千尋の闇 上 (創元推理文庫 M コ 6-1)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (411ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488298012

作品紹介・あらすじ

一九七七年の春、元歴史教師のマーチンは、悪友からの誘いに乗ってポルトガル領マデイラへ気晴らしの旅に出た。思えば、それが岐れ目だった。到着早々、友人の後援者である実業家に招かれた彼は、半世紀以上前に謎めいた失脚を遂げた、ある青年政治家にまつわる奇妙な逸話を聞かされることになったのだから…!稀代の語り部が二重底、三重底の構成で贈る、騙りに満ちた物語。

感想・レビュー・書評

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  • 何やら凄い睨まれてる気がする

    古ぼけて茶色くなった文庫本のカバーに見事な口ひげと丸い大きな目を持った眼鏡の男の写真は載せられていた
    「やあ、はじめましてロバート、気分はどうだい?」
    軽やかなあいさつを投げかけてみたが彼は言葉を発することなく下からこちらをジロリと睨みつけてきた
    あまりの眼光の鋭さにすごすごと退散し手にした文庫本を読み始めると74ページ目にして愚かな自分の間違いに気付き慌てて彼の写真へページを捲った
    「ごめんよロバート、はじめましてじゃなかったようだね」
    彼はにこりと笑うと
    「気にするなよひまわりめろん、25年ぶりではこの髭面も記憶の彼方さ」
    そして今では彼の顔にはうっすらとした微笑みが浮かんで見えるのだ

    うん、読んだことあったー!
    イライラとワクワクが共存する稀有な文章で飽きさせないまま衝撃の事実が発覚し下巻へ!
    面白い!
    そして読んだことあったのは思い出したけど結末は忘れてる、いいぞ!

    • 土瓶さん
      ひまわりめろんさん、おはようございます。
      さすがです。読まれていたのですねー。
      でも、忘れていたようで良かった、良かった。良くもないか?
      ...
      ひまわりめろんさん、おはようございます。
      さすがです。読まれていたのですねー。
      でも、忘れていたようで良かった、良かった。良くもないか?

      突然ですが、パット・マガーは既読でしょうか?
      アメリカの作家さんですが、アガサ・クリスティ好きなら、お勧めできる系統だと思います。
      とにかく人物描写に優れていて、犯人探し以外の斬新な推理を楽しめます。
      ただ、ずいぶんむかしに読んだものなので、私の中で"想い出補正値"がついております。
      もし、お手に取られるなら、あまり期待せずにどうぞ♪
      2022/04/03
    • ひまわりめろんさん
      土瓶さん
      おはようございます

      ほんとですよ!(何が?)
      最後まで読み終えて間違いなく読んだことあるとはっきり思い出しましたがこれほどの傑作...
      土瓶さん
      おはようございます

      ほんとですよ!(何が?)
      最後まで読み終えて間違いなく読んだことあるとはっきり思い出しましたがこれほどの傑作を綺麗サッパリ忘れている自分にかなりがっかりです
      記憶力ないんですよね〜
      恐らくロバート・ゴダードも他にも何冊か読んでると思います

      逆に土瓶さんやhiromida2さんはしっかり覚えてて凄いな〜って尊敬しちゃいます

      パット・マガーは前に土瓶さんとのお話の中で出てきたことあったので読みたいリストの中に入っておりますよ!近いうちに手に取ってみます
      2022/04/05
  • 1977年、元歴史教師のマーティンは旧友からの誘いでマデイラ島に向かう。そこで屋敷の所有者セリックから興味深い手記を見せられる。それは1876年イギリス・デヴォン州に生まれ国会議員となりアスキス内閣の閣僚となりながらも失脚しマデイラ島の総督として生を終えたエドウィン・ストラフォードの半世記だった。その失脚時の真相を探ってくれと頼まれる。

    失脚時の記述では、議会とは対立する婦人参政権運動家のエリザベスと知り合い、議員辞職をして結婚しようとするが、その当日、あなたのよう不実な者とは結婚できないとふられてしまう。訳の分からないエドウィン。後にはエリザベスはクーシュマンという男と結婚しているが、それはエドウィンの大学の友人で一緒にボーア戦争にも行った男。しかもエリザベスはマーディンの離婚した妻の祖母だったのだ。この事実に読む手は逸る。

    エドウィンの手記とマーティンの捜査の記述が交互にくる。偶然の人的つながりに物語だな、と感じるがそこがおもしろいところだ。そして訳ありげなマーティんの離婚。疑問を残しながら下巻に続く。


    1986発表 イギリス
    1996.10.18初版 図書館

  • 感想は下巻に。

  • ポルトガル西南に浮かぶ島マディラのイギリス領事の過去は、不思議な謎に満ちていた。元歴史教師である主人公は友人の紹介でマディラでホテルオーナーでイギリス領事の屋敷を買取り居住している資産家から元屋敷主であるイギリス領事の過去の調査を依頼される。

     70年前のロンドンで周りの皆から尊敬され期待されて若くして大臣に登り詰めた元マディライギリス領事はいわれのない事から政治家、恋人、友人、家族、故郷と全ての関係を閉ざされ不遇な人生をマディラで送っていたが20年前に突然ロンドンにやって来て当時の自らが貶められた真実を掴む。

     調査を依頼したホテルオーナー、元マディラのイギリス領事、調査を依頼された元歴史教師、その恋人である女性教授等が明らかにする真実とそれを隠蔽する謎の勢力との争いの行方はとてもスリリングで派手なアクションや装置が出てくる事はないのですが事件の背景に潜む陰謀やグレーな人間関係がひとつひとつ詳らかになって行く時にはもう読者はゴダートワールドに嵌って居ます。

  • 過去に、謎めいた失脚をした有望な青年政治家の真相を探る、元歴史教師のお話し。なんだけど、相当に惹き込まれます。
    上巻では、真相に迫りつつ?語り部である元教師の過去がちょっと明かされるまでですが、何やら皆隠し事があるみたいで、登場人物の誰かに感情移入はしづらいかな。
    物語の面白さだけで読ませるなぁ。

  • 普段なら絶対選ばないだろう本をどうして読んでいるのかというと、事務所の奥さんが貸してくれたからです。最近色々貸してもらえるなあー。ありがたい。
    で、だから普通ならこういうミステリー風なのは読まないんですよ。奥さんはおもしろいって言わはるんやけど、あの人は横溝正史とかアガサ・クリスティーとかそういうの好きなんで、決定的に好みが合わないのですよね(笑)。だからこれも貸してもらえるなら~ていうぐらいにしか思ってなかったんですけど……おもしろいです。
    前に貸してもらった「ダヴィンチ・コード」より全然おもしろい。ワクワクします。
    これもねえ、主人公にはイライラするんですよー。今日から下の方読み始めたんですけど、思った通りに主人公の間抜けが利いた展開になり、もうー腹が立つったらあらしません。
    アンブローズの話聞いた時点でもうちょっと気をつけるやろう普通は!!何でそんなに開けっぴろげやねんそれでほんまにケンブリッジか!!!怒りなどと電車内で地団駄踏みます。ああ~悔しい!!
    上のラストでは色香に血迷ってねえ…何してんのほんまに…とグッタリします。気にしなあかんのはそんな女の人よりアンブローズやろうこのあほっ子め!!!ほんっとに腹立つんですよこの主人公!!
    とはいえ、モリモリと読みたくなります。これがデビュー作らしいですよ。信じられない!
    だいたい怪しいのは端から目星を付けれるのですけど、奥さん曰く二転三転する展開が待ち受けているらしいので、主人公があほっ子やという以外には決めつけないように読んでいこうと思います(笑)。

  • 3.85/251
    内容(「BOOK」データベースより)
    『一九七七年の春、元歴史教師のマーチンは、悪友からの誘いに乗ってポルトガル領マデイラへ気晴らしの旅に出た。思えば、それが岐れ目だった。到着早々、友人の後援者である実業家に招かれた彼は、半世紀以上前に謎めいた失脚を遂げた、ある青年政治家にまつわる奇妙な逸話を聞かされることになったのだから…!稀代の語り部が二重底、三重底の構成で贈る、騙りに満ちた物語。』


    原書名:『Past Caring』
    著者:ロバート・ゴダード (Robert Goddard)
    訳者:幸田 敦子
    出版社 ‏: ‎東京創元社
    文庫 ‏: ‎411ページ(上巻)

  • 2021/9/5読了。

  • 下巻にまとめます

  • お勧めです。

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著者プロフィール

1954年英国ハンプシャー生まれ。ケンブリッジ大学で歴史を学ぶ。公務員生活を経て、’86年のデビュー作『千尋の闇』が絶賛され、以後、作品を次々と世に問うベストセラー作家に。『隠し絵の囚人』(講談社文庫)でMWA賞ペーパーバック部門最優秀賞を受賞。他の著作に、『還らざる日々』『血の裁き』『欺きの家』(すべて講談社文庫)など。

「2017年 『宿命の地(下) 1919年三部作 3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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