赤い館の秘密 (創元推理文庫 (116-1)) (創元推理文庫 116-1)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (356ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488116019

感想・レビュー・書評

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  • 殺人事件に遭遇したボヘミアンな青年が、ノリで「そうだ、ぼく、探偵になろう!」と探偵役をコッソリ買って出たり、「君ちょっとワトソン役してくんない?」という軽いノリの提案に、「いーよ」とこれまた軽く友人が応じたり。
    終始、このノリのいいホームズ&ワトソンが、あーでもないこーでもないと狭い敷地内を東奔西走するミステリでした( ^ω^ )

    とりあえず思ったのは、なんかこのコンビ、ノリはいいけど捜査方法はなーんかこすっからいというか、みみっちいと言うか…いえ、そのギャップが可笑しくはあるのですが、少し探偵の捜査手法としては物足りないかなあ。
    最初から犯人たりえる人物が極端に限定されていて、その人物の目をかいくぐりながら調べ物をしたり、尾行してみたり、に終始していたのがなあ…。
    「銃声が鳴り響いた密室に残された死体と消えた容疑者、そして僅かなタイムラグで現場に乗り込んだ発見者達」という本格派な謎に対して、この展開はちょっと物足りない気がしたんですよね〜。作者の最初にして最後の長編推理小説だから、多くを求めるのは酷かなあと思いつつ、少しもったいなあと感じてしまいました。

    あとはまあ、本作の警察さんがあまりにお粗末だったのもね…。普通、××は確認するでしょ…照合するでしょ…。
    普段は「本格推理小説に警察の介入やら科学捜査なんて不要よ〜!スルーよ〜!←」と豪語して憚りませんが、この辺を濁さずに寧ろドヤ顔で探偵に語らせてしまったのが、何か逆に微笑ましかった(笑)。

    全体的に、ファニーでコージーなライトミステリです。惜しむらくは、邦訳の言い回しの古さ、取っ付きにくさでしょうか。現代訳の方が受ける気がするし、このストーリーの雰囲気には合う気がするなあ。


    十数年ぶりに赤い館に帰ってきた放蕩者の兄が殺害された。彼の弟であり、屋敷の主人でもある人物が直後に謎の失踪を遂げたことから、彼を最重要容疑者として警察は捜査を進めていた。ところが、死体発見現場に居合わせた素人探偵・ギリンガムは、些細な矛盾点に気付き、独自の調査を進めていく。

  • 途中からフーダニッドより、ハウダニッド、ホワイダニッドへ重きを置かれた展開になっていきますが、充分面白い。
    なにせよくありがちな登場人物一覧に出てくる人の大半が、お話の前半で帰宅してしまうという、破天荒ぶり。
    ええー、これで成立するの?と思いつつ読みましたが、成立してます。
    いやぁ、面白かった。

  • 『8つの完璧な殺人』を読むために読んだ。
    くまのプーさんの作者がミステリーを書いていたとは知らなくて驚いた。牧歌的、と聞いていたけど、マジで牧歌的。
    赤い館の秘密、というのは抜け道のことだろうし、マークの人柄のことでもあるんだろうけど、なんか緊張感が無い。
    容疑者、というか客が、殺人事件のあとそそくさと立ち去るので、もうケイリーが犯人で確定じゃん、となり、じゃあ、どうやって?となる。
    そのやり方だって、抜け道がわかればわかってしまうし、ロバートの死体もどうせマークだなとわかっていたので、消化試合じみた読書だった。
    面白かったのは、探偵役のギリンガムとワトソン役のぺヴリーかな。楽しそうに探偵してるのが良い。仲良い。
    表紙だと女性がいたので、活躍するかとおもったら全然。男二人とケイリーが話の軸を回していた。
    読めて良かったとは思う。

  • 昔の訳なので言葉使いや表現が古く、馴染めなかったが、2人の若い探偵役の軽妙な会話は案外読みやすかった。

    ※長らく積読していたものを読了。いつの間にか、新訳が出ていたみたい。

  • <どこからかはちみつの匂いがしてくる>


    『くまのプーさん』の作者として知られるミルンが書いた、唯一の長編推理小説☆
     条件反射で、ポール・ギャリコの『幽霊が多すぎる』(https://booklog.jp/users/kotanirico/archives/1/4488194028)が思い浮かんでしまいます。これも作者唯一の長編推理小説なのでした。

     プーのミルンが書き上げたこの探偵物語の特徴、それは何と言っても、とっても可愛いということです!
    「とてもここには書き切れないほどの、お父さんへの深い敬愛の念をこめていまようやく書きあげました」
    というミステリファンだった父親に捧げる献辞まで、家庭的であたたかい雰囲気を醸し出しています。そして、けだるくも暑い夏の昼下がり、ぶんぶと物憂い唸りが聞こえ、どこからかはちみつの匂いがしてくるのです★

     登場人物をぬいぐるみに置き換えたくなります。大の大人とは思えない、ギリンガムとベヴリーのやりとりの可愛らしさ。プーさんとピグレットを連想せずに読み進めるのは困難を極めます。幻聴が始まります……。「うーん、うーん、どうしよう。困ったねえ。」「そうだ。こうすればいいんだよ。」「えらいね、プー!」
     やっぱりミルンだ、プーさんだ。このラヴリーでファンシーな文章でミステリを書くというのが、誰かがやりそうでやらないユニークさです。

     執筆当時(1920年代)は、手品のように鮮やかに謎を解き明かす、スーパーマン型の探偵が主流だったらしいのですが、ミルンは「探偵は素人であるべき」との見解を示したそう☆ 「うーん、うーんっ」と頭を抱えこむ素人探偵の出現は、なかなか画期的だったのではないでしょうか!?
     とは言え、あまりに牧歌的すぎて、今日のミステリになれてしまうと物足りない気分になることは否めませんね。真面目な御大チャンドラーなんて怒り狂ってしまった……★

     ですが、重苦しい雰囲気で血みどろべったり、悲鳴が耳をつんさくような話に疲れたときに、この一本を♪ 現代人にこそ必要なヒーリングミステリなのです。

  • ミルンの唯一の長編推理小説。イギリスらしいユーモアと本格推理への愛情に満ちあふれた、品位ある作品。しろうと探偵とワトソン役のその友人のコンビがとても魅力的。

  • ユーモアユーモア言ってるけど、イギリス人のユーモアはおもんないなぁ…つうか、はしがき読む限りだとそんな面白い推理小説には全然思えないんだけど

  • あの『くまのプーさん』の執筆者の書いたミステリという事で、一体どのような作品なのかと思っていたら、きちんと筋の通ったミステリになっていたことに驚いた。
    何でも器用にこなす素人探偵のギリンガム、物語に置いてワトスン役を務めるペヴリー。この素人探偵、事件に出会ってから初めて探偵をやってみようと思い立つという、ある意味他の探偵たちを馬鹿にしたかの様な設定である。他人事という事で、ギリンガムは気軽な気持ちとも取れる姿勢で事件に挑む。確かにその姿勢なら、あらかじめ事件関係者について先入観を持っていない、事件に巻き込まれる事で無用な展開が広がることも無い、などなど良い点もあるのだが、どうにも私はこの類の探偵は好きになれそうに無い。
    トリックや最後の解決法については問題無しといってよい。更にギリンガムは推理の過程を物語の途中途中できちんと話してくれるので、普段ミステリや複雑な物語を読みなれていない人でも充分に理解しやすい内容となっている。ただ、その分最後のどんでん返しが足りないと感じてしまうかもしれないが…。

  • ホームズ役ギリンガム、ワトスン役ベヴリーの会話がおかしみがあって大好きです。
    それに作者の前書き。ミステリ愛がほとばしっていていいですね。

    訳文、特に地の文が少しわかりにくいのがちょっと残念です。
    会話はほんとうにユーモアがあって楽しめるのですが。

  • 殺人事件が起こっているのに、終始長閑な雰囲気。何処か、他人事みたいな探偵役二人のやりとりのせいでしょうかね。

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A.A.ミルンの作品

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