冬のフロスト 下 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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感想 : 59
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  • Amazon.co.jp ・本 (466ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488291075

作品紹介・あらすじ

デントン市内で起きた事件は大半が未解決のまま。署に州警察本部の調査が入るわ、“超能力者”が押しかけるわで事態はまさに八方ふさがり……フロスト警部、ついに降参か!?

感想・レビュー・書評

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  • フロスト警部シリーズ第5作、下巻。
    面白かったです!

    人員不足のさなかに次から次へと起きる事件は、硬軟取り混ぜた種類の雑多さがにぎやかで、テンポよく描かれるために事件のひどさはいつまでも残りはしない。
    深刻な事態の中で睡眠不足になりつつも、とんでもないジョークを飛ばして皆をあきれさせるフロスト警部。
    これぐらいタフじゃないと、警官なんてやってられないかも?
    何しろ陣頭指揮をとれるのはフロスト警部ぐらい。

    気が合わないマレット署長は、捜査の失敗をフロストを左遷させる機会ととらえるのだが‥そうは問屋がおろさない?
    どう転ぶかわからない展開で読ませます。
    ふとした機会に見せるフロスト警部の心配りが印象的。
    訳文もいいので、気分よく読み終われました!

  • 自分からはフロスト大好き、とはなんだか言い難いが、
    誰かが読んでいるのを見たら、話しかけたい。

    この間、高田馬場の本屋さんで、
    発売日直後に「冬のフロスト」平積み一直線で
    パパッと上下巻つかんでレジへ向かった男性に、
    「私も買ったよ、アマゾンで!郵便屋さんが持ち帰ってくれちゃって
    お届け待ちだよ!」と告げたかったけど、
    もちろん言えなかった、ので、テレパシー送信。

    このシリーズのどこが好きなんだろう?と自問自答。

    フロストは見た目バッチィし、
    下品だし(割とそっち方面に寛容な私でも、う~ん、となる部分もあり)、
    女好きではあるが特にもてはしない。
    捜査もわりと行き当たりばったりのごり押しで、
    偶然解決、ということも多々ある。

    捜査にのめりこみ、被害者に感情移入する…といっても、
    小説の世界の刑事、探偵なら通常レベル。

    でも、くせになるんだよね…。

    ねえ、私!、いったいどこが好きなの?!

    嫌な上司(マレット!!!)に時にうまいこと反撃するところ?
    出世欲がないところ?
    部下に慕われているところ?
    なにやら急に感傷的になるところ?

    答えは出ませぬが、面白いことにしばしのめり込みたい方は
    是非どうぞ。


    ストーリーは…、
    ストーリーを語る種類の小説では無い気がするので、省略!

  • 好きだなあ、フロスト。何でこんな、二言目には(いや一言目から)下ネタセクハラ発言ばっかりのさえないオヤジが好ましいのか、自分でもわからん。この新作は本当に楽しみにしていて、一気読みできる日まで寝かせておいたのだ。

    で、フロストは相変わらずフロストだった。捜査は行き当たりばったり、大嘘ついて自白を迫り、くだらなーいジョークを連発し、不眠不休のワーカホリック、よれよれの風体で顰蹙を買いまくる。このシリーズはどれもいわゆるモジュラー型で、大小取り混ぜいろいろな事件が起こるのだが、今回はシリーズ最長だそうで、次から次から事件のてんこ盛り、デントン署は大忙しだ。

    もちろん最後にはどれも解決するわけだけれど、別にフロストの推理がさえていたからとか、勇敢な行動があったから、というわけではない。そこが面白い。勝手に犯人の方から自白してくれたり、棚ぼた式に一丁上がりとなるものもあったりして、ニヤニヤしてしまう。どの「真相」もなるほどと思うもので、まったくうまい。

    もちろん、そうして「解決」するのはちいさなヤマで、娼婦を狙った連続殺人事件と、子どもの行方不明事件はそういうわけにはいかない。ここではフロストの直感と、絶対に諦めないブルドーザーのごとき突進力がものを言う。今思ったのだが、あの刑事コロンボをうんと下品にして、名推理を抜いて、後先考えない行動力をくっつけたら、フロストのイメージに近いかも。いやあ、とんでもないな。

    それにしても、読むことそのものがこれほど楽しいミステリーもそうはない。大小の事件の決着がどうなるかという興味だけではなくて、フロストの言動一つ一つに、おかしさと人間味があって魅力的だ。フロストが、殺された旧知の売春婦セアラの若い日のことを語る場面と、九死に一生を得たリズ・モード警部代行に示した思いやりが心に残った。

  • 約1000Pの至福の読書タイム。
    大事に読みたかったけど、一気に読んでしもた。。

  • 今回のバディは、スケベでドジなモーガン。
    いくらなんでも、こんな刑事はいないよなあ。
    でも、それを言えば、そもそも主人公のフロストみたいな警部自体がありえないのだけれど。

    今回も、いつものフロストや、同僚達、マレットなどのデントン署の面々に会えて、嬉しくてにんまりしてしまった。

    いままでの作品同様、何件もの事件が同時多発し、どう解決していくのか、期待しながら読んだ。
    リズが拉致されてしまった事件はちょっとショックだった。リズは本当に堕胎したのか?(と思うけど)退院早々に、こんな目に遭ってしまったが、もっとリズの活躍ぶりを見たかった!

    最後の終わり方は、エラリー・クイーンの小説のようでかっこよかった!! なるほどね、っていう感じ。本格推理小説みたいで。

    とうとう、これで未読は「フロスト始末」だけとなってしまった。寂しさが湧き上がってくる。
    本当は、すぐに読みたいけど、もうしばらく時間が経ってからにしよう。

  • このミス海外編2014年版3位。フロスト警部シリーズ5作目。このシリーズめっちゃ好きだわ。とても長いのだけど全編ユーモアに溢れており、フロストの発言の9割ぐらいは冗談ばかりだし地の文も笑わせる。ずっと面白いコントを見続けてるようで無尽蔵のネタが圧巻。次々に発生する事件と行き当たりバッタリで失敗ばかりの捜査もスピード感が溢れていて、どこをとっても無駄で退屈な部分がなく一気読みした。何年かぶりかで本に夢中になって電車乗り過ごした。後半は物語もクライマックスになって読んでいて鳥肌が立つぐらい興奮して話しに没頭した。感動するところもあり、最高のエンタテーメントでした。

  • 大好きな英国警察ミステリーシリーズの第5作目。
    主人公のフロストは、架空都市デントンで勤務する中年の下品な警部。このシリーズは、デントン署で立て続けに発生する事件を、フロストが当てずっぽうに解決してゆく顛末を描きます。
    我々が目にする多くの警察モノは、ある特定の事件を追う刑事を描きますが、このシリーズでは、大小複数の事件が同時に発生します。設定としては異色ですが、その方が現実に近いと思います。ちょうど、我々、サラリーマンが扱う色々な懸案事項を同時に対応しなければならないことに似ています。

    今回、発生する事件は、少女行方不明、売春婦連続殺人、ショットガン強盗、「怪盗枕カヴァー」事件などなど。さらに性欲だけが強い無能な部下と、出世と保身しか考えない上司。どこの会社でもありそうな中間管理職の悲喜劇が厚めの文庫2冊にぎっしり詰まっています。

    パワハラやセクハラの一線を超えてしまうフロストの言動、お互いに軽蔑し合っている上司とのやり取り、新しい事件の発生するタイミングの悪さ、フロストの非効率的な捜査活動には笑えます。しかし、本書は非常に練られたプロットが詰め込まれた傑作警察ミステリーです。その証拠に2013年のこのミスで3位、文春ミステリーでは6位を獲得しています。
    フロストを反面教師としたビジネス小説としても楽しく読めるかもしれません。お勧めの★★★★。

  • 相変わらずの面白さだが流石にワンパターンになってきた感があり。マンネリ=安定感であり、自分としては肯定的ですけど。フロストは署長の理不尽な叱責にもめげず諦めない責任感・正義感があるが、一方で捜査手法は適当でそのギャップがシリーズを追うごとに大きくなっている。ユーモア小説ではなくユーモアのある主人公がハードでシリアスな事件に翻弄されるハードボイルド小説として読み終えました。

  • 危機一髪から始まった下巻。最後まで大忙しのフロスト警部ですが、本編は本当に最後の最後まで引っ張ります。フロストの、身内に見せる優しさや情も見どころ。

  • 相変わらず、ドタバタしながら直感を頼りに捜査を進め、運が良ければ犯人逮捕、悪ければ訴えられないようぎりぎりの交換条件をちらつかせ釈放という垂れ流しの捜査絵巻であるのだが、何故かおもしろい。

    フロストの根は真面目で正義感が強いところ、でもとにかく下品で皮肉を言わせたら天下一品であるところ、周囲の部下からはとにかく親しまれているところがじわじわと滲み出ているところ、などなど、あったかストーリーで肩肘張らずに読めるところが良いのだと思う。

    タフィーが何かどでかい仕事をしてくれるのかと思っていたが最後までただのぼんくらだったのが、残念なような、これがフロストシリーズだと思うような。

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