招かれざる客たちのビュッフェ (創元推理文庫) (創元推理文庫 262-1)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (566ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488262013

作品紹介・あらすじ

英国ミステリ史上、ひときわ異彩を放つ重鎮ブランド。本書には、その独特の調理法にもとづく16の逸品を収めた。コックリル警部登場の重厚な本格物「婚姻飛翔」、スリルな満ちた謎解きゲームの顛末を描く名作「ジェミニー・クリケット事件」、あまりにもブラックなクリスマス・ストーリー「この家に祝福あれ」など、ミステリの真髄を伝える傑作短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 皆さんのレビューから読みたくて。悪意と冷笑が全編にきっちりと書かれてる。好きなのは「血兄弟」「婚姻飛翔」「もう山査子摘みもおしまい」。一番面白かった「ジェミニー・クリケット事件」は結末が違う版があるそうなのでそちらも是非読みたい。

  • 16話も収録されてるのに、すべてがおもしろいというのは奇跡ではなかろうか。どの話も完成度が非常に高い。本格ミステリや、サスペンス、倒叙などジャンルも豊富で、全く飽きない。
    個人的には、「囁き」が印象的だった。甘やかされて育ったお嬢様が、いかがわしい場所に出入りしてラリった男に襲われる。そのような場所にいたことを両親に言えず、従兄弟に襲われたと嘘をつくが…嘘を重ねることで事態は悪い方へ転がっていく。読み終えた後は、胸の中に鉛を残されたような感覚になる。

    ミステリ短編集では、デュモーリアの「鳥」を超える作品はないと思っていたが、本作も決して負けてはいない。
    ますますクリスチアナブランドが好きになった。 

  • バラエティに富んだ質の良い作品が16編も収められた非常にお得な短編集。
    どれもキレが鋭く、無駄が一切ない。

    以下、好きな作品(若干ネタバレ)

    『事件のあとに』
    話者となる刑事vs.コックリル警部という面白い構図の作品。役者たちが衣装を着てメイクもし直した理由に思わず膝を打ちたくなる。伏線回収も見事。

    『血兄弟』
    個人的にはかなり好き。引き続き伏線回収も見事だし、終わり方が秀逸。本当に無駄がない。

    『婚姻飛翔』
    まさか1行目で殺されてるとは...
    盲点を突くトリック。見事な本格ミステリ。

    『カップの中の毒』
    倒叙ミステリのお手本。女の心の揺れ動き、そして最後の一行。

    『ジェミニー・クリケット事件』
    本書の中で、本格ミステリとしてはこれが一番。多重解決モノのようにいくつかの説を唱えた後、炸裂するトリック。ラストに明かされる真実も驚愕。

    『スコットランドの姪』
    軽快なタッチで描かれた、群像劇のような作品。コロコロと変わる、読者の予想を裏切る展開には、いちいち驚かされる。

    『メリーゴウランド』
    「どっちもどっち、ぐるぐるまわる
     噛まれりゃ相手を噛み返す
     追われたキツネがイヌを追う
     なんてすてきなメリーゴウランド!」
    真相の明かされ方がなんとも言えない余韻を残す。
    繰り返される、という作品は好み。

  • 前世紀のミステリ黄金期に名を馳せた、英国の代表的ミステリ作家クリスチアナ・ブランド(1907-1988)の16篇の短編集。 各作品に共通するのは、重厚な筋運びと意外性、読者の意表を突く犯人像、そして何よりも秘めたる〝毒気〟の滴りに、酩酊させられる異彩を放つ豪華フルメニュ-。 お気に召すままに、どうぞご照覧、ご賞味あれ!

  • 全般にじわじわと怖い、怖いのに読み進んでしまう。図書館で借りたのだけれど、読み終わってすぐ注文した。好きな作家にクリスチアナ・ブランドの名をあげる人の気持ちがわかった。
    16編の短編が本当に粒揃い。読み終わってすぐではなく、一瞬あとに驚きや怖さがやってくる。「え、どういうこと?うわ!そういうこと!?」となる余韻の残し方が本当にうまい。
    「ジェミニー・クリケット事件」が好み。「もう山査子摘みもおしまい」「ジャケット」が怖い。

  • 結構なボリュームだったので読み終わるまでに随分かかった。「血兄弟」のラストがとても好きだった。なんだか不思議な魅力あふれる本。また数年後に読み返すと思う。

  • 滅多にお目にかかれない毒々しい贅沢なフルコース。
    さすがに16品もあれば舌に合わない料理もいくつかあったが、全体的に美味しくいただいた。ブランドを語る程作品を読んでいる訳ではないけれど、既読の長編(『緑は危険』『暗闇の薔薇』)よりもこちらの短編の方が断然好み。人間の悪意や狂気、欲深さ、歪んだ人間関係などどこか突き放したような描き方が秀逸。ただし皮肉のスパイスはかなりの効きめがあるので、受け付けない人は胃を痛めそう。

    もっとも印象深い『ジェミニー・クリケット事件』。結末が違うというアメリカ版を調べた限りでは、私はこちらのイギリス版の方が好み(だと思われる)。読者に推測の余地を残してくれている、この余韻がいい。

    惜しむべくは、訳の古さ。
    新訳で再出版されたらぜひ再読したい。

  •  こういった短編集を読むのにはかなり時間がかかる。面白くないからではない。一度にばたばた読んでしまうのがもったいなくて、じわじわ読んでいるうちに自然と間が空いてしまうのである。
     よくできた本格推理から、ちょっと奇妙な味ものまでいろんなパターンのものが入っている。それぞれが傑作揃いである。読んでいてうまいなと思ってしまう。それでも何か、後味がすっきりしないのは、この作家のカラーというものだろう。酷のある、古い赤ワインといったところか。じっくり読めば読むほど面白い。
     中学生の時に早川ミステリマガジンで読んで、妙に心に残っていた短編と再会できたのが何よりも嬉しかった。一度読んだだけでは頭に入らなくて、何度も読み返しているうちのそのすごさがわかってきた短編である。今読んでもやっぱりすごい。

  • 後味悪目が多い印象

  • 収載されている『ジェミニー・クリケット事件』を目当てに購入。青年と老人の会話で構成される、一見して安楽椅子探偵ものと思いきや、最後におぞましい真相が明らかになる。ほかの作品も、後味の悪いものばかり、”イヤミス”の宝庫のような短篇集です。

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著者プロフィール

Christianna Brand

「2007年 『ぶち猫 コックリル警部の事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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