誰の死体? (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488183028

作品紹介・あらすじ

実直な建築家が住むフラットの浴室に、ある朝見知らぬ男の死体が出現した。場所柄、男は素っ裸で、身につけているものは金縁の鼻眼鏡のみ。一体これは誰の死体なのか? 卓抜した謎の魅力とウイットに富む会話、そしてこの一作が初登場となる貴族探偵ピーター・ウィムジイ卿。クリスティと並ぶミステリの女王が贈る会心の長編第一作!

感想・レビュー・書評

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  • 楽しかった。貴族探偵ピーター卿長編第一作。有能な従僕バンターとのやりとりが笑える。母親も強者。友人パーカー警部と共にフラットの浴室で発見された身元不明素っ裸の死体の謎を調査。癖強いピーター卿の意外な素顔も知り続編に期待。

    • ちぃさん
      出だしの内容を見るだけでなんだか楽しそう!ユーモラスなミステリーの結末が気になります。
      出だしの内容を見るだけでなんだか楽しそう!ユーモラスなミステリーの結末が気になります。
      2024/01/24
    • 111108さん
      あっと驚くのではなく、ピーター卿とみんなが真犯人を追い詰めるその途中のわちゃわちゃが私にはとっても楽しいんです♪
      あっと驚くのではなく、ピーター卿とみんなが真犯人を追い詰めるその途中のわちゃわちゃが私にはとっても楽しいんです♪
      2024/01/24
  • 初めての作家、ドロシー・L ・セイヤーズ。

    最近気に入って読んでいるシェトランドシリーズの 
    アン・クリーヴスも同じく英国のミステリー作家だけど、二人の作品の印象は正反対で、クリーヴスが陰だとすると、こちらはまさしく陽!という感じ。
    テンポよくストーリーが進み、犯人らしき人物もわかりやすく登場し、あまり頭を悩ますことなく素直にお話に没頭できる。
    都会に住む華やかな貴族が鮮やかに事件を解決。
    もちろん、そばに付き従う仕事が出来るバトラーの存在もあり。

    だけどシェトランドシリーズどどちらが好きか、と聞かれると、わたしは断然ペレス派。
    遅々として進まない展開に、最初は慣れなかったのに、
    今ではそれが楽しみのひとつに。
    この作品を読みながら、そのことを再確認した。

    さて、アン・クリーヴスの7作目、「地の告発」に参りましょうか。


    • 111108さん
      ちぃさん、お返事ありがとうございます♪

      目安になってるなんて!素直に喜んでます♪
      私は現実逃避的に読書してるので、日常から遠い世界、海外の...
      ちぃさん、お返事ありがとうございます♪

      目安になってるなんて!素直に喜んでます♪
      私は現実逃避的に読書してるので、日常から遠い世界、海外の昔のものを選びがちです。
      ちぃさんからお薦めの「マリアと蓮」シリーズは日本の作家さんだけど楽しく読めて嬉しいです!日本のものでおすすめの(できればシェトランド風ゆっくりペースの)ミステリありますか?ドキドキしすぎると寝かせる変な癖があるので。
      2024/03/02
    • ちぃさん
      111108さん
      たくさんのミステリーを読まれているので、わたしからおすすめできるものがあるかどうか。。

      視点が新鮮でおもしろかったのは、...
      111108さん
      たくさんのミステリーを読まれているので、わたしからおすすめできるものがあるかどうか。。

      視点が新鮮でおもしろかったのは、降田天の「偽りの春」
      おすすめする中では唯一の、”しっかり”ミステリーです。

      上橋菜穂子のシリーズもの(守り人シリーズなど)は、ゆったりではなくドラマチックな大河風作品ですが、作り込まれたその世界観が素晴らしく、食べ物の描写もリアリティがあります。

      古内一絵のマカン・マランシリーズもおいしそうな食べ物続出で、ドラァグクイーン、シャールさんが
      悩める人たちを癒す物語です。

      もし気になるものがありましたら、チェックしてみてくださいね。
      2024/03/03
    • 111108さん
      ちぃさん、お返事ありがとうございます♪

      降田天さん、上橋菜穂子さん、古内一絵さん、お名前聞いたことありますが手に取ったことなかったです。ち...
      ちぃさん、お返事ありがとうございます♪

      降田天さん、上橋菜穂子さん、古内一絵さん、お名前聞いたことありますが手に取ったことなかったです。ちぃさんおすすめポイントにそれぞれ気になるところがあるので、これから探してみようと思います!
      2024/03/03
  • 今更ながら、初セイヤーズ。
    本書はピーター・ウィムジイ卿シリーズ、長編第一弾となっております。

    ある朝、とある建築家の浴室に、見知らぬ男の死体が、金縁鼻眼鏡以外何も身に着けていない状態で発見されます。
    一方、同じ頃に金融界の名士が謎の失踪を遂げていることが判明して・・・。

    ちょっと想像してみたのですが、自分の家のお風呂に、いきなり知らない人の死体がある状況って怖すぎますよね・・。
    「水ダウ」の“人がいるシリーズ”じゃないけど、“死体がある”とは・・何気にシュールな設定だなと思った次第です。
    で、この“風呂場の死体の謎”と“消えた金融家の謎”を、貴族探偵ピーター卿が並行して追っていく展開で、勿論謎解きも面白いのですが、何といってもピーター卿&従僕のバンターのやり取りが軽快で、この主従のキャラクターがナイスなんですよね。
    とくにスーパー執事・バンターの有能っぷりにはご注目でございます。
    前述した通り、ウィットに富んだ主従の掛け合いが楽しいのですが、ちょいちょいピーター卿の引用過多で無駄に長い台詞にうんざりする部分も無くはないです。
    まぁ、そこはピーター卿の友人・パーカー警部のように辛抱強く我慢して(多分、ピーターの長口舌中、パーカー警部は死んだ目をしていると思いますww)付き合ってあげるのがミソですな。
    と、一見能天気なピーター卿ですが、実は従軍時のトラウマに悩まされているという一面もあり、ここでバンターとの出会いというか関係性も垣間見えるので、いずれこの辺りも深堀りしてほしいですね。
    このように、基本コミカルな感じで進んでいくのですが、犯人に関しては意外性は無くて、怪しい人がそのまま犯人だった感じです。
    ラストの手紙で犯行の詳細が綴られているのですが、人ん家のお風呂に死体遺棄した理由については、ぼんやりしていて今イチよくわかりませんでした。
    とはいえ、終始面白く読めたので良かったです。

    因みに、解説で今後のシリーズ展開について若干のネタバレがあったのには“おいおい!”となりましたが、是非続きの巻も読んでいきたいと目論んでおります~。

    • 111108さん
      あやごぜさん、こんばんは。

      このシリーズ、ミステリーとしてどうかというよりピーター卿との掛け合いを楽しむのがいいですよね。バンター万歳大好...
      あやごぜさん、こんばんは。

      このシリーズ、ミステリーとしてどうかというよりピーター卿との掛け合いを楽しむのがいいですよね。バンター万歳大好きです♪
      あと、あやごぜさん同様に死体遺棄の意味不明だったのでよかった〜
      2024/02/07
    • あやごぜさん
      111108さん。コメントありがとうございます♪

      ピーター卿シリーズ、やっと読めました~。
      確かに、このシリーズはピーター卿のノリや...
      111108さん。コメントありがとうございます♪

      ピーター卿シリーズ、やっと読めました~。
      確かに、このシリーズはピーター卿のノリや各キャラとの絡みを楽しむのが良いですね。
      (他人の風呂に死体遺棄問題も、意味不明でしたし(;'∀')
      私もバンター推しです!
      あと、111108さんもレビューに書かれていましたが、ピーター卿の母上も味のあるキャラだと思いました。
      今後が楽しみなシリーズですね~(^^♪
      2024/02/08
    • 111108さん
      あやごぜさん

      やっぱりあやごぜさんバンター推しですか!ピーター卿母もいいキャラですよね♪
      ピーター卿の長い蘊蓄詰まったセリフはまぁ斜め読み...
      あやごぜさん

      やっぱりあやごぜさんバンター推しですか!ピーター卿母もいいキャラですよね♪
      ピーター卿の長い蘊蓄詰まったセリフはまぁ斜め読みするかして、一緒にシリーズ読んでいきましょう♪
      2024/02/08
  • 初めの方は読んでも読んでも全然頭に入らず、どうにもこうにもつまらないという感じだったが、後半辺りから何かしら事件の実態が見え始めたせいか、グイグイと惹き寄せられた。
    黄金期の作家のデビュー作らしく、事件は至ってシンプルで、或る冴えない建築家の風呂場に見知らぬ死体が紛れ込んで、それがどうも行方不明になった富豪のものらしいがどうも違うらしいというのが大筋。一見何の変哲もない設定のように思えたがこれが実に練り上げられた設定だった。
    死体を殺人事件の被害者と見せかけることなく、処理する方法としてこんな方法もあるのかとそのロジックに感心した。
    またピーター卿が真相に至る推理からかなり盛り上がったのだが、やはり白眉はピーター卿が犯人であるフリークの病院に患者を装い、直接対峙するシーン。こんな緊張感のある犯人との対決シーンは黄金期の探偵小説では初めてだ。しかもここで犯人を直接告発せずに去る所が騎士道精神溢れて、カッコいいのだ。特にフリークが精神安定剤と称した注射器を寸前でピーター卿が受け止めるシーンは探偵小説史上に残る名シーンだといっても過言ではないだろう。
    本来ならば三ツ星なんだろうが、このシーンで惚れた。単なる貴族探偵じゃないぞ、ピーター卿は!

  • ドロシー・L・セイヤーズの生み出した名探偵ピーター・ウィムジイ卿物の記念すべき長編第一作です。
    第一作にふさわしく、ある朝浴室で見知らぬ男の全裸死体を発見したという奇想天外な事件をピーター卿が追います。
    実のところを言えば、奇想天外なプロットで割と複雑性もあるのですが、セイヤーズはあまりトリックとか真犯人をミスジャッジへと誘導していないように思え、現代視点でみると見え見えの伏線が多すぎるようにも思えます。(笑)自分もどの時点だか忘れましたが、割と早い段階で自然と事件の全体像はおぼろげに見えてきていたという感じです。
    むしろ、本作で楽しいのはピーター卿が颯爽と初登場したということでしょう。
    資産家の大貴族の次男で、稀覯本の収集家。退役(?)少佐。常に本の引用を会話に含ませて、ハイソで知性丸出しなのを隠そうとしない貴族探偵。事件解明も暇つぶしの一環。(笑)そして、絶対忠誠を誓う写真好きで有能な執事バンターとの微笑ましいやり取り。
    このようにエキセントリックで大仰な人物設定が物語以上に読者を楽しませてくれていたのではないかと思います。
    他のサブキャラとしては、親友でスコットランドヤードの警部パーカー氏や皆が無能呼ばわりするサグ警部など、お約束のような登場人物がいてこれも楽しいのですが、ピーター卿の母親のデンヴァー先代公妃もなかなか愛すべきキャラに仕上がっていて、こうした面々も含めてピーター卿の魅力であったともいえます。
    当初の物語進行は、ピーター卿の人物的な面白さに支えられていた部分がかなりあったと思うのですが、このようなキャラ設定が故にどうしてもノリが軽くなりがちというデメリットもあり、自分も殺人事件の捜査なのに趣味やスポーツの一環のような雰囲気が濃厚なのには少々面食らってしまいましたが(笑)、セイヤーズも途中で路線変更したのか、後半にいくにしたがって、ピーター卿がかかえるPTSDや、殺人事件の結末の悲劇的要素を前面に出すような記述が増えてきて、結果として物語と人物像にちょっとした深みを与えることになっていたと思います。
    あっ、と言わせるようなトリックや鮮やかな謎解きはなかったので推理小説としては普通の出来栄えのような感覚ですが、ピーター卿の今後の活躍に期待を込めたくなるようなシリーズ開幕の作品です。

  • 正直読みにくい感はあったが、なかなか新鮮な感じのシチュエーションだった。ただ、思ったよりも探偵の印象が弱めでどちらかといえば従僕のバンターのほうが、探偵役に向いているんじゃないかなと感じました。

  • セイヤーズ長編の第1作にして、最高傑作!と推します。1923年にして、こういう犯罪者を取り上げているとは。いつの時代にも居たのだろうけど、着眼出来るってすごいな。

  • 名前だけは知っていた、もう一人のミステリー女王をようやく読めた。
    トリック自体はいまはもう目新しくはないけど、第二次大戦以前の作品だから仕方ない。
    それでも、いまなお、キャラクターの魅力が色褪せない。
    ウィムジーと執事のバンターは、ウッドハウスの主従そのままで、ほほえましかった。
    大戦中に、貴族だから?その学歴ゆえに?ウィムジーは大佐として従軍中、塹壕に生き埋め、それを助けた軍曹?が後に執事になった、というのも萌えーでした。
    語り口調も楽しく、ウィムジーの母や兄も面白いし、この時代の貴族社会が華やか。
    またこのシリーズを読んでみたい。

  • 軽妙な語り口、エスプリ、キャラの立った登場人物は今読んでも古さを感じない。
    後世の探偵小説に影響を与えたと思う。
    謎と解決も見事で読みやすい

  • ピーター郷登場の長編第1作。
    貴族探偵!?御前!?某ドラマがブレイクした2017年に読めたことに巡り合わせを感じる。

    なんといってもピーター郷と従僕バンターの掛け合い。そして親友パーカー警部。キャラクター性を存分に発揮し、ミステリとしての面白味を倍増させている。ウキウキで謎に取り組むピーター郷。バンターの類稀なる活躍(笑)。パーカー警部の行動力。

    あらゆる魅力が詰まった本作。不可解な事件から始まり、証拠探しに論理的消去、メタがあり解決のための大掛かりな計画。探偵小説のいいとこを寄せ集めたような愉快な作品である。

    フーダニットの軽さなんて気にならない。予想が当たったところで評価が下がることはない。
    物語に展開が多く、飽きずにさっくり読める。

    パーカー警部のとある行動と感情には、笑いあり犯人の狂気が入り混じるわで、はじめての感覚であった。ぜひシリーズを追いかけることに決めた。

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著者プロフィール

ドロシー・L・セイヤーズ(Dorothy Leigh Sayers 1893–1957)
イギリスの小説家、劇作家、古典・現代言語学者、ディテクションクラブ第三代会長。オックスフォードに生まれる。オックスフォード大学サマーヴィル・コレッジにて現代言語学を学ぶ。長らく女性への学位授与を認めてこなかった同大学で学位を授与された女性の第一世代に属する。1922年から29年まで広告会社でコピーライターとして働く傍ら、Lord Peter Wimseyシリーズを執筆。アガサ・クリスティらと並び、探偵小説の黄金期を牽引する小説家の一人と目される。宗教劇の劇作家として、またダンテのThe Devine Comedyの訳者としても名を馳せた。

「2022年 『ストロング・ポイズン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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