- Amazon.co.jp ・本 (438ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488135041
作品紹介・あらすじ
12歳のマイロの両親が営む小さなホテル〈緑色のガラスの家(グリーングラス・ハウス)〉。ある冬の日、5人の奇妙な客が現れる。彼らは全員が滞在予定日数を告げず、他の客がいることに驚いていた。なぜ雪に閉ざされたホテルにやってきたのか? 客の誰かが落としたと思しき、古い紙に描かれた海図を手がかりに彼らの目的を探ることにしたマイロ。だが客たちの謎と巻き起こる数々の事件は、ホテルに隠された秘密に繋がっていた! MWA賞受賞、ほっこりあったか聖夜の物語。
感想・レビュー・書評
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イギリスの港町にある、家族経営の小さなホテル。
雪に降り込められた聖夜、起きた出来事は‥
ジュブナイルらしく、ほっこりする読後感です。
山の上にあるホテルは、<グリーングラスホテル>という名前で、ステンドグラスが特徴。
12歳の一人息子マイロは中国生まれで、見た目で養子と丸わかり。
大らかであたたかい両親とは仲良しだけど、学校など外では内心つらい思いをすることもあります。
休暇の間、例年通りホテルが暇になって両親を独り占めできる時があるだろうと期待していました。
このホテル、主な宿泊客が密輸人だったのです。
ところが‥?
予約のない客が5人、次々に到着。
知らない同士で他の客がいることに驚いているが、どうも何か関連がありそう。
退屈しのぎに一人がひとつずつ、なにかお話をしようということになりました。
手伝いに駆けつけた村の料理人とその娘とともに、マイロもお手伝いに奮闘するうち、思いがけない事件が起きてしまいます。
ホテルの滞在客がけっこう多くて、しかも個性的というか変人ばかり。
さて誰がどんな動機で動いているのか?
往年のミステリのような楽しさ。
一箇所に閉じ込められている状況で事件が起きる、まさしく「雪の山荘もの」と呼ばれるパターンですね。
ただし、連続殺人事件が起きるような話ではないので、怖くはないですよ。
マイロが古い地図を拾い、ひとつひとつ謎を解いていきます。
利発でけなげで感情豊かな、でも出来過ぎではない男の子が可愛くて、好感が持てました☆詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
小さな港町の高台に、12歳の少年マイロの養父母パイン夫妻が経営している小さなホテルがある。
例年クリスマス前には宿泊客もほとんどなく、家族とゆっくり過ごせることを楽しみにしていたマイロだが、今年に限ってはなぜか次々に宿泊客が訪れる。しかも、彼らはそれぞれホテルに関わる秘密を抱えているようだ。マイロは、ホテルの料理人キャラウェイ夫人の娘、メディとともに、それらの秘密を一つずつ探っていく。
本書は二つの大きな要素で構成される。一つは、かつて有名な密輸人が住んでいたというホテルにまつわる謎と宿泊客の謎を解き明かしていく冒険ミステリの要素である。
マイロの家族が経営するホテル「グリーングラスハウス」は古い建物で、各階にはめられた大きなステンドグラスや、ほとんどだれも足を踏み入れない屋根裏の物置、といったわくわくアイテムがここかしこにちりばめられている。
さらに、宿泊客の誰かが落とした古い海図や、大雪の夜に宿泊客が語る古い伝承、ホテルで起こる不可思議な盗難事件など、謎が謎を呼び、最後の大団円までスピーディに話を進めていく。
二つ目は、肌の色の違う養父母に引き取られたマイロが、見た目が違うことに対する引け目や実の父母を知りたいという葛藤など、複雑な心情を少しずつ自分の中で消化していく成長譚の要素である。
マイロとメディは、ホテルと宿泊客の謎を解くために、冒険ゲームのキャラクターになり切ることとする。理想の自分を想像し、それに近づこうとすることで、予定外の事柄にも冷静に対処し、現実の葛藤と折り合いをつけられるようになっていくのである。
あとがきを見ると、本書の著者は本当に中国人の子どもを養子に迎えるべく、準備を進めているところなのだそうだ。本書は、著者家族から未来のファミリーに対して、マイロの養父母パイン夫妻と同様あなたをいつも見守り愛していくよ、というメッセージも込められている。
クリスマスの夜にぴったりなハートウォーミングストーリー。 -
実は去年から読んでいた作品。クリスマスに相応しいと手にしたが、バタバタ実生活で豊かな時を過ごせなくて(苦笑)まず、チョコレート工場の秘密、とかに似てると思った。作品自体がゲームを通して成長していくと言うものなので、みんなで読みたい。
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12歳になるマイロは、港のそばの山の上にある小さなホテルを営む両親と暮らしている。このホテルの常客は密輸人たち。普通の客もやってくるが、クリスマスには客がいないのが普通だったのに、その年は5人の客がやってきた。皆なじみの客ではなく、他に客がいることに驚いた様子だった。そして大雪でホテルは孤立状態になってしまう。
マイロが見つけた古い海図から、ホテルを手伝いに来た料理人の娘メディとマイロは、客人たちの目的を探り出そうとする。
閉ざされた雪の夜に、客人たちは毎夜お話を披露することになる。その話の中からホテルや客人たちの秘密がわかっていく。
時代ははっきりしないが、パソコンも携帯電話もない。マイロや父親はRPGをするのだが、PCではなくフィギュアなどを使ったゲームであり、それがこの謎解きのキーポイントになっている。
設定が変わっているが、それがかえってフィクションの世界に一気に入れる(とはいえ最初、設定を理解するのにとまどうかも)。ミステリーというべきか、ファンタジーというべきか?? -
最近の創元文庫は字が小さすぎる!
読みたくても目がチカチカして辛い!-
2020/02/26
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2020/02/26
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クリスマスに読み始めたけど、もう少し早く読み始めたかったな。
途中で、トリックに気づいたよ。
でも、謎に引き込まれる。
ほっこりさせられた〜 -
主人公は12歳の少年 彼目線で 自分の住む家件小さなホテル『グリーングラスハウス』の謎を解いていくお話。殺人事件など起きないので、今はちょっと殺伐としたものより ほんわかした謎解きを読みたいわ って 方には 珈琲や紅茶片手に息抜きするのに良い本なのでは?
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本を閉じて休憩しようかなという時に、作中でホットチョコレートが注がれたり、ごちそうが並べられたりと、食べものの出てくるタイミングが絶妙だった。
丘の上の小さなホテル〈グリーングラス・ハウス〉の秘密を解き明かすのは、少年マイロ(ネグレ)と少女メディ(サイリン)。誰かになりきることで見えてくる自分自身の望む姿。いくつもの「お話」から浮かび上がってくる、宿泊客とホテルとの繋がり。時を越えて届く答えは愛情のこめられたプレゼント。クリスマスには誰もが宝物を手にする。白砂糖みたいな雪が降る聖夜にぴったりな心温まる物語。 -
大好きな養父母との間に血のつながりがないことや、生みの親に思いを馳せてしまう自分について悩みを抱える12歳の少年マイロが、クリスマスを目前に控えたある日、両親の経営するホテルを舞台に謎解きに奔走するというジュブナイル。
途中、詰め込みすぎだったりできすぎていると感じた展開もあるが、奇妙な少女メディにせっつかれたマイロがTRPGのキャラクターになりきることで「自分ではないもう一人の自分」として謎解きを進めていく展開が秀逸。愛情に満ちた両親との触れ合いや、メディとの友情、ホテルに現れた謎めいた滞在客たちの人生模様を経て少年が成長していく姿はやはり気持ちがいい。クリスマスものらしい心温まる物語だった。