五つの時計―鮎川哲也短編傑作集〈1〉 (創元推理文庫) (創元推理文庫 M あ 3-1 鮎川哲也短編傑作選 1)

著者 :
制作 : 北村薫 
  • 東京創元社
3.58
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本棚登録 : 340
感想 : 33
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  • Amazon.co.jp ・本 (572ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488403010

感想・レビュー・書評

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  • 鮎川哲也氏の作品を集めた短編集。
    執筆された時期が時期なので流石に古臭さは否めませんが、それでも面白いと感じるのは凄い。
    一番印象に残ってるのは「薔薇荘殺人事件」。雑誌「宝石」に寄稿された読者への挑戦状付き犯人当て小説なのですが、これがミステリのお手本みたいな作品でめっちゃ面白い。そして解答者の花森安治氏がそれをほぼ当ててるのも凄い。単純な推理だけじゃなくてプロットをメタ的に見た推理方法とかも読んでて面白かった。自分はミステリを読みながら推理するタイプの人間ではないので(なんとなく犯人コイツやろなぁってぐらい)それに対するフォローというか援護も印象に残りました。ただ最後のカナ文字は現代人なのですこぶる読みづらかったw

  • 今まで読んできた短編集の中でも5本の指に入るくらいに密の濃い1冊でした。
    まず冒頭の「五つの時計」
    過去読んだアリバイテーマのミステリの中で1番面白く、感心させられました。時計の針を1つずつ正していく過程で、犯人の企みが徐々に明らかになっていく様はまさにミステリの醍醐味。
    「白い密室」は雪密室での足跡テーマの1編。
    真相は今の時代から見ると物足りなさは感じるかもしれませんが、それを支える土台、捻りの効いたプロットなど見るべき部分は多分にあります。
    「道化師の檻」が個人的ベスト。
    双方から監視のあったトンネル内からの消失という強烈な謎。作者の持ち味が遺憾なく発揮された傑作ではないでしょうか。
    「薔薇荘殺人事件」は犯人当ての傑作。
    新本格以降、この趣向を使ったミステリは数多くありますが、正当な犯人当てでこれを使う作者の飄々っぷりに感服です。花森氏の毒々しい回答編も必見です。

  • 鮎川哲也の短編集を初めて読んだ。五つの時計や薔薇荘殺人事件など、ミステリー心をくすぐられる作品の数々に魅力された。

  • 鬼貫警部モノと星影龍三モノ。
    キャラごとに纏められてないから、読み始めてから、このキャラの話だったのね、てなる。
    自分の能力的に、鉄道トリックとか時刻表トリックは理解が追いつかなくて、読んでも納得感に繋がらない。

  • 傑作もあれば拙作もある。

    鮎川哲也のさまざまな実験を見たい、または江戸川乱歩との対話を聞きたいという方に薦める。

  • 短編集なので一気に読み通す必要もなく、寝る前などに一話一話ゆっくりと、読み終わるのを惜しみながら読了。
    良いですね、古き良き時代の探偵小説、推理もの、やはり好きです。

  • 北村薫氏が構成編集した鮎川傑作選。既に傑作選「下りはつかり」は読んでいたが、これを逃していた。主に星影素人探偵モノ、鬼貫警部モノ。読まずにいるのは惜しい一冊。特に「白い密室」「道化師の檻」が、思考の外から謎が解かれて見事としか言いようがない。鮎川自身が作家役で登場する「薔薇荘殺人事件」は、読者挑戦モノで、別の作家(評論家)が読者代表で登場する生きた作品。当時の江戸川乱歩編集長雑誌「宝石」に掲載された通り、謎解き側の解答も載っていて読み応えがあります。

  • 星影龍三も鬼貫警部も登場する豪華短編集。

    「薔薇荘殺人事件」の被害者の愛読書は「ユダの窓(ディクソン・カー)」。ちょうどいま並行して読んでいる本だったので、心臓が止まりそうになった。
    表題作「五つの時計」これが一番おもしろかった。タイトル回収。そうきたかー。

  • 五つの時計
    宝石 1957年8月

    白い密室
    宝石 1958年1月

    早春に死す
    宝石 1958年2月

    愛に朽ちなん
    宝石 1958年3月

    道化師の檻
    宝石 1958年5月

    薔薇荘殺人事件
    宝石 1958年8月

    二ノ宮心中
    宝石 1958年10月(別題 見えない機関車)

    悪魔はここに
    宝石 1959年1月

    不完全犯罪
    宝石 1960年4月

    急行出雲
    宝石 1960年8月

    江戸川先生のこと
    講談社「江戸川乱歩全集 第10巻」月報 1970年1月10日

    作品ノート「五つの時計」
    立風書房「鮎川哲也短編推理小説選集1 五つの時計」 1979年4月

    作品ノート「白い密室」
    立風書房「鮎川哲也短編推理小説選集1 五つの時計」 1979年4月

    作品ノート「早春に死す」
    立風書房「鮎川哲也短編推理小説選集1 五つの時計」 1979年4月

    作品ノート「薔薇荘殺人事件」
    立風書房「鮎川哲也短編推理小説選集1 五つの時計」 1979年4月

    作品ノート「二ノ宮心中」
    光文社「鉄道ミステリー傑作選 見えない機関車」 1976年11月

    作品ノート「悪魔はここに」
    立風書房「鮎川哲也短編推理小説選集1 五つの時計」 1979年4月

    作品ノート「不完全犯罪」
    立風書房「鮎川哲也短編推理小説選集2 青い密室」 1979年6月

    作品ノート「急行出雲」
    光文社「鉄道ミステリー傑作選 急行出雲」 1975年11月

    解説 北村薫
    光文社「時間の檻」 1987年2月

    鼎談 有栖川有栖 北村薫 山口雅也

  • 鬼貫警部って大地康夫さんでドラマ化されてたあれだよね?だからあんなに面白かったんだね!

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著者プロフィール

鮎川哲也(あゆかわ・てつや)
本名・中川透。1919(大8)年、東京生まれ。終戦後はGHQ勤務の傍ら、様々な筆名を用いて雑誌へ短編を投稿し、50年には『宝石』100万円懸賞の長篇部門へ投稿した「ペトロフ事件」(中川透名義)が第一席で入選した。56年、講談社が公募していた「書下ろし長篇探偵小説全集」の第13巻「十三番目の椅子」へ応募した「黒いトランク」が入選し、本格的に作家活動を開始する。60年、「憎悪の化石」と「黒い白鳥」で第13回日本探偵作家クラブ賞長編賞を受賞。受賞後も安定したペースで本格推理小説を書き続け人気作家となる。執筆活動と並行して、アンソロジー編纂や新人作家の育成、忘れられた探偵作家の追跡調査など、さまざまな仕事をこなした。クラシックや唱歌にも造詣が深く、音楽関連のエッセイ集も複数冊ある。2001年、旧作発掘や新人育成への多大な貢献を評価され、第1回本格ミステリ大賞特別賞を受賞。2002(平14)年9月24日、83歳で死去。没後、第6回日本ミステリー文学大賞を贈られた。

「2020年 『幻の探偵作家を求めて【完全版】 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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