英雄たちの朝 (ファージングI) (創元推理文庫) (創元推理文庫 M ウ 21-1 ファージング 1)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488279059

作品紹介・あらすじ

1949年、副総統ルドルフ・ヘスの飛来を契機に、ナチスと手を結ぶ道を選んだイギリス。和平へとこの国を導いた政治派閥「ファージング・セット」は、国家権力の中枢にあった。派閥の中心人物の邸宅でパーティーが催された翌朝、下院議員の変死体が発見される。捜査にのり出したスコットランドヤードのカーマイケル警部補だが-。傑作歴史改変エンターテインメント三部作、開幕。

感想・レビュー・書評

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  • 作中では続いてるっぽい第二次大戦中にナチス・ドイツと講和しているイギリス。講和に貢献したファージング・セットという政治派閥の一人がある日殺されて、ファージング・セットの一員の娘だけれどユダヤ人の夫を持ってる、その夫が殺人の容疑をかけられる…というより犯人に仕立て上げられてる空気。歴史改変ミステリーです。
    真犯人はほぼ確定してるけど、ユダヤ人は憎いからこいつにしとこう感がすごくて。1作目の主人公のルーシー・カーンも夫のデイヴィッド・カーンも好感が持てる人物なのでつらい。ユダヤ人と、爵位持ちで国家権力の中枢にいるお家の娘が結婚してるってだけで針の筵みたいなのに。ルーシーは使用人と丁寧に関わってきたから、大変な状況になっても助けてくれる人がいるのだけが救いです。
    ファージング・セットの皆さんも、ルーシーの父親のロード・エヴァズリーだけちょっとマシで、他は母親含めて全滅。自分の地位だけが大事みたいな人ばかり。
    スコットランドヤードから派遣されてきたカーマイケル警部補は実直な人で「ユダヤ人だから」「イギリス人だから」「権力のある人だから」とかに拘ることなく証言を集めて真犯人にたどり着くのだけれど、ここでカーマイケルの性的指向が大きく立ちはだかる…という胸糞展開でした。そう言えばナチス・ドイツは同性愛者も収容所送りにしてたから、同じような情勢を辿っているイギリスもそうだよな。。
    富者と貧者に別々の法律が存在するのは今に始まったことではない…「カーマイケル、政治を超えるものなんか、なにひとつないんだよ」
    続きも読みます。闇堕ちしたカーマイケル警部補が心配。

  • 第二次世界大戦、ドイツとイギリスが同盟を結んだ世界。

  • スコットランド・ヤードのカーマイケル警部補は、政治派閥ファージング・セットの中心人物の邸宅でのパーティが催された翌朝下院議員の変死体が発見された事件を捜査している。1949年英国。ナチは英国と講和した。そしてソ連との戦いに追われている。実際の歴史とは違う歴史での出来事。

  • 挫折

  • 主人公が特に美人でなく、たぶん普通に太ってるところがよい。さりげなく意思の強そうな顔だとは書かれている。ナチスが1945年に倒れなかった設定の小説だが、特にそこに踏み込むのでなく、主人公の周りのユダヤ人や同性愛者、差別する人、などを淡々と書いている。

  • こんなに私好みの話だったとは!ミステリやSFのランキングを賑わしたのは六年ほど前?それを今頃読んで言うのもなんだが、いやあ面白かった。歴史改変ものって苦手なんだけど、こういう理に落ちるところのない、実感のこもった描き方もあるんだなあと目が覚める思いで読んだ。

    読み出してすぐに、あ、これは当たりだと思った。ダウントン・アビーみたいで、私こういうイギリス上流階級の裏話的なの、大好きなんです。さらに読み進めていくうち、イングランドの田舎の描写とか、ヒロインの気丈でまっすぐな性格とか、なんだか「図書室の魔法」を思い出すなあ、もしや?と著者名を確認して、そこでやっと気がついた。ジョー・ウォルトン。そうか、「図書室の魔法」の作者だったのか。道理で。

    そこからはもう物語の流れに乗って一気読み。この第一巻のラストはかなり苦いけど、この先どうなるのか。ルースとデイヴィッドの運命は、二巻三巻で描かれるのか。いやあ気になる。すぐ読まなくちゃ。

  • ファージング三部作、第一巻。カテゴリをミステリーにすべきか、ファンタジーやSFにすべきか、迷うね。
    最初に読んだ時に受けた衝撃から、たちまちお気に入りになったシリーズ。
    海外暮らしなこともあり、人種問題には平静ではいられず。またずっと抱き続けているユダヤ文化への興味もあり、このシリーズは正にツボにはまったね。
    次作があるとわかっていなければ耐えられないようなラスト。実際、初めて読んだ時は、間髪入れずに2作目を手に取った覚えが。
    こうなっていたかもしれない、という現実感に溢れた内容に、背筋が寒くなる。

  • 図書館で。
    取りあえずミステリーかと思って借りたんですがなんか違いました。アルタードヒストリーというらしいですがなんだか…色々面倒くさい話だなあと思いました。
    ヨーロッパにおけるユダヤ差別は知らない訳ではないですがなんだか色々ややこしい。ミステリーとしては警察が介入してコレじゃあなあ…という感じです。だったらカーマイケル警部視点要らなくないかな、と思うんですが。なんだか周囲ばかりをウロウロしていて全然話の核心に入って行かないし。イライラするので続きはもういいかなって感じです。

    そして同性愛者が多いのは別に良いのですが実の兄の恋人だった男と結婚するってどうなのかなあ…。色々な意味でちょっと理解不能ですがまあそういう世界なのでしょうかね。

  • おーい、こんなところで終わっちゃうの!?という終わり方でしたが、内容はぎっしりつまっていて、すごく面白かったです。特に、同性愛に関するヒロインのコメントがおもしろい。アメリカでの戦争の話も出てきて、読みどころはたっぷり。

  • 第二次大戦中のイギリスを舞台にした歴史改変もの3部作の第1部。ミステリーとしては正直レベルが低いと思いましたが、政治謀略ものとして、今後どう展開していくのか楽しみな感じです。

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