悪女は自殺しない (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488276072

作品紹介・あらすじ

ドイツ、2005年8月。警察署に復帰した刑事ピアを、飛び降り自殺に偽装された女性の死体が待ち受けていた。実際は動物の安楽死に使用される薬物による毒殺で、夫の獣医や彼の働く馬専門動物病院の共同経営者たちが疑われる。だが刑事オリヴァーが指揮を執る捜査班が探るうち、隠された数々の事件が繋がりはじめ……。〈ドイツミステリの女王〉の人気に火をつけたシリーズ第一弾。解説=千街晶之

感想・レビュー・書評

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  • ドイツの刑事ものミステリー、オリヴァー&ピア・シリーズ1作目。
    自殺に見せかけた殺人事件を調べていくと、怪しげな問題がいくつも出てくる。
    それぞれが明らかになると、なるほどと思うのだけど、そういえば本題は何だっけ、と一瞬忘れていたりして、ちょっとごちゃごちゃしている印象だった。
    そしてあの、目には目を、にはモヤっとする。あれは報復以上じゃないのか。

  • 飛び降り自殺に偽装された、美しい女性。
    被害者のまわりには、悪い話ばかりだった。

    ルックスがよく、貴族出身というオリヴァー。
    専業主婦から職場復帰した、ピア。
    変わった経歴の男女コンビが、恋愛感情ぬきで、いい相棒ぶり。

    ピアのタフさと、まっすぐさ。
    オリヴァーの、優秀なのに、ときどき足元をすくわれる隙のようなもの。
    ふたりともいきいきしていて、キャラがたのしかった。

    似たり寄ったりの動機を持つ腹黒い人間がたくさんあらわれる上に、ドイツ語の固有名詞に苦戦したこともあり、ごちゃごちゃしてやや読みにくい。

    刑事オリヴァー&ピアシリーズ第1作。

  • ドイツで大人気の警察小説。
    同僚の男女二人が主役です。
    これがシリーズ1作目とは。
    読み出したら、やめられない面白さです☆

    ホーフハイムで警察署勤務に復帰したピア・キルヒホフ警部。
    小さな農場を手に入れて2頭の馬と住み、夫と別居1年ですっかり落ち着いて、今の生活に幸せを感じています。
    上司の主席警部がオリヴァー・フォン・ボーデンシュタイン。
    長身で、近くに城を持つ家柄の貴族出身という恵まれた育ち。
    大きな子どもがいる中年男ですが、仕事で留守がちな妻コージマを熱愛し、かつ久々の地元の事件で捜査中に再会した女性にも心揺れたりして。
    根は真面目なようなんですが~‥?

    高名な検事が思いもよらない自殺をとげた。
    同じ日、飛び降り自殺と思われる若い女性イザベルが発見された。
    じつは毒物によるものらしい。
    すごい美人のイザベルは獣医の妻だったが、あちこちで男性を惹きつけ、トラブルを巻き起こしている嫌われ者。
    乗馬クラブでは巧みな騎乗を見せていたが‥
    オリヴァーとピアが捜査を進めるにつれ、警察のほかの部署が担当するような問題をつぎつぎに発見。
    ところが、イザベルに何が起きたかは突き止められない‥?!

    このシリーズ、「深い疵」と「白雪姫には死んでもらう」が先に翻訳されています。
    ドイツの歴史にかかわる重厚さのある「深い疵」が最初というのはわからないでもないですね。
    「白雪姫には死んでもらう」には、加害者やその家族、出所した後の問題などが描かれ、狭い集落での思い込みの強い人間関係があぶり出される話でした。

    この1作目にはそういう焦点や地域性みたいなものは希薄です。悪女物というジャンルかも。
    オリヴァーってしっかりしてそうなのに、けっこうぶれるんで、どっちなの?これは人間的魅力?(笑)って感じも。
    とはいえ、デビュー作にしては上手すぎる事件要素のたたみかけ方で、人物描写は堂にいってます。
    たっぷり出てくる嫌な奴は、因果応報な目にあうし~
    名コンビ登場なのは間違いなし!
    そこを見ていられる嬉しさがありました。

  • ドイツ人の名前に馴染みがないので、登場人物の名前は覚えにくいし、間柄や話題によって呼び方が変わるので、ちょっと前のページに戻って確認したりしながら読みました。

    元貴族の名前には、フルネームの中にそれと分かる呼称が入っているとか、ドイツ社会の中の警官の立ち位置がちょっと分からない(例えば、取り調べにきた刑事に侮蔑、見下すような眼差しを向けるといった表現があるけれど、日本では警官に対してそういった感情は起きにくいと考える)といったこともあるけど、物欲や見栄や嫉妬というたぶん全世界共通の、ドロドロな人間模様の中でおこる殺人。
    面白かったです。

  • 自費出版の初期作だとは了解しつつ、最新作でもなお残る著者の持ち味(?)たるごちゃごちゃぶりには閉口した。重複が少なくなく、文章もキャラも20%くらいスリム化できる気がしてならない。
    また、最新作にはなかったマイナス点として、ストーリーの起伏や人物の感情がやや平板で生硬。これはのちのち改善されるのがわかっているので、今後が楽しみではある。
    ご祝儀読みと言うか、次作以降を楽しむための消化試合の感は否めなかった。

    2020/2/3読了

  • 久々のドイツ発の警察もの。ドイツの作家と言えば「漆黒の森」やクリスチャン・フィジック(新作が出ない!)のサスペンス物しか読んでなかったかな?
    ネレ・ノイハウスは「深い疵」が有名なようだけど、敢えてシリーズ一作目から読んでみることにした。

    話の語りはスゴくスムーズで読み易い。刑事コンビ?が追う墜落死が他殺と判明し、その捜査上で次々と暴かれる犯罪に複雑な人間関係が濃い。主人公が特に名探偵になっているわけでもなく、謎に直面しながら丁寧に捜査する過程を描き、錯綜した謎が徐々に解明されていく展開は見事で、ラストまで真相がうまく煙に巻かれている。

    残念なのは、肝心の二人のキャラが描かれているのだけど、今一つ個性が感じられない点。いくら地の分で色々描きこんでも、セリフや行動にインパクトがないのは残念。これは次作以降に期待かな。
    いずれにしろ、シリーズ一作目にしても十分以上の出来。
    人物一覧がないと、ドイツ人のキャストは憶えれない(-_-;)
    詳しく作ってくれている一覧には感謝。

  • ネレ・ノイハウスさんのオリヴァーとピアシリーズ第一弾。

    飛び降り自殺と思われる女性の遺体が発見される。しかし、解剖の結果、飛び降り自殺ではなく毒物による死亡であることが判明する。
    捜査に当たるオリヴァーとピアは、亡くなった美しい女性は周囲の人間に憎まれていたことがわかる。

    推理作品では、被害者に全く非がないのに殺されてしまう気の毒なものと、被害者が結構な悪人でこういうことになっても仕方ないかもと思わせるものと、どちらかになることが多い。この作品は、後者に当たる。
    好みだと思うけれど、わたしは特に悪いこともしていないのに殺されてしまう作品はちょっと苦手だ。作り事であっても、そんな不条理な話は気分が良くない。

    以前読んだ「深い疵」が面白かったため、シリーズ一作目である本作を読んでみた。作家ネレ・ノイハウスのデビュー作でもある本作は、正直に言うと「深い疵」よりはるかに劣る。それでも推理作品としてきちんと仕上がっているし、オリヴァーとピアの今後も見てみたいと思わせる。

    それにしてもドイツの名前がこんなにもややこしく読みにくいとは思わなかった。ロシアの名前ほどでは無いにしても長ったらしい読みにくさと、それに加えドイツの名前はどことなくゴツイものが多い。

    馬専門の動物病院や乗馬クラブといったものが登場する。
    せっかく馬や乗馬といった珍しいとも言えるものを物語に取り入れるのなら、もっと馬ならではの特性などを絡めてみても良いのではと思う。

    ネレ・ノイハウスさんには今ちょっと興味を持っているので、随時オリヴァーとピアシリーズを読んでいきたい。

  • 確かにこの第1作から訳さなかったのには訳があった。
    いや、それでも十分面白かったんだけど、やはりこなれてないなぁと思いながら読んだ。
    内容の割には重さがないんだよね。
    先に出た2作の出来が良すぎるという話。

  • 初読

    久しぶりに起承転結の起から興味をそそるというか
    上手く巻き込んでいくミステリーを読んだなぁ、という印象。

    だけど、キャラクターが魅力的なんだけど、
    その魅力が立ちすぎっていうかw。
    そのわりになんだか粗雑にブレたり、バツっと一言で断ち切られたりする印象がところどころあって、
    それが不思議なアンバランスだったんだけど、
    解説を読んで納得、ほとんど処女作なのねコレ!
    ソーセージ工場の奥さんがコレを書くってすごいなぁ…!

    この作者の人間を見てる目、というのがすごく好きなタイプな気もするので、
    既刊本も絶対読むー!!

  • ドイツ語の人名、地名に馴染みがなく、何度も行きつ戻りつして読了。北欧ミステリーを読んでいてもそう思うけれど、ヨーロッパの現代ものは人身売買とか麻薬組織などが強固に出来上がっていて、読んでいると怖くなる。

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