- Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488168070
感想・レビュー・書評
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なぜか男だと思っていたヘレン・マクロイ。読めば一発で女性だと分かる文章だった。推理のためもあるだろうが、容姿の描写が凄く細かい。そこまで書かなくてもいいんじゃないの、と思うくらい。ややくどかった。
内容は、フォスティーナ・クレイルに起こったこと、ほぼそれだけである。それだけを描写して十分一冊の本になる、ということに感心した。あとがきを読んで、もとは短編だったと知り、なるほどな、と思った。
ミステリー?幻想?と惑わせたいのだろうが、どう考えても○○だろう……と思ってしまったので、ラストは「往生際悪いな~」という感想。
伏線も文章に書かれたことをそのまま回収するので、現代の小説に慣れているとやや古い感じがして物足りないかもしれない。
ベイジル・ウィリングがある人物を追い詰めるシーンはカッコよかった。プロポーズの言葉遊びも面白い。
凄く面白いってわけではないが、他の作品も読んでみたいと思わされた。 -
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katatumuruさん!
これ、面白いですよね。
『暗い鏡の中に』はミステリマニアの間では名作と呼び声が高かったのですが長らく絶版。
...katatumuruさん!
これ、面白いですよね。
『暗い鏡の中に』はミステリマニアの間では名作と呼び声が高かったのですが長らく絶版。
古書市場ではびっくりするほどの高値がついていた幻の本なのですが、東京創元社さんのおかげで待望の新訳での復刊。
僕も発売後にすぐ買いましたよ。
駒月雅子さんの訳文がいいのかもしれませんが ヘレン・マクロイは他作品もなかなかいいですよ。
あと『暗い鏡の中に』がお気に召したのであれば、ディクスン・カーの『火刑法廷』もチェックしてみてはいかがでしょうか。2013/07/15 -
kwosaさん、コメントありがとうございます(^^)
詳しく教えていただき、参考になりました。
そうですか。
一度は絶版になってたんですか...kwosaさん、コメントありがとうございます(^^)
詳しく教えていただき、参考になりました。
そうですか。
一度は絶版になってたんですか!
こんなに良いミステリーなのに・・・。
日の目を見てホントに良かったです。
この本を読んで、この作者の本をまた読もうと思いながらそのままになってます。
他の本も今度、読んでみようと思います。
ディクスン・カーの「火刑法廷」もまだ読んでません。
kwosaさんは読み終えてレビューを書かれているのかな?
今度参考にしようと思います(^^)2013/07/15
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舞台は主に寄宿制の女子校。身寄りのない教師が巻き込まれた怪奇な現象。とてもゴシックの雰囲気が強いミステリです。
「血の季節」や「八月の降霊会」の元が分かりました。「幻想ミステリ」という分野がどんなものかも。文中の言葉を借りれば「科学という宗教」の信者ですから、ウィリング博士の説をとりたい。けど読み方としては犯人を信じられた方が面白いと思います。驚きも恐怖もひとしおでしょう。犯人が確定したように思われる状況を作ったと思いきや、さらに深まってしまう謎。プライバシーなんてないに等しく、型に入れられるべく教育される生徒たちの閉塞感。このあたりは面白いのですし、得体の知れない謎はじわじわと恐怖をあおります。ただ、もしホームズがこの謎を解いてくれたらもっと驚かせてくれて、もっと納得のいく答えが出たんじゃないかなと期待してしまいます。 -
女子学院の女性教師、キャメル色の床にふかふかのラグ、白いカーテン、山桃のエキスの緑色のキャンドル、メイド、料理人、宝石、レモンヴァーベナの香り…などの道具立てや、「フロントガラスのワイパーは一本足のバレリーナが二人並んでいるみたいに、一糸乱れぬ軽やかなリズムを刻み始めた。」などの表現が、実にエレガント。
霧の中のように幻想的な雰囲気を醸し出しながら、品がある。
クラシックな気品を持つ。
突然解雇された女性教師の謎を追っていると、そうなのだ、「固い地面なのか流砂なのかわからずに、どろどろの沼地を歩」いているようなのだ。
登場人物もそれぞれに個性があるし、謎があって経過があって、理由付けや説明もなされるので、決して曖昧でいい加減なのではない。
ただ、いつも、実像そのものではなく、鏡に映った姿を見ているような、妖しさが漂っている。
読後も、その妖しい余韻をひきずる。
つまり、取り込まれたということか。 -
幻想小説かつミステリを絶妙に混ぜ合わせた作品。不気味な怪現象と、論理的な推理、しかししこりの残る終幕…とてもおもしろかった。
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じわじわとした、美しいけれど嫌な雰囲気が全編に漂う幻想ミステリ。あまり予備知識を持たずに読み始めたので。あれ、これってミステリだと思ったけど幻想小説だったの?→いやいや、やっぱりミステリじゃん→え、やっぱり幻想? 解決するのしないのどっち? という心境。どちらに取るかはその人次第ですが、私はこれはきちんと真相を暴かれたミステリではないかと思いました。でないとあまりに怖いし、哀しい物語になってしまうのでやりきれない心地がします。
フォスティーナの感じる恐怖と孤独感がどうしようもなく淋しくて。こんな状況に置かれたら、たしかに精神的におかしくなっても不思議ではありません。実害はないといえばないんだけど……やっぱり嫌だよねえこんなの。そしてタイトルが表す、ラストで彼女が見たもの……これはたしかにとてつもなくショッキングかも。 -
米国の大物女流作家ヘレン・マクロイが創造した素人探偵ベイジル・ウィリング博士は、ニューヨーク州検察庁の嘱託精神科医です。ウィリング博士が登場するシリーズは全13作ありますが、1作を除いて全て邦訳されています。この『暗い鏡の中に』は初訳はハヤカワのポケミス時代に出ており、創元推理文庫版は新訳となります。
全寮制の女子寄宿学校ブレアトンの美術教師フォスティーナ・クレインは理由も告げられずに解雇されます。まだブレアトンに来て半年も経たないというのに。同僚のギゼラは恋人のベイジル・ウィリング博士に話します。ウィリング博士はギゼラのためか、自身の好奇心のためか、独自の捜査を始めます。
この作品は幻想推理の傑作という評判が高いようですが、怪異現象の謎も含めてほぼ完璧な謎解きをウィリング博士が披露しており、幻想推理というのは違和感があります。
但し、容疑者がウィリング博士の謎解きを一切認めないという意表を突いた展開になっており、そのため結末が尻切れとんぼのように思えて、あたかも超自然的解釈もあり得ると読者に思わせるようになってます。
『暗い鏡の中に』は自作の短編を長編化した作品ですが、元の短編とはラストが違っているとのこと。短編の方も読んでみたいと思います。