- Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488200046
作品紹介・あらすじ
とびきり善人だが、刑事としての才能はほぼ皆無なウィザースプーン警部補。事件のたび困りはてる主人を放っておけない“名探偵”の家政婦ジェフリーズ夫人をはじめ、彼を慕う屋敷の使用人一同は、秘かに探偵団を結成する。今回警部補が担当するのは、毒キノコによるらしき殺人事件。探偵団は先回りして解決し、主人の手柄にできるのか? 痛快ヴィクトリア朝ミステリ新シリーズ。訳者あとがき=田辺千幸
感想・レビュー・書評
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ウィザースプーン警部補は医師の死体を前にただ困っていた。どこから捜査に手をつけるべきか。
家政婦のジェフリーズ夫人と話すといつだっていいく考えが浮かぶのに。
彼女は何と言っていた?
人の良い紳士な警部補と警部補のお屋敷の面々。
警部補に恩義を感じ、その人柄をしたう彼らは、お屋敷の主人のためにこっそりと事件の捜査を始める。
被害者の医師の近所の評判は?
彼が使用人に休暇を与えた理由とは?
ブレーンのジェフリーズ夫人の指揮の元、彼らは動き始めて。
何度もこの警部補大丈夫?と思い、ジェフリーズ夫人の強かさが怖いくらい。
ハングマンも真っ青ですよ。
ラストの警部補に、ようやく彼を想う使用人達の気持ちがわかるような気がした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
コージー・ミステリのシリーズ1作目。
ヴィクトリア朝の英国ロンドンが舞台です。
ウィザースプーン警部補は有能な捜査官という評判を取っているが、じつは推理の才能がまるでない。
おばから屋敷と共に相続した召使達に囲まれていて、じつはその召使達が大事なご主人様のために捜査を展開していたのだ!
リーダーは家政婦のジェフリーズ夫人。
もとは警察官の未亡人でいろいろ経験があるのが強みで、人が打ち明け話をしたくなるような、優しげな女性。
気取らないご主人様とお茶を飲みながら、さりげなく話を聞きだし、推理を誘導するのが楽しい。
お屋敷で育ったわけではない警部補は、必要のない馬車を売り払い召使を解雇してもおかしくなかったが、とりわけ人のいい彼はそんなことはしたくなかったのだ。
医者が遺体となって発見された事件は最初まちがって毒キノコを食べたのかと思われたが‥?
頭が切れる御者、不器用な従僕、機転の利く女中、台所を出ないのにやたら情報通な料理女といった組み合わせが活躍。
わかりやすく、ユーモラスで面白かったです。
楽しみなシリーズができました☆ -
人の良さは身を助く。この作品の主人公・ウィザースプーン警部自身は殺人事件が起きてもどこから捜査の手をつけたらいいのかも分からないようなのんき者ですが、有能な使用人達が関係者に聞き込みを行い着々と捜査を進めてくれます。それは、警部がお屋敷を継いだ際にもう必要ないからとクビにされてもおかしくなかったのに、そのまま雇い続けてくれたから。仕事そのものにはイマイチ熱心でない使用人も、家政婦のジェフリーズ夫人の人の使い方と、警部への恩義から捜査には積極的に動きます。面白いのは、警部に気づかれないよう、いかに自然に捜査を誘導するか。あくまでも警部が事件を解決したようにみせなければいけません。特にジェフリーズ夫人は策士ですね~。帰宅した警部をリラックスさせて捜査状況を聞き出したり、推理の欠陥を何気なく指摘したり。その一方で、善人だけどちょっとおとぼけな警部の魅力も欠かせません。使用人の言うことをいい加減に聞いてたら、どんなに彼らが頑張っても事件解決はできなかったはず。特に最後の、警部自身が選んだ行動をみれば、ジェフリーズ夫人でなくてもこの人を支えていこうと思うでしょう。
殺人事件が起きると不謹慎とも思わず気分が盛り上がってしまうのが素人探偵の常ですが、この作品だと恩を返そうという善意も伴う。この前提があるだけで、随分印象が変わってとても爽やかな読み心地でした。 -
今まで読んだ中では、わりと清潔感のあるヴィクトリア朝が舞台のお話(笑・同じヴィクトリア朝ものでも結構リアルに不潔感漂う描写が書かれてるのを読んでたので。
使用人探偵団のわちゃわちゃ具合とウィザースプーン警部補のいいご主人加減がなんともいえずかわいらしい。
謎解きよりもそっち主軸かなぁ。 -
ロンドン警視庁のウィザースプーン警部補は、その推理力で数々の事件を解決。
有能な警部補の1人として、一目おかれている。
しかし、当の本人は超がつくほどいい人で、推理力はほとんどない。
そんな警部補が数々の事件を解決できるのは、彼の屋敷の使用人たちが、こっそり事件を調査し、彼に気づかれることなく、事件を解決できるよう誘導しているから。
優しい雇い主の警部補のプライドを傷つけないよう、細心の注意を払って事件を調べあげる使用人探偵団のリーダーは、家政婦のジェフリーズ夫人。
その昔亡くなった夫が刑事だったという強みを武器に、警部補からはさりげなく事件の情報を聞き出し、使用人たちをまとめあげる。
使用人たちも優しい雇い主のため、退屈な日常のスパイスのため、と喜んで事件の調査に協力するのだ。
そんな警部補が捜査する今回の事件は、近所でも評判の嫌われものの医者の事件。
当初は毒キノコをうっかり食べたと(警部補が)思われていた事件だったが…。
何がいいって、ジェフリーズ夫人たち使用人探偵団の、雇い主への愛!
優しい(だけが取り柄の)雇い主の助けになりたいっていう使用人たちの心持ちがいい!
もちろんそれだけじゃないけど。
シリーズ第一弾ということで、ラストも続きを匂わせる終わり方。
続きを楽しみにせざるを得ない。 -
少々トロいウイザースプーン警部補の捜査を影でサポートする使用人たちのキャラが立っていてとても面白い。コミカルで脳天気お気楽なミステリは楽しい。
登場する各家のメイドたちが個性的でキュートだ。
ウィザースプーン家の使用人探偵団の一人であるハウスメイドのベッツィはエネルギッシュで気性が荒く話す言葉はコックニーだし、今回の事件で登場するレスリー夫人のメイドであるナネット・ラニアーは小柄で金髪のフランス人、しかも警部補をたじろがせるほどの短気。
ナネットいいな~。今後も登場して欲しいなぁ。 -
英国ヴィクトリア朝、スコットランドヤードの敏腕警部さんは、実はただのお人好しで捜査能力ゼロ。
彼のお屋敷に仕えるハウスキーパーをはじめとする使用人達がこっそり捜査をして、さりげなく旦那様を正しい方向に誘導して事件解決へ導いている…というかわいいコージーミステリ。
思ったほどヴィクトリア朝っぽくない、上下関係ゆるめで現代的なファミリーっぽい使用人だし、和気あいあいと捜査をしてるので、私の期待した「クールで統率の取れた忠義の使用人軍団」ではないほのぼの系でしたが、
『親切なご主人様が大好きで恩返ししたいし、なにより退屈な仕事よりワクワクするし!』という理由で一致団結する使用人たちが素直でよいです。 -
主人公の家政婦が主人の話し相手となり、主人をおだてながら事件解決に誘導します。
主人は人はいいんだけど、事件捜査を行う警部補としては致命的に勘が鈍い。
でも、使用人達は主人を敬愛しているので『主人を助けよう』と警部補にはバレないように自主的に捜査をしています。
結構面白かったので、2巻目も読みたい。 -
ネットで見かけて。
タイトルから言って、
家政婦が主人の謎解きを助ける話だろうことは予想がついていたが、
影ながらこっそりと助けるのかと思いきや、
かなりがっつりと、しかも雇い人皆がチームで助けているとは思わなかった。
そして、まったく気づかずに助けられている、ウィザースプーン警部補が何かを彷彿とさせると思ったら、
司馬遼太郎が「項羽と劉邦」で描く劉邦だった。
劉邦は戦闘能力が高いわけでも、美丈夫なわけでもなく、知略に富んでいるわけでもないが、
懐が深くて、周りがほっておけない、助けたくなる人物として描かれていた。
それと、雇い人が一致団結して助けたくなる警部補は似ている気がする。
それにしても、
家政婦ジェフリー夫人を始め、ほほえましい捜査陣の活動が気になって、
謎解きは二の次になってしまう。
それと警部補(その実、ジェフリー夫人)が解決済みのケンジントン・ハイストリートの恐ろしい殺人事件も気になってしょうがない。 -
図書館で。
ちょっとマヌケなご主人さまを召使が助ける、という結構ありがちなスタイル。ジーヴスとかとは違い、ご主人さまを使用人が尊敬して彼の役に立とうと思っている所が違う所かな。
とは言えご主人様はちょっと…どうなの?というか誰か警察に味方は居ないのか。操作のイロハもわからない人を現場に送りこんでどうするんだ?とか思ってしまいました。時代的に殺人を犯した犯罪者は絞首刑の時代だったんだなぁ… 怖い時代だ。科学捜査や証拠物件よりは聞き込みや人と人のつながりがものを言ったような時代背景。でもちょっと…これはちょっとJ婦人、やり過ぎじゃない?と思わなくもない。ウン。