クリスマスに少女は還る (創元推理文庫) (創元推理文庫 M オ 4-1)
- 東京創元社 (1999年9月23日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (638ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488195052
作品紹介・あらすじ
クリスマスを控えた町から、二人の少女が姿を消した。誘拐か?刑事ルージュの悪夢が蘇る。十五年前に双子の妹が殺されたときと同じだ。そんなとき、顔に傷痕のある女が彼の前に現れた-「わたしはあなたの過去を知っている」。一方、監禁された少女たちは力を合わせ脱出のチャンスをうかがっていた…。巧緻を極めたプロット。衝撃と感動の結末。新鋭が放つ超絶の問題作。
感想・レビュー・書評
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クリスマスが近いある日、本棚にふと手を伸ばし扉を開いた途端、異様な雰囲気にとり憑かれ、ホラ-とサスペンスが横行する小説世界に引きずり込まれる悶絶必死の物語。 パトカ-が1台に警官6人のニュ-ヨーク州メイカ-ズ・ヴィレッジという静かな田舎町で、二人の少女が姿を消す。15年前のクリスマスの日、妹が死体で発見された双生児の兄(警官ルージュ)、小児性愛専門の病理学者(アリ・クレイ博士)、州警察の捜査官、FBI特別捜査官ら混迷する捜査陣と、少女たちの脱出を追った、息つく暇もない衝撃のミステリ大作。
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クリスマス間近に誘拐された少女2人。
その土地では何人もの女の子達が誘拐されて被害にあっています。
外国の物語はやはり登場人物の名前を覚えるのに手こずってしまう。。
物語に馴染むまで少し時間がかかってしまいます。
だけど、それを差し引いても面白い!
かなり入り込んで読んでしまった。
2人の女の子がどうにもキュートで。
更に賢い子たちなのです。
終わり方は賛否両論ありそうですが、私は好きですね。
登場人物、脇役がいないと言っていい程に
魅力的な人たちばかりです。 -
こういう終わり方にしたのか~!と本当、びっくりものでした。私は感動した組!。
この結末は賛否両論でしょうね。
いや、でもいいよん。だって・・・クリスマスだもん(謎&笑)。
最初は犯人は誰?主人公の刑事ルージュの双子の妹を殺した犯人と同人物?などなどミステリ要素の方が強く読み進めていましたが、途中からは少女たちの脱出劇の方が心配になっちゃって、もうハラハラドキドキ。
二人の少女は性格も全然違うし、1人の子はとっても面白いキャラクターをしているんです。おまけにルージュの妹の事件のこと、ルージュの前に現れた顔に傷のある謎の女。誘拐された少女たちの親のこと。更に破産寸前のルージュの家の問題などなどいろいろな要素が絡まりあい、本自体は結構厚いのですが嫌になることはないです。
オコンネルの作品にはキャシー・マロリー巡査部長を主人公にしたシリーズもありますが、私はマロリーがあまり好きではないので、もっとこういう作品を書いて欲しいなぁ~とせつに願う次第です。-
「クリスマスだもん(謎&笑)。」
実はマロリー物も好きですが、此れも好きです。。。「クリスマスだもん(謎&笑)。」
実はマロリー物も好きですが、此れも好きです。。。2014/03/25
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最初に読んだ時、サディーの母親が「あの子は誰からも好かれる」て訴えてるところは「このバカ親が」とせせら笑ったけど、最後まで読んでもう一度読み直した時には「ああ、本当に」と深く同意し、そしてせつなくなった。
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2013/06/26
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誘拐された少女2人の脱出劇と、彼女らを救うために奔走する大人たちの姿を描く。
誘拐された少女・グウェンとサディーを初めとする人物造形が秀逸。
ホラー映画マニアというサディーはその知識を惜しげもなく披露し誘拐犯と渡り合っていく。
過去、一卵性双生児の妹を誘拐犯に殺害され、半身を無くしたまま生きる警察官ルージュ。少女たちを救うために街に戻ってきた顔に醜い傷のあるアリ。そして何よりクリスマスに誘拐した少女の死体を見つけさせる誘拐殺人犯の憎らしさ。
小さな街の誰もが怪しくて、誰もが怪しくない。
読み返すとなるほどと思わせるヒントが散りばめられてはいるものの、犯人は巧く隠されている。
さすがに監禁場所は察しがつくものの、どうやって大人たちがそこへ辿り付くか、子供たちがそこから生き延びるか、飽くことなく読ませてくれる。
地元警察とFBIの対立、アリとかつての恋人との関係など様々な要素を含んだ緻密なプロットで組み立てられた物語は終焉に向かって渦巻いていく。
その長さが全く気にならなかった。濃密な600ページ。
そしてラストに待っていたのは感動のオチ。
よくあるといってしまえばそれまでだけど、そこに行き着くまでにしつこいぐらい書かれた少女たちの友情に、つい涙腺が緩んでしまった。
そしてアリが何故醜い傷を隠さずに生きてきたか、納得の結末だった。 -
再読です。
エピソードの積み重ねにそれぞれきちんと意味があり、この長さである必然性があると感じました。
再生と赦しの物語でもありますが、完全に作者の都合によって語られるのではなく、誠実に登場人物たちと向き合った結果作り上げられた作品のように思えました。
エモーショナルなだけの作品ではないように感じます。
本作が「クリスマス・ストーリー」でもあることを考慮すれば、誰かが言っていた「『合法的な』プロットの積み重ねの上に、『違法な』プロットをポンと投げ出す」形になっているのも納得できます。苦みのある「クリスマス・ストーリー」ではありますが。
ネームドキャラクターは確かに多いですが、話がすすむにつれて登場人物も絞られていくので、特段読みにくさは感じませんでした。私がジェイムズ・エルロイの作品を読み慣れているせいかもしれませんが……。慣れないうちは混乱するのもよくわかります。
複数回の再読に耐えうる、素晴らしい作品ですね。 -
よく練られたストーリー。
いくつもに折り重なるプロット。
はじめは複雑に感じるが一気に引き込まれる世界観。。少女は誰に助けられたのか。
最後に訪れるクリスマスにふさわしい奇跡とは。 -
そうとも、あの子は死んでいる。そうでなくてはおかしい。
原題は「囮の子」。この邦題は素晴らしい。
誘拐された女の子を、過去の類似事件から殺されることが予想されるクリスマスの日までに助け出せるかが主題になるが、手に汗握るタイムリミット・サスペンスではない。
600ページを超す話だが、警察パートの大半は遅々として進まない捜査の描写にあてられる。それを読むことで、読者も半ば絶望しながらもすがるような思いで我が子を待つ親の気持ちになるのだ。
最後に驚くべき真実が明かされるが、個人的には捜査に参加する法心理学者を巡る謎の結末の方に感動した。