フランクを始末するには (創元推理文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488242053

作品紹介・あらすじ

フランク・ヒューイットは芸能界の大スター。殺し屋の"わたし"は彼の殺害を依頼され…。二転三転するスター暗殺劇の意外な顛末を描いた英国推理作家協会短篇賞受賞作のほか、刑事の相棒に赤ん坊が採用され一緒に捜査を行う「マイロとおれ」、買いものリストだけで成り立つ異色作、ミステリ出版界の裏事情を語る一篇など多彩な12作。奇想とユーモアあふれる傑作短篇集。

感想・レビュー・書評

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  • 青崎有吾推しというので気になって。名著復活の帯でかなり昔の話かと思ったら意外と最近の作家だった。一言では言い難い少し癖のある話達。切なくかわいい『マイロとおれ』一番怖い『豚』アイデア勝ち『買い物』と筒井康隆みたいな表題作が面白い。

  • 英国推理作家協会短編賞受賞作を含む12編収録の短編集。奇想とユーモア、そしてブラックさが垣間見える奇妙な味わいの作品ばかりです。

    表題作の「フランクを始末するには」が受賞作。往年のスターの殺害を依頼された殺し屋の、奇妙な暗殺劇を描いた短編。
    サスペンスやノワールものを読んでいる、というよりかは、不条理なコメディの舞台を見ているかのような読み心地。普通のサスペンスではありえない展開が面白かった。

    この表題作も「奇妙な味」系の作品ですが、そこに独特の読み心地の悪さが加わり、癖になってしまう短編も多かったです。

    「エディプス・コンプレックスの変種」
    チェスで強くなるため、男はある研究者の元を訪ねる。その研究者がいうには、父親を突き放すことによってチェスの実力が上がるということらしいが……

    訳も分からないまま、息子と不仲になっていく父親の悲しい表情が浮かんでくる。どう結末をつけるのか、と考えていたら、全く違うところから頭を殴られ、そのまま終わってしまった……、という不可思議な読後感。嫌いではないけど。

    「豚」は文字通り、豚を愛玩用に飼っている夫妻を描いた短編。会話の中で徐々に、この夫妻の何かが嚙み合わない気持ち悪さが際立ってきます。そして夫妻の価値観の異常さが明らかになった時の、サイコな感じがまたたまらない。

    収録されている作品は小説だけではあらず。「買いもの」は買いもの用のメモだけで構成された一編。

    情景も言葉も人物もなく、買ったものと日付くらいしか情報がありません。なのでその情報からどれだけ妄想を膨らませることができるかも、この短編を楽しむポイントといえそう。
    ある日買いものリストの内容がガラリと変わり、不穏な雰囲気が出てくる不気味さ。そしてメモとメモの日付が空いているところとか、ついつい想像してしまいます。

    一風変わった、一筋縄でいかない短編ばかり。好き嫌いはやや分かれそうですが、またふとした拍子に、こういう奇妙な味系の短編を読みたくなりそう。

  • 切れ味鋭い短編集。
    かなりの傑作です。
    アイデア豊富でブラックユーモアもあり。
    レシートだけで構成された短編や、探偵小説のシリーズを始めたくとも、どんな職業も既に使われてしまっていると編集者につぎつぎに却下されるという大笑いの一幕も。

    「マイロと俺」は、「天真爛漫計画」という奇抜な発想で、赤ん坊が刑事として配属されているという設定。
    相棒のマイロが行く先々で好奇心のままに行動するのを世話するうちに、事件は解決。
    主人公の心にも、何かしら変化が起きていた…

    「フランクを始末するには」は大スターのフランクが長生きしているので、追悼番組で儲けたい面々が暗殺を依頼。
    依頼を受けた殺し屋がフランクの家に行くと、フランクは殺し屋の名前も知っている。
    そして…?

    奇想天外な展開で読ませます。
    苦みもあるけど、それだけじゃない。
    「契約」は、犯罪に巻き込まれた被害者側の様子を描いた作品。
    報道に晒される俗っぽい人間模様がしっかりと。
    父親の態度に、失った子への一筋の悲痛な真摯さが、感じられました。

    オーストラリアの作家。
    「フランクを始末するには」が1999年、英国推理作家協会短編賞を受賞しています。

  • 奇妙な味わいの短編集。ユーモアといってもブラック気味の、かといってダークになりきれない程度の、ちょっと離れたところから覗き見ニヤニヤされてる程度のユーモアでしたな。(『ユーモアミステリ』でほんわか・ほのぼの系を期待されると、この作品集はちと違う)
    お気に入りは「エディプス・コンプレックスの変種」と「買い物」かな。ちょっとゾッとする「豚」と「ビリーとカッターとキャデラック」も良い。
    この作品集、一作ごとに味わいが違っており、個人の好みでお気に入り作品が全く違ってきそうなので、他の方々の感想も聞いてみたいですね。

  • 奇妙な味の短編集。SF風だったりサスペンス調だったりするが、総じてシニカル。
    着眼点が面白く、先が気になる展開のものが多いが、中にはもう少しコンパクトにまとめたほうがよかっただろうに、というものもあった。
    『マイロとおれ』のマイロという名前はおそらくあの粉末ドリンクと同じというジョークなんだろうけど、日本ではミロで知られているのだし注釈があったほうがよかったのでは。
    『買いもの』はアイデア一発勝負な作品だけど、思惑通り想像力をかきたてられた。そういう意味では、結末を最後まで描かず"あとは読者の想像におまかせ"スタイルの話がいくつかあり、そういうのが好きな作者なのだろう。

  • スーパーおもしろかった。独特の着眼点と、ユーモア。しかもブラック。“マイロとおれ”、“エディプス・コンプレックスの変種”、“フランクを始末するには”の3編が特にお気に入り。あ。“豚”はすごく怖かったよ!

  • 奇想とユーモア溢れる傑作短編集です。
    フランク・ヒューイットは芸能界の大スターで、殺し屋は彼の殺害を依頼されます。
    二転三転するスター暗殺劇の意外な顛末を描いた表題作の他、刑事の相棒に赤ん坊が採用され一緒に捜査を行う「マイロとおれ」、買い物リストだけで成り立つ異色作、ミステリ出版界の裏事情を語る一編等、多彩な12作が収録されています。

  • 刑事の相棒に赤ん坊が採用され、一緒に捜査を行う「マイロとおれ」。
    世界初の赤ん坊探偵?
    買いものリストだけの異色作。
    とにかく変わった味わいの作品ばかり。
    奇想とユーモアあふれる短篇集です。

  • 青崎先生のおすすめというチラシがあって、その中で唯一未読だったので、気になっていた短編。
    1番ゾッとしたのは「ビリーとカッターとキャデラック」。あと、「買いもの」も印象に残ったけど、買いもののほうはどこかで読んだような?それとも、似たネタがあるのか。気になる。

  • 書店で目に留まったので買ってみた。
    …シュールすぎてよくわからん。作者はチェスがすきなのかな?

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