- Amazon.co.jp ・本 (468ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488291099
作品紹介・あらすじ
デントン署を去る日が近づく中、起死回生の策も思いつかず、抱えこんだ事件もいっこうに解決する気配のないフロスト警部。根性なしのマレット署長といけ好かないスキナー主任警部は頼りにならず、わずかな部下を率いて捜査に当たる。いつも以上に出たとこ勝負な警部は、法律を無視し、犯人との大立ち回りまで演じることに。破れかぶれのフロスト警部の行く手に待つものは。全作品がミステリ年間ベスト1位の、超人気警察小説最終巻。
感想・レビュー・書評
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フロスト警部シリーズを書いた、R・D・ウィングフィールドは、イギリスの小説家である。シリーズの主人公のフロストは、有能なのか無能なのか分からない(最後は事件を解決するので有能なのだろうが)警部。各巻に共通しているのは、フロストの前に次々と事件が起こり、フロストはそれを解決しようと悪戦苦闘、ほとんど休む暇もなく働き続けるという設定。最後には、くたくたになりながらも、フロストは事件を解決する。フロストのドタバタぶりがユーモラスに描かれている部分と、ミステリーとしても面白いストーリーがミックスされたシリーズであった。
ウィングフィールドは、2007年に既に亡くなっている。もともとは放送作家であり、小説は多くを書いている訳ではなく、このフロストシリーズも、わずか6冊のシリーズであり、それが、ウィングフィールドが書いた長編小説の全てであるようだ。
広い意味での探偵小説・ミステリーというジャンルで好きだったシリーズは沢山あるが、このフロストシリーズは、最も好きなシリーズの1つであった。シリーズの最後の作品となった、本作が日本で発行されたのは2017年のことだ。もちろん面白く読んだが、再度の作品であり、読み終えてしまうのがもったいないな、という気持ちも持ちながら読んだような記憶がある。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
20年と少し前、学生だった末の妹が「こんなに大笑いしたミステリは読んだことがない」と言うので、姉妹でこぞって回し読みしたのが、シリーズ第一弾『クリスマスのフロスト』だった。
それからは姉妹そろって、次の「フロスト」が出るのを今かいまかと待っていたのだ(なんと4,5年に一冊くらいしか出ないのだ)。
そのフロスト警部シリーズも、今回をもってとうとう最後。
お約束どおりの展開で、のっけからじゃぶじゃぶ雨は降るし、フロストは寝ようと思ったらたたき起こされるし、ようやく食事をと思うと呼び出される。もう、待ってました!ビバ、マンネリ!である。
下品なギャグを所かまわずかまし、それでも最後の一線を越えない(ような気がする)のは、英国ミステリの矜持と訳者の力量ゆえか。
相変わらず上司という上司には睨まれ、疎まれ、嫌われて、口は悪いし無茶ばかりして周りをぎょっとさせているフロストなのだが、同僚・後輩には実に慕われ信頼されているのはなぜかがわかる、こちらの胸がついうっかりホロリとなるエピソードもたっぷり。
事件解決にまい進するのは、ひとえに被害者とその遺族を忘れず「仇を取ってやるからな」の思いのみ。そのためには自分だけでなく、同僚・後輩の尻をもひっぱたいて働かせる。みんながぶつぶつ言いながらも従うのは、フロストの熱い思いがしっかり伝わっているからにほかならない。
今回は特に、助手の「ウェールズのお芋くん」のへっぽこ活躍ぶりが目覚ましく、何度も笑わせていただいた。
…と言いつつ、作者ももしやこれが最後と覚悟して書いたのだろうかという憂いも含んだ、おかしいけど名残惜しさが悲しい、フロストだった。
ああ、とうとう最後のフロスト、読んじゃった…。 -
下も一気読み。
フロストは最後までフロストでマレットは最後までマレットでした、マンネリ万歳、満足。
芹沢さんの力も大きいと思います、ありがとうございました。
残念です、これだけのモジュラー小説、他にあるでしょうか。
ケイトのその後の活躍とかキャロルとのその後の話とか(妻との思い出も多かったのでその分)、もっと読みたかったなあ〜 -
最高だよ、フロスト警部。
出てくる犯罪はかなりビザールで、いやーなヤツもたっぷり出てくる。それなのに笑っちゃうんだよね。セクハラ下ネタ発言を連発するオッサンが、どうしてこんなに好ましいのか?
二人組の作者がシリーズを引き継いで、フロストの巡査部長時代を書くらしいが、うーん、期待より懸念が先立つ。「ミレニアム」みたいになりませんように。 -
上巻から一気に読みました。
登場人物一覧に、けっこうな重要人物の名前が抜けているんだが…?
スキナー主任警部とマレット署長の差し金により、デントン署から異動することになってしまったフロスト。
デントン署を去る日が近づく中、連日ほとんど寝ないで捜査にあたる。
妻をめった刺しに殺したと自首してきた元食肉店主のルイスだが、家の中は潔癖すぎるほどに消毒されている。
残虐に殺されたデビーとトマスの殺害現場を探し当てるも、なかなか捜査が進まない中、凄惨な殺害場面を映したビデオが送られてくる。
ビーズリーからは早く脅迫犯人を捕まえろという矢の催促。
行方不明となった少女は未だ見つからず。。。
割ける人員はわずか、あっちに行かせればこっちで事件が起きたり動きがあったり…でにっちもさっちもいかない。フロストは思い切った手に出る…
まぁ、思い切った手に出るのは初めてじゃないけどね!既視感!笑
しかしマレット、部下の殉死の場に居合わせておいて、署長として指揮すべき立場にいたのに、その部下に責任全部おっかぶせるとかマジでクソじゃない????
最終作できっちり落とし前つけてほしかったのに、なんでそのまま署長やねーん!せめてせめて、辞任するくらいのことがあってもいいのに。マレットのクソっぷりに終始イライラしながら最後まで読んだ読者(私)、ちょっと浮かばれない。
ウィンズフィールドはもともとシナリオ作家で、小説はフロストシリーズのみ。故にこれにてコンプリートとなる。寂しい。 -
主人公の毒舌が非常に面白く上司に対しても遠慮のない物言いが好感。作家さんはもうお亡くなりになったらしいが今から前のシリーズも読みたいと思った。また事件自体も結構凄惨で私好み。
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遂に読み終わってしまった。一気読みしてしまった。作者逝去によりフロスト警部最終作となった本書。足掛け20年近くかけて読んだ、僕の人生トップ5入りの名シリーズ。ぐっちゃぐちゃの展開も、主要登場人物も、いとおしくてたまりません。
抜群に面白かった。惜しむらくは、今作はおそらくシリーズ最グロで、気分が悪くなる描写が多いうえ、サラリーマン小説史上屈指のくそ上司マレット警視がわりとマトモに見えてユーモア部分が食い足りなかった点。とはいえ、できるならば一生読み続けたいシリーズなので、贅沢言ってる場合じゃない。
また20年かけて読み直そうかな。テレビ版は一度もみたことないので、Huluでじっくり見ていくのもアリかも。「フロストロス」は止まりそうにないので。 -
大好きなフロストシリーズ、
もう作者の方は亡くなってしまったけれど、
最後の作品だけまだ日本で発売されていなかった。
これが、いよいよ…と言うニュースを聞き、
とても嬉しく思いながら、
ちょっと出遅れてBBの本屋さんへ行ったら、
何と!上巻が売り切れており、
(みんな待っていたんだね~)
そこで俄かに焦り、いてもたってもいられなくなり、
慌てて次の日、用事の帰りに新宿の本屋さんで
上下巻とも買いました!
いつもの様に汚い格好で、下品な発言ばっかり、
捜査も思い付きの行き当たりばったりで、
正式な手順も踏まない強引なやり方!
ホームズやモースみたいな
知的でエレガントな人が
好きなはずの私が、
どうしてこの人に魅かれてしまうのか、
さっぱりわかりません!!!
そしてこの引用も出来ないほどの
フロストの下品な発言を
女の人が翻訳している、と考えただけで
面白いのと心強いのと…
インターネット上に翻訳者の方のお写真が
載っていたけれど、
上品そうな綺麗目な女性で
そこがまたとても楽しい。
ただ、今回の作品はフロストが
いやにおりおりに感傷的なのが気になったのと
(作者が病気だったのが関係あるかな?)
ある事の解決方法が、あまり感心できないと言うか、
もっと上司の鼻を明かす様な、
「ギャフン」と言わせる面白いどんでん返しが
見たかった!
でもそうは言っても大変面白い作品なのは確か。
(事件については気分が悪くなるけれど)
へ~、あ~あ、もうこれで終わり、全部読んじゃったかあ。
淋しいのう。
また、今までの、読み返すかな。 -
「フロストと連立方程式」
みなさんは「フロスト病」という病をご記憶でしょうか?
そう、英国の小説家、R・D・ウィングフィールドの「フロスト警部」シリーズを読みふけることによって、
夜昼関係なくこの本から目が離せなくなり、途中、奇声を発する方
はたまた突然、一人でげらげらと大笑いするといった症状がではじめ、
翌朝には、ぼぉ~っとしたかと思うと、思い出し笑いするなどいろいろな兆候がみられる病なのです。
その「フロスト」シリーズの遺作、「フロスト始末」がこの度出版されました。
で、私はこの上下2冊を一気に読み上げましたが、何故かこの度は多少ニンマリすることはあっても、
声を出して笑うといことはありませんでした。
これまで読んだ5作品に中身は勿論記憶にあるわけではありませんが、
これまでとは少し違っておかしみの部分が減りちっと変化があるような気がしております。
しかし、何故かこの本が一番読みやすかった感じも否めません。
さて、このフロスト警部の出立ちは刑事コロンボを想像していただいたほうがちかいでしょうか、
しかしこの上なく下品で、上司やお偉方、悪者には悪態のつき放題、
それでいて部下や市民に口は悪いがなんともやさしい。
これが部下に慕われ、読者を惹きつける要因なのかもしれません。
出されたコーヒーカップに鉛筆を入れ、砂糖をかき混ぜるなんて人、そんなにはいないでしょう(o^。^o)
このシリーズでは毎回、いろいろな事件が重なって発生します。
でも小さい田舎の警察署のこと、フロストにそのお鉢が回ってくるのです。
行方不明、殺人、スーパーマーケットへの脅迫etc.
そして読んでいる途中、ある事に気が付きました。
未知数が4、5とある連立方程式の解をもとめる数学に似ているなと?
ご存知のように連立方程式は未知数の数ほど関係式がないと解はえられません。
この上下2巻のお話に中で、X、Y、そしてZ等の関係式を描いているのです。
ヤツがホシだと言った彼の第六感も調べが進行していくうち、
第2,第3と状況が変化し、方程式の係数も変わってきます。
そして何かの拍子に未知数Xの解がえられると、YやZの答えも引き出されてくるのです。
今、本屋さんにゆくと第1作の「クリスマスのフロスト」から全作が置かれています。
まだ一度も読まれたことの無い方、あなたはしあわせものです。
無作法で口の悪く、お下劣なフロスト様にお会い出来るのですから!!!
でも、この作品が最後になるとはほんとうに残念至極であります。