エルサレムから来た悪魔 下 (創元推理文庫) (創元推理文庫 M フ 20-2)
- 東京創元社 (2009年9月30日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488222048
感想・レビュー・書評
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ミステリとしては微妙かも。時代冒険もの。
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当時の服装や髪型、町中の風景など12世紀のイングランドがうまくイメージできない。そのせいかファンタジーや SFでも読んでいる気分になった。
とは言え、教会や十字軍、ユダヤ人への差別問題など、歴史をメインに据えて読むとなかなか興味深い。一国の王さえ黙らせるほどの教会の権力は、後のヨーロッパを型作るのに必要不可欠だったかもしれないが、キリスト教徒ではない日本人には理解し辛いかもしれない。 -
残酷なことが沢山起こったけれど、史実を巧みに盛り込んでいて、とても面白かった。
「昆虫の羽音」と表現されたところは、普通の人たちの行為なので、本当に恐ろしかった。
世界史の授業で習ったけど、いまいち分からなかった教会と王との関係も明快に。教会関係者を王が好き勝手に罰することはできなかったんやね。 -
えっ、この人が死んじゃうの?とびっくり。
今のような科学的な捜査方法のない時代の犯人探しは、大変だっただろうなあ。
恋模様もからんできて、おもしろかった。
続編に期待。 -
下巻。
上巻を読み終わった後、一気に読み終えてしまいました。
怒涛の展開と、事件に迫る主人公の感情が爆発して、上巻とはまた違った展開に。
事件は恐ろしい展開に向かいつつ、まさかの干物女にロマンスが?!
いやー、ちょっと笑っちゃいましたが、彼女は頑張ったので、安易な展開も仕方ないね(笑)
それにしても男性の下半身が良く出てくること。まあ、女性は汚らわしいとされていたキリスト教へのあてつけですかね。
忘れちゃならないのが主人公にいつも付いて行く、ものすごく臭い子犬の「お守り」(犬の名前ね)がコミカル要素を追加してくれて、ほんとに一気に読めました。どんだけ臭いのかよ!って突っ込みたくなりますよ。
同じ主人公の続編もあるらしいので、探して読みたいな。 -
女性の検死官が連続殺人事件を解決するミステリー、と書くとパトリシア・コーンウェルのシリーズを連想するが、こちらは12世紀のイングランドが舞台。その点だけでも充分ユニーク。
時代が時代なだけに捜査や検死の方法に多少迷信じみた要素が入るかと思いきや、そこは想像していたよりも現実的で、むしろ現代小説を読んでいる感覚に近かった。
もちろん風俗習慣、思想、時代背景は12世紀のそれが鮮明に描かれているので、現代小説を読む感覚で時代小説を読むという不思議な読み応えを感じた。
子供を餌食にした犯行も残酷だが、当時まかり通っていた迷信や無知、差別もまた別の意味で残酷なので、現代が舞台の犯罪物を読む時より精神的にエネルギーが削られる気がする。
それでも続編を読もうと思うくらいに面白かった。
上巻での衝撃は退場すると思っていなかった人物いきなりの退場、下巻での衝撃は主人公アデリアまさかの恋。
バリバリキャリア志向かつ男まさりのアデリアが恋に落ちる姿はなかなか可愛らしいのに、たとえ快楽に味を占めても思考はナチュラルに医術と直結している残念な彼女には今後も残念なままでいてほしいw -
さて、下巻です。
上巻最後にシモン殺害というショッキングな事件が起こりましたので、
その遺体を検死するところから始まります。
なぜそう思えるのか理解に苦しむところですが、
自分たちは安全だと信じて疑わなかったアデリアは、
かなり動揺しています。
事件の様相も、どんでん返しの連続で意外な展開となります。
疑わしかった人物も実は・・・。
そして満を持して登場したあの人が、
そもそも何故アデリアが派遣されることになったのかを語ります。
残酷な場面もいくつかありました。
擬音語・擬態語のたぐいや直接的な表現はそれ程でもありませんが、
充分想像できる程度に表現されています。
上下巻通して、
この時代のキリスト教社会とか十字軍の内実が描写されていて、
現代に生まれて良かったと心底思えました。
そしてなによりも。
犬や豚への仕打ちが酷かったです。
動物好きの私にはかなりきつかった。 -
下巻も一気に読み終えた。面白かったが、シモの話が随所にあり、忌むべき件は別として、笑うべきかあきれるべきかと微妙な心境になる場面もしばしばあった。恋に目覚めるのもいいけれど、いきなり積極的になるのはなんだかな、と幾分置いていかれたような気も。登場人物が魅力的なので楽しくは読めたが、何となく都合よく話が進んでしまった感があり、上巻の展開のほうが好みだった。
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最後に犯人を倒してハッピーエンドとならないところがいい。主人公の職業意識の強さに脱帽。