五番目の女 上 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (414ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488209100

作品紹介・あらすじ

父親とのローマ旅行は思ってもいないほど楽しかった。休暇気分に別れを告げ仕事に戻ったヴァランダーを待ち受けていたのは、花屋の家宅侵入の通報。店主は旅行中で盗まれたものはない。その次には一人暮らしの老人が失踪した疑いがあるとの訴え。一見大したことがなさそうなふたつの事件。だが老人が濠の中で串刺しの死体となって発見されるにいたり、事件は恐るべき様相を見せはじめる。CWAゴールドダガー受賞作シリーズ第六弾。

感想・レビュー・書評

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  • んんんんんーむはーッ

    何だこの書き出し

    お久しぶりです
    刑事ヴァランダーです
    意図したわけではありませんがだいぶ間が開いてしまいました
    でもそんなに連続して読むもんでもない気がするのです

    何しろ大リーグ養成ギプスのようなシリーズですからね

    んんんんんーむはーッです

    何ですか

    本の感想です

    では下巻です

  • ヴァランダーシリーズ第六弾。

    あらすじ
    父親とのローマ旅行から帰ってきたヴァランダー。帰宅してすぐに、まず花屋に家宅侵入。何事もなし。続いて、地元の有名人でもと社長の老人が残忍な方法で殺害される。さらに花屋の店主も旅行には行っておらず、その後死体で発見される。二人の殺害方法に共通するものを感じ、ヴァランダーたちは捜査を進める。元社長の金庫には、アフリカの国で、傭兵として雇われた男の日記があった。そんな時。ヴァランダーの父親が病気で亡くなった。

  •  被害者間の関係が見えない残虐な手口の連続殺人、事件の発端を暗示するプロローグと捜査の進行と並行して挿入される倒叙部分、などなどあまりにも前作と似た構図。並の書き手ならいよいよ行き詰ったのかと心配になるところだが、もちろんこの作者のことだからそれを承知で読ませる作品に仕上げる自信が十分にあったのだろう。事実、おもしろく読めた。細かいことを言い出すと、結局あれは何だったんだとか、回収されていない伏線様のエピソードとか、つくりに雑な点も多々みられるが、こういうシリーズ作は主人公や周りの常連に親しみを覚えるようになると、多少の筋立ては荒っぽくてもその世界にどっぷり浸かるだけで心地よくなれる。これもその域に達したということだろう。そして、くつ下をかがるのをやめてしまってからこの国は住みにくくなった、のようなフレーズにもたらされる圧倒的な共感。そんなシリーズが魅力的でないわけがない。

  • 上下一括感想
    下巻にて

    読書が“保守的”になってるかもしれない。
    読み慣れたこのシリーズが心地良く感じる。
    内容は相変わらずですが。

  • 6作目。
    作品としてのまとまりがあり、登場人物たちになじみもあって入り込みやすい。
    シリーズ物はこーでなくちゃ。

    タイトルや承前が内容とどうからむのかなかなかわからなかったり、
    読者の心をつかむ術が巧み。
    犯罪内容と謎解きが古めかしいのは仕方ない。

    あとがきを読んで本シリーズは10作で終わっていることを知った。
    あとちょっとか。。。

  • ヘニング・マンケル『五番目の女 上』創元推理文庫。

    ヴァランダー・シリーズの第6作。

    認知症の父親とのローマ旅行を楽しんだクルト・ヴァランダーだったが、帰国後に発生した残虐な連続殺人事件に関わることになる。しかし、解決の糸口はなかなか見えて来ない…

    スウェーデン版ハリー・ボッシュ・シリーズのようなハードな警察小説。

  • 三年ぶりの新作。
    プロローグで明かされる“五番目の女”。なるほどそういう話なのかと了解するも、コトはそう単純ではないことを早々に思い知らされる。

    捜査に忙殺されるヴァランダー。父を亡くした喪失感、手掛かりゼロの焦燥感、その合間に将来のプランを空想しては、新たな被害者の出現に絶望を感じてひたすら沈み込む。このヒロイックとは縁遠い主人公に、シリーズ特有の頑固さや堅実さがよく表れていると思う。脇を固める捜査官たちも等身大で人間臭い。プロフェッショナルのいない小さなチームだが、役割分担に長け実に手際が良い。「少数でこれだけ機能している捜査陣とは一緒に働いたことがない」とは、応援に来た捜査員の台詞。

    突破口はおろか手掛かりさえ掴めない難関な事件は、バラバラの点が線につながるのか予測も出来ない。ゼロの地点から、集まった少ない手掛かりに対し、角度を変え想像力を働かせ事件の骨格を見出そうとする。そこに偶然の証拠や証人は存在しない。寝る時間を削って歩き聞き、信念と執念を持って追いつめたチームワークの勝利である。そして冒頭のタイトルの意味に帰結する。これこそまさに警察小説の真髄。

    読後は余韻が後を引き、じわじわと感情の奥底に沁みこんでくる。いいミステリとはそういうもの。特にこのシリーズは考えさせられることが多い。国や地域の抱える問題が常にストーリーとリンクしているので、北欧ミステリはただの謎解きでは終わらない。エンタメ性に傾斜することもなく、真摯で奥が深く、そして仄暗い。捜査の終焉にある種の脱力を感じながら、一方でどことなく身を引き締めてくれる、私にとっては唯一無二のシリーズなのである。

  • スウェーデンの警察物。
    クルト・ヴァランダーが主人公のシリーズ、6作目。
    スウェーデン南端のイースタという町はそれほど大きくはないのだが、交通の要衝に当たっているために犯罪は少なくない。

    クルトは、父とローマ旅行に行って帰ってきた所。
    父は気むずかしく、痴呆が時折出てもいたのであまり上手くいっていなかったが、旅行先では楽しく過ごすことが出来た。
    父は長年ほとんど同じ絵を描き続けてきた画家で、イタリアに行くのは生涯の夢だったらしい。
    その旅行に同行できた幸せを感じる。

    帰国後、妙な事件が相次ぐ。
    元自動車販売会社経営の老人エリクソンが行方不明になり、様子を見に行ったヴァランダーは、敷地内の壕に落ちて串刺しになっているのを発見。
    周到に用意された犯罪の残酷さに、一斉捜査にかかったメンバーは青ざめる。
    花屋の老人ルーンフェルトが海外旅行に行くはずが行っていないという事件も。
    一見、孤独がちで無害な彼らには、裏の顔が…

    犯人の側からの描写も入るので、大体犯人像はわかっているが、詳細はむろんわからない。
    連続殺人のきっかけは、思いがけない。アルジェリアで外国人女性が襲われた事件にあった…
    前半は、恐るべき犯人が警察の前に立ちはだかるという印象。
    連続殺人でもサイコパスというわけではない、知性と狂気を併せ持つ犯人。意志が強く計画的で、ある意味、軍人のよう?
    後半、犯人に迫っていく様子がスリリングに描かれます。

    父の死、その前後の家族の気持ちややりとりも。
    娘のリンダは独り立ちしていて、なかなか連絡もくれない。クルトは恋人のバイバと結婚を考えているが、両親の離婚を見ていた娘には結婚に向いていない人間と批判される。
    バイバになかなか連絡ができず、結婚したい気持ちになっているにしては、仕事優先過ぎ?おいおい、どっちなのよっていう。
    感情的で、のめり込みタイプな名物刑事なのよね。
    警官仲間とは上手くいっている様子。
    シリーズ1作目で妻に出て行かれたものの、諦めきれないでいたみっともなさよりは少しは進歩しているのかな?

  • あいつはもう子供じゃなく大人だ。それで俺は何か失ったのか 得たのか?

  • 6作目。少年だった頃は仲が良かったのに警察官になると決意して以降、理由もわからぬままずっと折り合いが悪かった父親がアルツハイマー型認知症を患っているとの診断が下りたのが前作、解説によると時間の経過が現実と揃うペースで一年に一冊刊行されていたシリーズ、長編で込み入った話なのにすごい。今回は父親の念願だったイタリア旅行へ親子水入らずで出かけたところから始まります。アルジェリアで原理主義者が無差別に複数の女性を殺害するテロ行為が書かれた血生臭いプロローグから一転、シリーズでもあまり描かれない心温まる親子の二人旅が丁寧に書かれていました。戻ってきたヴァランダーは、前作で起こった連続殺人事件のこともまだ引きずったままのところに、新たな連続殺人が起こり、常軌を逸した背筋の凍るような殺害方法と証拠や手掛かりを一切残さない犯人の緻密で冷徹な計画性に翻弄されながら、またしても心身を削って睡眠時間を削って取り組みます。そこへ加えて、政治や経費削減により余儀なくされた慢性的な人手不足と増え続ける事務仕事で弱体化した警察組織に不満をもった一般市民が、法治国家であるにも拘わらず自警団(日本語で言うと自衛のためのボランティアの見回りというような好意的な集団を想起させるかもしれませんが、独断と偏見で根拠なく暴力をふるい私刑を行うような極右勢力)を自称し各地で不満の声をあげていることが新聞で報道されるほどの規模で進行しており、事態を不安視していたところについに自警団が一般市民を襲う事件が発生、その報道を受けて親が警察官であるという理由で学校でマーティンソンの娘が上級生に殴られるというショッキングなことまで起こってしまいます。ヘロヘロになりながらもどちらの対応にも手を抜かずに奮闘するヴァランダーが、イタリアでの幸せで平穏で満ち足りた日々をまだ腕に残る日焼けの痕を見るたびすがるような気持ちで思い起こしたり、忙しい最中に父親に電話しなくてはと思いついて一瞬後に茫然としたりする場面が切なかったです。犯人は作中の早い段階で女性であることが(読者には)明かされるのですが、イースタ署の刑事たちが疑うように連続殺人犯に女性はごくごく少ないわけで、読み応えたっぷりなのにそこのところがやや不満でしたが、怒涛の展開のあった事件の終盤のそのあとの静かなエピローグ的な一節を読んで、そのあたりの不満もあらかた解消されました。読めば読むほど内容の濃いシリーズ。ミレニアムの方を先に読んでいましたが、女性に対する暴力(法的には犯罪を構成しないものも含めて)がこの世に広く蔓延するあまりあたかも普通のことのようになってしまっていることについては、ヘニング・マンケルがいち早くヴァランダーのシリーズで警鐘を鳴らしていたのか、としみじみ思いました。ぼちぼち読むつもりでしたが読むのを止められません。

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