- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488140274
感想・レビュー・書評
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まずはストーリーの疾走感が素晴らしい。緩急をつけながらもツボを押さえたサスペンスの展開が読者を引き込みます。自分は中盤以降の展開に目が離せなくなり、一気に読了してしまいました。
ある日、新聞に掲載された大富豪からの花嫁募集広告。そこから始まる金目当てのノンストップ・サスペンス物です。ドラマか映画に向いているなと思っていたら、既に映画化済みなんですね。
【注意】この後のレビューについてはネタバレはしていないつもりですが、予見を与えるかもしれませんので、未読の方は読了した後に当レビューをご覧ください。
しかしながら、割と序盤でこのサスペンスのオチが見えていて、終盤頃にやっぱりね!とこうくるのですが(笑)、最後の最後のオチがいつ始まるんだろうと思いながら読み進んでいく内に、あれっ?なかなか始まらないなあ、とだんだんなってきて、最後は、えっ!?ここで終わっちゃうの!という感じになりとても驚きました。そうかー、オチが無いのがオチだったか!
確かにプロットとしては意外性に満ちていますが、この釈然としない思いはまだまだ人生に未熟ということでしょうか。(笑)
あとがきでは、遺言状の矛盾について指摘がありましたが、自分はむしろ、この主人公の女性の性格設計に破綻があるのではと感じました。野心に溢れ、男を手玉にとりながら、相反するようなラストの支離滅裂な思考と言動に大層な違和感があります。如何? -
サスペンス。ミステリ。
雰囲気としてはピエール・ルメートル『その女アレックス』が近い印象。内容は違うが、一人の女性が主人公の、残酷な物語。
「私の職業は真実を捜し出すこと」という警視が、いくら真実を訴え続けられても信じない…やるせない。
何とも言えない感情を味わえる結末も絶妙。
海外のサスペンス作品は、それほど多く読んでいないが、この作品は傑作だと思う。 -
カトリーヌ・アルレー(Catherine Arley)の二作目の長編(1956)。原題はLa Femme de paille。安藤信也訳。日本では1958年東京創元社のクライム・クラブ第16巻『藁の女』として邦訳され、映画化を機に64年に『わらの女』で文庫化された。
34歳のドイツ人女性ヒルデガルデ・マエナーは伴侶を募集するアメリカの大富豪カール・リッチモンドの新聞広告を見て、妻の座を手に入れるが……。
富豪の秘書アントン・コルフとの最初の面接から始まって意表を突かれる出来事の連続。結城昌治氏がこの作品の「大きな論理的欠陥」を指摘しているが、そのことが欠点に見えないほど面白いストーリー運びだ。 -
面白かった。ぐいぐい引き込まれてかなり一気読み。しかし、この、絶望的なラストは何とも…全く救いようがないですね…
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この作品の醍醐味はいわゆるオチや犯人探し的なモノではなく、サディスティックな会話や巧みな心理描写だと思う。 特に後半の主人公が仕掛けられた罠に落ち追い詰められ破滅していく描写はなんともいえない ラストの一切救いのない終わり方も清くて好き 読み終わったあと甘味な無力感に襲われました
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まずラストが衝撃的!!
でもここでもう一捻り立場が逆転することがあれば最高だったと思う。
話としては海外ミステリーにしては読みやすくサラッと読めた。 -
アルレーは初読だが、訳者の安堂信也はベケットの『ゴドーを待ちながら』などの翻訳でなじみ深い人。タイトルの意味はいかようにも解釈が可能だが、直接的には語られていない。主人公ヒルデガルド、及び他の主要な登場人物の造形は実に見事。推理小説の枠組みを越えて、小説を読む楽しみそのものを味わうことが出来る。ただし、裏表紙の広告文がネタバレどころか、真犯人を名指してしまっているのは、推理小説にはあるまじきことだろう。もっとも、この作品は犯人探しの妙味よりも、著者の人間観や心理の動きに真価があるので、まあいいのだけれど。
落語でも、真打は寄席を出てから笑わせるって言うし。落としどころが深いのかも?
落語でも、真打は寄席を出てから笑わせるって言うし。落としどころが深いのかも?
コメントいただきありがとうございます!
あまりにも直球過ぎて、逆に漠然と予定調和的に予想していたオチを見誤り...
コメントいただきありがとうございます!
あまりにも直球過ぎて、逆に漠然と予定調和的に予想していたオチを見誤りました。(笑)
何事も予想を裏切られると驚きますよね!