盲目の理髪師 (創元推理文庫 118-5)

  • 東京創元社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (377ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488118051

感想・レビュー・書評

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  • 私のイメージしてるカー作品とは違う、ちょっとしたどたばた劇も混じりながら、でも真相編の解き明かし方はやっぱりカーだなぁと思える作品。

  •  ギデオン・フェル博士が探偵役のシリーズ23作中4作目の初期作。私が読んだのは1997年32版のものですが、とにかく字が小さくて読むのが大変でした。読んでも読んでも先へ進まない感じ。ストーリーそのものも何の話をしているのか焦点があっていない感じがして疲れました。

     本作はウィキペディアで紹介されていたように、登場人物が真面目なんだか不真面目なんだか、吉本新喜劇のように盗難や殺人が起こっても、「さあ、それは心配だ」という程度であまり深刻に受け止めないので、起こったことそのものに印象が残らず読み流してしまいました。……私はファースが向いていない典型的な日本人なんですね。

     トリックも面白いんですけど、ファルス的要素と謎解き的要素がこんがらがっていて、推理に集中できず退屈な時間を過ごしてしまいました……。また船上とはいえ、大きな定期船ですから、疑わしい人物が少ないことに根本的に理解できませんでした。

  • かなり前~後半と終盤の描写が
    異なる作品。
    そんなわけなので、
    この特有の描写になれないと
    最悪戸惑ってしまうことでしょう。

    事件はこれまた先入観を与え
    他の考えを追放してしまう描写が用いられます。
    そして衝撃の犯人にうわっとなるパターンです。
    ただ、慣れてしまうと「カー的」なので
    はいはい、となってしまいます。

    お勧めの部分は最後の
    犯人のあがきですね。
    それをじわじわとフェル博士が
    追い詰めていくという。
    名探偵ぶりは今回はなりをひそめていますが
    別の意味で楽しめることでしょう。

  • フェル博士もの。船上での出来事を物語る形式で、フェル博士は安楽椅子探偵をやってのける作品で、全体的に推理小説の面は前面でなく、ファースが前面に押し出されている作品です。ファースがメインなせいか、若干ミステリーとしての要素がないような気もしますが、いったいどうしてその結果にいたったのか、その回答となるヒントが、ファースの中にたくみにちりばめられていて、最後の回答を読んだとき、ちょっと感服しました。ミステリー要素が弱いとはいえ、さすがカーといったところで、納得のいくもので、とても面白い作品でした。

  • 『帽子収集狂事件』が私のツボにはまり、嬉々としてすぐさま次の本書に取り掛かったのだが、これが全くの期待はずれだった。とにかく終始ドタバタで途中から何が事件で何を解決しなければならないのかが全く見えなくなってしまい、単純に義務だけの読書になってしまった、つまり最後のページに辿りつくことだけを目的にした流し読みになったことを告白しよう。

    一応備忘録的にあらすじを書くと、客船に乗り込んだアメリカ青年の荷物に政治家の醜聞に纏わるフィルムが紛れ込んでおり、それを処分するよう頼まれるが、船内でそれが盗まれ、探しているうちに瀕死の女性が現れ、さらに別の盗難事件も発生し、加えて船内には稀代の悪党「盲目の理髪師」が乗り込んでいて、それら複数の事件が錯綜して船内はやがてパニックに・・・といった感じだ。

    カーの作品の特徴の一つに笑劇(ファルス)というのがある。しかし彼のサービス精神は旺盛で、数ある笑劇の中でもとりわけスラップスティックコメディの色が濃くなるわけだが、本書はそれがほとんど全編を覆い尽くしており、非常に物語が散漫な印象を受ける。
    この笑劇の要素を好む人、またカーの独特の作風が好きな人はこの味は妙味となって堪らないのだろうが、まだこの頃はカーの作品を読み始めて間もない頃で、単に悪ふざけとしか思えなかった。前作『帽子収集狂事件』でカーの本質が解ったと思っていたが、彼の作風の一面であるこの笑劇趣味が過分に出たこの作品では前作で感じた半ば呆然、半ば感心の域を遙かに越え、呆れてしまった。

    初期の作品だが、本書を読むにはある程度カーの作品を通読した方がこの作品の味わいとカーのコメディ作家としての特質がよく解るのかもしれない。実際、本書は本国アメリカでも不評だったというから早すぎた作品だったと云えよう。また日本で“カーキチ”と呼ばれるカー信奉者にはカーの作品で面白かった物として本書を挙げる人もいるくらいだ。
    ではカーの作品をほとんど読破した私はと云えば、やはり初読時の悪印象から再度本書を手に取るには二の足を踏んでしまう。尊敬する作家の誰かがどこかで本書を激賞しているのを目にすれば、多少は手に取ろうと気になるかもしれないが、当面その気は起こりそうにない。

  • 2011/04/21購入

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