ささやかで大きな嘘〈上〉 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (363ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488297046

作品紹介・あらすじ

最初は子供同士のトラブルだった……。海辺の名門幼稚園、その夜のパーティに子供たちの歌声はなく、聞こえるのは罵声と保護者の乱闘の音。そして保護者の一人が死亡した。事故か殺人か? ……事の起こりは六カ月前、ジェーンの息子にいじめの嫌疑がかかった。本人はきっぱり否定するが、園内は険悪な雰囲気に。ジェーンは園で知り合った二人の友人と困難な事態に立ち向かう。世界で150万部突破。英米で絶大な人気を誇るミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 米英のベストセラー、前編。
    美しい海辺の町の幼稚園に子供を通わせている親たちの間で、どんなトラブルが起きたのか?
    事件があったことだけを最初に書いておき、それから半年前に遡って、事件までが語られていきます。

    名門の幼稚園では、資金集めや派閥争いが盛ん。
    富豪の子供もいれば、その家で働く人の子供もいる。
    シングルマザーで質素なジェーンは、引っ越してきたばかりで、子守と間違われてしまう。
    ジェーンは息子がいじめをしたという疑惑をかけられ、不本意だが晴らすことが出来ない。
    おしゃれで気っ風がいい庶民のマデリーンは、幼稚園のボスたちとは距離があり、ジェーンに味方する。
    マデリーンと親しいセレストは、裕福な銀行家の妻で、かけねなしの美人なのに、なぜか遠慮がちな性格。
    この3人のいきいきした個性と友情がそれぞれの秘めた内心と共に描かれ、なかなか読ませます。

    マデリーンは、別れた夫が近くに戻ってきて、再婚した妻との間にできた子を同じ幼稚園に通わせることになったため、猛烈にイライラ。
    セレストは、ひた隠しにしているが、夫の暴力に苦しみ、大したことはないと考えてみたり、自分のせいと悩んだりしていた‥
    セレストの考え方は、現実にDV被害者が考えがちなことだそうです。

    幼稚園での派閥争いや、行事の度の張り合い、保護者たちの抱えた秘密、もつれ合った感情が、資金集めの懇談会で爆発‥
    その真相は?
    展開に意外性もあり、面白かった!
    読後感は大丈夫、良かったですよ~。

  •  オーストラリアの名門幼稚園を巡る一大騒ぎ。園ママたちの友情と反目、飛び交う噂、そして隠されていた秘密……。男性読者が余り興味を惹かれない要素がてんこ盛り。それもかなり軽めの筆致で描かれているので、アラフィフ親父はお呼びでない感があり、実際読み始めた当初はどうしようかと思った。
     
    だが、読み進めていけば、その軽い筆致と相反し、書かれている内容は意外にヘヴィだと判明する。離婚から数年を経て年頃の娘との関係に悩む母、表面には見えない夫との関係に苦しむ妻、幼い息子との転居を機に一夜の出来事を克服しようとするシングルマザー。主要な三人のキャラクターには共感せざる負えないし、これが女性読者なら、なおのことだろう。北欧ミステリと違って、内容に反したカジュアルな書きっぷりは逆に新鮮だし、深刻過ぎない描写が読んでいる間に救いを与えてもいる。エンディングの後味が良いのも、エンターテインメント作品としては盤石。
     
    ミステリ的には、園内恒例行事の“トリビアクイズ保護者懇親会”で殺人が起こったらしいことが冒頭で示唆され、そこから半年前に遡って物語がスタートし、クリスティでいうところの『ゼロ時間へ』向かって進行するというスタイルが面白い。

  • あらすじ
    最初は子供同士のトラブルだった……。海辺の名門幼稚園、その夜のパーティに子供たちの歌声はなく、聞こえるのは罵声と保護者の乱闘の音。そして保護者の一人が死亡した。事故か殺人か? ……事の起こりは六カ月前、ジェーンの息子にいじめの嫌疑がかかった。本人はきっぱり否定するが、園内は険悪な雰囲気に。ジェーンは園で知り合った二人の友人と困難な事態に立ち向かう。世界で150万部突破。英米で絶大な人気を誇るミステリ。
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    誰が殺されたんだろう?とハラハラしながら読み進めていく形式。パットマガーの重苦しい版って感じ?
    三人のママ友さんが物語の軸になっているんだけど、さすが、登場人物が多い。でも、読み進むうちに早々とわかるようになった。
    幼稚園の派閥こわいなぁ。
    あと、ピリウィー幼稚園のいじめゼロ宣言が逆に取り憑かれてるのかってくらいにいじめを意識してる感があってこわい。もう出だしの標語みたいのだけで背筋ゾワーだった。

    後半の展開にいくつか説は考えたけど、全く違う展開かもしれないしな〜と。

    誰がどんな嘘をどこでどんな風についているのか、後半で続々明かされるわけですな。
    楽しみ。

    近所のパティ・ポンダー夫人は後半にも出てくるのかしら。(いや、まぁ、どうでもいいんだけどさ)

  • 感想は下巻で。
    あらすじ
    オーストラリア海辺の町の幼稚園。トリビアクイズ大会という、保護者の集まりで事件が起こる。いくつかで起こった騒ぎの結果、一人が死亡した。
    中心となる人物は、姉御肌でおっちょこちょいのマデリーン、シングルマザーで我が子がいじめっこだと言われたジェーン、容姿端麗でお金持ち、双子を持つセレスト。そのほか幼稚園では派閥があるらしい。

  • ある幼稚園に子供を通わせる複数の家族の表と裏を描きながらいさかいから事件までの経過をたどっていました。
    表では問題のなさそうな富裕層な夫婦の妻が裏ではDVを受けていたり。
    再婚して仲よさそうな夫婦の妻は前夫と鉢合わせする上に娘はそっちに行っちゃってぎくしゃく。
    シングルマザーは暴力的なセックスをさせられた上に身篭った子供にその男の面影が見える。
    その上にいじめや暴力行為の容疑をかけられる。
    ママ友同士の緊迫した関係にうすら怖いやらめんどくささを感じたり次の展開が気になりました。

    母親の前では聞き分けがよく優しいように思えるのにいじめや暴力行為を言われても信じられないかも。
    だから余計に一夜の間違いを意識して面影を意識してしまうのかも。

    ただ夫が友人への軽い一言に激昂するセレストもなんだかなぁ。
    夫も感情がコントロールできないみたいだし似た者夫婦?

  • 読書日:2016年7月4日-7日
    Original title:Big Little Lies.
    Author:Liane Moriarty.
    Janeの一人息子Ziggyが母親や父兄に対して「苛めたのか?」との質問に、澱みなくはっきりと「僕は苛めていない」と言った姿がとても印象的で、子供であっても馬鹿にしてはいけないと、これだけ自分の意見をはっきり返せる子が苛めた犯人ではないと強く感じました。
    だから物語の最後まで、誰がAmabellaを苛めたのか
    父兄達の話から推測をしながら読み進めました。

    一夜限りの情事で生死を彷徨う行為がJaneに起こった事が今巻の一番の衝撃でした。

  • オーストラリアの作家「リアーン・モリアーティ」の長篇ミステリ作品『ささやかで大きな嘘(原題:Big Little Lies)』を読みました。

    オーストラリアの作家の作品は初めて読むかも… そもそも、南半球の作家の作品を読むこと自体が珍しいですもんね。

    -----story-------------
    〈上〉
    最初は子供同士のトラブルだった。
    海辺の公立幼稚園、その夜のパーティに子供たちの歌声はなく、聞こえるのは罵り言葉と保護者の乱闘の音。
    そして保護者の一人が死亡した。事故か殺人か? 
    ……事の起こりは六カ月前、シングルマザーの「ジェーン」の息子にいじめの嫌疑がかかった。
    本人は否定するが、保護者は険悪な雰囲気に。
    「ジェーン」は二人の友人とともに事態に立ち向かう。
    31カ国で翻訳、英米で150万部突破の傑作ミステリ登場。

    〈下〉
    資金集めのためのトリビアクイズ保護者懇談会が目前に迫るのに、「ジェーン」の息子のいじめ疑惑は一向に晴れない。
    一方、「ジェーン」の友人「マデリーン」は、別れた夫とその妻の子が同じ幼稚園に通っていることがストレスになり、爆発寸前。
    もう一人の友人、一見何不自由ない優雅な生活を送っている「セレスト」は、夫の暴力に怯えていた。
    それぞれ表には出せない秘密を抱えた保護者たちの感情が懇談会で暴走、そして事件が。
    死んだのは誰か? 
    訳者あとがき=「和爾桃子」
    -----------------------

    2014年(平成26年)に発表された「リアーン・モリアーティ」の6作目の作品… 著者は「向田邦子」のホームドラマの切れ味を備えたオーストラリアの「湊かなえ」とも評されるらしく、映像化しやすい明快な筋立てや、印象的な情景描写、時には辛辣さを交えたほのぼのとした視点というのが特徴のようで、本作品はアメリカでテレビドラマ化されたようですね、、、

    オーストラリアの女優で女児の母でもある「ニコール・キッドマン」が本書のファンで、テレビドラマ化された映像作品では監督と主演女優を兼ねているとか… 子ども同士のトラブルや、それぞれ問題を抱える家族、そして、保護者会での事件等、日本でドラマ化しても視聴率が稼げそうな要素がたっぷり詰まっていましたね。

    事件当夜から始まり、六カ月前に遡って、事件の全貌を追う展開も面白かった… 愉しめましたね。

     ■トリビアクイズ保護者懇親会 当夜
     ■トリビアクイズ保護者懇親会 六カ月前
     ■トリビアクイズ保護者懇親会 五カ月前
     ■トリビアクイズ保護者懇親会 四カ月前
     ■トリビアクイズ保護者懇親会 三カ月前
     ■トリビアクイズ保護者懇親会 二カ月前
     ■トリビアクイズ保護者懇親会 一カ月前
     ■トリビアクイズ保護者懇親会 二週間前
     ■トリビアクイズ保護者懇親会 一週間前
     ■トリビアクイズ保護者懇親会 五日前
     ■トリビアクイズ保護者懇親会 一日前
     ■トリビアクイズ保護者懇親会 八時間前
     ■トリビアクイズ保護者懇親会 会場
     ■トリビアクイズ保護者懇親会 翌朝
     ■トリビアクイズ保護者懇親会 四週間後
     ■トリビアクイズ保護者懇親会 一年後
     ■訳者あとがき 和爾桃子

    子ども同士のトラブルがすべての始まりだった!ピリウィー半島の海辺にある公立の名門附属幼稚園ピリウィー校… その夜、幼稚園で開催されたトリビアクイズ保護者懇親会、聞こえるのは罵り言葉と保護者の乱闘の音、、、

    そして保護者の一人が死亡した… 事故だったのか?それとも殺人事件だったのか? 

    六カ月前、シングルマザーの「ジェーン・チャップマン」の息子「ジギー」に、キャリアウーマンの「レナータ・クライン」の娘で高IQ児の「アマベラ」への虐めの嫌疑がかかった… 「ジギー」はきっぱり否定したが、保護者たちは騒然、、、

    「ジギー」を虐めっ子と決めつける者、「ジギー」の言葉を信じる者に分かれ、幼稚園は険悪な雰囲気に… 「ジェーン」は幼稚園で知り合った二人の友人、パート・タイマーの主婦「マデリーン・マーサ・マッケンジー」と、元弁護士で現在は専業主婦の「セレスト・ホワイト」とともに、事態に立ち向かおうとする。

    だが、幼稚園で毎年開かれる、資金集めのためのトリビアクイズ保護者懇談会、幼稚園の一大イベントが目前に迫るなか、「ジギー」の虐め疑惑は一向に晴れず、幼稚園では「レナータ」の友人で同じく高IQ児の園ママ「ハーパー」の発起による「ジギー」の停学を願い出る嘆願書の署名が始まり、「ジェーン」本人も次第に心が揺れ始める… 一夜だけをともにして身籠った暴力的な男性の面影が息子の背後にちらつく、まさか、まさか、「ジギー」にその性質が引き継がれているのでは、、、

    一方、「ジェーン」の友人「マデリーン」は、別れた夫「ネイサン」とその妻「ボニー」の間の子「スカイ」が、自分の娘「クロエ」と同じ幼稚園に通っていることがストレスになり、爆発寸前… おまけに、自分が引き取って苦労して育てた別れた夫「ネイサン」との間の娘「アビゲイル」が、なんと「ネイサン」と「ボニー」の家で一緒に住むと言い出したのだ。

    さらに「アビゲイル」は、児童婚や姓奴隷へ反対するために、自分の処女をオークションにかけ、最高入札者に売り渡し、その売り上げをアムネスティ・インターナショナルに寄付するという行動に出たことから、「マデリーン」の悩みは増幅していく… そしてもう一人の友人、裕福な投資銀行家「ペリー」の妻で、一見何不自由ない優雅な生活を送っている「セレスト」は夫「ペリー」のDVに悩んでいた、、、

    それぞれ表には出せない秘密を抱えた保護者たちの感情が懇談会で爆発、そして事件が… 死んだのは誰か、そして何故?


    序盤で、誰かが死んだ(殺された)ことは示唆されるものの、終盤まで、被害者も加害者も明かされないという独特の展開で、これが意外と面白かった… 愉しめましたね、、、

    序盤に、保護者や園児、先生等の多くの人物が一気に登場するので、誰が誰やらわからず、やや読みづらい感じはありましたが、登場人物が理解できてからは一気読み… 特に「マデリーン」と娘「アビゲイル」の関係性が改善し、「ペリー」の「セレスト」へのDVが悪化し、「ジェーン」は自分の過去をぶちまけて向き合い、「アマベラ」への虐めの犯人が判明し、遂に事件当日に至る終盤は面白さが倍増し、ページを捲る手が止まりませんでしたね。

    そして、子どもの虐め問題からママ友問題、不倫、DVなど様々な問題がほぼ解決されるのでスッキリするエンディングでした… 一見すると何不自由なく暮らしているような、愛し愛される夫と可愛い子どもたちに恵まれたいわゆるセレブでも、本当のところその生活が幸せなのかどうかは分からない、、、

    これだけ多くの人物と社会問題を内包しながらストーリーとして一気に読ませる展開には感心しました… 次も「リアーン・モリアーティ」の作品を読む予定です。



    以下、主な登場人物です。

    「マデリーン・マーサ・マッケンジー」
     パート・タイマーの主婦

    「エド」
     マデリーンの夫。地元新聞の記者
     
    「アビゲイル」
     マデリーンの長女。父親はネイサン

    「フレッド」
     マデリーンの長男。小学二年生。父親はエド

    「クロエ」
     マデリーンの次女。新入園児。父親はエド

    「ジェーン・チャップマン」
     シングルマザー
     
    「ジギー」
     ジェーンの長男。新入園児

    「ビル」
     ジェーンの父
     
    「ダイ」
     ジェーンの母

    「デイン」
     ジェーンの兄

    「セレスト・ホワイト」
     専業主婦。元弁護士
     
    「ペリー」
     セレスとの夫。投資銀行家
     
    「ジョシェ」
     セレストの双子の息子。新入園児

    「マックス」
     セレストの双子の息子。新入園児
     
    「ネイサン」
     マデリーンの前夫
     
    「ボニー」
     ネイサンの妻

    「スカイ」
     ネイサンとボニーの長女。新入園児
      
    「レナータ・クライン」
     キャリアウーマン
     
    「ジェフ」
     レナータの夫
     
    「ジャクソン」
     レナータの長男。小学二年生。高IQ児

    「アマベラ」
     レナータの長女。新入園児。高IQ児

    「ハーパー」
     高IQ児の園ママ

    「グラム」
     ハーパーの夫。弁護士

    「エミリー・ジェーン」
     ハーパーの次女。新入園児。高IQ児

    「パトリシア・リップマン」
     小学校・附属幼稚園校長

    「レベッカ(ベッキー)・バーンズ」
     小学校・附属幼稚園教諭

    「パティ・ポンダー」
     小学校そばに住む老婦人

    「ルーシー・ポンダー」
     パティの娘。<ヘブン美容院>店長

    「トム」
     カフェ<ブルー・ブルース>の店主

    「エイドリアン・クィンラン」
     殺人課警部補

  • 幼稚園の保護者イベントで騒ぎが起きるところから始まるのだけど、何が面白いって、そこで誰かが殺されたことはわかっても、上巻読み終わってまだ犯人はもちろん、誰が被害者なのかもわからないこと!
    誰なのーーーーー?!?!?!
    冒頭が事件当日で、そこから半年前に遡り、保護者間や家庭内の微妙な関係が描かれていく。
    やり過ぎ感はあるものの、それぞれのキャラクターはなかなかリアル。
    その合間に、事件以降の中心人物以外の証言が少しずつ挟まれていて、彼らの話もちょっとずつ食い違う「藪の中」状態。
    実際、推測や思い込みでみんな違うものを見ているんだろうなぁ…。
    そのまま流して読んでも支障はないのだけど、きっちりわかった方がより面白いだろうと、証言者たちの簡単な一覧まで作っちゃった!
    下巻が楽しみ。殺されたのは誰なの…!

  • 上巻では、ママ同士の関係が鮮やかに描かれていて、人間ドラマチック。

  • まだ何も動いてない感じ。どんな事件が起きるのか、ワクワク感はある。
    ママ友の付き合いって日本と同じようなんだなあっ思った。

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