まっ白な嘘 (創元推理文庫) (創元推理文庫 146-7 フレドリック・ブラウン短編集 1)

  • 東京創元社
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感想 : 39
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  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488146078

感想・レビュー・書評

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  • 短編集。気に入った3作品の感想。
    どれも最後に逆転があるけれど、そこに至るまでの主人公の苦悩の方に焦点がある。
    他の短編もなかなか面白い。

    《世界がおしまいになった日》
    飲んだくれを驚かそうと新聞編集者が「世界が今日終わる」と加工した新聞を渡す。飲んだくれははずみで人を二人殺す。追ってから逃れて川に飛び込んで、冷たい水にさらされて酔いが一気に醒めた。
    編集者の元へ向かってそいつを殺した。編集者には本当に「世界の終わり」だった。
    作中で犯人である飲んだくれは編集者のパワハラを受けて退社した人物であると暗示してある。

    《メリー・ゴー・ラウンド》
    主人公の中年(37歳)のメリーゴーランド管理人は、意中の女の子が好きだが年の差から告白できず、お似合いだと思っている支配人の息子と付き合ってほしいとまで考える日々。そんな中移動式遊園地で殺人事件発生し容疑者として支配人の息子が捉えられてしまう。彼のベッドに盗んだ銀貨があった。
    移動前日の最終日、ここで真犯人が見つからなければ彼が有罪になってしまうと考えた主人公はありったけの貯金を引きおろして「真犯人は被害者自身。自作自演で金を奪われた芝居を企んだところ常から悪い心臓がたたって発作で死んでしまった。ここに隠した金がある」と警察に述べてメリーゴーランドの馬をハンマーで叩き割ると、なんと本当に盗まれた金があった。あんぐりと口を開ける主人公。予め用意してあった貯金と、被害者が盗んだ金の両方を見て、主人公の真意を悟った女の子は、主人公に素敵ねあなたに気があるの、と告白してハッピーエンド。

    《キャサリン、お前の咽喉をもう一度》
    成功した楽団のサックス奏者の手首を切ったのは自分ではなく妻。大逆転のオチ。
    入院中の主人公の描写がいい。

  • 恥ずかしながら初めてのフレドリック・ブラウンなのです。あれ? SFの人じゃなかったっけ? くらいの認識しかありませんでした。猛省しております。なぜ今まで読んでいなかったのだと後悔しました。それくらいにとてつもなく面白かったのです!
    様々なタイプのミステリが詰まった短編集です。オーソドックスな犯人当てもあれば、どのようにして?に主眼を置いたハウダニットもあれば、微妙なズレがもたらす奇妙な味もあり、最後の一行に驚愕するものもあります。そしてそのどれもが、「なぜ?」が「なるほど!」に変わる快感を味わえます。
    殺人現場に残された足跡の謎。自殺するはずのない人物が自殺する原因。下宿の部屋に明かりをつけずにいる理由。記憶を失った男の顛末。憎き悪漢の最期。そして最後に読者に仕掛けられる罠。どれもユーモアとサスペンスが融合された極上の一品です。
    こうなると、他のミステリ作品はもちろん、SF作品も読みたくなりますね。またまた楽しみが増えたというものです。

  • 名手、フレデリック・ブラウンのミステリー短編

  • 1973頃
    中学生の頃、これでフレドリック・ブラウンにはまった。
    コナンドイルの後は、本の楽しみといえばとフレドリック・ブラウンだったと思う。

  • ショートショートに必須のサービス精神が随所に発揮されていて飽きることはないものの、着地点が見えてしまう作品が多く、やや牧歌的な印象を受ける。とはいえ、悪意、恐怖、猜疑の表現には不気味な迫力があり、読みやすさの中にもしっかりエッジが効いている。「叫べ、沈黙よ」が好き。

  • イヤ短編の名手フレドリック・ブラウンのくせにまさかの感涙作『メリー・ゴー・ラウンド』!ニックさん良かった…。

  • 初版は1962年で、今回読んだのは1991年40刷ですが、翻訳が古いまんま。ハネムーンが「蜜月」、そんな古臭い言い回しがあちらこちらに。
    肝心の内容ですが、私にはイマイチでした。

  • 40年代ハリウッドのサスペンス映画を彷彿とさせる短編だった。
    特にヒッチコックのレベッカ、ジョージキューカーのガス燈が浮かんだ

  • 全部ではないけど、意外な展開やオチが多くて面白かった

  • 16の短編集
    ミステリー的要素あり
    全体的に,薄暗い雰囲気を醸し出す

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著者プロフィール

フレドリック・ウィリアム・ブラウンは、アメリカ合衆国オハイオ州シンシナティ生まれの小説家、SF作家、推理作家。ユーモアあふれるショートショート作品で知られている。

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