夜歩く【新訳版】 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488118358

作品紹介・あらすじ

刑事達に囲まれた密室で起きた殺人。夜のパリを徘徊するのは殺人者か、人狼か。悪魔の如き冷酷さと鋭い知性を持つ予審判事アンリ・バンコラン最初の事件。

感想・レビュー・書評

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  • ディクスン・カーを読んでないなあと思い、デビュー作を読んでみた。密室物の第一人者ということだが、殺された者は、賭けごとをやる部屋で、その者1人が入ったのみの目撃。犯人とおぼしき者の目撃は無い。そのトリックをバンコラン予審判事が解明。

    殺された公爵、新婚の妻、妻の前の夫、公爵の友人、その恋人? などが殺人をめぐる人間関係。あくまで謎解きが主で人間関係は添え物みたいな感じがする。それなりに人間関係は描きようによってはおもしろくなりそうだが、ちょっと合わなかった。そういえば公爵は密室で首がころがっていたのだった。そうかんたんに首が切れるかねえ、とも思ったが、あくまでトリックを楽しむものなのだろう。



    1930年発表
    読んだのは旧版 井上一夫訳 1976.7.23初版 1982.3.19第12版 図書館

  • 翻訳特有のまどろっこしい文章と分かりにくい比喩が読みづらくてなかなか進まなかったけど、謎解き部分に入ると一気に面白くなった。現代ミステリではねーよの一言で終わってしまうようなのがまかり通るのが古典ミステリのロマンだと思う。パリの社交場の退廃的な雰囲気も抜群でした。フランス人から見たアメリカ人やイギリス人の線引きみたいなのも興味深かった。

  • 剣の名手と名高い公爵から依頼を受け、再婚相手の元夫である精神異常者から公爵と新妻を守るために深夜のナイトクラブを訪れるバンコラン。
    しかし公爵はバンコランと刑事が出入口を見張る室内で首を切断されてしまう…。

    カーの初長編もの。
    解説にあった「お化け屋敷」という比喩がこれほど似合う作家もいまい。
    ドキドキしながらも次に何が来るのかとワクワクしてしまう。そしてその何かに驚きつつも喜んでしまう。
    密室の謎は「そこ、まず最初に気付こうよ!」なんだけど、それがカーの持ち味だしな。
    ラストの犯人の告白は超怖いよ。カーの見所だよ。
    表紙イラストのイメージ通りのミステリ。
    和爾さんの新訳は三角さんほど読みやすさはないけれど格調とか雰囲気とかそちら方面が際立っていてこれはこれで。

  • 読み進めていくと、ああ、あれはこの伏線だったのか、なるほど、こんな単純なことで、ああ、なんか怪しいと思っていたここはこういう意味だったのか、というミステリのカタルシスを味わい尽くせます。
    アンリ・バンコランシリーズ。

    ところでこの語り手は何者なのだろうという若干の疑問…

  • とっても嫌な感じの(誉めてます)ミステリ。凄惨な殺人現場、どこかに潜む狂人、そしてどいつもこいつも怪しすぎる登場人物たち。数々の道具立ても魅力的で引きつけられます。ポオのあれがまさかあんな真相に繋がってくるだなんて! ラストでのあのシーンにはぞくりとさせられること必至。
    密室トリック、案外とシンプルだったんだけど。事件の状況にぐっと引きつけられたらたしかに気づかないなあ。というより密室トリック、どうでもいいや(苦笑)。それよりもあのあまりにとんでもない真相に絶句。そんなのってあり? 気づかれないと思ったのか? 本当に?

  • なんとも難解な感じ。
    アリバイトリック、アヘン、不可能犯罪、入れ替わり…。
    入れ替わりはなんとなく予測できたけど、犯人は意外だった。

    途切れ途切れに読んでしまったからなんともすっきりしない。

  • カーの処女長編作品。

    著者の持ち味である怪奇趣味が既に満載です。
    密室での首切り殺人、近くに忍び寄る狂った元夫など雰囲気はとても良い。

    ただ、大仰な言い回しに疲れてしまいました。トリックもあれやこれや結構無理がある気も。

    ラストの犯人との会話は、バンコランの悪魔的なキャラクター、犯人の悲しくも狂気に満ちた姿と楽しかったです。

  • 新訳版。
    解説に『お化け屋敷』という表現があるが、確かにミステリの古典は良い意味でお化け屋敷的、見世物小屋的な要素があって、その雰囲気こそが素晴らしいものだと思う。
    この『夜歩く』も退廃趣味、怪奇趣味が満載で、『ミステリ古典を読む楽しみ』を満足させてくれる。

  • 古典的ホラー・ミステリー。トリックよりも道具立てや映像的な展開が印象に残る。

  • 相変わらず、冒頭数ページの掴みが最高にフリーク好みです!ありがとうございます!笑

    ホームズ役が「危険かもしれないけど来る?」と誘い、ワトソン役が「OH, GOD. YES」と誘いに乗り、何それどこの現代版シャーロック?とニヤニヤしていたら、あっという間に事件発生\(^o^)/わーい
    現役予審判事で「事件は1日で解決する!」と言って憚らないホームズ役のバンコランさんですが、今回は1日では無理だったようで、翌日には2人目の犠牲者も出てしまいました←

    司法関係者がホームズ役なミステリって中々避けがちなんですが(CSI的な捜査手法を取り入れるイメージがあるので)、どっこい作品全体の雰囲気は怪奇趣味に溢れています。

    「ドアは内側から施錠され、外には監視の目が光っていた…だと…?よし、分かった!密室だ!」

    ではなく、

    「ドアを開くとそこには禍々しい装飾品が無数に並び、世にも恐ろしい首と胴の離れた死体が我々の目の前に鎮座するのであった!あな恐ろしや!あと何かよくよく考えたら密室っぽい!怖い!←」

    みたいな、まず、雰囲気ありきのミステリですね、分かりました…と読み進めて行ったら、終盤の謎解き段階で指紋やら口紅やら目撃証言やらに唐突に言及してて、ちょっと白けてしまいました。CSI…←
    バンコランの推理の取っ掛かり自体はミステリの王道を踏襲していたので良いのですが、「物的証拠だけで犯人挙げられるじゃん\(^o^)/」と思っちゃったのですよね…。いや、判事なんだから、そういう情報はもちろん持ってるんだろうけどさ…捻くれててごめんなさい\(^o^)/

    登場人物がかなり少ないですが、その分曰くありげなバックグラウンドや意味ありげな伏線の描写がまあてんこ盛りで濃い(笑)。
    風景の描写を逐一語らせる迂遠な語り口調も、ちょっと疲れました…。「芝居がかった言い回しをする関係者」をワトソン役が揶揄してましたけど、いやいや君らも中々だからね地の文含め(笑)。
    ボリュームもそれほどないのでスルスル読めますが、上記の理由でいつもより疲れたなあ。

    トリックそのものは、色々穿って考えすぎなければ比較的容易に導き出せます( ^ω^ )
    私は穿ちましたよ、ええ( ^ω^ )←
    それにしたって、あの人物は騙し通せてると思ったのかな〜ちょっと無理あるよな〜(笑)。


    深夜のナイトクラブの一室で、新妻の前夫に脅迫されていた公爵が首を切断された。二つの出入り口には監視の目が付いていたが、被害者以外の出入りはなく、犯人は現場から跡形もなく消えたように思われたが…。

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著者プロフィール

別名にロジャー・フェアベーン、カー・ディクスン、カーター・ディクスン。1906年、アメリカ生まれ。新聞や学生雑誌への寄稿を経て、30年に「夜歩く」で作家デビュー。長年の作家活動の業績から、63年にアメリカ探偵作家クラブ賞巨匠賞、70年には同特別賞を受賞した。1977年死去。

「2020年 『帽子蒐集狂事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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