されたのは今からおよそ90年前となる1922年。そのためトリックや犯人についてはある程度ミステリを読み慣れた人なら早い段階で勘付く人も多いと思います。

     犯人自体あまり大したことないというか、ブレンドンが捜査してなかったらさっさと解決できたのではないか、と思わなくもありません…。たぶん当時はこういう展開が斬新だったと思うのですが今読むと正直ブレンドンの捜査や思い込みは違和感アリアリです…。

     なのでブレンドンに「そこもっと突っ込めよ!」と思わずにいられませんでした(苦笑)。ピーター・ガンズの采配にしても「そこやらせたらだめだろ…」と突っ込まずにはいられず…

     ただ黄金期の本格古典ミステリの雰囲気が十二分に感じられました。改めて古典ミステリって読むタイミングが大事なんだな、と思った作品です。読みなれてくるほど古典作品が素直に楽しめなくなってしまうのが、ミステリファンの辛いところです…

  • 悲壮美漂う、荒涼たるダートムアの夕暮れ。鱒釣りに来たロンドン警視庁の刑事ブレンドンは、燃え立つような赤い髪をした美しい娘に心を奪われる。その名はジェニー。まもなくブレンドンは彼女の一族、レドメイン家をめぐる奇怪な殺人事件に巻き込まれて行く…。容疑者の赤毛の大男を追ってイングランドからイタリア、コモ湖畔へ。ミステリ史上に燦然と輝く長編推理小説の傑作。

    原題:The Red Redmaynes (1922)

    新潮文庫 (1958) 訳:橋本福夫
    創元推理文庫 (1970.10) 訳:宇野利泰
    講談社文庫 (1977.10) 訳:荒正人
    集英社文庫 (1999.03) 訳:安藤由紀子

  •  20世紀はじめの欧米で「本格推理小説黄金時代」を築いた傑作群に名を連ねられる古典的推理小説。かの江戸川乱歩も絶賛という名作中の名作だ。ロンドン警視庁の若手刑事と初老の探偵が捜査するというのも、いかにもクラシックパターンでいい。イングランドのダートムアにマス釣りにきた刑事ブレンドンは、ある女性の一族に関わる事件を追って、イタリアのリゾートコモ湖へと旅立つ。ダートムア国立公園は手つかずの自然が残される美しい場所で、小説の中でもその姿はよく伝わってくる。一方コモ湖は、古くはシーザーをはじめとする君主たち、ヨーロッパ各国の王や大富豪に愛されてきた超セレブ級のリゾート地。イングランド南部のダートムアにしても、イタリアのコモ湖にしても、それぞれの様子がリアルに描写されていて、旅に行きたい気持ちを呼び起こしてくれる。

  • 江戸川乱歩が一位に推薦した名作のひとつ。事件自体は、単純なものである意味で大掛かりなトリックの事件ですが決して派手ではなかったですね。それでも、ロマンスに富んでいて、それはそれで面白かったり。推理小説としてではなく、美しい景色のもとであるため、推理小説としてじゃなくても読めますが、それは好みじゃないかな。

  • 一年以上の月日を費やしてイタリアのコモ湖畔におこる三重四重の奇怪なる殺人事件が犯人の脳髄に描かれた精密なる「犯罪設計図」にもとづいて、一分一厘の狂いもなく着実冷静に執行されてゆく

  • あまり派手さがないので物足りないと感じる人もいるかもしれませんが、しっかりとした作品なので古典や純文学が好きな人にはお勧めです。
    自然の風景の描写がとても素敵です。
    それと恋愛的な描写もかなり多くて、そちらの方でも楽しめます。
    酉つ九は事件よりそっちの方が気になってました。

  • 11/5開始。文学的描写多し。<br>
    /12継続中。/16まだ読んでる。
    11/30あれれ、全然読んでない。
    3/5やっと読んだ。今まで読んだところも読み直して。「文学作品」としての「本格」。探偵小説/本格/文学…

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