緑のカプセルの謎【新訳版】 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488118419

作品紹介・あらすじ

小さな町の菓子店で、何者かが商品に毒入りチョコレート・ボンボンを混入させ、死者が出るという惨事が発生した。さらにその町の実業家が、自ら提案した心理学的テストの寸劇中に殺害されてしまう。透明人間のような風体の人物に、青酸入りの緑のカプセルを飲ませられて。不気味きわまりない犯行、甚だしく食い違う目撃者の証言。読む者を驚倒させる、精緻にして大胆な結末とは? フェル博士の毒殺講義でも名高い傑作が新訳で登場!

感想・レビュー・書評

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  • フェル博士シリーズ。原題は"The Problem of the Green Capsule"。1939年発刊。
    小さな町の菓子店の商品に毒入りチョコレート・ボンボンが混ぜられ、死者が出る。さらにその町の実業家が、寸劇中に透明人間のような人物に、緑のカプセルを飲ませられて毒殺される。
    寸劇が映画撮影機で撮影されていて映像が残っていたところがおもしろい。すべてが明らかになるかと思いきや、より謎が深まる映像上映。フェル博士の謎解きを楽しめる1冊。

  • フェル博士シリーズ10冊目▲菓子店の毒入りチョコレート・ボンボンで死者。心理学的テストの最中に殺害。青酸入りカプセル、食いちがう証言、毒殺講義▼暑く静まり返ったポンペイの廃墟、シネカメラで撮影される白い服の女。それを目にした『曲った蝶番』から引き続き登場エリオット警部がロマンス脳で挑戦!と導入から引き込まれます。事件を目にしたはずの容疑者側は意見が食い違い、警察側は頭に血が上る。事件を写したフィルムを見れば万事解決との期待も…と仕掛けはばっちり。心理学的殺人事件とは、まさに。納得の良作でした(1939年)

  • 個人的にハウダニットが好きなのでほぼフーダニットに終始する本作は少し合わなかった。

  • 初期のカーの怪奇趣味、おどろおどろしさは無く、その点では個人的にはやや物足りないものの、まずまずの佳作かと。久しぶりのミステリーで、堪能しました。

  • 2020/05/04読了

  • 『娯楽』★★★★☆ 8
    【詩情】★★★☆☆ 9
    【整合】★★★★☆ 12
    『意外』★★★★☆ 6
    「人物」★★★★☆ 4
    「可読」★★★☆☆ 3
    「作家」★★★★☆ 4
    【尖鋭】★★★★★ 15
    『奥行』★★★☆☆ 6
    『印象』★★★★☆ 8

    《総合》77 B+

  • フェル博士シリーズ。久しぶりに古典物?を読んだが、現代物にはない面白さがある。

  • 菓子屋のチョコレートに毒が混ぜられ
    犠牲者が出るという事件が起こった。
    事件に深く関わっていると疑われる
    その田舎町の資産家の主人は、
    毒混入の手口を証明するため
    一つの心理的実験を家族の前で
    演じて見せた。
    だが、実験の中で彼は本物の毒を飲み
    命を落としてしまった。
    複雑な謎に名探偵フェル博士が挑む。



    非常に複雑で、緻密に練られた
    物語、演出、トリック。
    毒入りチョコレート事件をきっかけに、
    怪しい心理実験を試みるという流れは
    他にどんな作家が思い付けるのだろうと
    感心させられた。

    だが容疑者は極少数の人間に限られ、
    本書で語られる毒殺者講義の中にも
    あるように、動機は単純な「欲」。
    犯人が凝らした創意工夫は見事だったが
    お前だったのか、
    そういう事だったのか、
    という驚きは殆どなかった。

  • 〇外文の巨匠、カプセルという初歩的なもので大きなトリックへ
    アルルス・レピドゥスの家を訪れていたエリオット警部は、そこである特徴的な一行の姿を目にする。実はそのレピドゥスの家は「毒殺者」であり、実際に人が死んだ家であった。実業家のチェズニーはその家に嬉々とした表情でいたが、そんなチェズニーの家では殺人事件が起こってしまったのだ。
    その事件の捜査協力を求められたエリオット警部は、原因となったであろうミセス・テリーの店でのチョコレートが毒入りにすり替えられたのかどうかの検証を始める。周辺の人物からは様々な目撃証言や意見の食い違いなどを見つけたエリオット警部だったが、果たして真相は。

    なかなか的を得ない登場人物たちの発言に、読者も刑事たちも困り果てるが、フェル博士の講義も経て少しずつ真相が明らかにされていく。イギリス人らしい挙動や立ち居振る舞いも、カー作品の醍醐味なのであろう。日文小説と比べても面白く読んだ。
    ポイントになる部分をイマイチ見つけられなかったものの、最後は思わぬ犯人にたどり着こうではないか。

  • フェル博士シリーズ。
    HM卿と外見はそっくりなのだが、フェル博士の方が人当たりは良い感じなのだろうか。なんだかHM卿は悪態をついてばかりいる印象があるので。

    青酸はアーモンドの香り。
    というのはミステリ読みにとっては常識ですが、あまりにも濃度が強い場合、揮発した青酸で二次被害が出ることがある、ということをちゃんと買いている本ははじめて読んだ気がします。
    みんな、安易に青酸中毒の人の呼気を嗅いだりしないようにね!
    しないです。
    あと、桃の種にも青酸化合物が含まれているというのもよく聞くわけですが、桃農家だから家にアーモンドの香りが渦巻いてるって、そんなことがあるのかしらん…
    あ、アーモンドがバラ科でナッツというより桃というのは、アレルギー的な話でもたまに聞きますねー。要注意。

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著者プロフィール

別名にロジャー・フェアベーン、カー・ディクスン、カーター・ディクスン。1906年、アメリカ生まれ。新聞や学生雑誌への寄稿を経て、30年に「夜歩く」で作家デビュー。長年の作家活動の業績から、63年にアメリカ探偵作家クラブ賞巨匠賞、70年には同特別賞を受賞した。1977年死去。

「2020年 『帽子蒐集狂事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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