隅の老人の事件簿 (創元推理文庫 177-1 シャーロック・ホームズのライヴァルたち)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488177010

作品紹介・あらすじ

隅の老人は、推理小説史上でも類稀な、名前のない探偵である。本名が判らないだけでなく、経歴も正体もいっさい不明の人物だった。ノーフォーク街の《ABCショップ》でチーズケーキをほおばり、ミルクをすすっている痩せこけたこの老人は、紐の切れ端を結んだりほくしたりしながら、女性記者ポリー・バートン相手に得意の推理を語って聞かせる。その代表作十三編を収録した。

感想・レビュー・書評

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  • 安楽椅子探偵といえば大体名前の上がる隅の老人。

    実際読んでみると、一方的に事件の概要喋って捲し立てたり、裁判の傍聴に自ら足を運んだりと結構アグレッシブ。

    昔の作品だけあって、面白い話もあれば、犯人が見え見えの話やガバガバな話もあって玉石混合。

    けれど最後の話だけは、かなりトリッキーな着地をして驚かされた。
    途中までは⭐︎2だけど、ラストの話だけで⭐︎3!

  • 代表的なものを集めた13の短編。「イヴニング・オブザーバー」紙の記者ポリー・バートンが「ABCショップ」の隅にすわった老人から事件の顛末と老人の推理を聞く、という形式。老人は検視尋問や現場に行って情と報を集め推理している。コナンみたいなアニメの30分番組になりそうだ。人間関係をこれでもかと描くというものではなく、トリックの説明。

    なにしろ1865年生まれのバロネス女史がこういうものを書いていたというのに敬服。和暦でいったら慶応元年から昭和22年没。82歳。日本だったら明治維新から第二次世界大戦後!


    「フェンチャーチ街の謎」
      ポリーと老人が最初に出会う。
    「地下鉄の怪事件」
      座ったまま一瞬で死んだ若い妻。夫の裏の顔。
    「リージェント・パークの殺人」
      ルース・レンデルの「街のへの鍵」の舞台と同じリージェント・パーク。同じ場所での殺人事件。
    「隅の老人最後の事件」(The Mysterious Death in Percy Street)
      アパートの管理人の老婆殺人。隅の老人の身分がほのめかされる。しかも・・

    1901「ロイヤル・マガジン」に6編を発表
    1905「The Case of Miss Elliott」
    1909「The Old man in the Corner」

  • 表紙にあるイラストがあまりにイメージが違うので面食らう。やはりH Mブロックの挿絵に描かれた鳥のような顔の老人の方が良い。老人という訳もイメージ違うんだけど。「犯罪に謎などというものはあり得んよ」と言い放つ、カフェの隅のいつもの席で勝手に事件の謎解きをしていく隅の老人。記者のポリーが事件の概要を話すと一方的に答えを出す。ほとんど質問もせずに鮮やかに解き明かす。そして「隅の老人最後の事件」では、お前もか!のラストへ

  • これも古い名探偵。読まねば、と買った「隅の老人」イマイチ。当時は新しかったのだろうが、古い。謎解きも難しくない。途中で読み止め。

  • シャーロック・ホームズの成功に刺激されてわらわらと登場してきた「ホームズのライヴァル」のひとり、名もなき「隅の老人」の名推理★ただし老人は迷宮入りした事件の謎を、なじみのカフェで聞き手の女新聞記者に聞かせてやるだけで、警察の捜査に協力したりは、しない。与えられた情報から導き出される唯一の解答はその老人と女新聞記者の中にとどまるのみだ★老人は検死尋問に行ったりするから、完全な「安楽椅子探偵」とは言い難いが、その元祖といっていいだろう。紐をいじって複雑なこぶをつくり、それを解きほぐす癖など強烈な個性を放っている。魅力的な人物だ★ただ、物語の出来自体は玉石が混じる。ミステリとしてはアリバイトリックに偏りすぎて、読み進めると結末が読めてしまうところが問題。

  • 微妙だが、安楽椅子探偵のカテゴリに入れてみた。というのも、この老人が事件について語る時は、すでに解決させているからだ。自身で裁判を傍聴しに行ったりと、そこそこ独自の捜査もしている。物語は、冒頭とラストを除いて、老人の独白まがいのシーンで占められている。トリックは、感心するものから呆れるものまで多種多様。でも、この時代にこれだけのミステリを書けるというのは、素直に驚いた。

  • 2+

  • 高校生の頃にハマった『紅はこべ』。その作者バロネス・オルツィの推理小説短編集ということで興味を引かれ、読んでみた。

    カフェの片隅に座った奇妙な老人が女性新聞記者を相手に、警察が手を焼いている事件の真相を推理してみせるというスタイル。それを警察に話して事件解決に協力するといった行動には出ず、逆に犯人の頭の良さを賞賛したりする。そのため、すべての作品で犯人が現実には捕まらずに終わっており、私的にはこれが微妙にすっきりしなかった(勧善懲悪好き?)。
    また、個々のトリックについては結構「ほぉ~」と思うのだが、「その事実からなぜそこまで推理できる?ほかにも可能性ありそうじゃん?」と感じる部分もあり、全体としてはまあまあ。最終話も、意表をつかれて面白かったが、唐突すぎてあっけにとられたまま終わってしまった感があった。

    とはいえ、これまでに読んだことのない不思議な雰囲気を持つ珍しい構成の推理小説で、興味深く読めた。「安楽椅子探偵」というジャンル(?)があることも、この本で初めて知った。(2007.9.19)

  • 読書日:2017年3月29日-4月1日
    Original title:The Old Man in the Corner.
    Author:Baroness Orczy.
    略称『ABCショップ』の端に座る老人が、過去の事件の、自分の推理をPolley Burtonに聴かせます。
    その推理力が見事で、それに段々惹き込まれて行きます。

    Count. Coriniの失踪とBairnsdale荘園の悲劇が中でも印象的でした。
    それからこの巻の最後に彼は謎の失踪を行い、彼女の前から姿を消します。
    この最後に彼女に語った事件を聴いて私にはこの老人は、Arthur Greenhillだと感じました。

    続きがある様なので、機会を見て続編を読みます。

  • 今ひとつ、そそられなかったなぁ。結局この人なんだったんだろう?ラストも、なんでだったんだ?
    いろんな事件も後味悪かった。

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著者プロフィール

1865-1947。ハンガリー低地地方のターナ= オルスに生まれる。14 歳でロンドンに移住。1901 年から『ロイヤル・マガジン』誌で「隅の老人」シリーズの連載を開始。本作の主人公はのちに「シャーロック・ホームズのライバルたち」に数えられ、「安楽椅子探偵」の嚆矢ともされる。他の代表作に、1905 年に演劇として上演され、小説も10冊以上が刊行された「紅はこべ」シリーズなど。

「2019年 『世界名作探偵小説選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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